斑鳩の田の塔

2016-06-17 08:22:23 | 
遠来の客がそれぞれ次の日は別行動というので夕食を一緒にした後別れたが、逗子の友人は明日も奈良をゆっくりするというので、ご一緒させてもらうことにした。朝高田駅で待ち合わせて法隆寺へ向かった。私がまだ乗ったことがなかった田原本線で行くことにした。近鉄橿原線の田原本での乗り換えなのだが、田原本線は一旦駅を出て徒歩2分ぐらいの西田原本が始発駅だった。
新王寺駅までの短い路線だ。そこからJR王子駅までは歩いてすぐ、ちょっと面白い乗換路線だ。
法隆寺は修学旅行生がたくさん来ていた。中学の自分の修学旅行をだぶらせて、ガイドさんに引率されている姿を見ていた。俺にもあんな時代があった。はるか昔となった。中宮寺から友人が希望していた法輪寺へ向かって歩いた。もう昼時だったがどうも付近の様子から、食べるところはなさそうだったが、「喫茶とお食事」の看板を見つけた。一軒だけあった。まあよかったということで立ち寄ったが、先客に薦められて頼んだ「小路定食」が美味しかったこと。大判の筍のあっさりとした味付けと蕗の絶妙の味付け、一つの皿に盛られたこの味のバランスに友人と顔を見合わせた。帰りに店の名前を見たら「北小路」とあった。そこから暫く行くと竹林の後ろに法輪寺の塔が見えた。目立たないようで、斑鳩の道では存在感を示しているのである。近くにあった電話ボックスの上に小さな塔がのっているのも面白かった。法起寺へはそこから10分足らずである。私が40年近く前に来た時は、近鉄線の駅で降りて田んぼの中を歩いてきた。コスモスの咲く畦道から、裏門のような古い黒い門と崩れた土塀を眺めて、強く心を打たれた。私は友人をその田んぼの方に誘った。今は門も塀も修復されているが、田の中の佇まいは昔と変わっていない。彼もすっかりここからの眺めが気に入っていた。私は自分の詩「田の塔」で<田舎のおじいさんがあぐらをかいて座っている」と書いた。何もかもが変えられてしまう昨今私はこの「田の塔」の姿にほっとしたのである。

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