Activated Sludge ブログ ~日々読学~

資料保存用書庫の状況やその他の情報を提供します。

●原子力推進とマスコミの震災・原発報道

2011年04月19日 01時41分08秒 | Weblog


THE JOURNALに出ていた篠田博之さんによる記事(http://www.the-journal.jp/contents/shinoda/2011/04/post_70.html)。
 東日本大震災以前に既に原発反対派は日々駆逐されつくし、いまや、マスコミで原発廃止など発言できる識者や研究者はほぼ居ない状態。各地で行われている原発廃止のデモなど、ほとんどマスコミでは報じられることは無い。国内のこの〝惨状〟。

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http://www.the-journal.jp/contents/shinoda/2011/04/post_70.html

震災・原発報道とメディアについて上杉隆さんと話しました。

 上杉隆さんがキャスターを務める朝日ニュースターの「ニュースの深層」にゲスト出演し、震災・原発報道とメディアについて話しました。放送は初回が4月12日(火)夜8時からです。

     http://asahi-newstar.com/web/22_shinsou/?cat=18

 控室で上杉さんが先頃、TBSラジオ「キラキラ」を突然降板させられた話が出たのですが、まあこれについては機会を改めて書くことにして、番組で話した私の震災・原発報道についての感想を、ポイントのみ紹介しておきます。詳しくは来週の番組を見て下さい。

 ちなみに今回の原発報道については、朝日ニュースターは本当に健闘しています。というか、地上波がダメなので、この番組の独自性が光っていると言うべきか。こういう時こそ大切な「言論の多様性」の確保におおいに貢献しています。先般、ビートたけしさんが「原発については地上波とCSと全然違ったことを言っているので、何が正しいのかわからない」と言ってましたが、違った言論がきちんとメディアで伝えられることが大事なんですね。
 で、その番組でも話した、私がこのところの震災・原発報道について思う事柄なのですが、ポイントのみ簡単に紹介します。

1)今回の震災を「国難」だという指摘が多く、それは間違っていないのですが、そういう状況下で報道機関はどんなスタンスをとるべきかが問われています。政府は国民がパニックになるのを回避するために「安全」「安心」「直ちに危険はない」と強調し、それが原発事故については次々と「事実による反撃」を受けているという、危機管理においてはほとんど破綻状態なのですが、問題は報道機関もそれに引きずられていること。昨日言ったことが今日になると間違っていたという現実を次々と見せられることは、市民の政治不信とともにメディア不信を増幅することになっており、報道機関が国家ないし政府との距離をきちんととれないというのは、致命的なことです。非常時といえど、メディアが我を忘れて政府と一体となって「安全」「安心」だけを広報する機関になってはいけないのです。

2)原発問題については、20年ほど前、「朝まで生テレビ」でよく賛成・反対両派のディベートをやっており、こういう立場の人がこういう発言をしているのだと、見ている方はリテラシーを働かせて受け取ることができていたのですが、今回の報道ではそれができていません。この1020年ほど日本社会から批判勢力、カウンターパートが放逐されることで、いつのまにか「原発反対」の論者は、大手マスコミでは見かけなくなってしまいました。今回の事故報道では、学者が各局登場していますが、それぞれの人がどういう立場から発言しているのか明示されず、ただ「教授」とかいう肩書きだけで解説を行っています。市民にすれば問題は「事実は何なのか」ということなのですが、今の地上波の報道は、解説者のスタンスが明示できていないことも含めて、その市民の欲求に応えられる報道になっていないのです。これはもしかすると、この20年、日本から社会的な批判勢力がパージされていったことのツケが現われているということかもしれません。
 海外だと原発反対運度が盛り上がり、「フクシマ」は国際的キーワードになっているようなのですが、肝心の日本では浜岡原発など一部を除けば、そういうリアクションが目立たない。これ、よく考えると深刻なことかもしれません。つまり日本ではこの20年、大政翼賛化と画一化が進んだということなのですね。

3)このところの「自粛」ムードの高まりは、昭和天皇死去の時とよく似ているのですが、これもよく考えると怖い現象です。節電に協力するといった合理的な自粛はよいのですが、演劇やらスポーツ大会を中止することが、被災者への配慮になるわけがないのに、自粛の連鎖が急速に拡大しています。8月の花火大会まで中止になっていくようなのですが、復興支援に逆行するようなこういう現象がなぜ起きてしまうのか。突出したことをやって「不謹慎」との非難を浴びると、まさに「非国民」扱いされかねないという、そういう風潮を皆が怖がっているわけです。昭和天皇の過剰自粛の時は、当の天皇家が「過剰自粛を避けよう」というアピールを行うという、ジョークのような展開になりましたが、今回もそれに近い状況です。

 上記3つの事柄について問題なのは、政府の危機管理が破たんしていくのが同時に、政府広報を垂れ流すだけのマスコミの不信、破綻にそのまま連動していっていることです。マスコミはそろそろ独自のスタンス、国家との距離のとり方を考えないと、メディア不信が一気に爆発することになりかねません。これ、すごく深刻な問題なんですが、日々の報道に追われている大手マスコミがどれだけそれを認識しているのか。
 4月7日、月刊「創」5・6月合併号が発売されました。特集は地震以前から進めていた「マンガ市場の変貌」についてですが、それ以外は「震災とメディア」について様々な論者が論及しています。例えばノンフィクション作家の吉岡忍さんとTBS「報道特集」のキャスター金平茂紀さんの対談など、相当読み応えある内容です。作家の柳美里さんが原発事故に対して家族ともども大阪に「疎開」した話など、『創』ならではの記事が満載です。ぜひご購読していただいて、震災・原発報道について一緒に考えて下さい。お願いします。

                   
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●電力会社・原発との癒着と呼ばずして

2011年04月18日 00時00分01秒 | Weblog


nikansports.comの記事(http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp0-20110331-755022.html)の引用。

 東日本大震災の前とはいえ、普段からこんなことをやっていて、マスコミは東電や国のエネルギー政策、原発推進研究者を批判できる訳がない。報道の使命を忘れている。癒着と呼ばずして何と呼ぶのか?
 「一部負担」・・・どうとでも解釈できる言い方ですね。
 メンバーと所属、行程、費用を公けにすべきである。マスコミはダンマリを決め込まず、自身で明らかにすべき。記者会見での日本インターネット新聞社の田中龍作記者(http://tanakaryusaku.seesaa.net/article/193272961.html)の質問に対して東電会長は氏名などの情報を明らかにしていない。ネット上を探してみましたが、見つけることができませんでした。

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http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp0-20110331-755022.html

「東電とメディアが癒着」会長認める

 東京電力勝俣恒久会長(71)が、東日本大震災発生から20日目の30日、ようやく会見し、福島第1原発が深刻な状況に陥っていることを謝罪した。
 会見では、勝俣会長が地震発生の11日に中国を訪問していたこと、その際、メディア関係者を同行していたとの一部報道に質問が及んだ。勝俣会長は訪問を認め、メディア関係者の渡航費用を東電側が一部負担したことを明らかにした。「全額ということではない」「詳細はよく分からないが、多分多めには出していると思う」などと述べた。同行者の立場は「OB」「勉強会の方々」としたが、「癒着を認めるのか」と突っ込まれる場面もあった。
                  [2011331823分 紙面から]
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 上記記事とは直接的には関係は無いかもしれませんが、背景には以下のようなこともあったのかもしれません。
 アクセスジャーナルhttp://www.accessjournal.jp/modules/weblog/)の山岡俊介さんの4月4日の記事の一部を以下に引用させて頂きます。

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http://www.accessjournal.jp/modules/weblog/
                              2011/04/04
執筆者: Yamaoka (9:40 pm)

「日本広報学会」会長に就いていた東電・清水正孝社長

 「日本広報学会」(本部。東京都千代田区)なる団体がある。
 
「国際社会に通用する広報マインドの醸成に貢献する」ことなどを目的に約15年前に設立され、昨年3月現在、個人会員475名、法人会員 62社、法人登録者(代表者除く) 163名といった具合(法人は年会費1口10万円から)。
 福島原発事故の対応でそれどころでないということで4月1日付で会長代行が選ばれたが、それまで東京電力の清水正孝社長(冒頭写真)が会長に就いていた。
 清水氏は副社長時代に広報を担当。その時、旧江戸川でクレーン船が東京電力の送電線に接触(横左写真)し、大規模停電が発生。また、新潟県中越沖地震で柏崎原発(横右写真)が被害を受けるなど経験した。そして、特に後者に関しては「対応が遅かった」と記者の間でも評判が良くなかった。こうしたなか、何か期するものがあったのだろうか。
 だが、日本広報学会の目的は企業広報の質の向上だけではない。先に紹介したACジャパン同様、マスコミの取り込みも重要な目的のようだ。

・・・・・・。
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 さらに、天下り。記事には、安全監視体制の欠如によって「国民は放射能モルモット」という言葉も出てきます。My News Japanhttp://www.mynewsjapan.com/)に出ていた3月26日の三宅勝久さんによる記事http://www.mynewsjapan.com/reports/1416)「経産官僚10人が電力会社天下り 官業癒着で機能しない監視体制」というもの。
 リードの部分を引用すると・・・。

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http://www.mynewsjapan.com/reports/1416

経産官僚10人が電力会社天下り 官業癒着で機能しない監視体制
                          三宅勝久 10:08 04/08 2011

 東電の福島第一原発の事故は、放射能汚染水を海中投棄するにいたって深刻な国際問題に発展しはじめた。これほどの大事故になる前に防ぐ手立てはなかったのか。背景に浮かぶのは、監督官庁である経済産業省と電力会社との癒着による安全監視体制の欠如だ。原発を持つ電力会社9社に、役員として天下った経産官僚は、過去数年に限っても分かっただけで10人。天下り後は猛スピードで常務や副社長に昇格するのが通例で、年収は推定2000万円~5000万円+退職金。無責任な官僚の豊かな老後と引き替えに、国民がモルモットにされている。


【Digest】
◇原発電力会社9社に経産官僚10人
◇東電白川氏の年俸推定4000万円 
◇「福島プルサーマルごり押し男」を雇った関電
◇島根原発の末廣氏は中電で「上関」強行
◇志賀原発事故隠しと北陸電の荒井氏
◇官僚は肥え国民は放射能モルモットに?

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 最後に、とある雑誌の今週号の表紙。

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   養老孟司   幸田真音   吉村作治
   茂木健一郎  北村晴男   星野仙一
   勝間和代   渡瀬恒彦   中畑清
   大前研一   岡江久美子  浅草キッド
   弘兼憲史   森山良子   アントニオ猪木
   草野仁    三宅久之   北野武
   住田裕子   堺屋太一   木場弘子
   荻野アンナ  大宅映子   藤沢久美

        「私は干された」
     ジャーナリスト 上杉隆の証言
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 雑誌は『週刊金曜日』(843号、2011年4月15日)。タイトルは「電力会社に群がる 原発文化人の罪」。北野大氏を含めて25人に、「この期に及んでも原発は必要か? その理由は??」という緊急アンケートも。約半数は無回答。堺屋氏に至っては、「どういう雑誌かわからない(ところには返事は出せない)」というお笑いなお話。
 下の方の上杉隆氏の件は別の機会に。

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●『創(2010年12月号)』読了

2011年01月08日 00時04分26秒 | Weblog

『創』(2010年12月号)、12月に読了。

 カラーグラビア「和歌山県太地町/イルカ漁をめぐる攻防/「ザ・コーヴ」上映後の地元には・・・」(p.18-19)。

 
特集「検察の犯罪とメディアの責任」。
 弘中惇一郎弁護士、「驚くべき取り調べの実態/今こそ全面可視化を」(pp.34-41)。「・・・取り調べ中に作ったメモはすべて廃棄した・・・」。「・・・特捜の捜査がとにかく杜撰・・・。・・・公判前整理手続きの段階で、石井一議員の調書がこの段階ではまだ存在していなかったのです」。
 江川紹子氏、「これは権力犯罪だという本質を見逃してはいけない」(pp.42-45)。
 三井環さん、「今こそ検察全体の責任を追及せねばならない」(pp.46-51)。「・・・この問題を検証する機関の座長に、千葉景子法務大臣が決まったようですね。でも千葉さんは現職の大臣のときに何をしましたか。・・・裏金問題について・・・従前の政権と同じ答弁ですからね。そういう人をよくも任命したなと思います。人選があまりにもおかしいですよ」。
 浅野健一さん、「朝日「検察の証拠改ざん」スクープを犯罪報道の転換へ」(pp.52-60)。「検察ファッショ状況にある中で、この記事は「すごいことで、本当に大特ダネ」・・・であり、見事な調査報道だ」。「―――FD改ざんをスクープした朝日新聞の板橋記者らについてどう思うか。/弘中 記者としてきちんと問題意識を持ち、自分の足で動いて徹底的に取材し報道する、あれが正しいジャーナリズムだ」。板橋洋佳記者。
 板橋洋佳記者インタビュー(聞き手/浅野健一さんら)、「FD改ざんを私たちはこうしてつきとめた」(pp.62-66)。
 矢崎泰久[元『話の特集』編集長]・上杉隆氏対談、「検察権力の威信失墜と共にメディアのあり方も問われている」(pp.68-77)。「起訴後有罪率99%という日本のシステムの異常」。「崩壊しつつある記者クラブを誰が壊すのか」、「矢崎 ・・・亡くなった元読売記者の本田靖春とか、・・・本多勝一らが中心になって、こちら側から廃止しない限りは、このシステムは無くならないと」。

 佐高信さん、「ニッポン文化低国を撃つ!/筆刀両断!/憲法改正を叫ぶ単純タカ派 塩野七生」(pp.78-79)。

 鈴木邦男さん、「言論の覚悟/怨み・憎しみ。そして赦し」(pp.80-83)。原田正治氏、『弟を殺した彼と、僕』(ポプラ社)。「・・・彼を赦(ゆる)したわけではない。しかし死刑にして問題が解決するわけではない。・・・そして何と死刑執行停止を求める上申書を裁判所に提出する。・・・しかし原田さんの「願い」は叶えられず死刑は執行される。虚脱感の中、死刑制度に関心を深め、死刑廃止運動にも関わるようになる」。死刑存置派に聞かせたい原田さんの言葉、〈単に「被害者遺族の気持ちを考えて死刑に賛成する」という声に、僕はさびしさや怖さを感じます。このような人は、僕のようなものを、/「家族を殺された彼らは、平穏に暮らす自分より気の毒でかわいそうな人」/と、一段下に見ていると感じます。その上、自分のことを偽善者よろしく、/「いわれなくても被害者遺族の気持ちを推し量ることができる自分は、人間らしい上のある者だ」/と、心のどこかで考えている気がします。被害者のことなど真剣に考えてはいないのです〉。鎌田慧さん財田川事件大道寺幸子基金。安田好弘弁護士。宇賀神寿一氏(東アジア反日武装戦線さそり」)。

 森達也さん「極私的メディア論/第56回 巨大メディアと記者の姿勢」(pp.88-91)。戦場写真家ジェームス・ナクトウェイ。「・・・アメリカがイラクに侵攻した大義は存在せず、イラク戦争は起こす理由のない戦争だったのだ」。「・・・かつて「自分は戦争を終わらせるために写真を撮る」とまで発言したナクトウェイは、「写真では戦争を終わらせることができない」と最近は語っているという。その真意と苦悩の言葉を聞きたい」。

 金平茂紀氏(TBS「報道特集」キャスター)、「衰退しつつあるメディア界に「蟻の一穴」を」(pp.108-113)。「今のテレビは劣化していないか」、「少数派になることを恐れず強大なものをチェックする」。

 本紙編集部、「民族排外主義とネット活用が特徴/右派陣営の新潮流/「在特会」拡大の背景」(pp.120-127)。

 「永六輔[放送タレント]×矢崎泰久[元『話の特集』編集長]のぢぢ放談/第17回 ノーベル賞なんて知らない!」(pp.130-137)。
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●『創(2010年9・10月号)』読了

2010年10月17日 04時54分29秒 | Weblog

『創』(2010年9・10月号)、9月に読了。

 「鈴木邦男さん顔面殴打出血!/7月3日、渋谷映画館前で「ザ・コーヴ」上映めぐる乱戦」(p.13)。「主権回復を目指す会」の弱い者イジメに対しての攻防。

  上杉隆氏、「『週刊ポスト』大反響キャンペーンの舞台裏/“タブー中のタブー”マスコミ官房機密費問題の闇」(pp.30‐38)。「マスコミが受け取ることの深刻な意味合い」、「「メモ上げ」など記者クラブ問題と直結」。野中広務さんの暴露。

 篠田博之編集長、「無事に全国上映開始/「ザ・コーヴ」上映中止騒動のその後の経緯」(pp.40-43)。
 鈴木邦男綿井健陽安岡卓治・針谷大輔・吉岡逸夫さん「公開日の夜、右翼も交え白熱応酬/「ザ・コーヴ」公開初日の怒号激論」(pp.44-55)。 

 佐高信さん「タレント文化人筆刀両断!/木村剛をさんざん持ち上げた田原総一郎ら」(pp.80-81)。「・・・木村を金融庁の顧問に抜擢した竹中平蔵である」。

 鈴木邦男さん「言論の覚悟/再審請求中!」(pp.82-85)。「和歌山カレー事件」の林眞須美さん。鈴木さんは「林眞須美さんを支援する会」代表。森達也さんの『死刑』安田好弘弁護士。

 森達也さん「極私的メディア論/第54回 ザ・ベストテレビとローカル局」(pp.90-93)。「たとえ賞を取ったとしても、ローカル局のドキュメンタリーは、なかなか陽の目が当たらない。・・・ゴールデン枠で放送したっていいはずだ。でもそんな英断はめったにない。/・・・視聴率獲得のコンテンツとして評価されていないことに加えて、・・・大スポンサーであるトヨタを強く批判した毎日放送の「夫はなぜ、死んだのか ~過労死認定の厚い壁~」(「地方の時代」映像祭08年度グランプリ)や日本中から批判された光市母子殺害事件弁護団のドキュメンタリー「光と影 ~光市母子殺害事件弁護団の300日~」(08年日本民間放送連盟賞報道番組部門「最優秀」賞)などのように、放送しづらい作品が多いからだ。/・・・間違いなく一つの要素だ。/志ある作り手たちは、まだまだローカル局には大勢いる。彼らを応援してほしい。彼らの作品を見て欲しい。/きっと、まだまだテレビは捨てたもんじゃないと思えるはずだ」。

 山本直樹・長岡義幸さんら「反対運動の当事者たちが一堂に会して/「非実在青少年都条例改定をめぐる大議論」(pp.98‐109)。

 星川淳さん、「[グリーンピース裁判]特別寄稿/「クジラ肉裁判」判決間近/税金ドロボーはどっちだ!?」(pp.122-127)。「・・・若い検察官(・・・志布志事件の担当・・・)は「NPOの分際で捜査機関さえ令状がなければできないことをやったのは絶対に許せない!」と啖呵を切った。私は〝正義の番人〟のはずの検察官が民主主義の真逆を口にする司法教育の崩壊ぶりに驚き呆れ、心の中で徹底抗戦を誓った」。「・・・青森地裁、仙台高裁、最高裁の全てが証拠開示の必要なしと判断した。原告側・弁護側が対等に争う条件である証拠の全面開示なしに、どうして公正・公平な裁判が可能だろう? 国策扱いの調査捕鯨を国家ぐるみで必死に守ろうとする姿勢は戦前・戦中を思わせる」。「・・・国際人権(自由権)規約に基づき、おおよそ次のように立論する。民主社会において一般市民やジャーナリストやNGO職員が公共の利益のために政府などの不正を明らかにしようとする際、やむを得ず法律の枠を踏み越えた場合は、その行為によって得られた公共の利益と、失われた法益とを秤にかけ、前者の方が大きければ許容(違法性阻却)されるべきだし、かりに形式上の罪を問うとしても過重な懲罰を与えてはならない。なぜなら、不均衡で過重な懲罰は市民による政府監視を委縮させるからだ、と―――。・・・西山事件や立川・葛飾ビラ入れ事件などについても同様なことがいえる」。

 「永六輔[放送タレント]×矢崎泰久[元『話の特集』編集長]ぢぢ放談/第15回 常識なん知らない!」(pp.128-135)。「本質を衝かない大相撲賭博報道」。「矢崎 オレが気になったのは、川田龍平なんだよね。・・・みんなの党に入党しちゃった。/永さんもオレも彼が無所属だから応援したのに、一種の変節ですよ。彼が立候補したときに掲げた理念って、みんなの党の渡辺喜美とは絶対合わないはずなのに・・・。/ だいたい、みんなの党の「みんな」って押しつけがましいよね。「あんたの党」でいいんじゃないの(笑)/矢崎 みんなの党って、理念的には市場原理を重視する新自由主義でしょう。・・・おれからすると、ああいう漁夫の利で伸びてくるのが気持ち悪いナチスが誕生したときに似ている」。

 浅野健一さん、「本紙8月号鼎談をめぐって/「記者クラブ解体論」は過激すぎる!?」(pp.146-149)。「本多勝一さんは、記者クラブに入れない人たちが、人種差別、職業差別だと主張して、記者クラブと官庁を集団提訴しようという話があったが、実現しなかった」。
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●『創(2010年8月号)』読了

2010年10月09日 10時25分35秒 | Weblog

『創』(2010年8月号)、8月に読了。

 「映画「ザ・コーヴ」上映中止騒動の全経緯/鈴木邦男さん突入の騒然現場写真」(pp.14-16)。「・・・市民が、持っていたスケッチブックに「恥ずべきは上映妨害」と書いて掲げている」。「・・・「君たちのやっているのは弱い者いじめの営業妨害じゃないか」と講議団に抗議」した鈴木邦男さん。

 特集/映画「ザ・コーヴ」上映中止騒動。
 
篠田博之編集長「上映中止騒動の全経緯とそこで問われたもの」(pp.26-31)。「・・・一般に想定される「抗議行動」の範疇を超えている・・・。/・・・「主権回復を目指す会」と「在日特権を許さない市民の会(在特会)」・・・」。
 
森達也綿井健陽・坂野正人・鈴木邦男野中章弘さん「上映会で議論された上映中止と「自粛の連鎖」」(pp.32-37)。
 田原総一郎・崔洋一・石坂啓さん「映画館主と表現者たちの上映中止をめぐる議論」(pp.38-45)。
 綿井健陽さん「和歌山県太地町の人たちは映画をどう考えているのか?」(pp.46-50)。「表現の自由」とは一体何なのか。「・・・撮影した側と撮影された側の間の関係性において、フェアに呼応して相互理解を得られる言葉なのだろうか。表現する手段や機会を普段は保証されない人たちを尊重することで初めて対等に成立する権利だと思う」。

 上杉隆・神保哲生・高田昌幸氏「記者会見の開放をいかにして進めるべきか/崩壊しつつある記者クラブ制度と大手マスコミの特権」(pp.52-63)。

 長岡義幸さん「否決はされたものの秋には再浮上/「非実在青少年」と条例改定をめぐる攻防の行方」(pp.76-83)。「・・・石原都知事は・・・。/・・・規制強化反対を訴えたマンガ家や読者らに悪罵を投げつけた」。

 佐高信さん「タレント文化人筆刀両断!/「いいやつ」と「どうでもいいやつ」村上春樹」(pp.84-85)。

 森達也さん「極私的メディア論/第53回 プロパガンダ展で見たプロパガンダ」(pp.94-97)。「・・・つまりこの展示の最後は、イランがいかに危険な国であるかを訴える(まさしく)政治的プロパガンダとして終わっていた。・・・展示にはイラク戦争が無い。・・・中東戦争もないし、イスラエル・パレスチナ問題もない。/要するにイスラエル国家にとって都合の悪い戦争や虐殺が、すべて削除されている。/「・・・・・・露骨ですよねえ」/プロパガンダの危険性を訴える展示で、・・・臆面もないほど見事なプロパガンダが行われていた」。

 林眞須美さん「大阪拘置所で綴った近況と心情/死刑確定後も無実への思いは変わらない」(pp.102-107)。免田栄さん、赤堀政夫さんの死刑台からの生還。

 矢崎泰久さん「ワープロ打ちのその文面を見て次々と疑問が湧いてきた/井上ひさしが残した謎の『遺言公正証書』」(pp.108-115)。「・・・『文藝春秋』は・・・表紙に特記し、電車の中吊り広告にもデカデカと発表している。こんなインチキも珍しい。・・・ユリ夫人が書いた「手記」を大々的にうたうのならともかく、井上ひさし本人が書いたかのように欺いたことは、どんな理由にせよ許されることではない。死者に対しても冒涜に他ならないと思う。羊頭狗肉とはまさにこのことだろう」。「・・・小泉首相に頼まれて道路公団民営化の委員になり、当時からしきりに権力にスリ寄っていた全共闘くずれの猪瀬直樹が、日本ペンクラブの最重要委員会の委員長に任命されるなんてまさしく噴飯ものではないか。・・・/日本ペンクラブに絶望した私たち(本多勝一鎌田慧佐高信北村肇)5人は脱会届を提出し、会報に抗議文を掲載するよう求めた。井上会長の後任・阿刀田高会長はそれすら無視した」。

 「永六輔[放送タレント]×矢崎泰久[元『話の特集』編集長]のぢぢ放談/第14回 菅直人なん知らない!」(pp.128-135)。「「市民運動家」という言葉の違和感」、「市民感覚が問われる沖縄問題への対応」、「「市民感覚」と「庶民感覚」」、「顔つきが変わったのは政治屋になったせい?」。

 大川豊さん「月刊「壊(こわす)」/第86回 参院選と菅一発内閣」(pp.144-147)。福岡県大木町の「おおき循環センター/くるるん」
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●続・検察審査会の「起訴相当」: 『週刊朝日』山口一臣編集長の〝日記〟

2010年05月10日 04時20分10秒 | Weblog

THE JOURNALの記事。これまた、とても長いです。これもかなりトリミングしていますので、原文を是非お読みください。

 郷原さんとまったく同じ意見です。やはり、検察に媚を売るマスコミの馬鹿騒ぎが、検察審査会の一般市民を起訴相当に誤誘導したと言わざるを得ません。呆れ果てます。また、投稿欄にて申立人と在特会』の関係の投稿があり、審査申し立ての内容の酷さや右翼ファシスト運動といった背景に対して、今回の真理申し立てがなぜすぐに受理されたのか、大いなる疑問・何らかの裏事情があるようです。

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【http://www.the-journal.jp/contents/
        
yamaguchi/2010/05/post_95.html】

山口一臣の「ダメだめ編集長日記」

小沢一郎が「起訴相当」となった理由

 民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件で検察審査会が「起訴相当」の議決を出したことが波紋を広げている。これによって小沢の進退問題に発展するのは必至と書く新聞もあれば、「5月政局」が始まると説く向きもある。肝心の民主党内もあたふたと揺れ始め、小沢の辞めどきを口にする議員まで出るありさまだ。しかし、いずれもことの本質をまったく理解していない議論と言わざるを得ない。あるいは、知っていて知らないふりをしている確信犯か、どちらかだ。
 なにしろ議決から1週間以上経っているにもかかわらず、これに関するまともな解説がメディアにほとんど見られないのだ。冷静に中身を分析せず「民意は重い」とか「市民目線から許し難い」とか、とにかく情緒的なものばかりだ。小沢一郎はいったい何をやったのか、それが法に照らして処罰に値することなのか? そうした問いはどこにもない。小沢はこの間、一貫して「私自身、何もやましいことはない」と言い続けている。なぜ小沢は「やましいことはない」と言えるのか。そんな分析もまったくない。
 これはメディアの自殺行為だ。起きている事態をきちんと冷静に分析し、世間に正しい判断材料を提供するのがメディアの役割なのに、それがまったくできていない。むしろ逆をやっている。そこで、これまでの情報を整理して私なりの考えを述べてみたいと思う。
 まず、今回、検察審査会が起訴相当とした中身(被疑事実)である。それについて、わかりやすく書いている新聞はほとんどない。恐らく、これを知ったらほとんどの人が「なんだ、そんなことか」と思うだろう。今回、検察審査会が問題とした被疑事実とは、「陸山会が平成16年に土地を取得し、代金として3億4260万円を支出しているのに、そのことが同年の政治資金収支報告書に記載されておらず、翌17年の報告書に書いてある」という、たったそれだけのことなのだ。土地の取得や代金の支払いを隠したわけでもなんでもない。時期がずれているという話だ。しかも、〝実行犯〟は当時小沢の秘書だった石川知裕議員である。小沢は、その石川と共謀して収支報告書に虚偽記載をさせた〝共犯者〟であるという疑いだ。
 はたしてこれが、国会議員を起訴するほどの〝犯罪〟といえるだろうか
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 いずれにせよ、そんな罪ともいえない行為がなぜ「小沢疑獄」だの「小沢金脈」などと言われるようになったのかを、よく思い出して欲しい。陸山会が土地取得のために用意した資金の一部に「水谷建設から受け取った5000万円のヤミ献金が含まれていたのではないか」という疑いがあったからだ。確かに、もしこれが事実ならヤミ献金を受け取っていたという事実だけでアウトである。それが、ダム工事の受注の見返りだとした悪質度はさらに高まる。それらの事実が証明されれば、それこそ大疑獄事件といってもさしつかえない。東京地検特捜部も当然、そうした見込みで捜査を始めたはずである。
 たとえば、本件捜査が始まった当時の新聞を読み返してみてほしい。どのマスコミも判で押したように、形式犯である政治資金規正法違反は単なる入口で、その奥にはダム受注に関するあっせん利得やあっせん収賄といった実質犯があるといった解説記事を載せている。そのため今回の事件の最大のポイントは、土地購入資金の原資にゼネコンからのヤミ献金が含まれているかどうかである、ときわめて的確な指摘も多く見られた。
 ところがどうだろう。日本最強の捜査機関をもってしても、小沢サイドがゼネコンからヤミ献金を受け取っていたという事実は証拠のカケラも出てこなかった。土地購入の原資にゼネコンマネーが含まれているという証拠はないのだ。これも思い出してみてほしい。あれだけ派手にゼネコン各社を家宅捜索して、さらに幹部の一斉聴取までしたのにである。結局、当初検察が見込んでいたストーリーを裏付けるような証拠は、まったく出てこなかった。要は、見込み捜査が失敗に終わったという話なのだ。

 ところが、マスコミを使ってあれだけ事件を煽った手前、何も出てきませんでしたというわけにはいかない。そこで、本当にそんなことで罪になるのかといった程度(時期がずれて記載していたといった類)の政治資金規正法違反で石川らを逮捕・起訴することになったというのが、いわゆる「陸山会事件」の真相なのだ。
 本来なら、石川らの起訴時に前述のような見込みで捜査はしたが十分な証拠は得られなかったと、失敗捜査だったことを認めたうえで、疑獄金脈事件としての立件はできなかったけれど、捜査の過程で石川らの虚偽記載を見つけたので、それについて起訴したと説明すれば世の中をミスリードすることはなかっただろう。
 しかし、検察は保身とメンツのためにそれをしなかった。それどころか、十分な説明もなく「小沢は嫌疑不十分で不起訴」と発表した。小沢の「嫌疑不十分」はあくまでも石川らの政治資金規正法違反、つまり報告書の「書き間違い」に関して小沢との〝共謀〟があったかどうか、疑いはあるが十分な証拠がなかったという意味だが、世間はそうは受け取らない。「嫌疑不十分というのはクロではないが、限りなくクロに近い灰色だ」などと解説する輩も登場した。嫌疑不十分とは確かにそういう意味かもしれない。しかし、灰色が何に対して灰色なのかの説明がまったくない。正しくは、土地取得と代金の支払いの時期が2カ月ずれてしまったことに対して、小沢が〝共謀〟したかどうかということについて嫌疑不十分、つまり〝灰色〟だったという話なのだ。
 ところが、それまでの大本営発表的な報道をずっと見させられてきた一般市民の感覚からすれば、嫌疑不十分というのは水谷建設からのヤミ献金を受け取っていたかどうかについて、疑いはあるが証拠が十分でなかった、つまり灰色だということになる。それが今回の検察審査会での市民感覚による議決につながったのではないだろうか。
 大手マスコミもそれまで検察と二人三脚で「小沢金脈」「小沢疑獄」と煽りにあおりまくったため、正しい解説ができなくなってしまっている。あるテレビ局などは、水谷建設の関係者が石川に5000万円の現金授受の現場に立ち会ったという〝証人〟まで登場させていたが、いまだに放送が訂正されたという話は聞かない。今回のことで改めて検察と一体になったメディアの姿勢は本当に恐ろしいと実感した。検察は自らの失敗捜査を覆い隠すため、さまざまな情報操作を行う。本来、メディアはそれを監視し、検察の邪(よこしま)な思惑を暴いていかなければならないはずだ。ところが、それまで一体となった報道をしてきた手前、それができなくなっている。小沢一郎が何に対して嫌疑不十分なのかということが世間に浸透していないのも、検察審査会が起訴相当を議決したのも、メディアの偏向報道のためだと言っても過言ではない。
 ジャーナリストの上杉隆はこれを「官報複合体」と呼んでいる。それはまるで、戦時中の大本営発表を彷彿とさせる。大本営発表しか聞かされていない日本国民は、まさか日本軍が敗退しているとは思わない。快進撃を続けているものと確信している。そんな中でいくら真実はそうではないと叫んでも、〝危険な人〟扱いされるだけだ。検察は常に正義の体現者で、検察のやっていることに間違いはない。捜査は小沢周辺に着々と進んでいて、いずれ小沢本人の逮捕すらありうる......と、一般市民が思い込むのも当然だ。それがいきなり何の説明もなく「嫌疑不十分で不起訴」と言われ、納得できないというのも理解できる。審査会のメンバー11人全員が起訴相当と判断したのもうなずける。

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 こうなってくると、そもそも水谷会長が本当にそのような証言をしたのかも疑わしい。厚労省元局長・村木厚子の郵政不正事件の裁判をウォッチしていると、そんな気にならざるを得ない。検察は平気で証言を捏造する。それが村木裁判で明らかになった。水谷会長の雑談を無理やりストーリーにハメ込み証言に仕立ててしまったのではないか。といってもこれはあくまで推測だ。・・・

 なぜ、こんなデタラメ捜査が繰り返されるのか。西松建設事件、陸山会事件、そして郵政不正事件の取材を通じて痛感したのが、特捜検事の出世と保身、プライド、それから退官後の経済的利益追求に対する飽くなき欲望の強さである。それがある種の焦りとなって、見込み捜査を邁進させる原動力になっている。そして、それを助長しているのが、思い込みの強さと勉強不足の甚だしさだ。
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 次に勉強不足だ。郵政不正事件の裁判で村木被告はこう断言した。「役所を知らない人がつくった事件だと思います。検事のつくったストーリーは役所の事務とかけ離れている。霞が関にいる人間が聞いたらわかります」。役人の仕事運びのイロハについてほとんど勉強しないまま、自分たちにとって都合のいいように話をつくりあげたというわけだ。
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 また、陸山会の会計処理が異様に複雑であるという指摘もあった。なかでも「定期貯金があるのに、それを担保に金利を払ってまで融資を受けるのはおかし」ということが新聞にも堂々と書いてあった。これなどは、事業における資金繰りをまるで知らない人の発想だ。ごくごくふつうに社会人をやっていれば、こうした資金繰りがあることはいわば常識なのである。しかし、学生時代から司法試験に合格することだけを目標に生き、合格後は司法修習、検事任官という社会と隔絶された人生を送ってきた人たちには、およそ理解できないことかもしれない。いずれにしても、勉強不足だ。
 さらにいえば、法曹資格者でありながら法に対する知識すら著しく欠如している。そもそも政治資金規正法の立法趣旨は何だったのか。それを理解していれば、西松建設事件の大久保秘書逮捕も陸山会事件での石川議員逮捕もなかったはずだ。
 石川議員の起訴事実には、冒頭の「時期のずれ」のほかに、小沢から渡された現金4億円と陸山会の定期預金を担保に銀行から借りた4億円の計8億円を収支報告書に記載していなかったということも含まれている。これについてはすでにネット上でもさまざまな指摘がされている。まず小沢からの4億円については、会計の専門家の誰に聞いても「記載する必要がない」という。政治団体の会計帳簿は単式簿記会計が採用されていて、この単式簿記会計の記載範囲には明確な定めがないというのだ。しかも、小沢が一時的に用立てた4億円は、最終形態が定まっていない資金移動ということで、会計上は仮払金、仮受金として処理されるもので、これも収支報告書への記載の義務はないという。もうひとつの定期預金を担保にした借入金については週刊朝日2010年3月5日号でジャーナリストの松田光世が喝破しているが、法律上、収支報告書に記載すべき「収入」(政治資金規正法第4条)ではないという。法律で書かなくていいことを書かなかったからといって罪に問われるのは、罪刑法定主義をとる日本ではあってはならないことなのだ。
 要は、罪にならない行為を「罪」だと言い張り、大疑獄事件、大金脈事件に仕立て上げようとしていたわけだ
 結局、一連の事件は特捜検事公益よりも私欲を優先させたがために陥った失敗捜査だったと言わざるを得ない。そんなことに世間が付き合う必要はまったくない。
(文中敬称略)
           投稿者:山口一臣 日時:2010年5月7日00:29
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