検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

めざとく、するどい記者 連載小説265

2013年04月12日 | 第2部-小説
 ポテンシャル調査の質問をした記者が再び手を挙げて質問をした。
「配られた資料に『自然エネルギーの新技術開発のため実証試験の便宜を図る』とあります。これは具体的にどういうことをされるのですか」

 その施策は技術開発で苦労した経験を持つ将太ならではの発案に基づいて立てた施策だった。よくぞそこに気がついたと将太は記者を見た。
「自然エネルギーの技術はどの分野もまだ開発途上だと思います。さまざまな分野がある中で太陽光電池は大企業でなければ取り組めないと思います。しかし風力と水力、木質を含むバイオマス発電は中小企業の方、あるいは発明家の人がチャレンジできると思います。そうした意欲を持つ人たちは沢山おられる。ところが実験する場所がなく、苦労しているというお話を聞きます。例えば水力発電。原理は非常にシンプルです。問題は落ち葉と砂だと聞きます。落ち葉が導入口を塞ぐ、砂がタービンに入り込んで羽根を傷つけ、破壊する。これをいかに解決するか小水力の最大の課題と聞きます。私どもが考えているのは水力、風力と地中熱の開発をめざす方に実験場所の提供と操業データー支援、宿泊所を提供したいと考えています」

「これはすでに希望しているところはあるのですか」
「ええ、1つ伺っています」
「分かりました」
 記者はそれ以上質問をしなかった。そして記者会見は終わった。席を立ち、部屋から出る町長に先ほどの質問をした記者が声をかけた。