何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

わがおもひ記憶しておくれワンコ

2018-03-05 23:55:55 | ひとりごと
年明けから、一冊の本もまともに読み通すことができないのは兎も角、何の準備もできないまま猫の額庭のジャガイモ植え付け時期を迎えている事から、季節の移ろいや「一月行く、二月逃げる」の言葉を実感している。
昨日(日曜日)は少し余裕もあったのだが、ちくと土を耕しただけで「万葉集」(桜井満 訳注)など広げてボーっとしてしまった。
ボーっしている眼に、犬の歌が飛び込んできた。

万葉集7巻(1289)
垣越しに 犬呼び越して 鳥猟(とがり)する君
青山の 茂き山辺に 馬休め君

『垣根の向こうから犬を呼び寄せて鷹狩をするあなたよ。青山の葉の茂った山辺で馬を休ませなさい、あなたよ』

桜井満 訳注の「万葉集」の説明は、あまりに簡潔なので検索をしていると、この歌について「幸運の犬」と題して評している記事を見つけた。

その記事によると、古墳時代の遺跡から出土した犬の埴輪には首輪をしたものもあり、古代から犬は人の生活に欠かせない存在であったが、そんな犬が恋のキューピットとなったことを詠っているのが、この歌なのだという。
馬に乗り颯爽と鷹狩をする若君と 青山の茂き山辺に住む女性の縁を取り持った犬を、記事の筆者が「幸運の犬」と考えるのは、この歌が集団で詠うという性格を持つ旋頭歌であり、ロマンスに憧れる女性たちにより歌い継がれてきたと考えられるからだ。
http://www.pref.nara.jp/secure/192941/kenmin05.pdf

これだけなら、忙しい今ここに記録することもなかったかもしれないが、犬がお手柄を立てた記事を見つけ、やはり犬は幸運を運んでくれるという思いを強く持ったので、当該記事と万葉集を記録しておきたくなったのだ。

<民間救助犬、不明者発見 長崎の山中捜索、初のお手柄 佐世保のNPO訓練5匹>
長崎新聞社 3/5(月) 10:15配信より一部引用
佐世保市指方町のNPO法人ジャパン使役犬活動センター(JSK)で訓練された飼い犬を含む救助犬5匹が、長崎市内で行方不明となった女性の捜索活動にボランティアで参加し、無事に発見した。JSKによると、民間救助犬が行方不明者を発見したのは県内では初めて。
救助犬は、警察犬やパトロール犬など人のためになる使役犬の一種。JSKは、松尾警察犬訓練所を運営する松尾さんが2012年に設立。警察による行方不明者の捜索が見つからないまま終了しても、家族の依頼を受け無償で捜索を継続できるようにした。対象者のにおいで捜す警察犬と異なり、JSKでは人の気配を捜す訓練をしている。
「救助犬が多ければ見つかる可能性は広がる」として、JSK所属の犬のほか、一般家庭の飼い犬も訓練し登録。全国でも珍しい方法で、約30匹の救助犬がいる。九州北部豪雨災害の被災地などへも出動した。
2月26日夜、大浦署に行方不明の届け出があり、同署が2日間捜索。発見に至らず、知人から状況を聞いたJSKが登録会員に捜索参加を呼び掛けた。28日、JSK所属のアラン(シェパード雌4歳)、ローズ(同雌2歳)、家庭犬のジョシュア(ボーダーコリー雄7歳)、チビ太(柴犬雄4歳)、ルーク(ポインター雄2歳)とそれぞれの飼い主ら5組が出動した。
同日は暴風、大雨の予報。「午前中が勝負」として同署と連携し、午前9時半から行方不明者の自宅近くの山中を捜した。道路脇に傾斜のきつい竹やぶがあった。JSKスタッフの佐伯ひかるさん(23)は、これまでの経験から判断し、3組で50メートルほど分け入った。捜索開始から約20分後、ジョシュアが人の気配を察知。うずくまって衰弱した女性を見つけ、救助した。関係者は犬を抱き寄せてなでたり、涙を浮かべて喜んだりしたという。
参加した諫早市内の警察犬指導手、田渕紗耶香さん(32)は「訓練のたまもので、チームで動けた。飼い犬も生かせる能力がある」と話した。



これまで夢の丞の活躍や「人を導く犬」について書いてきたが、改めて犬と人の絆に心温まる思いでいる。

ところで、万葉集に何やら書きつけているものを見つけた。

詞にも歌にもなさじ わがおもひ
その日そのとき 胸より胸に

まさか自分の歌のはずはないと思いながら検索すると、案の定 与謝野晶子の歌であったが、いつ・どのような気持ちでこれを書きこんだのか、とんと覚えていない。

もしかして、書きつけた状況を何も覚えていないことから、言葉を残しておかなければ、思いも消えてしまうという危機感を覚え、今これを書いているのかもしれない。

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