









新潟県村上市の小俣街道。昨日掲載した小国街道からは直線距離で約8km、実際の道路距離では約25kmくらいの距離にある。ここは「日本国」という山の麓に位置し、小俣街道の宿場町である。小俣街道も広義な意味での出羽街道にあたり、新潟県村上市(村上城)と庄内地方を結ぶ街道であった。分かりやすくいえば「大名倒産(浅田次郎)」の地から、「たそがれ清兵衛(藤沢周平)」の地を結ぶ街道である。この場所に初めて来たのは、2016年のことだった。有名な街道ではないのでそれほど期待していなかったが、あまりに美しい集落で驚いたことを思い出す。小国街道と同様に一応商店が一軒あるが、他に施設らしい施設は何もない(敢えていえば缶詰工場がある)。それでもこの地には他所から来た人が意外なほど多く歩いている。
多くの人が歩く理由は、ここに「日本国」の登山口があるからだ。「日本国」というのは、別名「石鉢山」とも呼ばれる標高555mの山である。何故、日本国という名が付いた理由には諸説あって、はっきりしないらしい。どれもロマンある由来なので興味ある方はネットで調べてみて下さい。ちなみに集落内にある郵便局は「日本国麓郵便局」という名である。僕が勝手に「日本一名前の美しい郵便局」と認定している。僕はこの小俣塾をゆっくりと歩くのが好きである。歩いていると知らないおばさんが「もう山登ってきた?」とか聞いてくる。あれ知り合いだったかな?と思ってしまうくらいの温かさである。名前も美しいが、町並みもどこか懐かしい日本の集落の原風景のようである。
X-T5 / XF16-80mmF4 R OIS WR