No Room For Squares !

レンズ越しに見えるもの または 見えざるもの

天然松茸だよ!奥さん!

2023-11-02 | 街:岩手





岩手県の西和賀町、ほっとゆだ駅近くの商店にて。岩手県では松茸がよく取れる。花巻周辺の「小さな」温泉旅館では、松茸の土瓶蒸しが名物メニューとなっている。何故「小さな」を付けたかというと、どこからか大量に(かつ安定的に)仕入れるような類の食材ではないからだ。宿の親父が一子相伝の秘密の場所を持っているか、地元の松茸名人から買い付けるのである。大江戸温泉的な大型旅館で出すには馴染まない。

今回は神社に参拝するために花巻に行った。行ったからには台温泉に宿を取った。神社に近い土沢の町と、大迫の町を歩いた。途中で何軒か農産物直売所とか道の駅を覗いてみたけど、「松茸」は売っていなかった。もう諦めた帰路、西和賀町で松茸を見つけた。二軒の店が並んでいたが、松茸は一軒の店だけで売っていた。正真正銘の西和賀産の松茸。店主は鼻高々だった。「もちろん西和賀の天然松茸だよ!。奥さん買って行って!」。僕は奥さんではないけど、立派な一本を買って帰った。少しだけ焼いて食べて、残りは松茸ご飯にした。当然ながら、その濃厚な香りを楽しんだ。え?値段ですか?。ふふ(笑)。教えましょう。1800円から2800円くらいのものが殆どで、1〜2本だけ4000円台だった。都会と比べれば嘘のように安い。僕が幾らのものを買ったのかは秘密です。iPhone13PROとの大きさ比較を見て下さい。


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土沢AGAIN(終)〜記憶の管財人になりたい

2023-11-01 | 街:岩手










諸条件によって異なるけど、町で写真を撮れば一日あたり大体300〜400枚以上の写真を撮る。土沢の町の写真も累計でいえば軽く千枚以上はあると思う。何のために撮るのか。正直、何のためということはない。ただ好きだから撮る。上原師匠は「可能であれば全部持ち帰りたいけど、それは無理なので写真に撮って持ち帰る」と仰っていた。僕は元々、昆虫採集の延長に写真撮影があると思っていたので、その言葉に激しくうなずいた。網で昆虫を取るように、レンズで写真を撮る。表現の違いはあれど、同じことだと思う。

さて、一つの町で長い期間、写真を撮り続けることが増えた。町の中の特徴的な建物や施設が失くなっていく様もリアルタイムで見てきたし、これからも見ていくだろう。その町を離れた人から、「懐かしい」というコメントやメールを頂くこともある。大抵は何かしらの町のエピソードが添えられる。それが僕にはとても嬉しい。先程のテーマ、何のために写真を撮るのか。恐らく僕はその町の「記憶」の管財人になりたいのかもしれない。そう思えてきた。全ての記憶を網羅することはできないけど、それぞれの人が持つ記憶や思い出、それを喚起するための光景をアーカイブしたいのだと思う。いやアーカイブしたいのではなく、光景と記憶を繋ぐ媒介人になりたいのだ。最近になってそういうイメージが湧いてきた。まだ思いつきの段階ですが・・・。今後の活動に取り入れていこう。

LEICA M10 MONOCHROME / Summicron M35mm ASPH
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土沢AGAIN①〜もう一度歩け

2023-10-31 | 街:岩手










AGAINどころか、もう何度目か分からない土沢の町である。実は丹内山神社(2日前に掲載)は、土沢の町から近い場所にあった。距離的には8〜9kmしかなく、クルマで行けば10分と掛からない。田舎の論理でいえば、目と鼻の先、否、同じ場所と言っても良いだろう。そんなわけで当然、帰りに土沢の町も歩いてみた。参拝以外は何もする予定はなかったけど、何だか急に忙しくなった。神様が、「お前はもう一度、土沢の町を歩け。そして町歩きを続けろ」と言ってくれているのかもしれない。

僕は「東北コンプリート」と称し、東北六県の全ての市町村(旧市町村単位)で写真を撮ることを目指している。これまでに実に多くの町を歩いてきた。それぞれの県に、それぞれの特色があり、どの町が良いのかは簡単には言えない。断言できるのは、町の濃度で言えば岩手県の町が圧倒的だということだ(ちなみにインパクトでいえば青森県になる)。そのなかでも、水沢、摺沢、遠野、花巻、土沢、大迫、日詰、といった町が好きだ。その殆どは上原稔師匠に教えて頂いたものだ。何度目になるのか分からないが、土沢は何度歩いても良い。この町で写真を撮るには、ズームレンズも何もいらない。35mmレンズ一本で端から端まで歩けば良い。最近では色さえもいらなくなった(良い色なんですけどね)。足と眼さえあれば楽しめる町。こんな町はなかなか無い。


LEICA M10 MONOCHROME / Summicron M35mm ASPH



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秋色の台温泉

2023-10-30 | 街:岩手











花巻の神社に行ったのであれば、当然温泉に立ち寄るべきだ。それが古からの習わしに違いない。花巻には「定宿」と称す鉛温泉があるが、この時期には「しっとり、ひっそり」した台温泉を愛でたくなる。嗚呼、台温泉。川沿いの細い道に何軒もの温泉旅館が軒を並べる。かつて存在した商店も飲食店も閉店し、温泉街には何もない。享楽目当ての観光客もいない。ただ静かな時間が流れる。台温泉のお湯は熱い。それは刺激的な熱さではなく、一度身体を沈めれば馴染む優しい熱さである。川のせせらぎ以外の音は存在せず、まるで胎内に籠もるが如く時間を過ごすことが出来る。この日、温泉街は秋色に染まっていた。

ちなみに台温泉は袋小路状になったどん突きに位置する。その奥には行くことができず、そこに来た人は例外なく来た道を戻っていく。妙に安心するのは何故だろう。

※昨日掲載の神社に導かれた「町」の写真を明日移行掲載します。本来の順序(時系列)と逆になってしまいました。

X-PRO3 / XF23mm F2R WR

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聖なる場所で聖なるものを見た

2023-10-29 | 街:岩手




いま僕には神頼みしたいことがある。神頼みだけで解決するとは思わない。それでも神様という神様にとにかく頼みたい。あらゆる機会を通じて祈りの時間を作っている。今日の写真は岩手県花巻市の丹内山神社である。奥州藤原氏(藤原清衡)が篤く信仰した神社だという。坂上田村麿とも関係(因縁)が深い。元々はアラハバキという土着の神様を祀ったものともいわれ、境内には数々の不思議な伝説が残っている。ガイドブック的なものには殆ど載っていないにも関わらず、東北最強のパワースポットとして注目されているそうだ。

僕は「パワースポット」という表現があまり好きではない。祈りや信仰の場所を軽薄に扱う言葉のように感じる場面が多い。パワースポットという言葉自体ではなく、それを受け止める側の態度に問題があるのだと思う。でも幾つかの場所では表現のしようもない「何らかの力」を感じるのも事実である。それを称してパワースポットというのだろう。この丹内山神社も鳥居を潜る前から、尋常ではない場所だということはすぐに分かった。深々と一礼して境内に入った。うまく言えないけど、空気が違う。入り口の掲示板には、まず一番上の本殿まで行き、そこから下に降れと書いてある。指示に従って一番上の本殿近くまで行くと、この光景があった。後光、絵に描いたような後光が射している。画像加工ではない。この光が本当に射していた。畏怖の念と共に、ぞくっとするような表現できない感覚があった。ここには本当に「何か」が存在する。この光は僕が来た瞬間に射し、帰るときには消えていた。これを受け止めた僕自身の態度が、今後の未来を変えるのだと思う。

X-PRO3/  XF16-80mmF4 R OIS WR
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遠野をモノクロで撮る

2023-07-12 | 街:岩手









釜石鉱山事務所へ行った際、帰りに遠野に立ち寄った。実は釜石と遠野は隣り合っている。釜石自動車道(大部分は無料)に乗れば、すぐに遠野に着く。ここで軽めの昼食を取り、少し歩いて写真を撮った。ここではライカを使った。市街地と郊外では事情が異なるが、遠野は目の色を変えて撮影する街ではない。レンジファインダーとか、二眼レフで撮影すると楽しい街である。二眼レフからは撤退したので、モノクロライカと相成った。

そういえば最近は、僕のライカも安定しており、修理やメンテに出すことも無くなった。以前は何故か長期休みの少し前になると、何かと修理(メンテ)の必要が出てくることが多かった。長期休みまでに間に合うのか、やきもきした。ライカカメラジャパンの資本関係については詳しく知らないが、実はその対応はかなりハートフルである。「長期休みに使いたいかと思いまして、なんとか間に合って良かったです」とか、ユーザーの気持ちを理解して対応してくれる。大手国産メーカーは、この辺りの扱いは意外とドライである。ライカは一時、対応が悪い時期もあったけど、最近は中々素晴らしい対応をする。まあ値段が値段だから、そうあって貰わなければ困るが・・・。

一方、我が富士フィルムのサポート体制は相当酷い。富士フィルムは、恐らく5〜6年前から急に対応が悪くなった。多分コールセンターの委託先が変わったのだと想像している。全部が全部ではないけど、何故こんな気分悪い思いをさせられるのか、理解に苦しむこともあった。まあそんな富士フィルムに関して、明日は別のトピックがある。


LEICA M10 MONOCHROME / Summicron M35mm ASPH

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大人の遠足(終)~鉱山技師の夢を見る

2023-07-11 | 街:岩手







釜石鉱山事務所では立ち入り禁止部分を除いて、屋外も見学することが出来る。坑道などには近づけないけど、結構ワクワクする。歩き廻りながら、もし僕がその時代に生まれ、鉱山技師だったらと考える。まあ鉱山技師になりたいと考えたこともないし、根っからの文系人間なので、その素養もないのだが・・・。鉛筆を握り製図盤をと睨めっこしている自分。現場で坑道のトンネル壁をハンマーで叩いて地質を確認する自分。新しい坑道の採掘計画書を書くのに徹夜する自分。そういう人生もあるのだなと思う。ちなみに自分が鉱山労働者となって地下で働く様子も想像することもある。薬缶の口から直接水を飲む。作業が終わって風呂に入り煤を洗い流す。住宅に戻り冷えたビール(あるのか?)をグッと飲み干す。給料日に現金の沢山入った封筒を貰う。嗚呼、そんな人生もあるのだな。

そういえば、係の人が「最近この近くに熊が出た」と言っていた。出来れば一人で事務所周辺を離れないように、と。そろそろ帰ろう。現実に戻る刻が来た。短いですが、大人の遠足終了。


 X-PRO3 / XF16-80mmF4 R OIS WR
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大人の遠足〜釜石鉱山事務所で遊ぶ

2023-07-10 | 街:岩手










近代産業遺産のようなものを見ることが好きだ。当然ながら写真も撮る。でもそれは何かを表現しようとか、人に喜んで貰えるカットを撮ろうとか、そういう意図は全くない。単に自分でそこに行った記念として撮っている。写真撮りとしては失格だと思う。今回行ったのは、岩手県の旧・釜石鉱山事務所である。釜石鉱山は明治に開坑し、1993年(平成5年)に閉山した。比較的最近まで稼働していた鉱山である。鉱山事務所跡は現在でも一般公開されている。事務所は昭和30年代を再現した展示をしており、とても興味深い。現代では事務所の机にパソコンがなければ、不安で堪らないと思う。でも昭和30年代にはパソコンはない。ソロバンや和文タイプライター、機械式の電卓のようなもの等々、当時のオフィスの機械を興味深く拝見した。僕の他に客はなく、あまりに熱心に見ていたせいか、受付の係の人が説明に来て、機械を実際に動かさせて頂いた。よくそういうことがある。僕は典型的かつ理想的な観光客なのだろう(笑)。

一昨年の冬に一度ここに来たことがある。冬季は公開を中断していて、見学することが出来なかった。リベンジが果たせて嬉しい。見学の料金はたったの300円だった。鉄の街、釜石ならではの場所だった。


X-PRO3 / XF16-80mmF4 R OIS WR
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千厩スタンダード

2023-06-29 | 街:岩手










王将飲食店街は、宮城県の気仙沼市にある。気仙沼は立地条件も歴史も文化も、ほぼ「岩手県」に属している。僕が気仙沼に行く際は国道284号線を使う。284号線は、ずっと岩手県内陸を走る。太平洋に突き当たると、そこが宮城県の気仙沼市である。更に国道は北上するが、再び岩手県の陸前高田市に入る。街道は文化経済圏そのものでもあり、全てが岩手県であっても疑問を感じない。別に岩手県に肩入れしているわけではない(笑)。そうなった歴史的な経緯も認識している。単に感覚の話だ。

本当のことをいえば、気仙沼には「ウニ」を食べに行った。この時期、気仙沼大島は「ウニ」目当ての観光客で賑わう。ところが今年はウニが不漁で、ウニ丼を食べることができなかった。土産用に幾つかのウニを買って帰るだけとなってしまった。気仙沼では普通の海鮮丼を食べ、太田租界を歩き、撤収した。煮え切らない気持ちで、お気に入りの千厩に立ち寄った。ここは岩手県である。気仙沼の良い点は、行き帰りのどちらかに千厩に寄れることだ。全国数百人の「千厩の町並みファン」に、海鮮丼の如く千厩の美味しいところを詰め合わせにして贈りたい。アレとソレが抜けていることは勘弁して下さい。


LEICA M10 MONOCHROME / Summicron M35mm ASPH



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モノクロームの休日〜復活の日は近い

2023-03-10 | 街:岩手






行動範囲が広がってきた。体調が良くなってきていることもあるし、暖かくなってきたこともあるし、日照時間が長くなってきたこともある。先週は水沢の町で写真を撮ったあと、その後に北上市に行った。北上では大体いつも行く場所を歩いた。マンネリの写真を撮っても、辺りの光景が良く見えるようになった。復活の日は「目の前」だ。調子に乗らず、こういう時こそ慎重に行こうと思う。


LEICA M10 MONOCHROME  / SUMMICRON M35mm ASPH
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