試合前日の柔道場、今日も猛男は部員を投げ飛ばしていた。「次!」続く部員も投げ、抑え込む猛男。「猛男君、次自分と組んで下さい」「次自分スッ!」「その次僕スッ!!」すっかり人気者の猛男!「剛田、俺達の為に!」「よし、俺達も続くぞッ!!」デジャブ感を出しつつ、やたら涙脆い先輩部員達も稽古に励んだ。結果、日が暮れるころには部員達はボロボロになっていたが、猛男はわりと平気だった! 試合前のクールダウン等しないのだ!!(確かに、男に頭を下げられ、引き受けた以上は、全力でぶつかりたいというのは有るが)考え込む猛男。
帰り道でも考えていた。(大和が頑張れと言ってくれたからなぁ。大和、しばらく大和の声を聞いていないが、こんなに声を聞かなかったのは初めてだ)夜空におにぎりと一緒に大和を思い浮かべていた猛男は、ケータイ電話を取り出し、大和にメールを打ち出した。『こんばんは、でんわしていいか?』送信すると即、大和から電話が掛かってきた。驚きつつ出る猛男。「猛男君! ウチだよ!」微笑む猛男。「どうしたのぉ?」「大和の声を聞きたかっただけだ」「え? 声? じゃ、ウチ喋るね」土手に腰かける猛男。「えーと、大和です」土手から何か摘まむ猛男。「猛男君、元気ですかぁ?」摘まんだのはいつか大和の髪に不思議と付いていた花と同じ小さな花だった。ほっこりする猛男。「ウチは元気だよぉ。えっと、どうしよう、喋るって難しいね。あ、試合明日だね」「砂と来い」「楽しみだなぁ!」「見てくれ!」猛男は夜の川の前で話していた。
自宅学習していた砂川はマンションの廊下を歩く猛男の足音を聞き分け、この間のスコーンの袋を一つ持って家から出てきた。耳の良い砂川。ちょうど猛男が玄関のドアを開けたところだった。「稽古終わったの?」「ああ、明日の試合、18時だからなぁ」
7に続く
帰り道でも考えていた。(大和が頑張れと言ってくれたからなぁ。大和、しばらく大和の声を聞いていないが、こんなに声を聞かなかったのは初めてだ)夜空におにぎりと一緒に大和を思い浮かべていた猛男は、ケータイ電話を取り出し、大和にメールを打ち出した。『こんばんは、でんわしていいか?』送信すると即、大和から電話が掛かってきた。驚きつつ出る猛男。「猛男君! ウチだよ!」微笑む猛男。「どうしたのぉ?」「大和の声を聞きたかっただけだ」「え? 声? じゃ、ウチ喋るね」土手に腰かける猛男。「えーと、大和です」土手から何か摘まむ猛男。「猛男君、元気ですかぁ?」摘まんだのはいつか大和の髪に不思議と付いていた花と同じ小さな花だった。ほっこりする猛男。「ウチは元気だよぉ。えっと、どうしよう、喋るって難しいね。あ、試合明日だね」「砂と来い」「楽しみだなぁ!」「見てくれ!」猛男は夜の川の前で話していた。
自宅学習していた砂川はマンションの廊下を歩く猛男の足音を聞き分け、この間のスコーンの袋を一つ持って家から出てきた。耳の良い砂川。ちょうど猛男が玄関のドアを開けたところだった。「稽古終わったの?」「ああ、明日の試合、18時だからなぁ」
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