羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

アルスラーン戦記 6

2015-05-20 21:11:03 | 日記
若いルシタニア兵は好色そうなルシタニア兵を追った。「その娘を離っ」路地裏では好色そうなルシタニア兵が小剣を持つ娘によって殺害されていた! 娘は速攻で若いルシタニア兵に襲い掛かった! 小剣の一撃を剣を抜き切らぬまま刀身で受ける若いルシタニア兵! 1合、2合とかち合い、鍔迫りになる二人!「貴様、ただの町娘ではないな?!」「そちらもボンクラなルシタニア兵ではないようだ」声色を作るのを止めた娘?「ルシタニア国将軍、バルカシオン伯爵に仕える見習い騎士、エトワールだッ!」エトワールが小剣を弾き、押し返すと娘? は飛び退き、宙返りして後退した!
「娘! 名を名乗れッ!」「生憎、名乗る程の名は持ち合わせておりませぬゆえ!」エトワールの剣を跳んで避け蹴りを入れる娘?! ニノ太刀も避け、三ノ太刀も回転して避け、四ノ太刀は避け切れず受けた!「卑怯者!」噛み合った刃を外し、横一閃するエトワール! 屈んで避けられた! 娘? は屈んだまま下腹辺りを斬り付けてきたが宙返りで避けるエトワール! 空中で娘? の頭巾を掴み引き剥がした!
「捕まえっ?」頭巾と一緒に鬘も取れた! エラムだ!(男?!)驚いて着地したところを屈んだままのエランに斬り付けられるが避け、上段から打ち掛かろうとするエトワール! エラムは両手で地を跳ね上げるようにして右足でエトワールの胸を蹴り飛ばした!!「がぁッ?!」後ろの粗末な木製の壁を破り、倒れるエトワール! そこでは奴隷達が溜まっていた。「ルシタニア兵だ!」驚く奴隷達。「奴隷か、下がっておれ!」自分を取り囲み出した奴隷達に指図するエトワール。「いつだ?! いつになったら自由にしてくれるんだ?!」「中から城門を開けるのを手伝ったんだぞ?!」「解放してくれるって約束だろう?!」「あんたらを信じて、俺は主を殺したんだぞ!!
     7に続く

アルスラーン戦記 7

2015-05-20 21:10:55 | 日記
なのに何もしてもらえてない! このままじゃ飢え死にだ!!」勝手な言い分の奴隷達! エラムは下がり出した。エラムは壁の隅の小箱に駆け上がり、「待て!」エトワールの制止を無視し、壁上段の作業用? の杭に足を掛け、壁の上を駆け去って行った! 追おうとするが腕を掴まれるエトワール!「自由を!」「早く!」エトワールは興奮する奴隷達に囲まれ身動きが取れなかった。
包囲を破った経緯は不明だが、密かに山を降りていたアルスラーン達はとある馬小屋にいた。エラムはそこに戻り、報告した。「王都は完全にルシタニアに落とされておりました」「父上は?」「兵士も街の者も王がどこにいるのか知らぬよでした」「そうか」気落ちするアルスラーン。「それからカーラーンが殿下を捕らえようと兵を率いて城を出ました。千騎以上はいましたね」「何? 私を捕らえる為に、いささか大袈裟ではないか?」座っていたアルスラーンはナルサスを振り仰いだ。「彼らは我々の数を知りませんから。それに殿下は歩く大義名分。あなたを陣頭に推し立ててれば、ルシタニアに抵抗する勢力を糾合できます」エラムは化粧を落としていた。
「だが、どうやって見付け出すつもりなのだろう?」「私がカーラーンなら、まず、どこか適当な村を襲って、焼きます」衝撃を受けるアルスラーン。「村人を殺し、それを布告し殿下を脅迫するのがまず一つ。出頭しない限り、次々と村を焼き、罪無き者を殺します。他にも色々ありますが」「待て! カーラーンがそこまでするだろうか? 彼は武人だ!」「王と国を売った、模範的な武人ですな」アルスラーンは項垂れた。
「ナルサス、カーラーンがどこの村を襲うか、わかるか?」「わかります。彼の部隊が案内してくれます。後ろに付けばよろしい。そうなさいますか?」「すぐに出る! 鞍の用意をッ!」アルスラーンは立ち上がり、
     8に続く

アルスラーン戦記 8

2015-05-20 21:10:48 | 日記
馬小屋の外へ出て行った!
エラムが鞍の用意をし、アルスラーンももそもそと、その手伝いをする中、ナルサスとダリューンは馬小屋で話していた。「ナルサス、カーラーンは単純な男ではない。白昼あからさまに隊を組んで王都を出る等」「殿下を誘い出す罠か、有り得ることだ」「なぜお止めせん」「ダリューン、俺は結構あの王子の器量に期待しているのだ。どのみち、カーラーンの口からでなくては、裏面の事情も知りようが無い。獅子の仔を捕らえる為に獅子の巣に入り込むのも、時にやむを得ん」「お前、殿下が村を救いにゆかぬ時は、見放すつもりだったのではないか?」小さく笑うナルサス。「ダリューン! ナルサス。早く出よう!」外からアルスラーンが急かしてきた。ダリューンとナルサスは少し笑い合った。
峠でルシタニア兵の一団と出会しそうになったギーヴは面倒を嫌って、馬に緩い崖を昇らせ、路を開けてやり過ごすことにした。(噂通り、辺りの村はかなりやられてるなぁ)馬の背に戦利品をあれこれ積んでいるルシタニア兵達。(ま、俺には関係無いよね)ギーヴはさっさと去ろうとした。と下方のルシタニア兵達が通った路の後を一人の薄着の女が馬を進めている。かなりの美人だ! そしてかなりの薄着だッ!!!
目を奪われたギーヴは馬を下方の路に向かわせた。膝を叩くギーヴ!「んん~ッ。滅多にいない良い女だ! 若い分、嘘つき王妃を上回るな」タハミーネ本人は別に嘘をついてない。「この先には先程のルシタニア兵が、あの御婦人が襲われてしまう。そこを、俺が助ける」企み出したギーヴ。「当然ながら俺には感謝と敬愛の念を抱く、そして何か御礼をしなくてはと考えるだろう。そうなるだろう。そうなるといい。そうなるべきだ!!」ギーヴは馬の横腹に鐙を入れ、走らせた。
ギーヴの狙い通り、峠路の先で薄着の美人はルシタニア兵に
     9に続く

アルスラーン戦記 9

2015-05-20 21:10:38 | 日記
絡まれていた。「女、一人でどこへゆくつもりだ?」「俺達が戦勝ルシタニアの兵と知っての態度か?」解りやすいゴロツキ風のルシタニア兵達。「おお、幸運の女神アシよ!」ギーヴが馬で来た。「あなたの信徒の内でもっとも容姿端麗なこの美丈夫に、早速御加護を垂れたもうたか?!」ルシタニア兵達が困惑していると、薄着の美人はさっさと馬を進めて行った。
「あ、待て! 女!」薄着の美人は振り返り様に弓を構えていた! 一発で呼び止めたルシタニア兵を仕止める薄着の美人!「貴様!」と言った側から射殺されるルシタニア兵。馬を走らせながら続け様に矢を放ち、追う次々ルシタニアを射殺す薄着の美人!! 転がってくる死体に困惑するギーヴ!「おい、冗談! このままでは恩を売る機会が無くなってしまう!!」後ろから馬で追い縋り、一人、二人と斬り捨ててゆくギーヴ!「何?!」振り返ったルシタニア兵を斬り捨てるギーヴ! 残り2騎は逃げて行った。
「危ういところでしたな御婦人」危うくはなかったが、剣を納めたギーヴは予定通り口説き出した。「このギーヴが、たまたま通り掛からなかったら、あ?」薄着の美人はさっさと馬を進めて行った。「シカト?」呆然とするギーヴ。「お待ち有れ! そこの御婦人!」止まらない薄着の美人。「そこの美人!!」止められない。『相手にされない』ことが信じられないギーヴ。「そこの絶世の美女ッ!!!」止まった。「私を呼んだか? ただの美女というならともかく、絶世の美女と言えば、そうはおらぬゆえ」取り敢えず笑顔で答えてみるギーヴ。馬を近付けた。「いやぁ、あなたの美しさに加え武芸の冴え、感服致しました。我が名はギーヴ。旅の楽士ながら美を愛でる心は王公貴族にも勝る程と自惚れている。今乏しい詩心を奮って、あなたを賛美する詩を作ったとこだ。その姿、糸杉の如くスラリと伸び、黒き髪は夜空の一部を
     10に続く

アルスラーン戦記 10

2015-05-20 21:10:30 | 日記
を切り取り、瞳はエメラルドのぉ」「お主」黙って聞いていた薄着の美人は遮った。「吟遊詩人としては独創性に欠ける」「まぁ、詩人としては確かに未熟でござるが、重ねて言うが、美と正義を愛する心は古の大詩人にも劣らぬつもりだ。だからこそ、都合よくあなたをお救いできた」「都合よく? お救い?」「よろしければ、名を聞かせてくれないか?」「私の名はファランギース。クゼスターン地方のミスラ神殿に仕える身じゃ。使者として、王都エクバターナに遣わされてな」
「おお、ミスラ神! 俺はアシ女神に次ぐ尊敬をミスラ神に対して御払い申し上げている。ファランギース殿とはただならぬ因縁。いや運命と言っ」「だが、王都は既に落ちたという。すごすご帰る訳にも行かず、ともかく今夜の宿を、と思っている内にルシタニアの犬供に出会ってしまった。道々見てきたが、奴等の蛮行はまことに酷いことであった」「おお、それは俺も見てきたぞ。奴等神に仕えると言いながら、慈悲慈愛の心を全く持ち合わせておらん」「パルス人の中にも、どさくさに紛れて神殿の財を掠め、王都を捨てる輩がいるとか」ギーヴは奪ってたらしい袋からはみ出しそうな財宝を慌てて隠した。「このファランギース。神に仕える身として、まことに嘆かわしく思う」「でぇ? どのような御用が御有りだったのかな?」「王太子、アルスラーン殿下の元へ、参ろうとしておったのじゃ」ファランギースは神妙な顔で語った。
カーラーン隊は村を焼いていた。「なぜパルスの兵がパルス人を襲うのですか?!」「何があったのですか?」村人達はカーラーンに訴えた。「焼き殺せ! 但し男達だけだ。近隣に触れ回れ! アルスラーンとその一党を匿えば女子供も皆殺しにするとなッ!!」カーラーンは命じ、村人達は悲鳴を上げ、男達は殺し尽くされた!!!
・・・ファランギースとタハミーネが似とるッ!!