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●子供にもSLAPPする国: 三上智恵監督・映画『標的の村 ~国に訴えられた沖縄・高江の住民たち~』

2013年08月18日 00時00分47秒 | Weblog


gendai.netの記事【オスプレイに反対したら訴えられた…ドキュメンタリー映画が話題】(http://gendai.net/articles/view/syakai/144036)とレイバーネット日本http://www.labornetjp.org/)の『●木下昌明の映画の部屋』からの 【木下昌明の映画の部屋・第166回 ●三上智恵監督『標的の村』】(http://www.labornetjp.org/Column/20130731)。

 「国が、国策に反対する住民を訴えるという前代未聞の裁判」があった。国が行うSLAPPSLAPPスラップ)である。

   『●SLAPPと原発、沖縄
   
    「国が、国策に反対する住民を訴えるという前代未聞の裁判
     反対意見を封じ込めることを目的に権力のある側が個人を訴えることを
     アメリカではSLAPP裁判とよび、多くの州で禁じている。しかし日本に
     その概念はなく、被告にされた高江の住民らは3年半に及ぶ裁判の間、
     資金も時間も奪われ身体的・精神的な苦痛を強いられた。沖縄の
     住民運動が最後の抵抗手段にしてきた「座りこみ」。それを
     「通行妨害」に矮小化して住民を裁判にかける手法が成立するなら、
     国に都合が悪い沖縄の声はますます封殺されてしまう。」

   『●「敗戦特集」『週刊金曜日』(2013年8月9日、955号)についてのつぶやき
   
    ■『週刊金曜日』(2013年8月9日、955号) / 【『金曜日』で逢いましょう 
     三上智恵さん】、「無断で入ることをためらう若いスタッフには、映画
     『ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳』・・を見せ、
     「問題自体が法を犯したものであれば、報道カメラマンは法を
     犯しても構わない」」・・・
    ■『週刊金曜日』(2013年8月9日、955号) / 【『金曜日』で逢いましょう 
     三上智恵さん】、「・・を見せ、「問題自体が法を犯したものであれば、
     報道カメラマンは法を犯しても構わない」」という福島さんの言葉で撮影を説得した」

 上記の週金の記事から、グリーンピース・ジャパンGPJ)のクジラ肉事件も思い出した。

   『●GPJ「クジラ肉裁判」と検察審査会
   『●『創(2010年11月号)』読了
   
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     星川淳さん、「[グリーンピース裁判]特別寄稿/「クジラ肉裁判」判決間近/
    税金ドロボーはどっちだ!?」(pp.122-127)。「・・・若い検察官
    (・・・志布志事件の担当・・・)は「NPOの分際で捜査機関さえ令状がなければ
    できないことをやったのは絶対に許せない!」と啖呵を切った。
    私は〝正義の番人〟のはずの検察官が民主主義の真逆を口にする 
    司法教育の崩壊ぶりに驚き呆れ、心の中で徹底抗戦を誓った」。
    「・・・青森地裁、仙台高裁、最高裁の全てが証拠開示の必要なしと判断した。
    原告側・弁護側が対等に争う条件である証拠の全面開示なしに、
    どうして公正・公平な裁判が可能だろう? 国策扱いの調査捕鯨を
    国家ぐるみで必死に守ろうとする姿勢は戦前・戦中を思わせる」。
    「・・・国際人権(自由権)規約に基づき、おおよそ次のように立論する。
    民主社会において一般市民やジャーナリストやNGO職員が公共の利益の
    ために政府などの不正を明らかにしようとする際、やむを得ず法律の枠を
    踏み越えた場合は、その行為によって得られた公共の利益と、失われた
    法益とを秤にかけ、前者の方が大きければ許容(違法性阻却)されるべきだし、
    かりに形式上の罪を問うとしても過重な懲罰を与えてはならない
    なぜなら、不均衡で過重な懲罰は市民による政府監視を委縮させるからだ
    と―――。・・・西山事件や立川・葛飾ビラ入れ事件などについても
    同様なことがいえる」。
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http://gendai.net/articles/view/syakai/144036

オスプレイに反対したら訴えられた…ドキュメンタリー映画が話題
2013年8月15日 掲載

 米海兵隊ヘリが沖縄の大学に激突した事故から9年。先週5日には、沖縄本島中部のキャンプ・ハンセンで米空軍ヘリの墜落事故が発生したにもかかわらず、16日には事故機と同型のヘリが追加配備される。そんな中、沖縄基地問題をテーマにした映画「標的の村」が10日に都内で公開され、注目を浴びている。監督は琉球朝日放送・報道制作局の三上智恵氏。95年の開局以来、基地問題を追ってきた三上氏は、オスプレイ反対運動の苦悩をドキュメンタリー映画にした。

 本土ではまったく報じられていないが、沖縄では5年前、反対運動を起こした住民が通行妨害で国に訴えられたのである。

   「オスプレイの着陸帯建設に抗議して座り込みをした東村・高江の住民が
    訴えられたのです。政府は、こんな小さな160人くらいの集落の
    座り込みなんて裁判でもやったらすぐに潰せると思っていたんですね。
    しかも、世間に知られないうちに。そうでなければ、あんなに残酷なことは
    しなかったはずです。私は食いついて映画にまでしましたが、そういうのが
    なければ誰にも知られなかったでしょう。国が決めたことに反対する人は
    裁判にかけられちゃう国に住んでいるのは、北海道まで全員一緒なんです。
    沖縄の人たちだけが、味わう恐怖ではないのです」

 その三上氏に今度のヘリ墜落事故についても聞いてみた。

   「あの時もHH60の2機が上になったり下になったりしながら複雑な動きを
    していたという目撃証言があるんです。敵のレーダーに見つからないために
    山の稜線に沿って飛ぶ“低空飛行訓練”をしていたんじゃないか
    と思うんですね。アクロバチックな動きをマスターするためにやっている。
    危険なのはオスプレイだけではないのです」

 これは絶対に他人事ではない。
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http://www.labornetjp.org/Column/20130731

木下昌明の映画の部屋・第166
三上智恵監督『標的の村
「オスプレイ」反対運動の真実――本土には伝えられない沖縄

 三上智恵監督の『標的の村』は臨場感にあふれている。

 これは昨年、沖縄の米軍普天間基地に配備されるオスプレイに反対する沖縄県民の激しい闘いの軌跡を追ったドキュメンタリーだ。

 作品は三上が一人で取り組んだものではなく、沖縄の琉球朝日放送というローカル局が、三上を中心とした報道スタッフを編成、テレビの枠を超えて映画として仕上げた。 最近、この種のドキュメントが目につく。愛知・東海テレビ放送の『青空どろぼう』、愛媛・南海放送の『放射能を浴びたX年後』など。その地域放送局ならではの豊富な映像資料を使い、過去から引きずっている事件に焦点をあてて、隠された歴史を掘りおこす。

 オスプレイ配備反対の闘いは沖縄での10万人集会のニュースを通して、本土でもその一端に触れることができた。だが、岩国基地からオスプレイが飛来してくる前夜、普天間基地の四つのゲートを県民が完全封鎖して、一昼夜、機動隊と繰り広げた攻防戦は、本土に知らされることはなかった。画面はその息詰まる闘いを伝えている。

 映画の主な舞台は、沖縄北部、やんばるの森が広がる東村(ひがしそん)・高江(たかえ)。そこに暮らす160人のうち、安次嶺現達(あしみねげんたつ)夫婦と6人の子どもたちが自然と共に過ごす生活にカメラは密着し、彼らはなぜオスプレイに反対するのか、取材している。国は座り込み抗議をした住民らを恫喝的に訴えたが、なんと7歳の娘までも訴えられているのには驚いた。

 周辺地区は米軍戦闘訓練場で、高江集落は格好の標的」なのだ。ベトナム戦争時にはべトナム村が作られ、住民は黒い服のベトナム人に仕立てられた事実を、当時の写真やフィルム、元米兵の証言によって明らかにする。

 オスプレイの簡易発着場の工事現場。沖縄防衛局と住民の怒号の中で、三線にのって歌われるのびやかな抵抗の歌のシーンがいい。遠い本土からは見えない沖縄のもう一つの姿がここにある。(『サンデー毎日』 2013年8月4日号)

* 8月10日より東京・ポレポレ東中野ほか全国順次公開。

  〔追 記〕オスプレイの基地配備は沖縄だけではすまなくなった。
        岩国から横田へと全国的に広がりつつある。もはや基地は
        戦争のためだけでなく、米軍内で増殖した巨大軍事産業の
        利権システムを維持拡大するための場所である。日本の基地は、
        その利権を生みだす格好の足場となっている。
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