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●憎悪の連鎖を怖れる: イラク侵略と人質事件と自己責任バッシングと

2015年02月02日 00時00分58秒 | Weblog


マガジン9』の記事【雨宮処凛がゆく!: イスラム国による人質事件。の巻】(http://www.magazine9.jp/article/amamiya/17472/)。

 「ただただ、言葉を失っている。そうして、11年前を思い出している。2004年4月、高遠菜穂子さんたち3人が拘束され、自衛隊が撤退しなければ「生きたまま焼き殺す」と警告された時のこと。あの時、日本中を包んだ自己責任バッシング・・・・・・しかし、「なぜイスラム国が台頭したのか」を考えていくと、イラク戦争にぶち当たる」。

 今回も一部で、再びの「自己責任バッシングのようだ。「「薄っぺらで反知性的なタカ派が増殖している」・・・・・・アベ様達からして」ネッ。
 一方、あるイラク人女性は「自衛隊を派遣した日本にも、(この事態を引き起こした)責任がある」と言っており、今回の件にも繋がっている。「憎悪が連鎖」することを怖れる。そして、アベ様が「ケンカを売り」、そこに「火に油を注ぎ」込んでしまいました。今は、燃え盛る火の中、後藤健二さんの無事を祈ることしかできません。・・・・・・しかしながら、最悪の結果となってしまったようだ。残念だ。

   ●『戦争と平和 ~それでもイラク人を嫌いになれない~』読了(1/2)
   『●『戦争と平和 ~それでもイラク人を嫌いになれない~』読了(2/2)
     「しかし、彼女ら (郡山さんと今井さん) の予想は全く裏切られ、
      「自己責任とばか騒ぎし、醜悪なバッシングの嵐。解放後、
      「生まれ故郷に帰るのに「覚悟」が必要」(p.141) な国って、
      いったい何?? 解放後の「新たな不安と恐怖」(p.147) は、
      拘束時以上だったのではないだろうか・・・。」

   ●イラク人女性:
      「自衛隊を派遣した日本にも、(この事態を引き起こした)責任がある」

   『●「自己責任」バッシングと映画
        『ファルージャ イラク戦争日本人人質事件・・・そして』

   『●「赤紙」の来る時代・・・綿井健陽さんの
         「“平和”のありがたさをしみじみとかみしめたくなる映画」

   『●「ではなぜ読者や視聴者はシリアが危険だと知っているのか。
                    伝えようとした人が現場にいたからです」

   『●「死の商人」外交: アベ様がケンカを売った代償、
               火に油を注いだ代償はあまりに大きすぎる


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http://www.magazine9.jp/article/amamiya/17472/

2015年1月28日up
雨宮処凛がゆく!
第324回 
イスラム国による人質事件。の巻

 イスラム国によって、湯川遥菜さんが殺害されたと見られている。

 ただただ、言葉を失っている。

 そうして、11年前を思い出している。

 2004年4月、高遠菜穂子さんたち3人が拘束され、自衛隊が撤退しなければ「生きたまま焼き殺す」と警告された時のこと。あの時、日本中を包んだ自己責任バッシング

 幸い3人は解放されたものの、それから半年後の04年10月、香田証生さんが拘束された。彼を人質にしたのは「イスラム国」の前身であるイラクアルカイダ。彼の遺体は、アメリカ国旗に載せられた状態でバグダッドの路上で発見された。

 なぜ、高遠さんたちは助かり、香田さんは殺害されたのか。

 高遠さんたちを拘束したのは「地元のレジスタンス」的な存在と言われている。自らの家族が米軍に殺され、或いは自らが拷問を受けたような人々。そんな彼らとは、「自分はスパイじゃない」などと交渉ができたという。しかし、イスラム国前身のイラクアルカイダは、そのような交渉ができる相手ではなかったという。

 現在、この国のメディアは連日イスラム国の残虐性を非難している。

 もちろん、私も残虐だと思う。ひどいと思う。そこはまったく同感だ。

 しかし、「なぜイスラム国が台頭したのか」を考えていくと、イラク戦争にぶち当たる

 「大量破壊兵器」という存在しなかったもののために始められた戦争。それを真っ先に支持したのは日本政府だ

 昨年末、一人のイラク帰還兵のアメリカ人男性が来日した。

 彼の名前は、ロス・カプーティさん。

 「イラク戦争、集団的自衛権行使を問う」スピーキングツアーのために来日した彼の話を聞くため、私は2度、集会に行った。

 そこで突きつけられたのは、「知らないということの怖さだった。

 高校を卒業して軍隊に入った彼は、イラクに派遣されるものの、「自分の国がやっている戦争について、何も知らなかった」と語った。

 そんな彼が派遣されたのは、アメリカに対する抵抗運動がもっとも激しかったファルージャ。彼が派遣される3カ月前には4人のアメリカ人傭兵が殺害され、遺体が焼かれて橋に吊るされるという事件も起きていた。また、アブグレイブ刑務所での米軍兵士によるイラク人への拷問や虐待の写真が公開され、反米感情はこれまでにないほど高まっていた。しかし、そんなことも彼は知らされていなかったという。当時の彼は、「頭にスカーフを巻いて私たちを攻撃してくるイラク人たちはみんな悪い宗教に洗脳されていて、アメリカ人と見れば理由もなく殺そうとしてくるのだと思っていた」と語った。

 しかし、そんなファルージャでの任務を経験する中で、彼はイラクの人々がなぜ抵抗しているのかがわかっていく。なんの令状もなく、イラク人の頭に袋をかぶせて拘置所に連行してもお咎めなしの自分たちと、連行されてしまったが最後、どうなるかわからないイラク人。そんな彼は、「米軍によるイラクでの最悪の虐待」と言われる第二次ファルージャ総攻撃に参加。この攻撃の中で4000〜6000人の民間人が殺され、20万人が避難民となり、ファルージャの3分の2が瓦礫と化したという。

 帰国後、彼は壮絶な罪悪感との闘いに苦しみ、現在はイラク戦争犠牲者への「償いプロジェクト」を設立。同時に反戦運動を展開している。

 PTSDに苦しむ元兵士が多くいるアメリカと違って、この国の多くの人は、イラク戦争のことなどすっかり忘れているように見える。その影でイラクに派遣された自衛隊員からは28人の自殺者が出ているものの、そのことについてはなんの検証もされていない。

 その上、「その後のイラクの状況」には絶望的なほど、無関心だ。恥ずかしながら、私自身も昨年ロスさんの話を聞くまで、「現在のイラク」について、知らないことばかりだった。

 12年11月、「イラクの春」と言われるデモが始まったことも知らなかったし、その後のイラク政府軍によるデモ鎮圧や空爆についても、あまりにも無知だった。知っていたことはと言えば、米国主導で対イスラム国の空爆が昨年8月に始まったこと。しかし、それ以前からイラクは、イラク政府軍、シーア派民兵、そして地元の部族のグループなどが入り乱れ、そんな混乱の中にイスラム国がやってきてあちこちを制圧と、文字通り泥沼の状況だったのだという。

 知らないことは、時に罪だ。少なくとも、イラク戦争を真っ先に支持した日本に住む私たちは、決して無辜ではないと思う。

 一方、今回の人質事件では、「知らなかった」では済まされなかった事実がもうひとつ、ある。それは湯川さん、後藤さんが拘束されていることを政府は以前から把握していなかったはずはないということだ。それなのに放置した挙げ句、安倍首相はエジプトで「イスラム国」への対応として難民支援などに2億ドル拠出すると述べ、イスラエルでは「テロ対策で連携する」と発言した。

 ロスさんが来日した時のイベントで、高遠菜穂子さんが言っていた言葉を思い出した。彼女は「安倍さんが今後何を言うかに、ものすごく戦々恐々としている」と語っていた。なぜなら、イギリスの首相が「アメリカの軍事行動を支持する」と言えばイギリス人の人質がイスラム国に殺される、という現実が既に昨年起きていたからだ。安倍首相はそんな現実について、どう思っていたのだろう。「知らないでは済まされない

 戦争は、憎しみの連鎖を生む

 フランスの「シャルリエブド」社が襲撃された事件にも、イラク戦争が暗い影を落としている。容疑者の一人が活動に参加した動機は、「イラクのアブグレイブ刑務所での捕虜虐待の写真を見て義憤に駆られた」ことだという。

 私はシリアに行ったことはないけれど、イラクには2度行ったことがある。

 1999年と2003年、まだイラク戦争前のことだ。

 その時のイラクは、こっちが戸惑うほどの親日っぷりの人ばかりで、やたらと「ヒロシマ!」「ナガサキ!」と声をかけられた。

 そんな空気は、今はもうないのだろうか。

 とにかく、後藤さんが、無事帰国しますように。

 今はただ、それを祈ることしかできない
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