はさみ屋のブログ

理・美容師の使うカットシザーのメンテナンス・アドバイザー(研ぎ・調整・販売)

ドライカット

2005年02月09日 | Weblog
 ハサミメーカーによっては「ドライカット専用」とのうたい文句で
笹刃や柳刃のカットシザーをカタログに掲載していたり・・・ します。

また美容室でもドライカット用のハサミが欲しいと言われる事が有ります。
しかし、カットシザーには「ドライカット専用」なんてハサミは存在しません。
それは、目的のテクニックに向いている形状と刃付けでしか有りません。

そこで、まずドライカットとウエットカットとの違いに触れますが・・・
ドライ=乾いた髪の毛をカットするのか、ウエット=濡れた髪の毛を
カットするのかの違い位は、分かっていますよね。

濡れた髪の毛は、毛髪が水素結合により、乾いている時より柔らかく成ります。
同じ現象として、乾いたツメとお風呂上がりのツメの違いを思い出して下さい。
お風呂あがりのツメの方が、遙かに切りやすいでしょう。

使用条件的には、ドライカットの方がハサミへの負担が多い事になりますね。
そこで、ドライカットで何の支障も無く使えるハサミは
ウェットで使っても大丈夫と云う事に成ります。

ところが・・・ 美容師さんの中には(残念ですが思いの外多いです)
「ドライ用じゃないとスライドの時に毛が引っ掛かる」と
言われる方もいますが、それは「ドライ用」と「ウェット用」の違いでは無くて
「スライド用」の刃付けと「ブラント用」の刃付けの違いです。

スライド向けの刃付けとブラントの刃付け・・・ これは確実に違います。

スライドカットと言うのは、ハサミを髪の毛の表面に添えて滑らせながら
切って行くカット方法ですから、刃が髪の毛に食い込んでしまう様では
とても使い辛く感じますので、髪の毛を逃がす様な刃付けを必要とします。

逆にブラント用の場合は、髪の毛が刃先に向かって逃げたら使えないのです。
ブラントなら髪の毛が逃げない様、食い込みの良い刃付けに仕上げます。

ハサミの筐体や刃線も滑らせやすい笹刃や柳刃、逆に滑りにくいストレート等の
形状を選択する事も、研ぎ以前に切れ味には大切な要素になりますね。

お手持ちのハサミでも、目的とするテクニックに向いた刃付けをすれば
もっと仕事がはかどり・・・ 楽しく成ると思うのですが・・・

切れないハサミと切らないハサミは根本的に違いますので。 ね。
それを気にしない(分からない)美容師さんがとっても多いのが
私はとてもとても気になります。 犠牲になるのは大切な?お客様ですので。

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