羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

俺物語!! 1

2015-05-07 21:18:06 | 日記
朝の通学電車で、座席を大きく陣取るヤンキー数名を「ちょっとすいません」と軽く追い払った猛男は同じ電車で大和と顔を合わせた。電車が揺れ、大和がいる側の壁に手を突く猛男。体がデカ過ぎて壁ドンというり『壁がドン』状態。「朝の電車で会うの始めてだね」喜ぶ大和だったが、この時間の電車では遅刻すれすれらしい。話しているとまた電車が揺れ、大和は猛男の腹に頭をぶつけてしまった。さっきまで朝、会えた大和に(好きだぁ)等と内心思っていたが、物理的なトラブル? には冷静な対応の猛男。不動の構え!
その様子を同級生のアフロが見ていて感心していた。(俺ならキスする!)やや飛躍するアフロ。さらに電車が目的地に着くと大和は降り損ないそうになり、猛男は閉まるドアを強引に途中で止め、「行け!」と大和だけを降りさせ自分は終点行きの電車に残る様子もアフロは目撃し、尚かつ走り去る電車と「猛男君!」と大和がホームの端まで走って追う様子はスマホで動画を撮っていた。「くぅッ!」感動して泣き、去る猛男の乗った電車に敬礼するアフロ。
アフロは学校に着くと授業中だが、撮った動画をコメント付きでクラスメートに拡散した。感動を共有したかったらしい。男子からは共感されたが、女子からは猛男が大和と付き合っていること自体信じてもらえず『剛田君のこと好きになる子普通いないって』等と書き込まれる有り様だった。
「おお、こんなに綺麗に撮れるのか」下校時、当の猛男は砂川のスマホを借りて呑気に感心していた。「もう1回見ていいか?」気に入った猛男は動画を見ようとしたが操作を間違え、自分の顔面を撮ってしまった。このスマホ、カメラ位置どうなっとる??「ふふふ」ウケる砂川。猛男は憮然としてスマホを砂川に返した。
と、ここで何かが水に落ちるおとがした。
     2に続く

俺物語!! 2

2015-05-07 21:17:57 | 日記
「誰かかぁ! 子供が川にッ!!」 またトラブル発生! 今度は子供が川に落ち、流されてゆく!! 猛男は迷わず橋から川に飛び込みクロールで子供に向かう! 超人的泳力で着衣水泳の負荷をものともせず、猛男は子供を救出した!! 救出後、例によって母親は子供を受け渡した砂川にだけ「ありがとうございます!」礼を言った。今回はさすがに随分な母親だ!
「砂! 急ぐぞ!!」ずぶ濡れのまま、猛男は走り出した! 大和との待ち合わせの時間に遅れているらしい。砂川も続いた。いつもの公園で待っていた大和は駆け付ける猛男に気が付いた。「猛男君!」「大和ぉッ!」「エッヘヘヘ!!」喜ぶ大和。ずぶ濡れの猛男の事情を聞き「そっかぁ、飛び込んだんだぁ」とふんわり納得する大和。これに(好きだ!!)と白眼を剥いてときめく猛男。ときめくツボが独特!
大和はミニタオルをカバンから出すが、間に合いそうになく(受け渡し時、少し濡れた砂川にはこれで間に合うが目には入ってない)「帰って着替えてきてもよかったのに」と言ったが「大和を待たせたくなかった」と真顔で猛男が答えると、「はぁぁ!」大和は惚れ直した。見詰め合う二人。「電話かメールすればよかったんじゃないの?」砂川は冷静に突っ込んだ。「砂! お前頭いいな」「前から思ってたけど賢いよねぇ!」ハッとする二人。
砂川は鞄から学校の体操着を取り出した。「ジャージ有るけど着る?」「おお、悪いな」猛男はその場でタイを解き、Yシャツを脱ぎ出した。ムキムキの上半身が露となり、大和は赤面して顔を背けてしまった。「すまん!」慌てて胸元を隠す猛男!「ううん!」大和は赤面したまま顔を振った。
(彼女というのは用も無いのにメールや電話をしてきたり)猛男感慨に耽りつつ砂川のジャージに着替え、サイズが違い過ぎてそれを伸び伸びにしながら
     3に続く

俺物語!! 3

2015-05-07 21:17:48 | 日記
大和と砂川とベンチに座った。大和はカットしてビニール袋に小分けした苺とバナナのロールケーキを取り出した。「これね、今度友達に焼いてくれって頼まれてて」(誕生日でもないのにケーキを焼いてくれたりもするもんなんだな)猛男は感心しながらケーキを食べた。砂川も横でモソモソ食べる。「美味いぞぉ」「猛男君、なんでも美味しいって言うし!」感激する大和。「美味いよな! 砂!」「ん」短く答える砂川。
(なんでも無いのに嬉しそうに笑ったりするものなんだな)考えながら大和の笑顔を見詰めていた猛男はふいに顔を近付け、大きな片手を大和の頭の左側に置いた。動けない大和! 猛男は大和の髪の辺りで指を動かし、何かをそっと摘まむと手を大和から離し、頭上で手を開いた。小虫が飛んで逃れてゆく。「虫だぁ。もう取れた、大丈夫だ」大和は照れたままだ。砂川も自分の両肘を両腿に乗せ、心を無にしてやり過ごしていた。「ああ、すまん! 触って悪かった」「ううん! ありがとう」(さっきも赤くなっていたなぁ、純情なんだな。昔、アマレス女王だったうちの母ちゃんとは違う!)若かりし母の勇姿を思い浮かべる猛男。
夜になり、砂川はベンチから立ち上がった。「じゃ、俺、帰るから」「おう」随分長く付き合った砂川。「ジャージ洗って返してねぇ」軽く手を振ってさる砂川。洗っても伸びた生地は戻るまい。(さりげなく二人切りにしてくれたなぁ。気の利く男だ!)親指を立て砂川のアシストを讃える猛男。「公園通って行かない?」大和は砂川が帰ったように公園の端? から最短で出てゆくのではなく、中を進んでゆこうと誘った。「遠回りじゃないのか?」星が綺麗だという大和。猛男は付き合うことにした。
木立の中の道を進んでゆく猛男と大和。天の川も見え、猛男は見とれた。
     4に続く

俺物語!! 4

2015-05-07 21:17:38 | 日記
「この辺、誰もいないね」「そうだなぁ、静かだ」立ち止まる大和。猛男も振り向き、立ち止まった。「二人きりだね」しばらく大和を見て考えていた猛男。「ハッ」猛男的には思い至った!「安心しろ大和!」「え?」「ちゃんと大人になるまでは、大和に指一本触れないから!」「あ、ありがとう」猛男は爽やかに微笑んで見せた。「じゃあな」「おやすみ」猛男は大和を家まで送り届けた。(大切にしよう。全身全霊を賭けて、大和を大切にしよう。今日はいい日だった)大和は2階の自室のカーテンを開け、猛男が帰って行った方を見詰めた。
「ただいま」砂川も自宅に帰ってきた。「ああ、真。おかえり」奥から中々迫力の有る声の砂川の姉、愛が出てきた。ギョッとする砂川。「姉さん、帰ってたんだ」「うん」美人の姉。砂川より数歳は歳上だろうが場合によっては17歳かもしれない。電話で駆け付けた女神かもしれない。「はい、これお土産~」紙袋を差し出す愛。「猛男は? 一緒じゃないのぉ? たくさん有るから一緒に食べれば? 呼べばぁ?」といいつつ自分で呼びに行こうとウキウキと三和土に降りてゆく愛。
「あいつは彼女送ってった」砂川が答えると、玄関のドアを開けたところだった愛は硬直した。「彼女だきたんだよね、猛男」「え? 猛男に彼女? え? アハハ、うっそ~またまたぁ」冗談だと思いたい愛。「本当だって、結構可愛い」パタンッ。玄関のドアが閉じ、愛は三和土にへたり込んだ!「う、ぐぅ」さめざめと泣く愛!! 唖然とする砂川。「嘘でしょぉ~」号泣する愛!「もしかして姉さん、猛男のこと好きだった?」「う、う、うぇッ!!」上がり框の辺りに伏して泣く愛。「マジで? 知らなかった。いつから?」愛は上がり框から両腕を伸ばし、砂川の両足を掴むとグイッと自分を廊下の方に引き寄せた。
     5に続く

俺物語!! 5

2015-05-07 21:17:28 | 日記
「どんな女?!」泣き顔のまま顔を上げた愛!「騙されてるんじゃないの?」砂川の体をわしわしと掴んで廊下に体を起こす愛! たぶん土足。「猛男、おめでたいから! 猛男に彼女なんてできる訳無いじゃん! あんなむさ苦しい巨大ゴリラに彼女なんか!」泣いて喚く愛。「好きなの嫌いなのどっち?」呆れてきた砂川。「利用されてるんじゃないの?! ボディーガード用にされてるとかじゃないの?」「幸せそうだよ。俺、ガチで両思いって始めて見た」涙が止まらない愛。涙を拭う愛。「会わせなさいよ、その女! 女にしかわかんない女の本性があんのよぉッ!!」急に好戦的になる愛!「ああ、そうなの」「あたし以外に猛男を好きになる女がいるなんてあり得ない! 絶対おかしい! 会わせてよ猛男の彼女に!!」愛、凄い勢い。「やだよ、なんか揉めそう」「なんでよ、会わせてよ! どうせ猛男、ダッサいままなんでしょう?! 変な髪型のままなんでしょう?!」「ホントに好きなの?」「ケータイ貸しなさいよ!」「ちょっと」愛は砂川のスマホを強奪した!!
実際、何か隠し事があるらしい大和だったが、メールで正直に猛男に伝えられまま、クッキーを渡すとごまかして約束してしまった。そして当日、「いい加減、俺連れてくの止めたら?」もっともなことを言う砂川を強引に連れて、猛男は約束の公園に向かっていた。猛男は大和は純情で二人だと緊張するから砂川がいた方がよいと考えていた。その砂川の位置を、サングラスを掛けた愛はGPSで探知していた! 行き先の公園に目星を付け先回りする愛!(さて、どいつだ?)公園を見回す愛! 地味な眼鏡の女学生! 謎のゴスロリ娘!(あ、可愛い~)大和を認め、見た目の可愛いさにほだされる愛!「あ、猛男く~ん!」接近する猛男達に手を振る大和!(マジか?!)想定外の猛男の彼女のルックスにショックを受ける愛!
     6に続く