何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

DOTCH 

2017-01-12 18:35:05 | ニュース
昨年夏ごろから、大時代的な用語を耳にするようになり久しいが、愈々それが政治日程にあがってきたようで、混乱している。

この問題が話題となって以来、何度か手に取る本のなかに、院の政の時代の混乱を憂いている一文がある。

『今日は賊を追討する院宣を賜った者が、明日は立場を変えて賊の汚名を蒙るに到った例は、一、二には止まらぬ。
 末世と謂う以外仕方ない混乱の時代は長く続き、しかも現在なお終わりにはなっていないのである』
「後白河院」(井上靖)第四部より)

ある種のイメージが付き纏う「譲位」「上皇」という大時代的な言葉に釈然としないものをもっていたのだが、コンピューターシステムなどの対応という点では、事前に元号が発表されることは有難いことだという。(「三つの時代を生きる」
だが、今日は今日とて、報道は錯綜し混乱している。
朝刊で、日経新聞は「天皇退位後「上皇」に」と、毎日新聞は「<退位後称号>「上皇」使わず 政府「前天皇」など検討」と記事にしていたが、昼ごろ産経新聞が「天皇陛下の譲位 政府首脳、毎日新聞の「前天皇」報道を否定」と配信している。

混乱は、人々が軽々しくこの件を口にするため生じている。
政府関係者・有識者会議関係者がそれぞれに語り、それを受けマスコミがそれぞれ真反対の記事を書き、真反対のそれを受け世論が右往左往する。
混乱すればするほど、人がそれにつき語れば語るほど、軽い話題の一つになっていってしまうが、それで良いのか?

<天皇退位後「上皇」に 政府検討> 2017/1/12 2:00日本経済新聞 電子版より一部引用
政府は、天皇陛下が退位された場合、その後の呼称を「上皇(太上天皇)」とする方向で検討に入った。皇族としつつ皇位継承権は付与しない方針で、公務など活動のあり方が焦点となる。

<退位後称号「上皇」使わず 政府、「前天皇」など検討> 毎日新聞 1/12(木) 7:15配信より一部引用
政府は天皇陛下が退位した後の称号について、歴史的に使われてきた「太上天皇」と略称の「上皇」は使用しない方針を固めた。上皇が天皇より上位にあるとして政治に関与した歴史があり、皇位の安定性に懸念を抱かせる恐れがあると判断した。代わりに天皇より上位とみなされにくい「前天皇」や「元天皇」とすることを検討している。今春以降に国会に提出する退位の関連法案に明記する。
上皇は平安時代後期から鎌倉時 代中期にかけ、政治に関与する「院政」を敷くことがあった。政府の有識者会議では「現行憲法下の象徴天皇と結びつけるのは飛躍がある」として、懸念は不要という意見もあった。
しかし、上皇は歴史的な称号で権威を与えかねず、新天皇に即位する皇太子さまとの「国民統合の象徴の分裂」が起こる懸念がある。「二重権威になっていさかいが起こるイメージがある」(有識者会議関係者)こともあり、使用を見送る判断に傾いた。
陛下は2010年7月の宮内庁参与らの会議で「自分は上皇になる」と述べていた。

<天皇陛下の譲位 政府首脳、毎日新聞の「前天皇」報道を否定> 産経新聞 1/12(木) 11:05配信
政府首脳は12日、毎日新聞の同日付朝刊が天皇陛下の譲位後の称号をめぐって「退位後『上皇』使わず」「政府 称号『前天皇』など検討」と報じたことについて「元天皇、前天皇は検討しておらず間違いだ。上皇に関しては、過去の上皇とは異なる意味合いで称号とする可能性はある」と述べ、明確に否定した。


近くアメリカ大統領に就任する次期大統領は、当選後初の会見で、貿易不均衡について日本を名指しで批判しているが、そのような時に、混乱していて良いものか?

混乱がもたらす混乱について、「後白河院」(井上靖)を紐解き考えてみたい、つづく。

注、本文は後の「後白河院」考に収める予定
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