No Room For Squares !

レンズ越しに見えるもの または 見えざるもの

ディープ東鳴子~これはもう近代遺産といえる

2024-04-14 | 温泉・宿





宮城県の東鳴子温泉、いさぜん旅館である。東鳴子温泉は広義な範疇では「鳴子温泉郷」に属するが、厳密にいえば鳴子温泉とは離れた所にある別の温泉地である。一時期、僕は東鳴子温泉の湯に魅了され、足繁く通ったことがある。当時、営業していた12軒の旅館すべてのお湯に入ることを目指していた。結果、最後の一軒は完了前に廃業してしまい、達成することはできなかった。現在では更にもう1軒廃業し、10軒の旅館が残っている。全て湯治宿の流れを汲む本格温泉である。

中でもこの「いさぜん旅館」はお気に入りで何度か泊まった。僕の中では東鳴子のホームグランドだ。館内には猫が歩き廻る。初めて来たとき、入り口のソファでは猫が寝ていた。宿泊台帳を記入しつつ、「この猫、名前なんていうのですか?」と主に聞いたことを思い出す。主は「うーん、それはうちで飼っている猫ではなく、勝手に入ってきた野良猫だね」。ずっこけた。その瞬間、この旅館のファンになった。今では中々泊まる機会はないが、こうして時折、日帰り入浴をしている。2~3枚目の風呂は同じ浴室にある。2枚目が鉄鉱泉の熱い湯、3枚目が炭酸泉のぬるめの湯。まず鉄鋼泉に浸かり、上がり湯として炭酸泉に入るのが良いとされている。ちなみに混浴です。僕は炭酸泉に入っている時、若い女性が入ってきてドギマギしたことがある。この距離感はきつかった。温泉マニアの若い女性は臆することなく凄いと思う。そんなこんなで東鳴子は今日も温泉通を唸らしていることだろう。

GRⅢ

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夏休みの想い出

2023-08-19 | 温泉・宿










お盆休みは初日に米沢に行った。あとは遠出せず、県内に留まった。米沢では白布温泉の定宿に泊まった。この4月に続いて今年2回目の宿泊だ。諸事情から暫くこの宿には来れなくなる。いつも通りの部屋、いつも通りの温泉、いつも通りの食事、そしていつも通りのおもてなし。いつも以上に「いつも通り」を楽しんだ。嗚呼、良い湯宿だなと思う。次に来るのはいつになるか。その時が来るのを楽しみにしよう。



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世に角間温泉二つあり

2023-05-12 | 温泉・宿





角間温泉と呼ばれる温泉地は二つあり、どちらも長野県にある。一つは上田市、もうひつは山ノ内町である。上田市の方は、真田一族の隠し湯と言われる山あいの秘湯である。山ノ内町の方は、広義な湯田中渋温泉郷のなかにある湯治向けの湯である。両方とも聞いただけで痺れる温泉地である。GWに渋温泉に行ったので、このうち山ノ内町の方の角間温泉を見に行った。見に行ったというのは、外部からの日帰り入浴は受け付けていないからだ。3つある共同温泉に入浴するためには、角間温泉の旅館に泊まるしかないのである。見に行って痛感したのは、これはいつの日か必ず入浴しなければならないということだ。入らずに死ねるか、そう思った。近くに渋温泉という魅惑の地があるけど、いつか角間温泉に泊まろう。それだけの価値はある。静かな静かな角間温泉の共同浴場。夜になって仄かな明かりが灯る頃、浴衣に下駄の出立ちで共同浴場の引き戸を開ける。もうそこは天国に違いない。

X-PRO3 / XF23mm F1.4R
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懲りずに長野へ②〜念願の渋温泉・金具屋に泊まる

2023-05-04 | 温泉・宿




















三度、渋温泉に来た(うち一回は湯田中温泉)。盲目的に渋温泉を愛しているとはいえ、流石に3度めは躊躇した。他に行くべき場所も多いからだ。今回は僕が退院した直後から、家人が秘かに予約をしていた。というのは予約困難である「金具屋旅館」に部屋が取れたからだ。渋温泉は「温泉」というカテゴリを超えて、「路地」というカテゴリの中でもトップクラスの魅力を持つ。そこにあの「金具屋」。もう泊まらない理由はない。

ご存知ない方のために補足すると、金具屋旅館は渋温泉にある老舗旅館であり、約260年の歴史を持つと言われている。建物は大正、昭和期のノスタルジックな建築であり、複層的に入り組んだ構造となっている。渋温泉のランドマーク的な位置づけであり、夜間のライトアップ時には温泉街を歩く多くの観光客が写真を撮っている。そして「千と千尋の神隠し」の湯宿のモデルとなった旅館としても有名である。同様にモデルとなったと言われる、山形県瀬見温泉の「喜至楼」、群馬県四万温泉の「積善館」には宿泊済であり、残る金具屋に泊まることは、僕というより家人の念願でもあった。いわゆる高級旅館とは異なるが、歴史的建造物の旅館として僕も泊まることを楽しみにしていた。病み上がりの身体で数百キロを運転して、やっと辿り着いた金具屋は想像通りの素晴らしさだった。

※掲載を1回に集約したので、写真の数は増えすぎてしまった。

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温泉で生き返る、ワインも飲みました

2023-04-12 | 温泉・宿













カテーテルアブレーション後、初の温泉宿泊に行ってきた。米沢市の白布温泉・西屋旅館である。毎年欠かさず1〜2度は行っているお馴染みの宿である。直近では昨年10月の結婚記念日に行っている。今回は家人の誕生日祝いとして来た。手術もろもろで負担を掛けた慰労も兼ねている。実はこれに伴い、丸二ヶ月近く完全断酒しているアルコールを一時解禁した。いきなり温泉に入り、二ヶ月振りの飲酒では危険である。だから練習として数日前にワインも飲んで備えている。。勝手知る濃い温泉に浸かると、ここは天国ではないかと思える気持ちよさだった。ここの湯船には常に源泉が大量に注入されている。湯船からは大量のお湯が常にオーバーフローしている。もう驚異的な温泉なのだ。夕食時には特別手配した高畠ワイナリーの「2017 高畠ゾディアック カベルネソーヴィニヨン」を開けた。高畠アルケイディアを上回るフラッグシップワインである。家人と2人でボトル1本。現状ではこれが限界である。とにかく濃厚なワインなので、ゆっくりと味わった。あとは大体いつもと同じことを楽しみ、撮る写真も同じだけど、「生きていれば良いこともある」を実感した休日だった。また暫く禁酒生活に戻ろう。

追伸:金曜日夜に泊まったので全く無関係たけど、土曜の夜から日曜の朝にかけて、白布温泉では積雪となった。もう夏タイヤに交換しているので安堵した。


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白布温泉での特別な時間

2022-10-10 | 温泉・宿















ブログ上で私生活の諸々をアップすることは、自分のキャラクターからは似合わない行為だと思っている。ひとり旅の様子は幾らでも公開するけど、家庭生活はある程度は謎のままにしておきたい。例外の一つが、結婚記念日に行く白布温泉・西屋さんでの一刻だ。昨年は行けなかった(結婚記念日以外の日には行っている)が、毎年の恒例行事にしている。この温泉宿には心を解放する静寂の時間、本物中の本物の温泉(源泉ダダ漏れの湯船)、米沢牛のトロけるようなすき焼きがある。今回は初めて最上部にある離れの部屋に泊まった。体調が思わしくなく、日常生活ではお酒も殆ど飲めない状況にあるが、この日は禁制を破る。すき焼きに合わせ、高畠ワイナリーの「アルカディア」を頂いた。嗚呼、温泉は良いなと思う。

※以前も書いたが、田舎生活では宿泊を伴わないと、しかるべき店でお酒を飲むことは難しい。タクシーや運転代行を使っても、とてつもないコストが掛かる。上質の温泉と料理が楽しめる温泉宿があれば、それは理想的な選択肢なのである。

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泡沫の日々②〜駅舎で入る掛け流し温泉

2022-09-13 | 温泉・宿




岩手県西和賀町(旧・湯田町)にある「ほっとゆだ駅」。JR北上線の駅である。北上線というくらいだから、秋田県の横手と岩手県の北上を結んでいる。線線は国道105号線、そして秋田自動車道と並行するように走っている。「ほっとゆだ」を過ぎると錦秋湖というダム湖を縫うように進む。その錦秋湖沿いの国道は、地滑りが進行していることが分かり、昨年から全面通行止めとなった。秋田自動車道を迂回路に指定している。観光客も激減しているようだ。

さて、「ほっとゆだ駅」に話を戻そう。この駅は駅舎と併設する形で日帰り温泉が併設されている。大人一人400円也。まさかの源泉かけ流し温泉である。浴室内には信号機が設置されている。無灯、青、黄色、赤の信号灯が点灯し、次の列車までの時間を教えてくれる。僕はクルマで行くので関係ないが、楽しい仕掛けである。もう何回ともなく入浴している。今回のトピックとしては、初めて無人状態で入浴した。写真を撮ったのも初めてだ。秋の観光シーズンには賑わうだろうが、それまでは静かな時間が流れるのだろう。

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夏の終わりの肘折温泉①〜極上の炭酸泉に入る

2022-09-07 | 温泉・宿





季節でいえば9月は秋になるけど、実際は「秋」とは思えない。かといって「夏」というのも違うような気がする。夏は終わったけど、まだ秋は来ない、拠り所のない季節である。そんな9月初めの週末に山形県の肘折温泉に行ってきた。泊まりではない。日帰り入浴である。肘折温泉周辺の道路は、7月末の豪雨により大きな被害を受けた。現在は災害復旧工事があちこちで行われている。その影響なのか、温泉街には宿泊客らしき姿は少なかった。今回は、「肘折カルデラ温泉館」という入浴施設が目的地である。カルデラ館では、天然炭酸泉の温泉に入浴することが出来る。疲労回復に絶大な効果があると言われている。しかも熱い炭酸泉と冷たい炭酸泉の二つが同時に湧き出ている。冷たい方は飲用として提供され、これが実に美味しいのである。無添加の天然サイダーみたいな味で、胃腸に良いとされる。

これだけの温泉なのに、入浴料は500円と安い。もう炭酸水を飲みまくってきた。ちなみに、豪雨被害の影響で肘折カルデラ温泉館への道路は寸断されている。あと200mの地点を超えられず、林道を数キロメートル迂回して行かなければならない。車の交差も困難な道路だ。その分、施設は貸切状態で楽しむことが出来た。次回、温泉地中心を街歩きして、このシリーズは終了する。

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鉛温泉からの四方山

2022-05-29 | 温泉・宿








おい、お前また温泉に行ったのかよ。骨折で足が痛いとか嘯いて、その実は遊び呆けているんじゃないか。そういう批判が来るかもしれない。まず例によって言い訳から入ると、諸事情により一日家を開けなければならなかった。厳密にいえば、必須ではないけどベターだった。次にギプスが取れてから2回温泉に行ったが、あれは家族旅行という名目だ。今回は僕の一人旅だ。更にいえば、3月〜4月にかけて、僕は頂いたお小遣いに全く手をつけていない。自分の財布からは紙幣を一枚も使っていない。そこで執行されなかった予算が今回の財源だ。皆さんが外に飲みにも行ったり、ゴルフに行ったりする代わりに、僕は月に1回湯治温泉などに一人旅に行くのである。そんなわけで、リハビリも兼ねて、定宿の鉛温泉(花巻市)に行ったのである。実はこれを機に一つのミッションがあったのだけど、それは別の機会に。今回は鉛温泉での四方山話を・・・。

(その1)水圧に負けてクラゲのように漂う
写真は撮れなかったけど、鉛温泉には「白猿の湯」という名物風呂がある(参照:https://blog.goo.ne.jp/6x6_2008/e/9718572cc2c8a1fd0901f5b1283fe581)。立ち湯といって、立ったまま入る湯である。最も深いところでは130センチはあると思う。この入浴方法が骨折のリハビリには良いだろうとは思っていた。仮にも定宿。来週の通院で一応の完治となる可能性もあり、その前に定宿の風呂に入っておく必要がある。ところが入浴して驚いた。一番深い所あたりで歩こうとすると、水圧に身体が負けて浮き上がってしまう。え?何故だ。でもその感覚は楽しくもあり、何回も何回もチャンレンジした。どうも身体を前に進める推進力がないようだ。多分、足の踏ん張りが全く効いていないのだと思う。プールで歩行するリハビリがあるそうだが、出来ることなら鉛温泉でリハビリ生活をしたいものだと思った。

(その2)湯あたり客現る。
皆さんは温泉の浴室内で湯当たりをした人を見たことがあるだろうか。僕は結構ある。それは本格温泉に行く機会が増えたからだろう。今回も浴室の脱衣場(狭い)のスノコの上で横たわって動けなくなった高齢者がいた。風呂には3〜4人の客がいたのに無関心だ。高齢者は30代くらいの男性と、小学生の子供の3人連れだった。小学生は仕方ないとしても、30代の男性はじっと見ているだけ。僕は「大丈夫ですか(意識の確認)。助けが要りますか?」と声を掛けた。「湯当たりだから大丈夫です。ちょっと休んでいれば治ると思う」。でもそこは休憩所ではなく、脱衣場のスノコの上。とても大丈夫そうには見えない。30代の男は高齢者に敬語で喋るので、婿殿かもしれない。僕は「涼しいところに移動した方が良いので、宿の人を呼びましょうか」とも聞いたが、「大丈夫です」と。生憎、僕の足では移動のお手伝いは無理だ。白猿の湯は数十段の石階段を降りた場所であり、その階段を再び登らない限り、外にでは出れない。僕は風呂から速やかに上がり、宿の人に状況を伝えた。すぐに対応するとのことだった。それにしても、風呂に入っている他の客も、連れの婿殿(想像)も、もう少し何とかしろよ、と思った。

(その3)習性変わらず
今回の部屋と食事写真で分かると思うけど、「岩手県民割(東北6県+新潟県民向け)」を利用し、いつもより豪華なプランを使った。5千円の割引と2千円分のクーポン、それらを利用して総支払額は9900円くらいだった。3千円弱のアルコール代金を含んだ金額である(部屋用に家から持参した分は含まず)。料金に含まれるアルコールは生ビール2杯に、岩手県遠野産の「どぶろく」である。この計算で行けば、湯治部に泊まるより安いのだから不思議な制度である。心のどこかで湯治部に泊まりたかったのも事実である。湯治部の制約のない自由、これは何物にも変えられない。好きな酒を飲み、本を読みながらの食事(ここでしか出来ない)が堪らない。今回は旅館部なので、食事処で静かにやった。
でも自分で可笑しくなることもあった。風呂に入っても、食事をしても、その後無意識に湯治部の部屋に向かってしまう。階段の前まで来て「あれ?何か違う」と気づき、旅館部に戻る。それを4〜5回繰り返した。とにかく何も考えずに動くと、身体が自動的に湯治部に向かうのである。僕は湯治部ピープルだ。

そんな四方山話も終わり(本当はもっとあるけど)。翌日は一日町歩きの日となる。ミッションの達成が成るかどうかも気に掛かる。お湯の中で歩き廻った僕は、ぐっすりと寝たのである(終わり)。

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羽根沢温泉共同浴場に入る

2022-05-24 | 温泉・宿






温泉地にある共同浴場。地元民専用(優先)もあれば、共存タイプもあれば、観光客用もある。どうせ入るのであれば、地元民(優先)のための本物の共同浴場に入りたい。決してピカピカではないし、何の装飾もないけど、漂う雰囲気が本物である共同浴場。そんな共同浴場に山形県の羽根沢温泉で入浴した。羽根沢温泉は山形県の鮭川村の山間にあり、知る人ぞ知る温泉である。大正期に石油の試掘をした際に湧き出した源泉は、不思議なヌルヌル感のある泉質であり、無茶苦茶温まる。そのうえ化粧水のように肌に浸透し、ツルツルになるのである。都会の女性に大人気となっても良いはずなのに、秘湯のまま現在に至っている。温泉街には、食堂が1軒、温泉旅館が3軒がある。かつてあった酒屋や売店は全て廃業している。他には、この共同浴場があり、共同駐車場の隅に飲泉コーナーがあるのみである。

骨折リハビリに励む僕は、決して広くない温泉街を散策した後で、共同浴場に入り、食堂で昼食を食べた。羽根沢温泉を満喫した。次回(かつ最終回)は、温泉街の様子を掲載します。

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