「KARATE」降臨!
ネットでラジオ放映の知らせを見て、仕事からの帰宅後、慌てて、「Radikoプレミアム」なるものに登録し、その前の「斉藤由貴のオールナイト・ニッポン」から聴きはじめたのだけれど、何て音がいいんだ!と驚愕した!
こりゃ、今後も、パソコンでラジオを聴くという楽しみを見つけたわい、と(何度目かの、BABYMETALにはまったがための副産物の到来に)ニタニタしていたのだった。
で、放送が始まって「えっ、これだけ?」と思いつつ、放送を聴いたまま、別のページをひらき、公式HPを確認してみると「わお!トレーラーあるぞ!」
でも、「短かっ!」と思いながら、「あ、買えるやん!」と、即(ふだんはウォークマンなのでiTunesは使っていないので、idを作ったりとやや忙しかったけれど)で「KARATE」購入。
で、ただいま、リピート再生中。
SU-METALの声を中心とした澄み切った空気感と、邪悪なまでにヘヴィなリフ、そしてYUI・MOAのスクリームの初々しさ・可愛さ。
まさに、これが、BABYMETALだ。
それにしても、この「歌詞」の楽曲で、海外(とりわけ米国で)勝負する、って・・・。何とも、胸が熱くなる。
そう、これが、俺たちのBABYMETALなのだ!
いやあ、繰り返し聴けば聴くほど、味わいが増すなあ。
このスケール感は、1stにはなかったものだ。
いや、やっぱ、いいなあBABYMETALは!!!
(でも、横アリのライヴで、すでにこのレベルの歌唱を「再現」していたのだと思うと、やはりSU-METALは凄い。今さら言うまでもないが)
・・・で、iTunesの紹介文によると、「Sis.Anger」が、「違う(仮)」のようだ。
なるほど。ネットでもそういう見解を目にして「あ、そうかも」と思っていたのだが、ということは・・・。
さらに妄想をふくらませています。
さて、ここからは、BABYMETAL「探究」の本題です。
NHKで放映されていた、『亀田音楽専門学校』シーズン3(全4回)は、ご覧になっただろうか?
僕は、シーズン1も2も観たことがなかったので、これが初めての視聴だった。この番組に興味を持ち見てみようと思ったのは、新聞のテレビ欄にたまたま目がとまり、「BABYMETALとは何なのか?」を考える材料になりそうだ、と、そんな匂いを感じたからだ。そして、その予感は、的中。「探究」のための素材・参考・刺激として、実に収穫の多い番組だった.
今回は、この番組を踏み台にして、BABYMETALを「探究」する、その1である。
『亀田音楽専門学校』シーズン3、全4回(1回が約45分間)の概要は、「Jポップに隠された秘密を解き明かす」と題し、講師の亀田誠治(プロデューサー・アレンジャー)が、1988年以降のJ-POPを4つの時代に分け、その音楽的特徴の変遷を講義する、というものだ。
① 1988~1993年 「J-POP誕生の時代」
② 1994~1999年 「インパクトの時代」
③ 2000~2005年 「文明開化の時代」
④ 2006~現在 「J-POPの現在 そして未来」
このような、J-POPのいわば”進化”を辿る、という構成は、僕にとっては、このブログを書くきっかけになった「メタル・エヴォリューション」のいわばJ-POP版の役割を果たす、たいへん蒙を啓いてくれるものだった。
というのも、僕自身は、上にあげた時代の「JーPOP」はまともに聴いてこなかったのだ。
なので、こうしたJ-POPの文脈に”BABYMETALの誕生・登場”を位置づけて「BABYMETALとは何か?」を考えることなどできなかったからだ。
で、この番組を視聴したうえで、たどりついた結論が、これだ。
BABYMETALはヘヴィメタル史の進化の最新形態でありながら、J-POPの進化の最新形態でもある
と。
J-POPは、音楽のあらゆる魅力がつめこまれた、総合芸術だと僕は思っています。
と、亀田誠治が語るように、J-POPとは、単なる「日本の歌謡曲の新しい呼称」なのではなく、(いかにも日本らしい)「音楽の坩堝(るつぼ)の謂」であり、だからこそ、そこからBABYMETALが生まれることが可能だったのだ、と。
つまり、BABYMETALとは、単に「アイドルと、メタルの融合」であるだけではなく、「最新にして最先端のJ-POPと、メタルの融合」であるという意味で、日本の音楽シーンだからこそ出現可能だった「極限的・先鋭的なユニット」なのだ、と。
例えば、他のガールズ・メタル・バンドとのいちばんの違いはここに(も)ある、と言えるだろう。「J-POPの進化の最新形態でもある」BABYMETALと比べると、ガールズ・メタル・バンドとは、何ともオールド・ファッションな音楽に見えて・聞こえてしまうのだ。
もちろん、これは、バンドとしての優劣評価などでは全くない。
オールド・ファッションとは、言葉を替えれば、「本格派」ということ(かもしれない)からだ。
オールド・ファッションだからこそのよさもある。とりわけへヴィ・メタルにはそうした「頑固一徹な味」が求められる、ということも確かだろう。
ただ、BABYMETALの、比類のない音楽的な楽しさ、具体的には、出会って1年半近く経っているのに、いまだに毎日毎日ウォークマンで聴きいってしまう、しかも、たびたび鳥肌を立てたり涙をにじませたりしてしまいさえする、その何度聴いても飽きさせない「魔力」は、BABYMETALには”日本歌謡曲→JーPOPの進化史の精髄”(までも)が盛り込まれていることに拠るのだ、ということが理解できたのである。
どの回も、「なるほど!へえ~!」と目から鱗の落ちる卓見に満ちていたのだが、BABYMETALに直結する回は、最終回の④なので、今回は、まずそれを「探究」してみることにする。
その前提となる①②③について、ここでは、核心のポイント(のみ)を列挙しておこう。
(これも、BABYMETALを考えるうえでたいへん示唆に富む内容であるので、何回かにわたって「探究」していくつもりである)
①1988年~1993年「J-POP誕生の時代」
~ 胸キュン革命の時代
①a ポジティブ宣言
①b Bメロにメロメロ
→ 「明るくせつない」J-POPの曲調へ
② 1994~1999年 「J-POP大躍進の時代」
~インパクト合戦の時代
②a ハイトーン・ボイスのインパクト
→ 力強さ・ひたむき感・思いやエネルギーの爆発
②b 転調~てんこ盛り!
→ 小室哲哉「驚き→感動→思い出」
③ 2000~2005年 「J-POP文明開化の時代」
~ 「ヒット曲」の縛りが解け、多彩な才能が花開いた時代
③a リズムの楽園
→ さまざまなリズム(R&B、ヒップホップ、青春パンク、レゲエ、ミクスチャー)を身体で感じるように
③b 生音の楽園
→ 人肌の体温を感じるアコースティックサウンド、ストリングスによるカウンターメロディ
(こうして見出しを挙げただけでも、BABYMETALと絡めて語りたくなる刺激に満ちているが、それは今後の楽しみに)
で、こうしたいわば「J-POPの進化史」の果てに④がある。
その特徴として、番組内で挙げられているのが、次の5つだ。
つまり、以下のa~eは、2006年以降、顕著になってきたJ-POPの特徴なのだ。
④a アイドル・グループの躍進
④b ライヴで音楽を楽しむ
④c それまでの音楽の3要素に加えて、ダンス→ 踊る!J-POP
④d cに「ヨナ抜き」音階が乗る心地よさ
④e 「詞」と「声」の大進化
どうだろうか?
見出しの列挙でしかないが、すでに、これって、まさにBABYMETALのことだ!
と、僕は思ってしまうのだが…。
もちろんこれは、直接BABYMETALについて言及しているものではない(番組内では全くBABYMETALには触れられていない)にもかかわらず、だ。
(対照的に、a~eを他のガールズ・メタル・バンドに当てはめるのにはたいへん無理があるはずだ。繰り返すが、もちろん優劣の比較の謂ではなく、「属性の相違」が鮮明に浮き彫りになる、ということの確認である)
以下、各項目について、すこし詳しく考えてみよう。
④a アイドル・グループの躍進
全4回の冒頭で、それぞれの年代のヒット・チューン年間ベスト10がパネルに列挙されて紹介されるのだが、2006年以降のヒットチャート(CDシングル年間売上チャート)は、まさに、アイドル・グループの席捲、が露わである。
(といっても、KAT-TUN、嵐、AKB48グループ、の寡占状態、なのだが)。
ともかく、J-POPの進化史の(ある意味での)最先端に「アイドル・グループ」が位置している、というのは、日本の音楽市場における事実であろう。
そんな「アイドル・グループ」の中からBABYMETALが登場したのだ(公式な出自も「さくら学院」なのだから、文句のつけようも言い訳のしようもなく、BABYMETALはアイドル・グループの血脈を継いでいる)。
このことを、”アイドル畑からへヴィ・メタル界への殴り込み”といった「異形性」とのみ見なすのではなく(僕は今までそういう認識の仕方をしていたのだが)、”最先端のJーPOPアーティストとしてのアイドル・グループによるへヴィ・メタル”である、と見なすべきだ、という新たな見方を、この番組から教わったのだ。
まさに、海外でBABYMETALが紹介されるときの定型的な文言「J-POPとメタルの融合」は、音楽的にはBABYMETALの本質を言い当てていた、ということになる。
これは、僕自身にとって、たいへん大きな、認識の修正であった。
JーPOPの進化の果ての、いわば最も先鋭的な(ある種の)プログレッシヴな形態が、アイドル・グループである。
そこを母胎としたからこそ、BABYMETALが生まれ得た
BABYMETALは、「アイドルなのに凄い」ではなく、むしろ「アイドルというJ-POPの最新形態だからこそ、こんなにも凄くなってしまった」と見るべきだったのだ。
古い昭和のアイドルのイメージや、「口パク、学芸会、握手会、…」というようなうわべの否定的なイメージから、「BABYMETALはアイドルなんかじゃなく…」と言いたくなる気持ちは僕にもあったのだが、実際にJ-POPの楽曲や振付を創っている現場からいえば、BABYMETALこそ、まさに(J-POPの最新形態である)アイドル・グループの極限形なのだ、ということ。
(例えば、マーティー・フリードマンは、そうしたことを、いつも力説しているのだろう)。
さらに、単に「アイドル」なのではなく、「アイドル・グループ」であること。
ここも、ミソなのだろう。
昭和のアイドルたちのような単体ではなく、例えばピンクレディーのようなデュオでもない。
「アイドル・グループ」の最小限の人数は、3人だ。
そういう意味では、やはりBABYMETALは、キャンディーズの血脈を受け継ぎつつ、紙芝居では「仮想敵」扱いされていたAKBグループとも遺伝子を共有している、ということ(とりわけ④cとの関わりにおいて、重要!)だ。
(この、「アイドル・グループ」としてはミニマムの3人だけで、というところは、鋼鉄(メタル)魂を強く感じさせ、おっさんメタル・ヘッズの胸を震わせる大きなひとつだろう)。
しかも、(これは『亀田音楽専門学校』の内容からは外れるが)SU-METALとYUI・MOA、という、極めて明確な機能の特化・役割の分担は、バックの神バンドのメンバーがほぼ固定されていることも相まって、ロック・バンドとしてのたたずまいも兼ね備えているところなど、まさに、BABYMETALは「アイドル・グループの極限形」と言うべきなのだ。
ここは、BABYMETALとは何か?を理解するためには、きちんと押さえておかなければならないポイントだったのだ。番組視聴後の僕は、そう考えるようになっている。
では、その「アイドル・グループ」を典型的な形態とするJ-POPの最新版の音楽的特徴とは何か?
それが、④b~eである。
④b ライヴで音楽を楽しむ
CDシングルの売り上げ自体はこの10年間ほぼ横ばいなのだが、これはほとんどAKBグループによって支えられているのであり、それを除いて見てみると、はっきりと下降線をたどっているのだという。
それに対し、コンサート・ライヴに足を運ぶひとの数(入場者数の合計)は、2006年の約2000万人から、2014年の4200万人へと、倍増、グラフを見ると急激に伸びているのだ。
BABYMETALも、こうした”J-POPの聴き方のいま”をまさに体現している。
最新のシングルは”メギツネ”で、2013年6月19日のリリースだから、もう2年半以上もシングルはリリースしていない。当然、僕も買っていない。しかし、(運よく抽選に当たったので)去年だけで、3回も(新幹線や宿泊ホテルまで使って)ライヴには参戦してしまった。
そもそも、チームBABYMETALでは、楽曲や振付を「ライヴでの熱狂を引き起こすこと」を第一に考えてつくっていることはこのブログでも何度も触れたが(これからも触れるはずだ。これが、BABYMETALのいちばんの核心なのだから)、それは、「へヴィ・メタルだから」という文脈以上に、「J-POPがそのように進化してきたから」という文脈で語るべきだったのである。
つい先ほど「KARATE」の正式音源が公開されたが、仮にこれが「シングル・リリース」といえたとしても、その本懐は、シングルとしての売り上げ、シングル曲としてのヘビ・ロテということよりも、曲を覚えてもらい、ライヴで観客全員と一体化して盛り上がる!というところにあるはずだ。
(2013年6月の段階での”メギツネ”のシングル・リリース時とは、BABYMETALの置かれた状況は、とんでもない変化、コペルニクス的転回が起こっているはずだ)。
そうしたBABYMETALならではの特徴的なリリースの意義も、「J-POPの進化史」に位置づけて考えることで(も)腑に落ちる、ということを、初めて認識したのである。
で、④bという状況をふまえて、亀田誠治校長が指摘するのが、「踊る!J-POP」の時代が来た、ということだ。
④c それまでの音楽の3要素に加えて、ダンス→ 踊る!J-POP
こう指摘されると、当たり前、という印象も受ける。
それほど、「アイドル・グループ」をはじめ、「踊る」ことが今のJ-POPの典型的な姿となった。
しかし、これも、昭和の歌謡曲からJーPOPの進化を経て、たどりついた最新の形態なのである。
そして、そこに登場したのが、「メタル・ダンス・ユニット」BABYMETALなのだ。
考えて見れば、BABYMETALの楽曲を演じる3姫も、特に初めのうちは、「さくら学院」のステージの延長線上として(えっ、こんな曲!という驚きはあったにせよ)受け入れていたに違いない。
課外活動ではない、「さくら学院」の通常のステージでも、歌い・踊る、ということを実演していたのだから。
音楽の3要素(リズム、メロディー、ハーモニー)に、ダンス(踊り)が加わった。
と、亀田誠治は評していたが、確かに、単なる「付加価値」ではなく、今やダンスはJ-POPの「不可欠価値」になった、と言えるのだろう。
当然だが、へヴィ・メタル界には、こうしたパラダイム・シフトはいまだ起こっていない。
今回のブログで、この第4回をまず取り上げなければならないと考えた軸の一つが、ここにある。
へヴィ・メタル畑からは、「メタル・ダンス・ユニット」BABYMETALは登場しえないが、J-POPの進化史には「メタル・ダンス・ユニット」BABYMETALが生まれてくる(必然性というのは言い過ぎにせよ)理がある、ということなのだ。
番組中、特に印象的だった発言をいくつか並べよう。
あ) イントロや間奏を、踊るためのパートにアーティストが進化させている(亀田誠治)。
い) 聴いているひとの心を踊らせたい(星野源)。
う) YOUTUBEなどでMVを見るのが当たり前になり、見せる音楽としてアーティスト側もダンスの重要性を強く意識し、進化してきた(亀田誠治)。
え) 2006年以降は、単に「見せる」踊りではなく、「コミュニケーションとしての踊る」がもっと出てきた(秋元康)。
お)みんながSNSとかで個々になったから、せめて歌とかカラオケとか非日常のなかではみんなで合わせることをしたくなったんじゃないか(秋元康)。
か)みんなが一緒に揃うと面白いよ、って若い人たちに教えたかったのが「恋するフォーチュンクッキー」だった(秋元康)。
き)「一緒になにかをすること」が「歌の役割」になった(秋元康)。
仮想敵の親玉、なんて何となく感じていた秋元康だが、単に商売としてではなく、「今の時代における歌って何だろう?」と、(当然といえば当然だが)J-POPの本質を探究し、創造・差配してきた、のである。
え)お)か)き)など、そのままBABYMETALのライヴにもあてはまる発言だ。
で、そのうえで(これは一部の楽曲に印象的な特徴、というレベルだが)、
④d cに「ヨナ抜き」音階が乗る心地よさ
がある、と亀田誠治はいう。(短調の場合は、「26抜き音階」になる)
この音階は、大昔から日本で使われているから、僕たちに、自然と郷愁を感じさせる。
気持ちを解放させ、トリップしやすい、踊りやすい、そんな働きをする音階だ。
「祭りのように」と亀田誠治は言うが、例えば”メギツネ”にあらわなように、BABYMETALのいくつもの楽曲にもこの「和風音階」が、大いに「踊り」を引き起こす波動砲のような爆発的な効果をあげているはずだ。
耳だけではなく、身体全体で音楽を楽しむようになった、2006年以降のJ-POP。
そこでは、次のような進化ももたらされた。
④e 「詞」と「声」の大進化
「詞」については、「響きをもった歌詞」が重視されるようになった。
説明文のように意味がつながっていなくても、「母音(響き)」がつながっていればそれでよい。
逆に、「意味」から自由になることで、身体が勝手に動き出す理由に近づく。
BABYMETALの歌詞も、そうだ。
歌詞そのものの散文的な説明的な納得を、ではなく、リズムや響きによる、身体的への刺激が、歌詞の機能なのだ。
「歌声」についても、より「響き」が重要になる。
番組内で紹介されたのは、Perfumeやセカ・オワ、椎名林檎などのボーカル・エフェクトの技術を駆使した「響き」だ。
その役割は、「言葉・歌詞がくっきり浮き彫りになる」ということだ。(亀田誠治は、「ロボットのような声になることで…」と説明していた。)
確かに例に挙げられたミュージシャンにはそうした効果があるだろう。
つまり、
踊る!ための音楽。
↓
リズム隊などのバックトラックの音量が上がり、相対的に、ボーカルの音量が下がる。
(歌が、楽器の一部、サウンドの一部になった)
↓
そのために、声を(詞を)浮き彫りにするために、エフェクトをかける。
というしくみだ。
SU-METALの凄さは、この、他のミュージシャンがエフェクトを用いて行っていることを、「地声」「生歌」で実現していることだ。
ヘヴィ・メタルという、極限的にバック・トラックの音圧・音量があがった楽曲であっても、「浮き彫り」に聴こえてくる声・歌。
やはり、この点でも、J-POPの最新形態なのだ。SU-METALは。BABYMETALは。
いや、ほんと、(何度でも言おう)「KARATE」、聴いていて、じつに気持ちいい。
バグルズとかの、ニューウェイヴのサウンドの心地よさ、も、SU-METALの歌を軸に実現しているもんなあ。
おっさんたちは、泣くよね、これは。
で、結局、第4回の総括として。
聴いて楽しい、見て楽しい、踊って楽しい
を挙げて、「これが最新のJ-POPの姿なのです」と亀田誠治は締めくくった。
繰り返すが、これはBABYMETALを語った文言ではない。
J-POPがそのように進化してきた、という話なのだが、
まさに、これこそ、BABYMETALの謂ではないか!。
なぜ日本からBABYMETALが生まれたのか、改めてよくわかった気がする。
次は、やや時代を遡り、BABYMETALに埋め込まれているJ-POPの進化史①~③のいくつかについて考えてみたい。
ネットでラジオ放映の知らせを見て、仕事からの帰宅後、慌てて、「Radikoプレミアム」なるものに登録し、その前の「斉藤由貴のオールナイト・ニッポン」から聴きはじめたのだけれど、何て音がいいんだ!と驚愕した!
こりゃ、今後も、パソコンでラジオを聴くという楽しみを見つけたわい、と(何度目かの、BABYMETALにはまったがための副産物の到来に)ニタニタしていたのだった。
で、放送が始まって「えっ、これだけ?」と思いつつ、放送を聴いたまま、別のページをひらき、公式HPを確認してみると「わお!トレーラーあるぞ!」
でも、「短かっ!」と思いながら、「あ、買えるやん!」と、即(ふだんはウォークマンなのでiTunesは使っていないので、idを作ったりとやや忙しかったけれど)で「KARATE」購入。
で、ただいま、リピート再生中。
SU-METALの声を中心とした澄み切った空気感と、邪悪なまでにヘヴィなリフ、そしてYUI・MOAのスクリームの初々しさ・可愛さ。
まさに、これが、BABYMETALだ。
それにしても、この「歌詞」の楽曲で、海外(とりわけ米国で)勝負する、って・・・。何とも、胸が熱くなる。
そう、これが、俺たちのBABYMETALなのだ!
いやあ、繰り返し聴けば聴くほど、味わいが増すなあ。
このスケール感は、1stにはなかったものだ。
いや、やっぱ、いいなあBABYMETALは!!!
(でも、横アリのライヴで、すでにこのレベルの歌唱を「再現」していたのだと思うと、やはりSU-METALは凄い。今さら言うまでもないが)
・・・で、iTunesの紹介文によると、「Sis.Anger」が、「違う(仮)」のようだ。
なるほど。ネットでもそういう見解を目にして「あ、そうかも」と思っていたのだが、ということは・・・。
さらに妄想をふくらませています。
さて、ここからは、BABYMETAL「探究」の本題です。
NHKで放映されていた、『亀田音楽専門学校』シーズン3(全4回)は、ご覧になっただろうか?
僕は、シーズン1も2も観たことがなかったので、これが初めての視聴だった。この番組に興味を持ち見てみようと思ったのは、新聞のテレビ欄にたまたま目がとまり、「BABYMETALとは何なのか?」を考える材料になりそうだ、と、そんな匂いを感じたからだ。そして、その予感は、的中。「探究」のための素材・参考・刺激として、実に収穫の多い番組だった.
今回は、この番組を踏み台にして、BABYMETALを「探究」する、その1である。
『亀田音楽専門学校』シーズン3、全4回(1回が約45分間)の概要は、「Jポップに隠された秘密を解き明かす」と題し、講師の亀田誠治(プロデューサー・アレンジャー)が、1988年以降のJ-POPを4つの時代に分け、その音楽的特徴の変遷を講義する、というものだ。
① 1988~1993年 「J-POP誕生の時代」
② 1994~1999年 「インパクトの時代」
③ 2000~2005年 「文明開化の時代」
④ 2006~現在 「J-POPの現在 そして未来」
このような、J-POPのいわば”進化”を辿る、という構成は、僕にとっては、このブログを書くきっかけになった「メタル・エヴォリューション」のいわばJ-POP版の役割を果たす、たいへん蒙を啓いてくれるものだった。
というのも、僕自身は、上にあげた時代の「JーPOP」はまともに聴いてこなかったのだ。
なので、こうしたJ-POPの文脈に”BABYMETALの誕生・登場”を位置づけて「BABYMETALとは何か?」を考えることなどできなかったからだ。
で、この番組を視聴したうえで、たどりついた結論が、これだ。
BABYMETALはヘヴィメタル史の進化の最新形態でありながら、J-POPの進化の最新形態でもある
と。
J-POPは、音楽のあらゆる魅力がつめこまれた、総合芸術だと僕は思っています。
と、亀田誠治が語るように、J-POPとは、単なる「日本の歌謡曲の新しい呼称」なのではなく、(いかにも日本らしい)「音楽の坩堝(るつぼ)の謂」であり、だからこそ、そこからBABYMETALが生まれることが可能だったのだ、と。
つまり、BABYMETALとは、単に「アイドルと、メタルの融合」であるだけではなく、「最新にして最先端のJ-POPと、メタルの融合」であるという意味で、日本の音楽シーンだからこそ出現可能だった「極限的・先鋭的なユニット」なのだ、と。
例えば、他のガールズ・メタル・バンドとのいちばんの違いはここに(も)ある、と言えるだろう。「J-POPの進化の最新形態でもある」BABYMETALと比べると、ガールズ・メタル・バンドとは、何ともオールド・ファッションな音楽に見えて・聞こえてしまうのだ。
もちろん、これは、バンドとしての優劣評価などでは全くない。
オールド・ファッションとは、言葉を替えれば、「本格派」ということ(かもしれない)からだ。
オールド・ファッションだからこそのよさもある。とりわけへヴィ・メタルにはそうした「頑固一徹な味」が求められる、ということも確かだろう。
ただ、BABYMETALの、比類のない音楽的な楽しさ、具体的には、出会って1年半近く経っているのに、いまだに毎日毎日ウォークマンで聴きいってしまう、しかも、たびたび鳥肌を立てたり涙をにじませたりしてしまいさえする、その何度聴いても飽きさせない「魔力」は、BABYMETALには”日本歌謡曲→JーPOPの進化史の精髄”(までも)が盛り込まれていることに拠るのだ、ということが理解できたのである。
どの回も、「なるほど!へえ~!」と目から鱗の落ちる卓見に満ちていたのだが、BABYMETALに直結する回は、最終回の④なので、今回は、まずそれを「探究」してみることにする。
その前提となる①②③について、ここでは、核心のポイント(のみ)を列挙しておこう。
(これも、BABYMETALを考えるうえでたいへん示唆に富む内容であるので、何回かにわたって「探究」していくつもりである)
①1988年~1993年「J-POP誕生の時代」
~ 胸キュン革命の時代
①a ポジティブ宣言
①b Bメロにメロメロ
→ 「明るくせつない」J-POPの曲調へ
② 1994~1999年 「J-POP大躍進の時代」
~インパクト合戦の時代
②a ハイトーン・ボイスのインパクト
→ 力強さ・ひたむき感・思いやエネルギーの爆発
②b 転調~てんこ盛り!
→ 小室哲哉「驚き→感動→思い出」
③ 2000~2005年 「J-POP文明開化の時代」
~ 「ヒット曲」の縛りが解け、多彩な才能が花開いた時代
③a リズムの楽園
→ さまざまなリズム(R&B、ヒップホップ、青春パンク、レゲエ、ミクスチャー)を身体で感じるように
③b 生音の楽園
→ 人肌の体温を感じるアコースティックサウンド、ストリングスによるカウンターメロディ
(こうして見出しを挙げただけでも、BABYMETALと絡めて語りたくなる刺激に満ちているが、それは今後の楽しみに)
で、こうしたいわば「J-POPの進化史」の果てに④がある。
その特徴として、番組内で挙げられているのが、次の5つだ。
つまり、以下のa~eは、2006年以降、顕著になってきたJ-POPの特徴なのだ。
④a アイドル・グループの躍進
④b ライヴで音楽を楽しむ
④c それまでの音楽の3要素に加えて、ダンス→ 踊る!J-POP
④d cに「ヨナ抜き」音階が乗る心地よさ
④e 「詞」と「声」の大進化
どうだろうか?
見出しの列挙でしかないが、すでに、これって、まさにBABYMETALのことだ!
と、僕は思ってしまうのだが…。
もちろんこれは、直接BABYMETALについて言及しているものではない(番組内では全くBABYMETALには触れられていない)にもかかわらず、だ。
(対照的に、a~eを他のガールズ・メタル・バンドに当てはめるのにはたいへん無理があるはずだ。繰り返すが、もちろん優劣の比較の謂ではなく、「属性の相違」が鮮明に浮き彫りになる、ということの確認である)
以下、各項目について、すこし詳しく考えてみよう。
④a アイドル・グループの躍進
全4回の冒頭で、それぞれの年代のヒット・チューン年間ベスト10がパネルに列挙されて紹介されるのだが、2006年以降のヒットチャート(CDシングル年間売上チャート)は、まさに、アイドル・グループの席捲、が露わである。
(といっても、KAT-TUN、嵐、AKB48グループ、の寡占状態、なのだが)。
ともかく、J-POPの進化史の(ある意味での)最先端に「アイドル・グループ」が位置している、というのは、日本の音楽市場における事実であろう。
そんな「アイドル・グループ」の中からBABYMETALが登場したのだ(公式な出自も「さくら学院」なのだから、文句のつけようも言い訳のしようもなく、BABYMETALはアイドル・グループの血脈を継いでいる)。
このことを、”アイドル畑からへヴィ・メタル界への殴り込み”といった「異形性」とのみ見なすのではなく(僕は今までそういう認識の仕方をしていたのだが)、”最先端のJーPOPアーティストとしてのアイドル・グループによるへヴィ・メタル”である、と見なすべきだ、という新たな見方を、この番組から教わったのだ。
まさに、海外でBABYMETALが紹介されるときの定型的な文言「J-POPとメタルの融合」は、音楽的にはBABYMETALの本質を言い当てていた、ということになる。
これは、僕自身にとって、たいへん大きな、認識の修正であった。
JーPOPの進化の果ての、いわば最も先鋭的な(ある種の)プログレッシヴな形態が、アイドル・グループである。
そこを母胎としたからこそ、BABYMETALが生まれ得た
BABYMETALは、「アイドルなのに凄い」ではなく、むしろ「アイドルというJ-POPの最新形態だからこそ、こんなにも凄くなってしまった」と見るべきだったのだ。
古い昭和のアイドルのイメージや、「口パク、学芸会、握手会、…」というようなうわべの否定的なイメージから、「BABYMETALはアイドルなんかじゃなく…」と言いたくなる気持ちは僕にもあったのだが、実際にJ-POPの楽曲や振付を創っている現場からいえば、BABYMETALこそ、まさに(J-POPの最新形態である)アイドル・グループの極限形なのだ、ということ。
(例えば、マーティー・フリードマンは、そうしたことを、いつも力説しているのだろう)。
さらに、単に「アイドル」なのではなく、「アイドル・グループ」であること。
ここも、ミソなのだろう。
昭和のアイドルたちのような単体ではなく、例えばピンクレディーのようなデュオでもない。
「アイドル・グループ」の最小限の人数は、3人だ。
そういう意味では、やはりBABYMETALは、キャンディーズの血脈を受け継ぎつつ、紙芝居では「仮想敵」扱いされていたAKBグループとも遺伝子を共有している、ということ(とりわけ④cとの関わりにおいて、重要!)だ。
(この、「アイドル・グループ」としてはミニマムの3人だけで、というところは、鋼鉄(メタル)魂を強く感じさせ、おっさんメタル・ヘッズの胸を震わせる大きなひとつだろう)。
しかも、(これは『亀田音楽専門学校』の内容からは外れるが)SU-METALとYUI・MOA、という、極めて明確な機能の特化・役割の分担は、バックの神バンドのメンバーがほぼ固定されていることも相まって、ロック・バンドとしてのたたずまいも兼ね備えているところなど、まさに、BABYMETALは「アイドル・グループの極限形」と言うべきなのだ。
ここは、BABYMETALとは何か?を理解するためには、きちんと押さえておかなければならないポイントだったのだ。番組視聴後の僕は、そう考えるようになっている。
では、その「アイドル・グループ」を典型的な形態とするJ-POPの最新版の音楽的特徴とは何か?
それが、④b~eである。
④b ライヴで音楽を楽しむ
CDシングルの売り上げ自体はこの10年間ほぼ横ばいなのだが、これはほとんどAKBグループによって支えられているのであり、それを除いて見てみると、はっきりと下降線をたどっているのだという。
それに対し、コンサート・ライヴに足を運ぶひとの数(入場者数の合計)は、2006年の約2000万人から、2014年の4200万人へと、倍増、グラフを見ると急激に伸びているのだ。
BABYMETALも、こうした”J-POPの聴き方のいま”をまさに体現している。
最新のシングルは”メギツネ”で、2013年6月19日のリリースだから、もう2年半以上もシングルはリリースしていない。当然、僕も買っていない。しかし、(運よく抽選に当たったので)去年だけで、3回も(新幹線や宿泊ホテルまで使って)ライヴには参戦してしまった。
そもそも、チームBABYMETALでは、楽曲や振付を「ライヴでの熱狂を引き起こすこと」を第一に考えてつくっていることはこのブログでも何度も触れたが(これからも触れるはずだ。これが、BABYMETALのいちばんの核心なのだから)、それは、「へヴィ・メタルだから」という文脈以上に、「J-POPがそのように進化してきたから」という文脈で語るべきだったのである。
つい先ほど「KARATE」の正式音源が公開されたが、仮にこれが「シングル・リリース」といえたとしても、その本懐は、シングルとしての売り上げ、シングル曲としてのヘビ・ロテということよりも、曲を覚えてもらい、ライヴで観客全員と一体化して盛り上がる!というところにあるはずだ。
(2013年6月の段階での”メギツネ”のシングル・リリース時とは、BABYMETALの置かれた状況は、とんでもない変化、コペルニクス的転回が起こっているはずだ)。
そうしたBABYMETALならではの特徴的なリリースの意義も、「J-POPの進化史」に位置づけて考えることで(も)腑に落ちる、ということを、初めて認識したのである。
で、④bという状況をふまえて、亀田誠治校長が指摘するのが、「踊る!J-POP」の時代が来た、ということだ。
④c それまでの音楽の3要素に加えて、ダンス→ 踊る!J-POP
こう指摘されると、当たり前、という印象も受ける。
それほど、「アイドル・グループ」をはじめ、「踊る」ことが今のJ-POPの典型的な姿となった。
しかし、これも、昭和の歌謡曲からJーPOPの進化を経て、たどりついた最新の形態なのである。
そして、そこに登場したのが、「メタル・ダンス・ユニット」BABYMETALなのだ。
考えて見れば、BABYMETALの楽曲を演じる3姫も、特に初めのうちは、「さくら学院」のステージの延長線上として(えっ、こんな曲!という驚きはあったにせよ)受け入れていたに違いない。
課外活動ではない、「さくら学院」の通常のステージでも、歌い・踊る、ということを実演していたのだから。
音楽の3要素(リズム、メロディー、ハーモニー)に、ダンス(踊り)が加わった。
と、亀田誠治は評していたが、確かに、単なる「付加価値」ではなく、今やダンスはJ-POPの「不可欠価値」になった、と言えるのだろう。
当然だが、へヴィ・メタル界には、こうしたパラダイム・シフトはいまだ起こっていない。
今回のブログで、この第4回をまず取り上げなければならないと考えた軸の一つが、ここにある。
へヴィ・メタル畑からは、「メタル・ダンス・ユニット」BABYMETALは登場しえないが、J-POPの進化史には「メタル・ダンス・ユニット」BABYMETALが生まれてくる(必然性というのは言い過ぎにせよ)理がある、ということなのだ。
番組中、特に印象的だった発言をいくつか並べよう。
あ) イントロや間奏を、踊るためのパートにアーティストが進化させている(亀田誠治)。
い) 聴いているひとの心を踊らせたい(星野源)。
う) YOUTUBEなどでMVを見るのが当たり前になり、見せる音楽としてアーティスト側もダンスの重要性を強く意識し、進化してきた(亀田誠治)。
え) 2006年以降は、単に「見せる」踊りではなく、「コミュニケーションとしての踊る」がもっと出てきた(秋元康)。
お)みんながSNSとかで個々になったから、せめて歌とかカラオケとか非日常のなかではみんなで合わせることをしたくなったんじゃないか(秋元康)。
か)みんなが一緒に揃うと面白いよ、って若い人たちに教えたかったのが「恋するフォーチュンクッキー」だった(秋元康)。
き)「一緒になにかをすること」が「歌の役割」になった(秋元康)。
仮想敵の親玉、なんて何となく感じていた秋元康だが、単に商売としてではなく、「今の時代における歌って何だろう?」と、(当然といえば当然だが)J-POPの本質を探究し、創造・差配してきた、のである。
え)お)か)き)など、そのままBABYMETALのライヴにもあてはまる発言だ。
で、そのうえで(これは一部の楽曲に印象的な特徴、というレベルだが)、
④d cに「ヨナ抜き」音階が乗る心地よさ
がある、と亀田誠治はいう。(短調の場合は、「26抜き音階」になる)
この音階は、大昔から日本で使われているから、僕たちに、自然と郷愁を感じさせる。
気持ちを解放させ、トリップしやすい、踊りやすい、そんな働きをする音階だ。
「祭りのように」と亀田誠治は言うが、例えば”メギツネ”にあらわなように、BABYMETALのいくつもの楽曲にもこの「和風音階」が、大いに「踊り」を引き起こす波動砲のような爆発的な効果をあげているはずだ。
耳だけではなく、身体全体で音楽を楽しむようになった、2006年以降のJ-POP。
そこでは、次のような進化ももたらされた。
④e 「詞」と「声」の大進化
「詞」については、「響きをもった歌詞」が重視されるようになった。
説明文のように意味がつながっていなくても、「母音(響き)」がつながっていればそれでよい。
逆に、「意味」から自由になることで、身体が勝手に動き出す理由に近づく。
BABYMETALの歌詞も、そうだ。
歌詞そのものの散文的な説明的な納得を、ではなく、リズムや響きによる、身体的への刺激が、歌詞の機能なのだ。
「歌声」についても、より「響き」が重要になる。
番組内で紹介されたのは、Perfumeやセカ・オワ、椎名林檎などのボーカル・エフェクトの技術を駆使した「響き」だ。
その役割は、「言葉・歌詞がくっきり浮き彫りになる」ということだ。(亀田誠治は、「ロボットのような声になることで…」と説明していた。)
確かに例に挙げられたミュージシャンにはそうした効果があるだろう。
つまり、
踊る!ための音楽。
↓
リズム隊などのバックトラックの音量が上がり、相対的に、ボーカルの音量が下がる。
(歌が、楽器の一部、サウンドの一部になった)
↓
そのために、声を(詞を)浮き彫りにするために、エフェクトをかける。
というしくみだ。
SU-METALの凄さは、この、他のミュージシャンがエフェクトを用いて行っていることを、「地声」「生歌」で実現していることだ。
ヘヴィ・メタルという、極限的にバック・トラックの音圧・音量があがった楽曲であっても、「浮き彫り」に聴こえてくる声・歌。
やはり、この点でも、J-POPの最新形態なのだ。SU-METALは。BABYMETALは。
いや、ほんと、(何度でも言おう)「KARATE」、聴いていて、じつに気持ちいい。
バグルズとかの、ニューウェイヴのサウンドの心地よさ、も、SU-METALの歌を軸に実現しているもんなあ。
おっさんたちは、泣くよね、これは。
で、結局、第4回の総括として。
聴いて楽しい、見て楽しい、踊って楽しい
を挙げて、「これが最新のJ-POPの姿なのです」と亀田誠治は締めくくった。
繰り返すが、これはBABYMETALを語った文言ではない。
J-POPがそのように進化してきた、という話なのだが、
まさに、これこそ、BABYMETALの謂ではないか!。
なぜ日本からBABYMETALが生まれたのか、改めてよくわかった気がする。
次は、やや時代を遡り、BABYMETALに埋め込まれているJ-POPの進化史①~③のいくつかについて考えてみたい。