クリーム・ソーダ

2019-07-19 10:29:28 | 日記・エッセイ・コラム
知らなかったなあ通勤途中何度もこの前を通っていたのに・・・。
どういうお店かなあ、ライブハウスみたいだけど
やってるのかなあ・・・。


今まで気づかなかった。電車を降りて会社へ向かう途中にある店レトロな看板で「cream soda」
5月に静岡県富士市の「富士詩をつくる会」の勉強会に参加させていただいた。活発で明るい勉強会の後の喫茶店「K2」での談話会、そこで何人かがオーダーしたのが「クリーム・ソーダ」 クリア・グリーンのソーダ水と白いアイスクリームに赤いさくらんぼが並んだテーブルは爽やかだった。勉強会終了後の教室で出来上がったばかりの「富士詩をつくる会アンソロジー2019・№4・青のばら」が手渡された。その巻頭を飾った詩が「クリーム・ソーダ」(作者河野光江氏)だった。
静岡から奈良に帰ったあとは、この店の前を通るのが楽しみになっている。

 折りしも年号は「令和」に変わったばかりだ。動物園に行くまで、動物園でのこと、その帰り道で入った店でたのんだ「クリーム・ソーダ」 作者が小学二年の子供の日のことが、わかりやすい言葉でやさしいタッチで書かれている。河野さんが詩の中に散りばめたことばはどれも昭和の色と匂いで一杯だ。「よだれかけみたいな大きな衿のブラウス」「サスペンダースカート」「母ちゃんは和服姿で風呂敷包みを抱え」 バスの車掌の「キップと小銭の入ったがま口」 公園で食べる弁当の中に入っていた「柏餅」 クリーム・ソーダを持ってきた「白いエプロンのお姉さん」 この詩には昭和の親子の幸せな姿が描かれている。この詩は思い出だけを書いたのではないだろう。親と子の命の大切さに詩人の目はむけられていると思います。前文を紹介します。


   クリーム・ソーダ    河野光江

――お猿さんを見に行こう
父ちゃんは背広を着こんで待っている
おかっぱ頭の女の子は
よだれかけみたいな大きな衿のブラウス
紺色のサスペンダースカート
母ちゃんは和服姿で風呂敷包みを抱えている

近くの停留所からバスに乗る
「発車!」  「停車!」
軽快な車掌さんの声
キップと小銭の入ったがま口が腰のあたりで揺れている

久しぶりに訪れた吉原の街
新緑に囲まれた公園
真っ先にお猿さんの檻に走る
木から木へ身軽に移動するお猿さん
孔雀・インコもいる
ベンチに腰かけお弁当を広げる
やっぱり柏餅も入っていた

遊び疲れた帰り道
――喉がかわいたなぁ
父ちゃんの後に続いた
白いエプロンのお姉さんがお盆にのせてきたものは?
コップの中の緑が小さな泡になりのぼっていく
まあるいアイスクリームにさくらんぼがひとつ
――わぁ きれい!
――クリーム・ソーダだよ
シュワ シュワ シュワー
しあわせが口の中ではじけた

私小学二年の子供の日
コメント
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