Activated Sludge ブログ ~日々読学~

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●様々な意味で人災である

2011年12月31日 00時00分07秒 | Weblog


2011年も今日でお終い。3・11という未曽有の大震災・原発人災のあったとんでもない年でした。個人的にも大変な年、色々な初めての出来事を経験しました。

 東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011122702000059.html)と社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011122802000054.html)。

 ブラックアウトと云う人災である。しかもそれを想定しもしなかった、何も対処しようとしなかった二重三重の人災。でも、津波による浸水が無くても、地震によって破断などの致命的な事故が発生していなかったのだろうか。さらに、適切に避難させなかった地域に加えて、避難させてはならないところに避難させて被爆させてしまっている。原発など造ってはならない国に造ってしまった当然の帰結か。原発をまだ動かし続けようとしているわが国は、輸出までも行おうとしている。地震など災害の多い我国でなくとも、こんな制御困難で未完成な技術を行える場所がこの地球上にあるとは思えない。何度も述べてきたが、それにしても、FUKUSIMA後に原発の運転継続・再稼働・輸出を出来る我国、一体どんな神経をしているのだろうか。年の瀬を迎え、新年になろうとしているのに、何も変わっていない我国。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011122702000059.html

原発事故 人災で拡大  運転員、非常冷却経験なし
20111227 朝刊

 福島第一原発事故をめぐり、国の事故調査・検証委員会(委員長・畑村洋太郎東京大名誉教授)は二十六日、多角的に事故原因を検証する中間報告を公表した。非常用ディーゼル発電機のほか配電盤も地下にあったため津波で水没し、全交流電源喪失を招いたと指摘。吉田昌郎(まさお)所長(当時)ら東京電力側が、原子炉に注水して冷やす非常用装置が稼働していると誤認して代わりの冷却手段の準備が遅れ、被害が拡大した可能性があると述べた。 
 東電や首相官邸内の情報伝達の混乱や津波への備えの甘さ、避難指示の遅れなど、「人災」の側面にも言及。原子炉の重要設備が地震で壊れた跡は確認できないとして、地震が直接事故につながったとの見方は否定した。今後、菅直人前首相ら当時の閣僚らから聴取し、来年夏に最終報告をまとめる。
 中間報告によると、1~2号機は三月十一日、非常用発電機や配電盤が浸水し、交流と直流の全電源を喪失。3~4号機も配電盤が水をかぶるなどして全交流電源を失った
 このため、最初に水素爆発を起こした1号機では、電気を使わずに、原子炉の水蒸気を冷やして水に戻し再び原子炉に入れる非常用冷却装置(IC)で冷却しようとした。
 ICに蒸気を送る配管の弁は、電源が失われると自動で閉まる仕組み。この時も弁は自動で閉まったが、ICを作動させた経験のある運転員はおらず、こうした仕組みを十分理解していなかった可能性が高い。弁は開いたままで、冷却が続いていると誤認、代わりの注水の準備が遅れた。
 その間に圧力容器内の圧力は上昇。代替手段での注水も難航し、ICが機能不全に陥ってから、継続的に注水できるようになるまでに十四時間を要した。その結果、空だきとなった1号機は同日夕に炉心溶融(メルトダウン)し、翌日には建屋が水素爆発した。中間報告は「原子力事業者として極めて不適切であった」と東電の対応を厳しく批判した。
 3号機は十三日未明までは冷却が続いていたが、原子炉の蒸気の力でポンプを動かして炉に冷却水を送る装置(HPCI)を、運転員が手動で停止した。蒸気が弱くなり、過熱した設備が壊れると恐れたためだった。
 運転員は炉の圧力を減らす弁を遠隔操作で開けた上で、消火用のディーゼルポンプによる注水に切り替えようとしたが、弁は開かない。このため水が入らず、注水が七時間近く途絶えた。発電所幹部らはHPCIの手動停止を知らなかった
 中間報告は、1、3号機とも誤った認識により注水が長時間止まり、危機的な状況を招いたことを重視。「より早く別の手段で注水すれば、炉心損傷の進みを遅らせ、放出された放射性物質の量を減らせた可能性がある」と指摘した。
 政府の対応が後手に回ったことも問題視。放射能の拡大範囲を予測するシステム(SPEEDI)を住民の避難指示に生かせなかった点や、現地の対策拠点となるオフサイトセンターが機能しなかったことを批判した。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011122802000054.html

原発事故報告 設計欠陥に迫る姿勢で
20111228

 福島第一原発の事故調査・検証委員会の中間報告では、人災面の問題が浮き上がる。だが、全電源喪失大地震に耐える設計だったのか。疑われている原発自体の欠陥まで踏み込む姿勢が必要だ。
 確かに「想定」とは人の頭で枠が決められる。「失敗学」で知られる同委員会の畑村洋太郎委員長は「人間が考える範囲を決めたら、その内側のことは考えるが、外側は考えない」と語った。事故後に政府や東電が繰り返した「想定外」の言葉への批判だろう。
 報告書を読むと、全電源を喪失した原発内で、数々の落ち度があったことが分かる。原子炉に注水する非常用冷却装置(IC)が稼働しているという誤認があり、その代替手段の準備が遅れた。そもそもICを作動させた経験のある作業員はいなかった。別の冷却装置も、運転員が手動停止させ、幹部はその事実を知らずにいた。
 非常時の仕組みを十分に理解しておらず、爆発事故という最悪の事態を招いたことは深刻で、中間報告も「極めて不適切」と非難した。むろん政府の対応にも多くの問題がある。
 放射性物質の拡散を予測する「SPEEDI(スピーディ)」のデータを公表する発想がなかったのは驚くばかりだ。拡散方向に避難する人々の命をどう考えていたのか。憤懣(ふんまん)やる方ない。
 経済産業省原子力安全・保安院が「炉心溶融が起きている」と説明しながら、官邸の横やりで「炉心状況は不明」と翻したのは言語道断だ。打つ手なしと判断すれば、口を閉ざすのか。今後、当時の菅直人首相ら政府首脳への聞き取りを進めるが、ただ説明をうのみにしてはなるまい。反証しつつ、正確な状況再現を求めたい。
 不可解なのは、「地震動のみによる大きな損傷はなかったと推定」していることだ。東電の解析にすぎないはずだ。原発政策に関わるだけに、専門家を交え、より客観的な検討を行うべきだ。
 人災面を強調するだけではいけない。複雑なシステムであればあるほど、人間は失敗を犯すものだ。状況誤認や誤操作があっても、常に安全側に働かせるのがフェイルセーフの思想だ。
 原発のような破局をもたらす機械は、地震大国ではより、その思想が徹底されねばならない。原発自体の設計やシステムに欠陥はなかったのか。そこに焦点を当てて検証し、来年夏の最終報告で「失敗学」を生かしてほしい。
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