田舎町の路地に入る
碁盤の目状に整備された市街地
メインの通りではない路地には歩く人の姿もなく

男は目的の場所の急いだ
「俺の後ろに立つな」
男は言ってみたものの、後ろにも誰一人いなった
この時、男は気が付いていなかった

写真は電灯看板が白飛びしてしまっていることに
ここだ

男は踏みしめるように階段を一歩一歩昇った

たった一階上っただけなのに、軽い息切れを感じた
いや、正確にはまだ道半ば
目指すお店はまだ先だ
日に日に衰えていく自分
実はここに来る前に入った焼鳥屋で飲み過ぎてしまっていた
覚束ない足取りでようやく店のドアの前に立った
息を整え、男はドアを開けた
ギィ~
これが場末のスナックであれば、一斉に視線を浴びるのであろうが
田舎町とはいえオーセンティックバー
新客の到来に興味を示したのは、入り口近くに陣取っていた
昭和の半ばであれば妙齢であったのであろうと思われるご婦人の二人組と
バーテンダー
「いらっしゃいませ。お一人でしょうか。」
軽く頷きカウンターの真ん中辺りに腰を下ろす

メニューブックを渡され、見るでもなくパラパラと捲る
仁とNick
男はそう言いかけた瞬間に、バーテンダーがミントの入ったグラスを片付けるのを目にした
「モヒートかな」
「モヒートで宜しいでしょうか」
男は、自分が他の物をオーダーしようとしていたのだが、衝動的にモヒートを頼んでしまったということを見透かされたと感じ
頬を赤らめた
カウンターの他にソファー席が数卓ありそこには遠方からのお客さんも楽しんでおられた
「お待たせいたしました」

「初めてではないですよね」
「前に連れて来てもらったのは10数年前なんじゃけど」
良い感じに放置され、時に一言二言
実に好いではないか
チャーム

此処のお店はフルーツカクテルが有名である

「何かお勧めのカクテルをお願いしてもええかのぉ!好き嫌いなしじゃ」
「フルーツカクテルですと、今は桃がベストですね!」
「じゃぁ、それ貰おうかのぉ」
バーテンダーは少し考えて
「ブルーチーズなどはお召し上がりになられますか」
「どちらかと云うと好きかな」
「変わったのお出ししても宜しいでしょうか?」
「もちろん、最初からお任せのつもりだったので、マスターのお勧めに従います」
ブルーチーズとパイナップルのカクテルです

やるな!
「多少、ブルーチーズが口に残る感じなんですけど、さっぱりしたの貰えます!」
「これなんか如何でしょう」

「ハワイで作られたバーボンです!」

「今はもうケンタッキーだけのバーボンじゃないんです」
「飲み方は?」
「ロックで」
男はマスターが苦笑するのを見逃さなかった

男はまたここに足をはこぶことになるだろうなと思った



碁盤の目状に整備された市街地
メインの通りではない路地には歩く人の姿もなく

男は目的の場所の急いだ
「俺の後ろに立つな」
男は言ってみたものの、後ろにも誰一人いなった
この時、男は気が付いていなかった


写真は電灯看板が白飛びしてしまっていることに

ここだ

男は踏みしめるように階段を一歩一歩昇った

たった一階上っただけなのに、軽い息切れを感じた
いや、正確にはまだ道半ば
目指すお店はまだ先だ
日に日に衰えていく自分
実はここに来る前に入った焼鳥屋で飲み過ぎてしまっていた
覚束ない足取りでようやく店のドアの前に立った
息を整え、男はドアを開けた
ギィ~
これが場末のスナックであれば、一斉に視線を浴びるのであろうが
田舎町とはいえオーセンティックバー
新客の到来に興味を示したのは、入り口近くに陣取っていた
昭和の半ばであれば妙齢であったのであろうと思われるご婦人の二人組と
バーテンダー

軽く頷きカウンターの真ん中辺りに腰を下ろす

メニューブックを渡され、見るでもなくパラパラと捲る
仁とNick
男はそう言いかけた瞬間に、バーテンダーがミントの入ったグラスを片付けるのを目にした
「モヒートかな」

男は、自分が他の物をオーダーしようとしていたのだが、衝動的にモヒートを頼んでしまったということを見透かされたと感じ
頬を赤らめた
カウンターの他にソファー席が数卓ありそこには遠方からのお客さんも楽しんでおられた




良い感じに放置され、時に一言二言
実に好いではないか
チャーム

此処のお店はフルーツカクテルが有名である




バーテンダーは少し考えて




ブルーチーズとパイナップルのカクテルです

やるな!








男はマスターが苦笑するのを見逃さなかった

男はまたここに足をはこぶことになるだろうなと思った


