54のパラレルワールド

Photon's parallel world~光子の世界はパラレルだ。

Look atからLook aroundへ

2006年11月04日 | パラレル
カゴの中の鳥、オリの中のライオン、そしてハコの中の人間。

人間は囚われの身だ。ハコの中に閉じ込められている。
家の中、学校の中、会社の中、店の中、車の中、電車の中。

狭いハコの中で、人間は「見る」行為を制限されている。
ハコの中では遠くを「見回す(Look around)」という行為は阻害され、
何か特定のものを「見る(Look at)」ことばかりを強いられる。
テレビやパソコンの画面、黒板やホワイトボード、教科書や書類、、、
見て、見て、見て、見て、、、近くにあるものばかり、、、

子供のころ、授業中に窓の外ばかり見ていたのは、遠くのものを見たいという欲求からだったのかもしれない。


目の前のものを見るということに慣れた人間は、遠くのものを見るという能力が低下している。
目先のことしか見えない。

環境破壊や株価の暴落、犯罪の増加が起こる。
先のことを見通す目を持っていないから。
夢を持てない子どもたち、そしてニート、、、
目先の快楽に気をとられてしまう。
遠くに目を向けて、未来に向かって努力することができない。

Look aroundできない。Look atだけ。
そのうち人間は、本当に目の前にあるものしか見えなくなるんじゃないか。
自分の網膜しか見えない。
周りのことなど何も見えず、自分のことしか見えない。
『すべての網膜の終り』。


―――それを変えるのよ。

そんなの、無理だよ、、

―――そうやってすぐ無理だとあきらめてしまうのは、遠くを見回そうとしないから。
壁ばかりをみつめていても何もはじまらない。見回すのよ。
扉はもう少し遠くのほうにある。


僕は風景画を描き始めた。遠くまで見渡せるような、広大な風景の絵を。
絵を見るという行為はLook atだけど、そこからLook aroundできるような。

Look atからLook aroundへ。。


「この絵には引き込まれるような魅力がありますなあ、、、はて?」
評論家たちは絵をじろじろと見ていた。
Look atの盲者。

しかし、、、

「おい見てみろよ、この絵!」「うわあ、すげえ!」
「こんな景色、どこ行ったら見れるのかな?」「山の上じゃない?」
「じゃあ、今度の日曜日、一緒に山登りしようぜ!」

Look atからLook aroundへ、、、
視線を変えたら別世界。。

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「われわれ成人は、見回すのではなくて見ることに大半の時間を費やしている。」(ギブソン『生態学的視覚論』)

ギブソンというと、レスポール。Tak Burst。
でもそっちのギブソンは無関係。

『すべての網膜の終り』はマーティン・ケリー監督の映画の仮タイトル。
人工的色盲者の青年がラスヴェガスの色彩に擬態する天使をみつけるというストーリー。

コメント (421)
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