はさみ屋のブログ

理・美容師の使うカットシザーのメンテナンス・アドバイザー(研ぎ・調整・販売)

ネットで有名な「研ぎ屋」さんとのメール②

2009年07月14日 | Weblog

教えてください。
メーカーが鋏の刃の形態(蛤。段。剣)を決める時。 材質的必然はあるのでしょうか。
単なるデザイン上のことですか。 メーカーが刃の角度を決める要素は何でしょうか
宜しければ。9月17日か18日にお会いした いと思っています。
それまでに私なりの蛤刃を作り。お目に掛 けたいと思います。

材質的な必然? それは無いと思います。 表現する刃角の問題が大きい理由でしょう。

まず、段刃の形状での刃角は通常45度とされています。
さて、刃元で45度として、そのままの角度で刃先を当てていくと
ハサミのヒネリのお陰で、刃先は40度に近くなる様な仕上がりに成りますよね?

これからの説明は、そのヒネリの事は考慮せずに一般論として行います。

それでも、一般に言われている「段刃の45度」は、鈍角だと感じてしまいます。
それは、ハマグリでは38~40度程度の刃角で峰から刃先に抜けていると
認識してください。 段刃よりは鋭利な角度です。 6~7度ほど鋭いんのです。

当然、鋭利な方が切れ味は良く、切れ込みは柔らかい感触に感じられると思います。

更に、剣刃に至っては、36度とされていますので(当社比)
より鋭く作られているとご理解下さい。 段刃に比べて9度ですね。

また、ハマグリと剣刃の違いは、剪断時における側方圧等の影響も有るのですが・・・

ハマグリに比べて剣刃は、鋏体の中心に山を作ることで重心がセンターに有り
刃先に力強さを与えているためメンズなどの硬い髪の毛に負けにくくなるとされています。

ひと言で云うなら・・・ ハマグリなら全体が薄造りなのか、剣刃では切れ刃角度から
強度を持たせる為の厚みを求めているか?ですね。

但し、櫛を用いての刈り上げなどは、峰の中心に厚みを付けると、櫛から離れ
求める作業の正確さに欠けるので、6,0~7,0インチのハサミの動刃側は
ハマグリ刃で作られているので、正確には、片剣刃となりますね。 
ミニ・シザーには両剣刃は存在します。 (櫛で刈り上げる使い方をしない長さなので)

そして、現在の全てのハサミ・メーカーは、段刃の製造を殆どしていません。
ハマグリが6割 片剣刃が3割 その他と段刃を合わせて1割だと思って構いません。
段刃の時代は、終わってしまったのです。

それだけ、ハマグリの切れ味が段刃より、評価されている事も要因だと
時代の移り変わりを感じ取ってください。

9月の件は、空けておきます。

イ○○ラ。 

追伸 

故に ハマグリで作られたハサミに段刃を付ける事に矛盾を感じてしまいます。

但し、理容業に流通するハサミには、ハマグリ形状のハサミにも糸刃の様な段刃が
多く見られますが・・・ 理由は分かりません。 

おそらく最終の刃付け処理が簡単なのと、未だに段刃の切り味に慣れてしまった
古き良き時代の作業者への配慮(段刃なら自分で研げる)も有るのかも知れません。

個人的には、理容業相手ではコストを回収出来ない為、手抜きをしていると感じます。

それよりも、コストを回収出来ない業界がペットサロン等ですね。
ホーム・センターにぶら下がっている様な品質が多いんです。
飼い主に、あそこのカットは痛いワンとか、切れないニャ~と言わないから、でしょうか?


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