ケルベロスの基地

三本脚で立つ~思考の経路

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BABYMETAL探究(「実力」考)

2015-05-18 18:26:21 | babymetal
少なからず心配もあった、ROCK on the Range も、大好評だったようで、またまた彼女たちの「実力」の高さが証明された、そんな感がある。

前回も書いたが、ある意味、それは僕たちにとってもはや「当然」なのだが、しかし、
僕たちメタルヘッズは、世間で評判だからといってすんなりとBABYMETALを聴くようになったのではない、はずだ。

そうした風評が何らかのきっかけになったとしても、僕たちが彼女たちを受容するには、「アイドル」といういわば高い高い壁があったはずなのだ。

その高い壁を超えたうえで、ヘヴィメタルとして(あるいはそれを超えた魅力的な音楽として)自分がこれまで愛聴してきたバンドに匹敵する、あるいはそれを超えるものとして認め、彼女たちに魅せられ、やがて中毒になった、のである。
(古き良き青春ドラマの典型的なパターン、殴り合いの大喧嘩のすえに無二の親友となる、にも似た心理の変化なのかもしれない)

いわば、すべてのメタルヘッズを潜在的なヘイターとして初期設定している、それが、BABYMETALという存在のありようの異形さ(これも彼女たちのオンリーワン)なのではないのか

そういう意味で、例えば他の、女性ヴォーカルをフィーチャーしたバンドや、メタル系ガールズ・バンドとは全くスタートの立ち位置が違うのだ。

そうした壁を乗り越えさせるのは、まぎれもなく、BABYMETALの「実力」だ。
しかし、それは、いったいどのような「実力」なのだろうか?

神バンドの超絶的な演奏力。
SU-METALの歌声の唯一無二(この言葉を僕はこのブログで何度使うのだろう?)の歌声の魅力。

これらはわかりやすい(語りやすい)のだが、しかし
やはりBABYMETALを語るには、
YUIMETAL・MOAMETALの「実力」をこそ語らねばならないはずだ。

2人のパフォーマンスは(少なくともヘヴィメタルにおいては)他に比較対象がないから語ることが難しい(したがって語られ難い)のだが、ヘヴィメタルとしてのYUI・MOAの「演」奏の「実力」、を語らねば、BABYMETALの「実力」を真に語ったことにはならないはずだ。
(このブログは、その、ささやかな積み重ねである)

そして、そうした作業こそが、BABYMETAL(のみ)が体現する、ヘヴィメタルにおける「カワイイ」の意味、を探ることになるはずだ。

それを考えるうえでのうってつけの素材が、「BABYMETALにハマっていく視聴者たち」という、現在ニコニコ動画にアップロードされている映像だ。

ご覧になったことのある方も多いだろうが、
サマーソニック13に出演する前の演者紹介の映像(約50分間)である。
「サマソニ2013特集より、BABYMETALの映像が流れた時の視聴者の反応」と
はじめにテロップされるが、投稿者(b-metalさん)のコメントにあるように「ほとんどの視聴者の方が初見だったと思われます」ということで、メタルヘッズがBABYMETALに初遭遇した時の、いわば「葛藤」が如実に見える、実に興味深い映像だ。
(後日書き込まれたコメントも少なからずあるようだが、その内容から、かなりの確度で初見のコメントはそれと把握できるように思われる)。

僕自身は、「メギツネ」の公式MV一発で、受容可能の閾値を超えてしまった(その瞬間にはここまで「中毒」になるとは思わなかったけれど、あっという間に「夢中」になった)ので、こうした「葛藤」が意識の表面に出てくる経験はしなかったが、この映像に付された批判的なコメントも「身につまされて」わかる、のだ。

そして、50分の映像を観終わったメタルヘッズの多くが、「音盤が欲しい、きちんとした映像盤が観たい、ライヴに行きたい」と思ってしまうという意味で、まさにBABYMETALの「実力」を垣間見ることのできる映像だと思う。

現在のメンバーでの神バンドの演奏はまだ紹介されてないから、その分、BABYMETALの「実力」の原型を考える上で、焦点を絞りやすい資料でもある。

流れる映像は、以下の、9本である。

印象的なコメントを(かなり恣意的にではあるが)ピックアップしてみよう。

まずは、前半(約28分間)。

1.ヘドバンギャー(鹿鳴館コルセット祭り)
 「うわ。」「アイドル?」「モモクロと同じ」「カラオケか~」「曲はいいな」
 「横の二人何してるの?」

2.イジメ、ダメ、ゼッタイ 公式MV
 「曲がガチすぎて笑うw」「曲かっけーな」「演奏がよい」
 「これライブできるのかw」「歌詞www」「合いの手www」
 「ボーカルがメタルしてないなあ」
 (間奏のYUI・MOAのツイン・リードでネタとして盛り上がる)
 「声伸びるね」

3.メギツネ 公式MV
 「これはいい曲」「キツネ!」「かわええ!」「詳しい人、設定を」
 「メタラーにはたまらん重さよ」「ブレイクダウンきたあああ」「おおお」
 「そいや」「曲はほんとええな」「音源いいな」「声いいね」

「なかなかいいな」「たしかに衝撃だった」「バックが生だったら最高やな」

4.ドキドキ・モーニング(Legend”I”)
 「ライブだ」 
 (紙芝居に)「www」「いい設定だなw」「キツネ様w」
 (楽曲がはじまり)「えっ?」「はあ?」「メタルか?」
 「これ生じゃないやー」「この曲はきつい」「アイドルやんwww」
 「声が揺れてないあたり、歌も生じゃなさそう」
 (しーゆー を観て)「台本通りって感じだな」
 「これが生歌だったらボーカル何者w」
 「真ん中以外歌わんの?」「ファンモンの後の奴みたいな感じ」

5.ヘドバンギャー(Legend”I”)
 「儀式?」「儀式キター」
 「こんどこそ生演奏?」「生くるのか?」「生だよ~」「カラオケっしょ」
 (神バンド第一期の「生」演奏がはじまると)
 「がちかよおおお」「お?」「おおお」「生演奏キターーー」
 「バンドって感じだな」「どらむかっけー」
 「ボーカルすばらしい」「音圧すごくね?」
 「歌うまいなw」「歌うめー」「いいね」「かっけえー」
 「ダンス要員も時々ハモるのだろうか」
 「こりゃファンになるわ」
 「ダンス要員にハモるスキルはないと見た」
 「なんだか好きになりそうだw」「もう好きだわ」「はまりそう」

ここまでの、メタルヘッズの心の動きは、
・曲はよい(歌詞w)
・でもアイドルだし
・あれ?ボーカルえらくうまいんじゃない?
・生バンドはすごい(5での視聴者の喰いつきはすごい。僕もBDで初めて出会ったとき、ドラムの生の音の迫力に、鳥肌が立った。まさに、ヘヴィメタルだ、と実感した)

しかし、まだ、ここまで、YUI・MOAに対する積極的・肯定的なコメントはほとんど見られない。
むしろ、「何やってるの?」「なければなー」「大人にやらされている」という印象を多くの視聴者が抱いているようだ。

SU-の唄声や楽器隊の演奏に比べて、暗い映像が、YUI・MOAの舞踊を鮮明に描きだしていないことも要因だろうが、率直に言って「どう観ればよいのかわからない」という印象だろう。気持ちの持っていきようがないのだ。
こんなものはヘヴィメタルでは観たことがないのだから。
言葉にできない、不思議なざわざわ感を、曲や、楽器隊の演奏や、SU-のボーカルにコメントしながら、持て余している、というところではないか。

後半(約22分間)

6.BABYMETAL DEATH(Legend”D”)
 (ふたたび、冒頭の紙芝居で「設定w」「キツネ様」とざわつく)
 (イントロのリフがはじまると)
 「おおおおお」「メタル様式美」「曲かっけー」「神々しいなおいw」
 「ガチメタルw」「普通にかっこいいww」「これは首振るわ」「やっべえな」
 (SU-METAL DEATH、~ を聴いて)
 「え?」「www」「はいw」「です!」「お、おうw」
 「これはハマるわwww」「かわいいw」「これがほんとのデスメタルか」
 「歌詞がこれだけ、だ、と」「客がすげえ」「こんなんハマってまうやん」
 「MCとか観てみたい」「MCいっさいないから」「MCないのかー」
 「かっけー」「たのしそうw」「謎の中毒性」

7.君とアニメがみたい(Legend”D”)
 「ズッコケた」「お、おう」「歌詞w」「これはひどい」
 「一周まわってはまったわ」「かわいいwwww」
 「バック凄いし歌も下手じゃないが違和感ハンパ無い」
 「両サイド子供やないか」「歌うめーなw」「確かに歌は上手いわなあ」
 「かっこいかったり可愛かったりすごいな」
 「よくこんなの作ったな」
 「合いの手がなければなあ」

8.イジメ、ダメ、ゼッタイ(Legend”Z”)
 (紙芝居に)
 「またかよwwww」「設定キタ」「ナウシカ キター」
 「おい」「wwwww」
 (メタルアレンジの「ナウシカ・レクイエム」がはじまると)
 「かっけーなー」「きたああああ」「だいぶアウトwww」「入りやべえwww」
 「壮大w」「かっけー」「おおおおお」
 (イジメ、ダメ、ゼッタイ がはじまる)
 「これか」「イジメ、キター」「きたあああ」
 「X」「X」「女版Xやな」「かっけー」「声やばいな」
 「演奏やばい」「かっこすぎやろw」「この曲だけ異常にかっこいいな」
 「メロスピやなwwww」「よく見るとふりもめちゃ切れいいんだな」
 「ギャップがwwwww」「合いの手ww」
 「これ体力いるなw」「曲たまらん」
 「初めてアイドルでいいなって思えたわ」
 「いやいやいいよこれまじで」「アイドルにしては歌上手いなー」

9.Catch Me If You Can(Legend”Z”)
 (イントロがはじまると)
 「おおおお」「じゅうおん!」「ええ曲きたああああ」「またかっこいい」
 「体力もたいへんやな」「よく踊るね」
 「かわええ」「かわええわ」「まーだだよってかわいいわ」
 「かっこよかったり可愛かったり忙しいアイドルだな」
 「かっけーw」「歌が上手いのが意外だったな これはいい」
 「いい」「一体感がいいよね」
 「ダンスも雰囲気出てるよな スクールにでもいたのか?」
 「なんていうかマジだな、この子たち」
 「すごいもの見せてもらってる気がするわ」
 「優秀な子たちだな」「応援します」「最高」「おわりかよ…」

(紹介映像が終り)
 「見入ってしまった」「よかった」「いいもん見させてもらったわ」
 「おもしろかった」「がっつりみちゃったわ」

この曲順、構成が、何とも絶妙である。

初めて見るメタルヘッズにも何とか受容されるような配慮もされつつ、4や7の「アイドル」楽曲も挟みこまれているところなど、メタラーの頭を心を撹拌する構成だ。
(というか、これがBABYMETALの楽曲レパートリーの本質だが)
そうした「アイドル」への心理的な障壁をところどころで体験しつつ、8、9まで来たころには、すでに自らのメタル魂を鷲づかみにされている(それを自分自身で素直に認めるかどうかは別として)といったところではないか。

多くのコメントに(w)が付されているのも、興味ぶかい。どうしても(w)をつけたくなるのだ。
眼の前の映像に魅せられつつある、自分自身への戸惑い、照れ笑い、苦笑も多く含まれているのだろう。

「ヘドバンギャー」「イジメ、ダメ、ゼッタイ」が、2回ずつ入っているが、どちらも、後の方がより(メタルヘッズをひきつける)カッコ良さ・強さを持っている。
逆に言えば、わずか50分の紹介の中に同じ楽曲が2曲ずつ入っていても、それが減点にならないどころか、彼女たちの、ヘヴィメタルとしての「本物」ぶりを訴えるものになる。これは、まさに彼女たちの「ライブ」の魅力(魔力?)を明らかにしているようだ。

こうして見てみると(わかっていたことではあるが、あらためて確認できたこととして)
BABYMETALの「実力」とは、

① 楽曲の、ヘヴィメタルとしてのよさ。
  メタル風のアイドルソング、ではなく、異形ではあっても本物のヘヴィメタルである、という高い・深い志、メタル魂を感じさせる、魅力的な楽曲。

② 演奏のガチ度。特に、生バンドの説得力。
 とりわけ、この映像での、「生」ドラムスの異常ともいえる充実度は、これはメタル風のアイドルではなく、本物のヘヴィメタルだ、と僕たちに感じさせる最大の要因のひとつだ。

③ SU-METALの歌、声、の魅力。
 決して「メタル風」ではないが、ヘヴィメタルの楽曲・演奏を率いる不思議な力・魅力を持った声。音圧。伸び。踊りながら唄うにしては、信じられない安定度。

と、ここまでが、いわば必要条件、あるいは、安心材料、だ。
このへんを以前「魂」と書いたことがあるが、①②③の質の高さ、力強さ、安定度、が、これはヘヴィメタルである、と僕たちが認めることのできる核心である。

しかし、BABYMETALの凄さは、ここで終わらない、ということだ。
例えば、9での印象的なコメント、

「すごいもの見せてもらってる気がするわ」

とは、まさに、僕たち全員の感想を集約したひと言だろうが、
これは、①②③だけでは決して出てこないコメントだろう。

④ YUIMETAL・MOAMETALの舞踊
 CMIYCという楽曲の魅力、というだけではなく、ここまで約50分間観つづけてきた、ふたりの舞踊が、ボディブローのように、サブリミナルに、僕たちのカラダをハートを揺さぶりつづけていた、ということを、(①②③によって、このBABYMETALという存在を肯定できたからこそ)改めて意識した、ということではないか。
(「ミラー・ニューロン」の回で書いたが、科学的な事実として、実際にそうした効果をYUI・MOAは僕たちに与えているのである。)

「なんていうかマジだな、この子たち」

このコメントも、BABYMETALがメタルヘッズに与える印象を、象徴するひと言だろう。この「マジ」は、単に「一所懸命だ」ということではなく、裏返せば「なんじゃこりゃ」でもあるような魔力を持っている、という畏怖にも似た思いをあらわすひと言でもあろう。これも、(①②③を前提として、そのうえでの)④の「実力」による感想だろう。


それにしても、この映像が流されてから、まだ2年にも満たないのだが、
今ならば、

・赤い夜、黒い夜
・2014年のワールドツアーのファンカム(含ソニスフェア)
・新春キツネ祭

等の映像で、現行「神バンド」と絡み合う、さらに成長した3姫の超絶的な「演」奏も観られるわけで、そりゃあ快進撃は続くはずだ、と納得するしかない。

ただ、この初期(?)の映像においてさえ、すでにBABYMETALのヘヴィメタルとしての「実力」はとんでもないものだったのだ、とわかる。
そういう意味で(消されない限り)折に触れて見返す価値のある、貴重な資料だと僕は考えている。

初見のメタルヘッズたちによるコメントの流れの変化は、感動的でさえある。

さあ、明日は、「Live in London」のフラゲ日だ。
数日中には、特典ディスク、音盤も入手できるはずだし、
みなさん、一緒に楽しみましょう!









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