短編  ホーム・バー 

2017-03-06 20:49:29 | 短編
最近立ち飲みが流行っているらしい。昔から立ち飲みの雰囲気は好きで、静岡県に住んでいた頃からよく通っていた。ついこの間、羽曳野市古市のたまに寄っている立ち飲み店「満月」でマスターのお土産の沖縄の酒を飲んだ。これが効いた。雰囲気にノリすぎてグイグイやっちまったから余計いけなかった。久し振りの一週間酔いを味わった。心身ともに飲む以前のシステムに回復したのはつい最近である。十数年前JR東海道線の沼津駅には上りと下りのホームに立ち飲み処があった。よくある立ち食い蕎麦とは別の場所に<ビールおでん>の看板をかかげた、れっきとした?立ち飲み処であった。JR東海道線の駅のホームにある数少ない立ち飲み処で、遠くは横浜から訪ねてくる物好きもいたのである。地元では、自転車で来てわざわざ入場券を買って飲みに来る人もいた。ぼくはホームに入った寝台特急を背にして、旅心地を背中で感じながら、ゆっくり時間を過ごしていた。この場所をぼくは「ホーム・バー」と名付けたのである。15年前に出版した「満月講」にこの場所をちょっと書いてあったので、「オープン・セットに立ち寄る人達」を改題してここに載せてみました。なおホーム・バーはその後JRからの立ち退きを余儀なくされて今はありません。
    
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2 コメント

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速読しました (ズー)
2017-03-07 08:38:18
朝の出勤前30分にいつもブログにお邪魔しています。
ピャーと読みました、最終行が詩的でした。

他称であり自称である人々が集うホームバー、の奥の深さ、関わりの軽さ、がテーマなんでしょうか。

お酒を飲まない人はどこで力を抜いているのかな、と女ながらに飲んべいの私は思います。
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お忙しい時間に有難うございます (tefutefu)
2017-03-07 10:39:06
6、7人で一杯のホーム・バーの奥の深さとそれぞれの関わりの軽さとは言い得ています。自然と保たれる距離感がいいんです。
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