男はいつもの立ち飲み屋を目指した
途中、見慣れない景色が目に飛び込んだ

立呑と書かれた提灯だ
A型看板に目をやると
2024.4.12NEW OPEN
最近新規開店した店らしい
男は一度店の前を通り過ぎた

ふり返ると「坂倉将吾」
いや、そこではない
居場所がありそうだ
踵を返すと男は言った
「一人なんじゃけどのぉ~」

カウンターの端っこに身体を移し
品書きを眺める

「生頂戴な」
男は寡黙に告げた

男は店内の黒板やフードのメニューに目をやった

男は寡黙に尋ねた
「ジャークチキンがお勧めなんかのぉ~」
店主が答えた
「そうなんです」
男は寡黙に発注した
「じゃぁ、それ貰おうかのぉ~」
男は思った
今日はワイルドなハードボイルドに決めているはずなのに、なんとなく場違いな儂
男は通りの方に振り返った

丁度お店の前を通過した二人組が振り返っていた
俺の後ろに立つな
いや、完全に背後を取られていた
男は寡黙に野球中継に集中した
店主が話しかけてきた
「今日は調子良さそうですね」
男は寡黙に答えた
「半分くらいにして、明日に取っといたらええのにのぉ」
店主はいった
「そうですよね」
店主が聞いてきた
「ここはどうしてお知りになられたんですか?」
男は正直に話した
「いやぁ、この先の立ち飲み屋に行こう思うとったんじゃが、知らん店があったけぇ入ってみたんじゃ」
男は後悔した
もっと、ハードボイルドな答えは出来なかったものかと
「エエ感じの店じゃねぇ」
男は限界を感じた
今日もハードボイルドにはなれない
ジャークチキンが届いた

男よりはこっちの方がはるかにハードボイルドだ
入店した時に、いや、店頭を歩いていた時からスパイスの香りが強烈にしたのだ
見ただけで美味い
これが400円ならありだ
ハイボールと男は告げた

初見の店だ
店内も紹介すべきだと思った

こんな感じで決して広い店ではない
若い女性はスツールに腰掛けている
椅子も借りる事が出来るのであろう
品書きにはウイスキー各種とあったが
男の場所からは見え難かった
ちらりと

多少の選択肢はあるのだろう
そろそろ日本酒が欲しくなり男は会計を願い出た
PayPay1280円也
男は思った
またジャークチキンを食べに来よう

途中、見慣れない景色が目に飛び込んだ

立呑と書かれた提灯だ
A型看板に目をやると

2024.4.12NEW OPEN
最近新規開店した店らしい

男は一度店の前を通り過ぎた

ふり返ると「坂倉将吾」
いや、そこではない
居場所がありそうだ
踵を返すと男は言った
「一人なんじゃけどのぉ~」

カウンターの端っこに身体を移し
品書きを眺める

「生頂戴な」
男は寡黙に告げた

男は店内の黒板やフードのメニューに目をやった

男は寡黙に尋ねた
「ジャークチキンがお勧めなんかのぉ~」
店主が答えた
「そうなんです」
男は寡黙に発注した
「じゃぁ、それ貰おうかのぉ~」
男は思った
今日はワイルドなハードボイルドに決めているはずなのに、なんとなく場違いな儂

男は通りの方に振り返った

丁度お店の前を通過した二人組が振り返っていた

俺の後ろに立つな
いや、完全に背後を取られていた

男は寡黙に野球中継に集中した
店主が話しかけてきた
「今日は調子良さそうですね」
男は寡黙に答えた
「半分くらいにして、明日に取っといたらええのにのぉ」
店主はいった
「そうですよね」
店主が聞いてきた
「ここはどうしてお知りになられたんですか?」
男は正直に話した
「いやぁ、この先の立ち飲み屋に行こう思うとったんじゃが、知らん店があったけぇ入ってみたんじゃ」
男は後悔した
もっと、ハードボイルドな答えは出来なかったものかと
「エエ感じの店じゃねぇ」
男は限界を感じた
今日もハードボイルドにはなれない
ジャークチキンが届いた

男よりはこっちの方がはるかにハードボイルドだ
入店した時に、いや、店頭を歩いていた時からスパイスの香りが強烈にしたのだ
見ただけで美味い
これが400円ならありだ
ハイボールと男は告げた

初見の店だ
店内も紹介すべきだと思った

こんな感じで決して広い店ではない
若い女性はスツールに腰掛けている
椅子も借りる事が出来るのであろう
品書きにはウイスキー各種とあったが
男の場所からは見え難かった
ちらりと

多少の選択肢はあるのだろう
そろそろ日本酒が欲しくなり男は会計を願い出た
PayPay1280円也
男は思った
またジャークチキンを食べに来よう
