spin out

チラシの裏

黒死荘の殺人 2

2012年08月12日 | JDカー
「黒死荘の殺人」の陰惨な雰囲気は、HM卿ものの中でも(カー作品の中でも)特筆すべきで、
バンコラン登場作品の雰囲気がまだ残っているというよりも、
さらにメーターの針が振りきった感じで書いているように思えます

37、38年ぶりぐらいに再読してみると、
M・R・ジェイムズのような伝統的なゴーストストーリーのミステリ版というより、
ウィアード・テールズのホラー小説を強引にミステリ側へ引っ張ってきた感じがしなくもないです。

カーとラヴクラフトがどこかでつながるとは思っていませんが、
シーベリー・クィンの「ジュール・ド・グランダン」シリーズあたりならば、
カーが影響を受けていると想像してみても楽しい。
ちなみにカーの弟、ロバート・スペンサー・カーはウィアード・テールズに寄稿していたそうです。


「ジョン・サイレンス」「カーナッキ」などのサイキックデティクティヴとも
意外に共通性があるのではないでしょうか。


とくにカーナッキシリーズには、
一見オカルトと見えながら実は人の作為がひきおこした事件というものもあり、
直接の影響下にあったという資料でも出てこないですかねえ。


とここまで書いたら、ミステリマガジン2001年4月号カー特集に掲載の
カー事典に「カーは若い頃、ウィアードテールズの愛読者だった」という一文を発見。
評伝「奇蹟を解く男」にあたってみましたが、
ちらほらとウィアードテールズの影響下(ラヴクラフトのも!)にある、という説明はありましたが、
具体的にどの作家とは書かれていませんでした。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 黒死荘の殺人 | トップ | ジュール・ド・グランダン »

コメントを投稿

JDカー」カテゴリの最新記事