No Room For Squares !

レンズ越しに見えるもの または 見えざるもの

大人の遠足(後)〜戻る勇気、留まる勇気

2024-06-05 | 街:新潟













後編です。
大洋酒造の蔵を出た僕は、中心部(大町)に足を伸ばす。いつも行く「お約束の場所」である。他にも肴町とか鍛冶町とか、いかにも城下町らしい町並みもあるけど、どうしてもここに来てしまう。もはやクルマで来たときと同じ状況になった。ただ一点、大きな違いがある。今日は鉄路で来たので、アルコールを嗜むことが出来るのだ。というわけで念願のランチである。狙っていた店は貸し切りで入れなかったが、他の店でビールと日本酒付きで食事をした。これで旅の目的の7割方は達成されたといえよう。公共交通機関で遊びに出かけ、お昼(夜でも良い)にビールなんかを頂いて、そして帰宅する。大都市圏では当たり前の行為かもしれないが、東北の田舎町では中々困難な作業なのである。どこかで「クルマ」が介在しないと実現しない。そもそも家から鉄道の駅までクルマがないと到達できない地域が殆どなのである(幸い、僕は不便さを別にすれば鉄道の駅まで歩いていくことができる)。

感慨に耽りながら〆張鶴を呑んだ(写真の銘柄しかないのは残念だった)。食後は、ぷらぷらと周囲を歩き、パシャパシャと色々なものを撮影した。それは大体写真の通りである。まだ時間は残っている。でも何故か僕は予定の時間よりもかなり早く駅に歩いて行った。乗るべき列車の時刻の40分以上前には駅に着く。鉄道とかバスの時刻に合わせて行動する習慣を持たなくなってから、既に15年以上経つ。時刻調整をスマートに出来ない。しかも1本列車を逃すと、数時間の遅れは当たり前、場合によってはその日のうちに帰れなっても不思議ではない環境。必要以上にナーバスになる。東京在住の時代は、終電に走り込んでギリギリ間に合う、そんな綱渡りも日常茶飯事だったけど、田舎ではそうもいかない。時間つぶしに駅前で軽く一杯と思ったが、そんな店はなかった。ただ駅で列車を待って過ごした。これでは駄目駄目だと思う。折角の遠足、現地滞在時間は4時間半しかない。そのうちの15%近い時間を駅の待合室で、ただ列車を待って過ごした。次回以降の遠足のテーマとなるだろう。


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大人の遠足(前)〜鉄路日帰りの限界点

2024-06-03 | 街:新潟











「きらきら日本海パス」というJR東日本の周遊チケットを使い、新潟県の村上市まで遠足に行ってきた。秋田県の羽後本荘駅から新潟県の越後下関までの区間(一部私鉄やバス路線含む)が、2日間2610円で乗り放題となるお得なチケットだ。細かいことをいえばチケットが使える前後の区間とか、そして特急券は別途費用が掛かるなど、これで完結はしない。そこには目を瞑ろう。諸事情から宿泊を伴う外出が難しいなか、このチケットを使えば、僕の住む秋田県から新潟県村上市まで日帰りで往復することが可能になる。重要なのはその点だ。新潟県村上市は僕の住む秋田県からの日帰り遠足を楽しみには、ほぼ限界点だと思う。もちろんコストと時間を度外視し、新幹線を利用すればもっと遠くへ行くことも可能だ。だがそれは遠足とは趣を異にする。鉄道で村上市に行けば、昼食にビールとか〆張鶴を呑むことも出来る。どういう旅になるかは想像できない。単なる壮大なランチ計画なのか、想定通りの大人の遠足なのか、とにかく短い日帰り旅に出よう。

というわけでJR村上駅に着いたのは午前11時少し前。午後3時半までの4時間が今回の遠足時間だ。帰宅時間を遅らせれば一応延長も可能だ。駅を出て歩くと、いきなり村上牛の肉屋さんがあり、良い匂いが漂っている。値段も手頃である。しかし到着早々にいきなり昼食を食べる訳にもいかない(帰りにお土産買いました)。泣く泣く先に進む。しばらく行くと、大洋盛(大洋酒造)の見学用の蔵が出現した。次から次に難敵が出現し、ドラクエか?と思う。とにかく素通りはできないので入ってみる。またここが居心地の良い場所で、1枚110円のコインを何枚か買い、試飲を始める。鉄道で来てよかったと涙が出た。気分的なものもあり、試飲した酒はものすごく旨く感じる。腰を落ち着けそうになるのを「いかん、いかん」と言い聞かせ、外に出た。蔵から出ると、先ほどまで涼しげだった気温は急激に上がり、蒸し暑くなっていた(アルコールのせい?)。ウィンドパーカーを脱ぎ、半袖になる。衣替え当日の6月1日のことで、気分まで軽やかになった。さあ先に進もう。
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錆色の直江津で旅は終わる

2023-05-09 | 街:新潟







GW写真の残り物。渋温泉からの帰り道に直江津に立ち寄った。上越高田の雁木通りが当初の希望だった。帰路の時間制約のなかで高田の町並みを歩くのは、(いつも)困難である。居ても立ってもいられない焦燥感だけが募る。だから今回は、同じ上越市の直江津に行った。直江津は海沿いの町である。町歩きが出来なくても、海鮮丼なんかを食べることが出来ると思った。そして実際には、渋いラーメン店を見つけてそこに入ったことは数日前の記事に書いた通りである。

さて、直江津の町だけど、やはりここは新潟だと痛感した。町が茶色くて、鉄の錆分がたっぷりだ(褒め言葉です)。鉄分不足の心配はない。短い旅なので散漫にならないよう、今回はフジフィルムのカメラ(+GRⅢ)だけを持っていった。レンズも最小本数の替えだけだ。RAWファイルの設定忘れで、ほぼクラシックネガ(一部ベルビア)だけで撮った旅だった。結果的にはこれが成功で、まるでフィルムで遊んだように楽しかった。体調が完全に整えば、また来ることもできるだろう。


X-PRO3 / XF23mm F1.4R
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魅惑のニューハルピン

2023-05-03 | 街:新潟



一泊二日の強行日程で長野へ旅してきた。その写真の編集が間に合っていないので、途中で入った中華料理屋さんの写真を掲載する。帰路の昼食で、場所は新潟県上越市である。この方面に行く際は大抵、上越高田地区に立ち寄る。雁木通り商店街が好きだからだ。でも今回は「JR直江津駅」周辺でランチタイムにした。海が近いので海鮮丼とか天丼とかを食べるつもりだった。

そこで見つけてしまったこのお店。何より名前が良いし、店構えも並ぶものなし。もう旨いかどうかは問題ではない。最近は殆どラーメンも食べないけど、ここで食べずして何時食べるのか。ところがここは人気店だった。多くのバイク乗りが集まっている。そういう店は安くて旨いに決まっている。カウンターに置いてある白紙に注文を書かなければならないとか、謎のローカルルールがある店だったが、ラーメンは最高に旨かった。脂が身体の浸透していくことを体感できた。嗚呼、ラーメン。久しぶりのラーメンは極上のラーメンだった。

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今年最初の花の写真に想う

2023-01-08 | 街:新潟



毎月、「8」のつく日に花の写真をアップする(詳しくは下記リンク先を参照下さい)。花音痴で、花の名前も知らず、意図を持って花を撮りに行くことは滅多にないけど、この取組は個人的に好きな取り組みだ。僕の稼働率は低いけど、冬には花とか色が消える北国に住む立場から、町に花の欠片を探すことは面白い。今回は年末に行った新潟県村上市で撮った。村上は街角に花が飾られている。花の写真の次回は18日、その次は28日だけど、花の写真が撮れるか分からない。そんなことをしているうちに、カテーテルアブレーションの日がやってくる。早いものだ。

GRⅢ
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それでも新潟の村上に行く(終)〜約束の標語

2023-01-05 | 街:新潟
もうね、この標語が大好きなんですよ。じわじわと心の奥底から、何かが滲み出てくるのです。世の中に数多くの標語が掲示されている。例えば「町をキレイにしよう」とか「お年寄りを大事にしよう」とか「大きな声で挨拶しよう」とか。でも「みんなで鮭の子をふやしましょう」という標語は村上にしかないと思う。僕は村上産のハラコ(イクラ)をお土産に購入していたが、なにか痛いところを突かれたような罪悪感を覚えた。でも安心して下さい。そういうことではないから。鮭の子を増やすために「川をキレイにしましょう」ということだから。みんなが川をきれいにしてくれたおかげで、美味しいイクラを食べることができた。ありがとう。


GRⅢ
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それでも新潟の村上に行く②〜小雨降る年末

2023-01-04 | 街:新潟







話は戻って、年末の新潟県村上市。ニュースでは「大雪と帰省が同時になり、大混乱となる」と報じていた。想定に反し、実際の村上では雪は溶け、雨が降っていた。雪であれば対処しやすい。多少の雪であれば上着のフードを被るだけで対処できる。写真的にも雪の方が画にし易い。これが雨だとやっかいだ。しかも冷たい雨である。この時期の雨は画になり難い。そもそも北日本の住民は滅多なことでは傘を使わない。スノーブーツも雪には強いが、雨には弱い。そんなわけで雨の弱い時を狙って町を歩くことになった。それでも村上は情感に満ちた町だと再認識した。

LEICA M10 MONOCHROME  / SUMMICRON M35mm ASPH


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それでも新潟の村上に行った①〜千年鮭きっかわ

2023-01-02 | 街:新潟








年末に新潟県村上市の瀬波温泉に一泊してきた。お正月に飲む酒を仕入れることが毎年の恒例になっているからだ。今回も「〆張鶴」を入手した。2023年は2月にカテーテル手術があるので、暫く温泉旅行とアルコールは我慢しなければならない。短い時間で写真撮影なども限られた時間しかできなかったけど、久しぶりに貴重な時間を楽しんだ。さて、昨年12月には村上市周辺に大雪が振り、停電などの被害が出ていた。国道7号線の葡萄地区は過去にもクルマの立ち往生が発生しており、果たして大丈夫だろうかと心配していた。結果的には例年よりも積雪は圧倒的に少なく、道路にも全く雪はなかった。どうやら山間の集落など限られた場所に大雪被害があったようだ。温泉旅館もこの時期にしては空いていた。新潟でいえば長岡市など実際に大雪の場所もあるが、ニュース報道と実際の現地の様子はかなり異なっている。これは僕の住む秋田県でも同様だ。何でもかんでも「大雪」と騒ぎたい報道機関の姿勢にも問題がある。また気象予報士などは気象予報会社に所属しているのだろうが、どうも言っていることに真実味を感じない。村上市の中心部や海側は積雪がない上に雨模様の年末だった。

少ない時間のなかで行ったのは「千年鮭きっかわ」。ベタだけど、どうしても行きたい。村上は僕にとって「酒と鮭の町」なのである。いつも通りの写真で変化や工夫は全くないけど、いつも通りに魅力を感じた年の瀬だった。

LEICA M10 MONOCHROME  / SUMMICRON M35mm ASPH







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旅の番外編〜立ち姿の良い二人

2022-09-09 | 街:新潟
少し前に行った新潟での写真、番外編。立ち姿が様になる素敵な二人だなと思った。僕は朝から歩き回り、前日のビールが汗となって吹き出し、見苦しい姿だった。見習おう。

LEICA M10 MONOCHROME  / SUMMICRON M35mm ASPH
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Back From 新潟(終)〜さらば新発田の町よ

2022-09-06 | 街:新潟









前回までの展開から最終回は新発田の町を歩くことは明白だったと思う。ただし、この日は「新発田祭り」の日だった。メインのパレード等は翌日であり、その日は子供の催しなどがメインではある。それでも縁日が出て、街は高揚していた。理由は分からないけど、僕はその高揚感に乗ることができなかった。祭りと関係のない真昼間の繁華街を散策し、あとはシンガポール食堂と駅の往復だけだった。なんとなく自分を異邦人のように感じた一日でもあった。その寂しさのような感情は決して嫌いではない。次の旅の原動力となるだろう。今回も十分歩くことのできなかった新発田の町。また来る日まで。

GRⅢ

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