検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

記者会見 連載小説261

2013年04月08日 | 第2部-小説
  大平公平が初登庁してひと月が過ぎていた。臨時議会を踏まえて占部町の執行部体制は変化し、対策室が1つ増えた。副町長に総務課課長の松本博が昇格し、自然エネルギー推進室が新設され、初代室長に冨田将太が着任した。

 県内マスコミは新たに新設された「自然エネルギー推進室」に関心を寄せ、町長取材の申し込みが相次いでいた。新任町長は小さな自治体とはいえ、日程はぎっしり詰まっている。

 松本副町長は日を決めて記者会見をすることにした。今日はその日である。
会見場は町長室に隣接した会議室を用意した。県庁につめる記者クラブの代表幹事社に聞くと、出席予定は3社だという。記者クラブには全国紙、地方紙、業界・専門紙を入れて22社が入っている。
「3社とは少ない」と松本は思った。その情報はただちに新町長・大平と将太にも知らされた。

 記者会見では新しい町政の自然エネルギー施策を発表することになっている。その施策は議会にもまだ提案していない。
施策の発表が終わると記者から質問の手が挙がった。
「大平町長の今の自然エネルギー推進施策の目標は占部町の電力はすべて占部町でつくってまかなう。そう理解してよいですか」
「はい、結構です」と大平は答えた。

 すると別の記者が手を挙げた。
「電力自給の達成目標はいつですか。さきほどのお話に、目標達成年度はなかったと思いますが」