羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

俺物語!! 1

2015-05-14 20:36:44 | 日記
愛はアルバムを見ていた。子供の頃、家族で行った海水浴。小学校の入学式。父が砂川を肩車するくらいの頃の家族旅行。背が伸びた小学校高学年くらい? の愛と小学生中学年くらいの砂川とやたら太ってた猛男。ちょっと笑ってしまう愛は振り向いて、部屋の観葉植物を見た。花はカラーの白。南アフリカ原産で、花に見えるのは苞。カラーとは襟のこと。同じ名前で色や形状が様々有り、地味に検索し辛い! 先日も愛が見ていた花だった。
猛男は放課後の学校で『女心』知る為、少女漫画を凄い顔で読んでいた。前回と同じ発想!「猛男! これもお薦め!!」やたら少女漫画に詳しい男友達達から少女漫画のおかわりを受ける猛男。砂川もその場にいたが、教室の窓側でアフロ達が騒ぎ出した。「すげぇ!」「ウチの学校になんの用だろう?」「年下の彼氏がいるとかぁ?」わちゃわちゃし出すアフロ達。砂も窓側に行って見ると、「お? 姉さん」「ええ?」驚くアフロ達。校門の所に愛がいた。『豹柄』の大きなストール? を肩から掛けている。砂川に対してジェスチャーを始める愛。ゴリラの真似をする愛。人差し指を口の前に立てる愛。手招きする愛。解せない砂川。
しびれを切らした愛はスマホでメールを打ってきた。『猛男には内緒で来て』砂川は付き合うことにした。「先帰るわ」熱心に少女漫画を読む猛男を残し、砂は教室を出て行った。
愛は砂川をお供に、大和の学校へ向かった! 直球! 校門の外で待ち構えていると大和が出てきた!「大和さん」呼び止める愛。「あ、こんにちはぁ。あれ、猛男くんは?」「猛男はいないよ。あなたに聞きたいことがあるの」愛は大和を公園に連れ出した。公園の利用率ッ!
「ねぇ、猛男に何か隠しているでしょう? 猛男、気付いている。でも、それが何かわからなくて悩んでるの! 一生懸命」
     2に続く

俺物語!! 2

2015-05-14 20:36:36 | 日記
「猛男君が?」「言って! 猛男に言い辛いんでしょ?! 猛男に言わないからッ」愛の後ろに影のように控える砂川は思った(絶対言うよ)「私は猛男には幸せになってほしいの! 幸せになってもらわないと困る!!」「そうですよね、猛男君はいい人ですもんね。でも、ウチは本当は、猛男君が思うようないい子じゃない!」(でぇええッ!! やっぱりッ!)内心白目を剥く愛。「どういうこと」思わず口を出す砂川。
「猛男君って美肌なんですよ」後ろを向いて妙なことを言い出す大和。「そうだね、あいつ早寝早起きだしね。キメ細かいよね」妙に同意する愛。「それに、あの眉毛とかもみ上げとかもたまらなくて」「そうだよねワイルドだよね」なぜかときめいてくる愛。背後で気配を消し始める砂川。「それにあの広い肩とか厚い胸板とか」「いいラインしてるよね! 肉感的だよね!」盛り上がってきた愛! 後ずさる砂川。「あと、唇とか、凄いセクシーで!」「ハリウッド系だよね! 日本人になかなかいないタイプ!」何系だと? 砂川は遠く後ずさった。「手とかも大きくて、凄いドキドキしちゃうんですよ!」「ハイハイッ! 性的な手してるッ!!」『性的な手』とか凄いワード出し始める愛! 砂川、もう帰りたい。「なのに、猛男君、大人になるまで、指一本触れないって言うんです!」泣き出す大和。「ん?」我に帰る愛、遠くで立ち止まる砂川。大和は、猛男は自分のことを『ピュア』だと思っているが、「猛男に触ったり、手を繋いだりしたいった思っているんです! 私、邪な気持ちになるんです! でも、言えない! 嫌われちゃう」涙が止まらない大和。愛はその姿を見詰めていた。(大和が悩んでいることの方が問題なんだ)コンビニで猛男はそう言っていた。「何言ってんの?! 猛男はそんなヤワな男じゃないから、そんな男じゃないよ! 全力で受け止めようとしてくれる男だよ!!」
     3に続く

俺物語!! 3

2015-05-14 20:36:28 | 日記
驚いて愛を見る大和。「あいつ鈍くて、勘違いしちゃうけど。猛男言ってたよ、『大和が言ってくれないと俺は何もわからない』けど、言ってくれさえすれば力になるって!」少し補足する愛。近くに戻ってきた砂川は姉を見ていた。大和は涙を止めた。「今から猛男君の家行ってきます!」大和は駆け出した。「早く行きな! 大丈夫だから」一度振り返り立ち止まる大和。「ありがとうございます。お姉さん優しいですね! 答えられない愛。大和は軽くコケつつ、公園を駆け去った。「猛男の彼女いい子じゃん。幸せなんだね。よかったね、猛男」微笑む愛。
「なんで猛男のこと好きになったの?」砂川は問うた。「小学校の校庭にさあ、『伸びゆく子供の像』ってあったじゃん」「ああ、あの気持ち悪いヤツ?」本当にちょっと気持ち悪い回想の像。ピーンッ! と体を奇妙に伸ばしている。「あたし、背、高くて痩せてたからさ。アレに似てるって、男子が言い出して、アダ名、伸び蔵になって、女として自信なかったんだけど」像を見上げ、俯くショートカットの子供の愛。手足がスラッと長く、モデル系。ランドセルが合ってない。いるべき場所がたぶん違った。「六年生の時、三年生だった猛男がさぁ」子供の愛はコンビニで何か買って出てきて、柔道着を着た子供の猛男に出会した。「猛男、練習帰り?」「うん」子供の愛は買ったらしい二つ割りタイプのアイスの片方を子供の猛男に差し出した。「半分やる。喉渇いているだろ?」子供の猛男は喜んだ。二人で食べながら、並んで歩いてマンションに帰っていると「あ、姉さんアレに似ているなぁ」子供の猛男が何か見付けた。「ああ、伸び蔵な」「違う」「え?」子供猛男は立ち止まり、花屋の花を指差した。「名前わからないけど、あの花に似ている」白いカラーの花だった。驚く子供の愛。「あたし、あんなに綺麗なの?」
     4に続く

俺物語!! 4

2015-05-14 20:36:13 | 日記
「うん」子供の猛男は無邪気に頷いてくれた。その時からだった。
話を聞き、首の後ろを掻く砂川。「それだけ?」赤面する愛。「それだけだよ! 他人から見ればどーでもいいことが特別なんだよ!! 恋なんてそんなもんだッ!」「なぜ、告白しなかったんだ?」取り乱す愛。「有り得ないじゃん?! だって、小3と小6だよ?! あたし高1の時、あいつ中1だよ! 中1ッ!!」頭を抱える愛。「絶対彼女なんかできると思ってなかったし! あふぅぅッ」泣く愛。「できるでしょ? アイツ格好いいし」「知ってるよぉッ! だかれせめて大学になるまでと思っていたのにぃ!」「年なんて、そんなこと気にする男じゃないって、さっき自分で言ったクセに」泣き止んで、頬杖を突き、立ち上がり、伸びをする愛。「はぁ、帰ろ帰ろぉ」愛が歩き出すと、砂川も従った。
岸が舗装された川の二段ある道の上段の、車道沿いの並木通りを砂川姉弟は黙って歩いていた。と、並木の一本に上った猛男が枝にいた猫を捕まえていた。「フニャーゴッ!」猫に反抗される猛男。愛と砂川は呆然と見上げた。「何してるの? 猛男」「おお、姉さん」顔に猫が張り付いている猛男。「猫が樹から降りられなくなってて」「大和さん、猛男の家行ったけど、泣いてたよ」砂川が言った。「大和が、泣いていた?」樹から飛び降りた猛男は顔から剥がした猫を砂川に預け、凄い勢いで駆け去った! それを見送った愛。「私はさぁ、自分の気持ちを隠すのに一生懸命だっただけだねぇ。猛男に一生懸命じゃなかった。もし、告白してたら、私もあんな風に必死で走ってきてもらえたのかなぁ」「もらえただろうね」猫をあやす砂川。愛はまた泣き出した。「うう、超羨ましい!!」砂川の襟首を掴んで揺さぶる愛!「あたしも男に生まれればよかった! あんたはいいよね、友達だから!! うわあ~んッ!」大泣きする愛。猫も逃げてしまった。
     5に続く

俺物語!! 5

2015-05-14 20:36:04 | 日記
商店街を爆走する猛男!(俺は足が早い)商店街を抜け、車道を走るフル装備のロードバイクを抜き去る猛男!(持久力も有る!)住宅街に到着した猛男!(足が早くてよかった。長く走れてよかった!)前方に、大和発見!!
「大和ッ!」呼び止められ、振り返る大和。立ち止まった猛男もさすがに息が上がっていた。「ハァハァ、泣いていると、砂が言っていたんだ。もう泣いてないのか?」「猛男君、走ってきてくれたんだ」真顔になり、大和に歩み寄る猛男。「大和、何か悩んでいたのだろう? 言え、思っていること全部! 全部俺にぶつけてくれ! 何があっても俺は倒れたりしない!! そして笑ってろ! 俺は大和が笑った顔が好きだぁッ!!」「猛男君」涙ぐむ大和。「ウチ、猛男くんと手、繋ぎたい。あとは、時々、くっついたりとかもしたいな」棒立ちの猛男、デカ過ぎてカメラに頭が入ってない。でも続行!「猛男君が思うような、純情な女の子じゃなくて、ごめん」心臓がバクバクする猛男は、大きな右手で大和の小さな右手を取った! そのまま腕相撲のような形にする猛男!「他にしてほしいことはないかぁ?」猛男は赤面した!「こ、このまま歩きたいかな?」「よし!」右手と右手で組んでいる為、社交ダンスのような格好で大和と歩き出す猛男! 途中でおかしい、と大和の両手を取ってくるりと回し、ようやく大和の右手と自分の左手を繋いで歩きだした猛男。「近所の公園でも行くか?」「うん」二人はそのまま歩いて行った。
手を繋ぎ、夕暮れの公園を赤面して歩く大和と照れと緊張で何やら酸っぱい顔になっている猛男。息を吐く大和「緊張しちゃう、手汗凄い」「俺もだぁ。大和、手を繋ぎたい時、俺は遠慮しなくていいということなんだな?」「うん」「大和も遠慮するな」「うん」愛とのやり取りから猛男が言った。『ピュアなところ』という言葉を思い出した大和。
     6に続く