情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

犯罪収益移転防止で報告義務を拡大化する前に「ナ●オヤスコ」の口座を照会してくれ!

2007-03-25 17:39:29 | ゲートキーパー(一億総密告社会)制度
犯罪収益移転防止法には、業者側に届出義務が課せられたり、警察に立入調査権限が与えられたりするが、そんな必要ないということがよ~く分かる事実がある。画像を見て頂きたい。これはクリック詐欺という奴でしょうかね。自らブログなどにTBして、そこを訪問した人に興味を引くような話題の画像・映像を見させようとしたうえ、あるボタンをクリックすると、このようなとこに一気にとんで、さぁ、4万5000円払いなさいよ…と請求する。支払い期限は3日以内だと脅し、弁護士などに相談に行く暇をあたえず、さらに、本当は7万9000円のところ、2日以内に払えば特別に4万5000円にするというだめ押しぶりだ。

しかも、ご丁寧に、①IPアドレスとはコンピュータ1台1台に割り振られた識別番号だ、とか、②リモートホストとは、Webユーザーがその組織に所属しているのか、どんなプロバイダを利用しているのかを知ることが出来るとか、③プロバイダとはインターネットに接続するための仲介業者で延滞するとこちらからも個人情報の開示をすることがある、④指定期日内に入金が確認できない場合、お客様を調査の対象とする場合がある、などと脅している。

しかも、少し戻ってチェックすると、規約なる欄があって、そこを読むと長々しい文章が書いてあり、7万9000円という費用が発生すると書いてある。そうすると、規約を「前提」にクリックした以上、何となく払わなきゃいかんのかなぁと思ってしまう人もいるのだろう。会社や自宅のパソコンを使っていて、上司や家族にばれると困るって悩む人もいるだろう。

しかし、これは立派な詐欺/恐喝やね。現在の刑法でも十分取り締まれる。ご安心下さい。あっ、慌てて振り込む人がいないように口座番号は抹消しておきました(笑)。

さて、犯罪収益移転防止法案には、金銭の流れからこのような犯罪を防ぐために、口座の売買自体を犯罪化する条文が規定されている。26条だ(下記引用)。

すなわち、1項で、他人の名義で振り込ませるために預金通帳などを譲り受けた者を50万円以下の罰金に処し、2項で譲った側にも同様の罰則を規定している。そして、3項でこれを繰り返し行った者は、2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金と定めている。確かにこのような規定は効果があるだろう。

しかし、この規定の犯罪を検挙するために、届出義務や立入調査権限が必要だろうか?否!だって、現にネット上にこのような情報は出回っているじゃない。ヤミ金被害や振込詐欺被害の相談を受けた弁護士から情報を収集すれば、いくらでも検挙できるのではないか。

昨日紹介した東京新聞の記事によれば、【二〇〇六年度中に、金融機関で「疑わしい」とされた取引は約十一万四千件あり、約七万一千件が捜査機関に届け出られたが、事件化したのは五十件で、大半は振り込め詐欺だったとの分析から「広範囲な監視と、人権やプライバシーとのバランスが著しく欠ける」との声も】というが、まったくもっともな話で、7万1000件もの届出を受けて確認するよりも、一日インターネットを検索した方がよっぽど効果的だ。税金の無駄遣いも甚だしい!

まず、犯罪収益移転防止法で届出義務を拡大する前に、この「ナカオヤスコ」なる者の口座について、照会をかけることから始めてもらえないか?

…えっ、このクリック詐欺は何の画像が見られるものだったかって?…それは、言えんな。

そうそう、条文をご紹介する前に、「STOP ! 改憲手続き法  3・26国会へ行こうアクション」のお知らせをしておきます。このビラを読んで、明日3月26日、午後6時、衆議院第2議員会館前に集合しよう!光り物、プラカードなど歓迎とのこと、楽しく阻止しよう!

■■条文引用開始■■

第二十六条
1 他人になりすまして特定事業者(第二条第二項第一号から第十五号まで及び第三十二号に掲げる特定事業者に限る。以下この条において同じ。)との間における預貯金契約に係る役務の提供を受けること又はこれを第三者にさせることを目的として、当該預貯金契約に係る預貯金通帳、預貯金の引出用のカード、預貯金の引出し又は振込みに必要な情報その他特定事業者との間における預貯金契約に係る役務
の提供を受けるために必要なものとして政令で定めるもの(以下「預貯金通帳等」という。)を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者は、五十万円以下の罰金に処する。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者も、同様とする。

2 相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同様とする。

3 業として前二項の罪に当たる行為をした者は、二年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

■■引用終了■■















★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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【犯罪収益移転防止法案】45万所もの事業所に無令状で立ち入り検査可能~警察国家と化す日本

2007-03-24 22:14:02 | ゲートキーパー(一億総密告社会)制度
東京新聞特報面が民主主義を守るために頑張っている。昨日は憲法改正国民投票法案、今日は一億総密告社会法案(犯罪収益移転防止法案)を取り上げている。一億層密告社会法案は、警察が裁判所の捜査令状なくして事業所45万カ所に立ち入り調査を行うことを可能にするものであり(ここ←参照)、まさに、警察天国日本、適正手続き無視の国日本となりそうだ…。


■■東京新聞引用開始■■

政府の犯罪収益移転防止法案が二十三日の衆院本会議で、自民、公明、民主党など賛成多数で可決した。ゲートキーパー(門番)法案とも、反対派からは密告義務化法案と呼ばれる同法案。「監視と人権のバランスに欠ける」との批判もあるのだが-。

 「銀行取引や土地売買、宝石購入も対象。社会的ストレスをはらみ影響は深刻」「ひとつ間違えると自由な取引関係や顧客との信頼関係を破壊することになる」-二十三日、本会議に先立つ衆院内閣委で、参考人の田中隆弁護士は指摘した。

 同法案は「犯罪組織のマネーロンダリング(資金洗浄)防止が目的」とされる。金融機関、不動産業者、貴金属商など三十八業種を「門番」とし、(1)顧客の本人確認(2)取引記録の七年間保管(3)犯罪の疑いのある取引の監督官庁への通報-を義務づける。

 しかし、「疑い」という要件があいまいとの声も。全国五十万近い対象事業所は、あいまいさに振り回され、顧客と通報義務の板挟みになると想定されるからだ。

 また、金融機関に対し、疑わしい取引を金融庁に届けるよう義務づけた現行の「組織犯罪処罰法」に罰則はないが、ゲートキーパー法案では、法人に三億円以下の罰金、個人に二年以下の懲役か三百万円以下の罰金が備わる。同法案に詳しい東京都内の弁護士は「業者が、とりあえず何でも届け出ないと危ないと考え、密告社会になる可能性も」と警告する。

 二〇〇六年度中に、金融機関で「疑わしい」とされた取引は約十一万四千件あり、約七万一千件が捜査機関に届け出られたが、事件化したのは五十件で、大半は振り込め詐欺だったとの分析から「広範囲な監視と、人権やプライバシーとのバランスが著しく欠ける」との声も。

 そもそも同法案作りは外圧がきっかけ。経済協力開発機構(OECD)加盟国でつくる「金融活動作業部会(FATF)」が〇三年六月に、テロ資金、資金洗浄対策として、金融機関に加え不動産業者、弁護士、公認会計士などにも通報を義務化するよう勧告。政府は〇五年十一月に、届け出先を金融庁から警察庁へ移管することを決め、当初は五十業種を対象に法案作成に動いた。

 しかし、日本弁護士連合会や与野党から「弁護士の守秘義務は依頼人との信頼関係の源。通報制度は、司法制度の根幹を揺るがす」との猛反発が出たため、弁護士や公認会計士など「士業」と呼ばれる五業種には通報義務を課さないことに。日弁連が、俗に“勝利宣言”と呼ばれた声明で、これを評価したのち、法制化は一気に進んだ。

■問題ない情報 海外“流出”も

 ただ、「このままでは膨大な情報が警察庁に集まり、そのまま十五年間も保管される」と懸念する弁護士も。「問題のない口座取引情報でも外国捜査機関の要求があれば、原則、提出されてしまう」(社民党・保坂展人衆院議員)との声もある。

 それでも、同法案は「〇七年度の警察庁予算に関連経費が計上されているという理由で、審議が不十分なまま猛烈な勢いで法制化に向け動いている」(都内の弁護士)

 弁護士を除く四「士業」(司法書士、行政書士、公認会計士、税理士)は関係省庁への通報義務こそ免れたものの、顧客の本人確認と取引記録の保存が課せられる。

 日本司法書士会連合会の船橋幹男常任理事は「立ち入り検査が最大の問題として残った」と複雑な表情だ。同連合会は昨年、総会で法案反対を決議していた。

 法案は警察がこの四士業について立ち入り検査し、業務について質問する権限を与える。質問を拒めば、最高で懲役一年、罰金三百万円が科せられる。司法書士には簡易裁判所での弁護権があり、顧客への守秘義務が侵される恐れもある。

 「運用次第で法がいくらでも拡大解釈される可能性があり、施行後の懸念は尽きない」と船橋氏は語る。

 貴金属商など一般業者に通報が義務付けられた点について、ジャーナリストの大谷昭宏氏は「実際には治安改善にはつながらない」と言い切る。

 「盗犯担当の刑事が一軒一軒、貴金属商を回って信頼関係を築き、店側も怪しい人物が盗品を売りに来れば連絡するのが、従来の慣行だった。だが、こうした法ができてしまうと、逆に反発を生むのが世の常。違反してない限り、何をやってもいいという風潮を助長しかねない。暴力団対策法が典型例で、逆に暴力団捜査は難しくなった」

 通報義務からはずれた弁護士はどうか。二十三日午前の衆院内閣委で参考人として発言した一橋大大学院の村岡啓一教授(刑事法)は「日弁連は反対運動の成果と喜んでいるが、火種は残っている」と警鐘を鳴らす。

 村岡氏の懸念は、今秋にも日本が対象になるFATFの相互審査にある。加盟国が互いの履行状況を確認する作業だ。

 マネーロンダリング対策では審査項目は四十あり、各項目とも四段階評価。十六項目に弁護士の通報義務があり、この点で日本が最低の「不履行」と評価されることは避けられない。

 「政府はこの評価を根拠に『国際ルールの順守』を訴えて法改正を迫るだろう。実際、法案の付則二七条には『国際的動向等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする』と記されている」(村岡氏)

 ちなみに昨年の審査は米国が対象だった。米国も弁護士の通報義務を定めておらず、不履行と評価されたが、現在も立法化の動きはない。カナダ、オーストラリアも“不履行”だ。

 「結局、OECDは仲良しクラブであって、その取り決めの正当性がいかほどで、どこまで拘束されるのかといった肝心な点が日本では検討されていない。通報義務を導入した欧州連合(EU)各国でも疑問がわき出て現在、欧州司法裁判所で争っている状況だ」

 すでに導入している英国の弁護士会会長は昨秋のFATF会合で、日弁連代表団に「英国の例にならうな」と励ましてきたという。

 日弁連の松坂英明副会長は「英国の弁護士会はテロ事件に敏感な世論に配慮して通報義務を導入した。その結果、年間通報数は一万件を超える。あちらの会長は『自由というのは少しずつ削られていく。最初に妥協したのが失敗だった』と悔やんでいた」と話す。

 マネーロンダリング対策を掲げるゲートキーパー法案だが、大谷氏は政府の真の狙いをこう説く。

■「立法の趣旨はチクリなさい」

 「法の趣旨は一言で言えば“チクリなさい”。共謀罪法案や個人情報保護法と同じ流れだ。情報はお上に上げればよい、横同士が共有するとろくなことはない、という意図がうかがえる。要は戦前の隣組の復活、相互監視が狙いですよ」 

<デスクメモ> 犯罪収益の疑いある客のことを通報しないと、懲役や億単位の罰金の危険-それにおびえた業者が無実の客を通報するケースが心配だ。客は通報の事実を知らされないから、弁明もできない。「疑い」も抽象的だ。厳罰化やマイノリティー白眼視の空気が強まる中、この制度がモンスター化する危険はないか。 (隆)

■■引用終了■■









★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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密告義務法(犯罪収益移転防止法案)の運用は個人情報保護法無視!

2007-03-23 02:24:43 | ゲートキーパー(一億総密告社会)制度
個人情報保護法には、自分に関するデータについて、訂正削除を求める次のような条文がある。

第二十六条
1 個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データの内容が事実でないという理由によって当該保有個人データの内容の訂正、追加又は削除(以下この条において「訂正等」という。)を求められた場合には、その内容の訂正等に関して他の法令の規定により特別の手続が定められている場合を除き、利用目的の達成に必要な範囲内において、遅滞なく必要な調査を行い、その結果に基づき、当該保有個人データの内容の訂正等を行わなければならない。
2 個人情報取扱事業者は、前項の規定に基づき求められた保有個人データの内容の全部若しくは一部について訂正等を行ったとき、又は訂正等を行わない旨の決定をしたときは、本人に対し、遅滞なく、その旨(訂正等を行ったときは、その内容を含む。)を通知しなければならない。

他方、もっとも個人情報を管理しているのはどこか?それは政府であることは間違いない。

それでは、政府が自分について誤った情報を持っていたとしたら、当然、訂正、抹消を求めることが出来なければならないはずだ。

しかし、保坂議員のブログによると、マネロン対策を口実にして、金融庁が収集している情報は、15年は消さないという。しかも、今後は、データ収集先が警察庁に移管されるため、これまでは、『疑わしい取引』として届けられたが、捜査機関には提供されなかったデータも含めて丸ごと監視対象になるというのだ。

それにもかかわらず、そのデータが漏洩したり、間違ったものであったとしても、国民や事業者の側からは確認のしようがないというのだ。

それじゃぁ、個人情報保護法で守ってくれるはずの国が一番個人情報を保護していないことになる…。

権力に個人情報を握られることの怖さは計り知れない。特に政府が間違っているときに間違っていると声を挙げようとする人がねらい打ちに遭い、政府丸儲け、市民丸損という社会になってしまうことを恐れる。

密告義務法(犯罪収益移転防止法案)の成立に反対の声を挙げよう!






★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
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【転載熱望】てぇへんだ!企業情報が警察にじゃじゃもれだ!~犯罪による収益の移転防止に関する法律案

2007-02-16 07:52:59 | ゲートキーパー(一億総密告社会)制度
今回の記事はいつもにも増して1人でも多くの方に知ってもらいたい。特に公認会計士や税理士、司法書士などの業界関係者、企業団体の方には、この事実を知り、よく考えてもらいたい。このほど、「犯罪による収益の移転防止に関する法律案」が明らかになった(法案はここ)。それによると、警察が、公認会計士事務所や税理士事務所に思うままに立入調査できることになるようだ。日本の企業の重要な情報を警察がいつでも簡単にアクセスすることになる。テロ対策を口実に、警察が国民にテロをしかけているというほかない!!

まず、法案2条2項及び4条1項によると、法案の規制の対象となる特定事業者として、
四十 司法書士又は司法書士法人
四十一 行政書士又は行政書士法人
四十二 公認会計士(公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第十六条の二第五項に規定する外国公認会計士を含む。)又は監査法人
四十三 税理士又は税理士法人
が含まれることとなる(弁護士は、4条1項で除外)。


そして、14条で立入権限が規定されている。

「第十四条 行政庁は、この法律の施行に必要な限度において、当該職員に特定事業者の営業所その他の施設に立ち入らせ、帳簿書類その他の物件を検査させ、又はその業務に関し関係人に質問させることができる。」


そのうえで、是正命令…。

「第十六条 行政庁は、特定事業者がその業務に関して第四条第一項から第三項まで、第六条、第七条、第九条第一項若しくは第二項又は第十条の規定に違反していると認めるときは、当該特定事業者に対し、当該違反を是正するため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。」


そして、警察が【裁判所の令状もなく】勝手に立入出来ることが明文に規定される。

「第十七条1項 国家公安委員会は、特定事業者がその業務に関して前条に規定する規定に違反していると認めるときは、行政庁(都道府県公安委員会を除く。以下この条において同じ。)に対し、当該特定事業者に対し前条の規定による命令を行うべき旨又は他の法令の規定により当該違反を理由として業務の停止その他の処分を行うことができる場合にあっては、当該特定事業者に対し当該処分を行うべき旨の意見を述べることができる。

2項 国家公安委員会は、前項の規定により意見を述べるため必要な限度において、特定事業者に対しその業務に関して報告若しくは資料の提出を求め、又は相当と認める都道府県警察に必要な調査を行うことを指示することができる。

3項 前項の指示を受けた都道府県警察の警視総監又は道府県警察本部長は、同項の調査を行うため【特に必要があると認められるときは、あらかじめ国家公安委員会の承認を得て、当該職員に、特定事業者の営業所その他の施設に立ち入らせ、帳簿書類その他の物件を検査させ、又はその業務に関し関係人に質問させることができる】。」


 いいですか、警察が、裁判所のチェックを受けることもなく、【特に必要があると認められるときは、あらかじめ国家公安委員会の承認を得て、当該職員に、特定事業者の営業所その他の施設に立ち入らせ、帳簿書類その他の物件を検査させ、又はその業務に関し関係人に質問させることができる】んですよ。これって、完全な警察国家ですよ。

 公認会計士、税理士などの手元にある企業情報、個人情報に警察は、いつでもアクセスできる。

 しかも、公認会計士、税理士が顧客の利益を守ろうとして、調査を拒否すると…その者は最長1年の懲役と最大300万円の罰金が科される。

「第二十四条 次の各号のいずれかに該当する者は、【一年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科】する。
 一号 第十三条若しくは第十七条第二項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした者
 二号 第十四条第一項若しくは【第十七条第三項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者】」

そして、その公認会計士などが所属する法人には、最大2億円の罰金が…。

「第二十七条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一号 第二十三条三億円以下の罰金刑
二号 【第二十四条二億円以下の罰金刑】
三号 第二十五条同条の罰金刑」

…司法書士(法人)、行政書士(法人)、公認会計士・監査法人、税理士(法人)の皆様、こんな法律ができたら、皆さんの顧客はどう思うでしょうか?

そして、司法書士などを利用される企業の方はどう思いますか?

業界団体を挙げて阻止しないと大変なことになると思いませんか?

なお、この法案が成立することにより、疑わしい取引などについて銀行などからの届出をチェックしていた特定金融情報室は、金融庁から警察に移される(3条2項)。

 




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西村真悟議員、組織的犯罪処罰法違反無罪~資金洗浄を伴わず:大阪地裁

2007-02-08 09:40:05 | ゲートキーパー(一億総密告社会)制度
 自らの弁護士名義を他人に使わせて違法な報酬を得たとして、弁護士法違反と組織的犯罪処罰法違反の両罪に問われた衆院議員西村真悟被告(58)=比例近畿ブロック=の判決が7日、大阪地裁で下され、組織的犯罪処罰法違反については、「違法な報酬を得たとしても、弁護士法違反罪の中で評価されるべき性質だ」として、無罪を言い渡した。無罪となった。組織的犯罪処罰法を利用した弁護士活動の制約が何とかくい止められた。常識的な判決を下した大阪地裁中川博之裁判長らに拍手をおくりたい。

朝日新聞によると、大阪地裁は、弁護士法違反罪については、有罪の認定をした上、【組織的犯罪処罰法違反罪の成否について検討。同法の適用対象となるのは、違法行為者から犯罪収益を受け取った場合▽違法行為者が犯罪収益を資金洗浄(マネーロンダリング)した場合――にあたると指摘。西村被告は鈴木被告の非弁行為に主体的にかかわった共同正犯者であるとして、「西村被告が犯罪収益を受け取ったとしても、資金洗浄を伴わず、弁護士法違反罪の中で評価されるべき性質だ」として同処罰法違反の成立を否定した】という。

西村議員が行った行為自体は擁護できるものではない。しかし、その行為が組織的犯罪処罰法違反罪になるかと言われれば、ならないと答えるほかない。検察は、西村議員のような「悪徳弁護士」について、同罪を適用することによって、次に政府に逆らう人権弁護士に対し適用する素地をつくろうとしている。このことについては、以前にも書いたとおりだ(ここ←クリック)。

上記記事によると、大阪地裁の判決に対し、清水治・大阪地検次席検事は、「主張が認められず、極めて遺憾。控訴する方針で上級庁と協議する」と述べているらしい。

大阪高裁、最高裁でも、常識的な判断が下されることを期待したい。





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一億総密告社会にしてよいのか!パート13~警察庁が士業の届け出義務を撤回!

2007-02-02 05:16:02 | ゲートキーパー(一億総密告社会)制度
よかった!よかった!【犯罪組織のマネーロンダリング(資金洗浄)防止を目的とした「犯罪収益移転防止法案」(仮称)の策定を進めている警察庁は1日、法案に盛り込む予定だった弁護士らに課す措置から、短期間に多額現金の出し入れを繰り返す「疑わしい取引」の届け出を除外する方針を固めた。「弁護士制度の根幹にかかわる」として、日弁連が法案に反発。警察庁が方針を転換した】(共同配信神戸新聞)というのだ。

弁護士だけでなく、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士について、届出義務、すなわち、密告義務を除外するというのだから、これは非常に大きな成果だ。この件で、正月も土日もなく取り組んできた多くの方々、本当にありがとうございました。また、日弁連のみならず、全弁護士が上記広告のように積極的な反対運動を続けたからこそ実現できたと思う。そして、その運動を支持する表明をし、インターネットなどで危険性を訴えてくれた市民の方々の力も大きかった。東京新聞など数紙はこの問題をきちんと取り上げてくれた、これも大きい。共謀罪反対運動で培った経験が今回の法案反対にも生きたように思う。

今回の撤回については、参議院選挙を前に、激しい争点をつくりたくないという思惑があったのだろう。他方で、このような密告奨励法案について、与党内部でも批判がされたことも事実であり、与党内の良識派の意見を警察庁が汲んだ面もあるのではないだろうか。

いずれにせよ、弁護士らに通報義務を課すことは、密告社会の極みであり、今後も同じような制度が導入されそうになったら、徹底的に抗戦しなければならない。

また、弁護士らの密告義務は撤回されたが、この法案の問題点は必ずしもそれに止まらないようだ。国会でどのような議論が交わされるのか、注目しましょう!







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一億総密告社会にしてよいのか!パート12~海渡弁護士の解説、日本ビデオニュースにて

2007-01-31 06:51:26 | ゲートキーパー(一億総密告社会)制度
一億総密告法案(犯罪収益移転防止法案)について、海渡弁護士がロングインタビューに答えて、その危険性を訴えています。掲載されているのは、日本ビデオニュースのサイトです。有料ですが、できればご覧下さい。

死に体ブッシュとほとんど死に体安倍の接点
ゲスト(PART1):霍見芳浩氏(ニューヨーク市立大学教授)
ゲスト(PART2):海渡雄一氏(弁護士)

URLは:http://www.videonews.com/on-demand/301310/000964.php


■■以下、上記サイトから引用■■

ゲートキーパー法はマネーロンダリング(犯罪収益の移転)の疑いがある時に、それを警察に報告する義務を金融機関や税理士など50の職種に課すもので、安倍政権は今国会での成立を目指している。しかし、50の職種の中に弁護士が含まれているため、日弁連を中心に反対運動が広がっている。弁護士が依頼者の違法行為を警察に報告する義務を課されてしまっては、守秘義務も何もあったものではない。しかも弁護士は疑いがあるだけで報告が義務づけられ、報告を怠れば弁護士資格を失う可能性もある上、警察に報告した事実を依頼者に漏らしてもいけないという条件までつく。
 この法案が報告を義務づけているのは、マネーロンダリングの疑いがある場合に限定されているかのような表記があるが、実際には対象は犯罪収益全般に及ぶ。つまり、違法な事業を行っているテナント(例えば著作権違反など)に部屋を貸しているアパートの大家や、極論すれば暴力団から出前の注文を受けた寿司屋まで、この法案では報告義務の対象となる。そして警察は報告があれば、その口座を凍結できるのだという。つまり大家や寿司屋の銀行口座をである。
 弁護士の海渡氏は、「この法案が通れば、市民は弁護士に何でも相談ができなくなってしまう。また一方で、この法案が密告を義務づけているために、密告社会化を生めてしまう天下の悪法だ」と斬って捨てる。実際、この法律ができれば、市民社会はもはや弁護士を全面的に味方と考えることができなくなる一方で、法案の提出者である警察庁は、全ての業界を自らの監督下に置くことが可能となる。弁護士が警察の監督下に置かれることになる法律。それがゲートキーパー法の実態だと海渡氏は怒りを露わにする。
 海外ではイギリスを除いて、同様の法案が一度は可決したものの、差し戻されたり、違憲訴訟に敗れて廃止になったりしているというが、遅ればせながら日本は今になってそんな法律を通そうとしているのだ。
 「警察が本気で通したがっている法律に、面と向かって反論することで生じるリスクを負いたい政治家がいない」ことが、このような悪法が国会を通過してしまう最大の理由との海渡氏は言うが、実際にこの法律は政治家自身にも累を及ぼす危険性のある極めて危険な法律にも見える。
 今国会では悪名高き共謀罪も依然としてまだ継続審議となっているが、これは日本がすでに警察の恐怖政治がまかり通る時代に突入しているということなのか。もしそうでないのなら、与党はなぜこのような法律を作ろうとするのか。もともとこの法案はOECDのマネーロンダリング防止のための勧告に基づいたものだが、このような監視社会化を推進する世界の趨勢は一体どこからくるものなのか。海渡氏とともに考えた。

■■引用終了■■






★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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一億総密告社会にしてよいのか!パート11~密告と内部告発との違い

2007-01-28 06:17:25 | ゲートキーパー(一億総密告社会)制度
犯罪収益移転防止法(ゲートキーパー法)が成立すると一億総密告社会になるって批判しているが、犯罪を防ぐための密告は必要ではないか…こういう反論がありそうだ。現にある自民党議員はそう言い放った。

確かに、行政や企業などの違法行為を告発する者を保護する必要はある…。ところが、犯罪収益移転防止法は「個人」の違法行為について通報を義務づけるものだからレベルが違うように思う。

そもそも、密告と内部告発の違いは何か?それは、密告は市民が市民の(違法)行為を通報することであるのに対し、内部告発は市民が大きな組織の違法行為を通報することであるという点だ。(ここでいう密告は犯罪収益移転防止法を前提にし、内部告発は公益通報者保護法を前提にしています)

つまり、密告はどちらかというと密告をしたからといって密告者に不利益が生じることはないのに対し、内部告発はそれを行うことで解雇されたり、いじめられたりするなどの不利益を被ることがある。
そのうえ、告発の必要性は、個人の違法行為を対象とする密告よりも組織の違法行為を対象とする内部告発の方が大きいはず…。

ということは、法律上、内部告発に対する保護は、密告に対する保護よりも充実していないといけないことになる。


ところが、公益通報者保護法による保護を受けるためには、通報先に応じて保護要件が設定されており、

① 事業者内部への通報は:1)不正の目的でないこと
に過ぎないのに、

② 行政機関への通報は:1)のほか、2)真実相当性を有すること
というように要件が加わり

③ 事業者外部への通報は:1)及び2)のほか、3)一定の要件(内部通報では証
拠隠滅のおそれがあること、書面による内部通報後20日以内に調査を行う旨の通知がないこと、人の生命・身体への危害が発生する急迫した危険があることな
ど)を満たすこと
というような厳しい要件が付されている。(ここ←参照)。

つまり、人の生命・身体への危害が発生する急迫した危険がない限りは、原則として行政機関以外の外部への通報は保護されないのだ。

だとしたら、犯罪収益移転防止法においても、密告の前に「あなたがしている行為は犯罪収益の収受に当たりうるから、きちんと対応をするべきだ」という助言をする機会を設けるべきだと思うが、そのような制度設計にはなっていない。

明らかに、内部告発については、告発をさせない方向で制度設計されており、密告については密告しないとペナルティを受ける規定を設け、密告を奨励させる方向で制度設計されている。

行政・大企業の違法行為はできるだけ隠蔽し、市民の違法行為はそのおそれがあるだけでどしどし密告させる…こんな社会にしてよいのでしょうか?!

イラストはこちら(←クリック)よりお借りしました。赤字部分はヤメ蚊。






★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
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一億総密告社会にしてよいのか!パート10~自民党からも反対の声

2007-01-27 17:59:09 | ゲートキーパー(一億総密告社会)制度
 朝日新聞によると、【犯罪組織の資金洗浄などを防ぐ社会の門番役として、弁護士らに疑わしい取引の届け出を義務づける「ゲートキーパー(門番)法案」を巡り、自民党の内閣・法務・司法制度調査会の合同部会は26日、「議論が尽くされておらず拙速だ」として、予定されていた同日の部会承認を見送った。政府は「特急」で処理される「日切れ扱い法案」として年度内のスピード成立を目指すが、当初予定の2月2日の閣議決定は困難な情勢になった】という。

 同紙によると、【部会では、実質上初めての議論の場で承認を取ろうとする警察庁の姿勢に対し、慎重論が集中。「国民に全く知られていない法案を『日切れありき』で議論するのはおかしい」との意見も出た】らしい。

 聞いたところによると、賛成したのはわずか2名で、反対したのは8名。圧倒的に拙速な成立を危惧する声が大きかったようだ。

 もちろん、共謀罪にしても、【自民党法務部会(吉野正芳部会長)は25日午前の会合で、共謀罪を創設する組織犯罪処罰法改正案に関するプロジェクトチームを設置し、同法案の修正を検討する方針を決めた。通常国会の会期中に一定の結論を出す考え。吉野氏は「(同法案を)白紙に戻して部会で了承事項にするか、勉強会という形で議論して提言するかはこれから詰めたい」と語った】(時事通信)と伝えられるように、世論の反対を押してでも成立をさせようという姿勢を見せている自民党だけに、安心はできない。

 当面の目標は2月2日の閣議決定阻止だ!

 安倍内閣の閣僚(ここ参照←クリック)にあらゆる手段で抗議の意思を伝えよう!
Stand and Unite!

 




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一億総密告社会にしてよいのか!パート9~悪くないのに口座凍結…とんだ巻き添えも:東京新聞

2007-01-26 09:07:37 | ゲートキーパー(一億総密告社会)制度
「知らぬ間に警察の手先」~東京新聞が「収益の移転防止に関する法律案」の本質をつく記事を特報面に掲載した(下記)。密告社会が現実化されるこの法案に、共謀罪法案とともに全力で反対しましょう!(まずは、今日の東京新聞を買いましょう)

■■引用開始■■

 「マネーロンダリング(資金洗浄)の疑いがある行為を見かけたら、当局に通報すること」-弁護士など約五十の職種に、こんな義務を課す「ゲートキーパー(門番)法案」が国会に提出されそうだ。「国民を警察の手先にする“依頼者密告法案”だ」「共謀罪とともに、監視社会化を進める法案」と反対の声が上がっている。いったい、どんな法案なの?

 政府・与党からはゲートキーパー法案、反対派からは密告法案と呼ばれる「収益の移転防止に関する法律案」(仮称)は、「マネーロンダリング対策とテロ資金対策が目的」という。

 今でも、金融機関で顧客の本人確認などのマネロン防止策が取られているが、新法が成立すると、金融機関だけでなく、約五十の職種が▽本人確認▽疑わしい取引を見つけた場合の当局への届け出-などを求められるようになるという。

 対象職種は金融機関、ファイナンス・リース業者、クレジットカード会社、宅地建物取引業者(不動産業)、貴金属取引業者(宝石店、貴金属店)、郵便物受取業者(私書箱を運営する会社)、電話受付サービス業者(電話秘書サービス会社など)、弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士などなど。ユーザーの個人情報を知りうる職種なのが特徴だ。

 各職種の人は「犯罪がらみの取引かもしれない」と感じたら、それぞれの監督官庁に届けなければならない。例えば、金融機関ならば金融庁に、となる。

 その情報は監督官庁から国家公安委員会に流され、捜査に使われる。政府の「国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部」(本部長・塩崎恭久官房長官)は、この制度の効用を「安心・安全な社会」「健全な経済システムの維持」とうたっている。

 「もしかしたら、犯罪がらみかも」と感じた業者が、次々と顧客情報を政府に流す。膨大な事件情報、厳密には「事件かもしれないと思える事案情報」が政府に蓄積されるのだから、犯罪組織も壊滅するに違いない-と思えてくる。

 しかし、弁護士や識者からは「国民同士が監視しあう暗黒社会になる。そればかりか善良な国民が巻き添え被害に遭う危険が高い」と反対論が出ている。例えば、次のようなケースが想定されるという。

■悪くないのに口座凍結…とんだ巻き添えも

 【ケース1】 長女の結婚式を控えたAさんは「おたくの土地を買いたい」と言う男に高値で売却したが、不安なので弁護士を立ち会わせた。後日、結婚資金に使おうと、売却で得た金を銀行から下ろそうとしたが、口座は凍結されていた。売却相手がヤミ金融業者だったため、弁護士が「Aさんは何も悪くないんだが」と思いつつも、当局に通報したからだ。

 結婚式はキャンセルするはめとなり、Aさんは弁護士に「ひどいじゃないか。訴えてやる」と抗議したが、弁護士は「私には通報義務があるので仕方ないんです」と弁解した。

 【ケース2】 借地にビルを建てたBさんが死亡した。遺産分割協議がまとまるまでの間、Bさんの銀行口座を管理していた弁護士は、違法営業のようにもみえるテナントからの賃料収入に気付いた。適法かもしれないとは思ったが、通報義務に従い当局に通報した。通報したことを当事者に教えることは禁じられているため、Bさんの遺族たちは何も知らない。

 間もなく、口座は凍結されて賃料収入が引き出せなくなり、遺族は借地料を支払えなくなって立ち退きを余儀なくされた。後日、テナントは適法営業と判明したが、後の祭りだった。

 監視カメラや住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)による「国民監視社会」化に警鐘を鳴らしているジャーナリストの斎藤貴男氏は「電話秘書サービスの業者まで依頼主のことを通報するというのでは、人と人との信頼関係は、どうなってしまうのだろう。社会全体のためなら(善良な市民の受ける)多少の被害は仕方がないでしょ、ということなのか」と危惧(きぐ)した上で、「私のようなことを言うと、『性善説でテロや犯罪に対処できるか』という反論が来そうだが、そういう人々には、なぜ、捜査機関性善説を取るのかと聞きたい」と話す。

 確かに、富山県警と富山地検の捜査ミスで、無実の男性が強姦(ごうかん)罪に問われ、二年九カ月も拘置、服役させられた問題が発覚したり、ファイル交換ソフト「ウィニー」により警察官のパソコンから大量の捜査情報がインターネット上に流出した。警察官による性犯罪、強姦罪、捜査報告でっち上げも後を絶たない。

■国民は蚊帳の外早期成立に懸念

 弁護士たちからは「最近の警察は不祥事のデパート。そこに個人情報を蓄積する新制度は危険すぎる」との声も上がっている。

 通常国会で審議されるという法案の内容は十分、国民に伝わっていない。三月にも成立させてしまえば、七月の参院選までに、国民は忘れてしまう-そんな読みも出ているというのだが。

■捜査不信安心できない   ジャーナリスト大谷昭宏氏に聞く

 この法案を「密告制度」と批判する一人で、事件記者歴が長いジャーナリスト・大谷昭宏氏に聞いた。

 まず、密告制度の導入で捜査実績が上がるのか、疑問だ。この制度では、弁護士に相談する行為じたい、警察に密告されるリスクを伴うため、犯罪組織は弁護士を使わなくなるはず。弁護士会から懲戒された人物を使うなど、(弁護士ではない人の法律事務の取り扱いを禁じた)非弁活動を助長するだけだと思う。

 一方で、まじめな多数の国民が警察の手足にされる。従来も、犯罪を見つけた国民が警察や検察に通報し、刑事事件摘発のきっかけになってはきたが、新制度は似て非なるものだ。今までの内部告発は、不正行為を見つけて自主的に通報するのに対し、新制度は怪しいと感じたら密告しろというもの。通報と密告は、まったく違う。不正行為をとがめたり、やめさせるのでなく、一足飛びにお上に密告しろという制度は、社会の犯罪防止機能を弱めてしまう。

 経験者なら分かるだろうが、一般市民が事件情報を持ち込むと、捜査機関は「相手をずっとウオッチして、おかしな点を情報提供してくれ」と求めるのが常だ。すべての持ち込み情報を捜査機関自身でフォローし切れないから必然的にそうなる。その時点から、情報提供者は警察の手足となる。顧客が、宝石店や弁護士、電話秘書などから監視され密告される暗い社会は、いかがなものか。

 「怪しい取引」と思われ密告された人がシロだった場合のみならず、クロの場合でも、密告者は恨みを買う。密告者が誰だったかを犯罪者に知られたら、どうするのか。警察は「通報者が誰なのか、絶対にバレないようにする」と言うだろうが安心できない。現に、警察官のパソコンから大量の情報が世間に流出している。流出データはプリントしたら人の背丈に達する分量だったと言われている。警察がボディーガードしてくれるわけじゃなし、密告者の安全は誰が守ってくれるのか。警察官は銃を所持しているからいいが、国民は丸腰だということを肝に銘じるべきだ。 (談)

◆予想される法案骨子

 【目的】犯罪収益の移転とテロ資金供与の防止。市民生活の平穏確保と経済活動の発展に寄与する。

 【国家公安委員会の責務】疑わしい取引の情報が刑事事件捜査などに活用されるよう、迅速、的確に集約、整理、分析する。

 【特定事業者(対象職種)の義務】▽顧客の本人確認▽取引記録の七年間保存▽犯罪収益の疑いある取引は監督官庁に届け出る。

 【その他】特定事業者への罰則などを整備する。

<メモ>国家公安委員会 内閣府の外局で、警察を民間人が監視する目的で戦後、つくられた。委員長は国務大臣で、ほかに学者など5人が委員。委員は特別職国家公務員で守秘義務がある。各都道府県にも県警を監視する公安委員会がある。しかし、「公安委の実務は警察官任せの部分が多く、機能を果たしていない」と指摘されて久しい。

<メモ>ウィニー事件 愛媛県警で2006年3月、ファイル交換ソフト「ウィニー」を入れてある捜査一課警部補=当時(42)=の私物パソコンから殺人、性犯罪などの捜査資料や個人情報が、インターネット上に大量に流出したことが発覚。京都府警や北海道警も同様の事件を起こした。06年7月に政府が公表した各省庁の情報管理対策評価で、警察庁は最低のDランク。

<デスクメモ> 五年ほど前、小一の男児誘拐事件を取材したが、犯人が身代金の受取先として指定したのは都内の私設私書箱だった。「振り込め詐欺」などの犯罪の温床となっているのも事実だが、ネット取引で、個人情報を守るために「第二の住所」を利用している人は多い。密告を奨励する社会って、やっぱり暗い。 (吉)

■■引用終了■■






★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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【転送歓迎】一億総密告社会を招く共謀罪と犯罪収益移転防止法案:海渡雄一弁護士

2007-01-24 02:57:10 | ゲートキーパー(一億総密告社会)制度
一億総密告社会を招く共謀罪と犯罪収益移転防止法案

-国際社会は本当に共謀罪と依頼者密告制度を求めているのか-

2007年1月23日
                            海渡 雄一(弁護士)

PART1

│ 共謀罪と依頼者密告制度 │


1 共謀罪と依頼者密告制度をつなぐ点と線
 共謀罪と依頼者密告制度は実は密接に関連している。
その共通点は簡単に数え上げても次の5点に及ぶ。
1)政府が国際機関(国連、FATF)からの要請を第一義的な立法理由にしていること、
2)どちらもイギリスがその制度の祖国であること
3)密告という人倫に反する行為が奨励されていること、
4)「犯罪遂行の合意」であるとか、「疑わしい取引」といった非常にあいまいな行為が規制の対象とされること、
5)規制の前提・対象犯罪がどちらも619もの広範な犯罪にひろがっていること
などである。
共謀罪は2000年に起草された国連の越境組織犯罪防止条約の国内法化のためと説明されている。共謀罪は、犯罪はその実行の着手される前には処罰されない刑法理論の根幹を変え、犯罪の合意が成立しただけで、その実行の着手はおろか、準備にすら取りかかっていない段階で処罰しようとする制度だ。
 日弁連は、この条約が世界の刑事司法にもたらすインパクトに注目し、その審議の冒頭から代表団を派遣して審議の内容の把握に努めた。このような努力が、後の国会審議で政府側と互角の論議を展開する上で大きく役立ったと確信する。
 これに対して、依頼者密告制度はFATF(OECDの加盟国等で構成されている政府間機関)がテロ資金・マネーロンダリング対策として2003年6月の「40の勧告」の改訂の中で提唱した制度である。
 依頼者が行う取引に犯罪収益が関連している疑いのあるときに、弁護士にそのことを警察に密告することを義務づけ、報告をしなかったことを理由に懲戒などの措置を可能にしようとする依頼者密告制度を含む犯罪収益移転防止法案が2007年2月初旬にも法律案として提案され、政府与党は3月末までの成立を目指している。

2 共謀罪についての世界の状況
 この二つの制度が世界各国でどのように実施され、もしくはされていないのかを最初に見てみたい。まず国連条約の批准のためには共謀罪の制定が不可欠という説明には重大な疑問が生じている。
 新たな共謀罪立法を行ったことが確認された国は,ノルウェーなどごくわずかであり、他に立法を行った国は確認されていない。アメリカ合衆国は,州法では極めて限定された共謀罪しか定めていない場合があることを国務省の大統領宛批准提案書の中で指摘した上で、国連越境組織犯罪防止条約について州での立法の必要がないようにするため,留保を行った上で条約を批准した。アラスカ、オハイオ、バーモントなどの州レベルでは広範な共謀罪処罰は実現していないことを外務省も認めた。
 すでに判明しているだけで,組織犯罪の関与する重大犯罪の全てについて共謀罪の対象としていないことを認めている国が5ヶ国(ブラジル,モロッコ,エルサルバドル,アンゴラ,メキシコ)存在する。セントクリストファー・ネーヴィスは,越境性を要件とした共謀罪を制定して,留保なしで国連越境組織犯罪防止条約を批准している。これらの諸事実は、政府のこれまでの国会答弁と明らかに矛盾している。

3 依頼者密告制度に関する世界の状況
 この制度は、2003年6月のFATF(金融活動作業部会 OECD諸国の政府間会合で犯罪収益の流通やテロ資金規制のための活動をしている)勧告がもととなっているが、日弁連はこのような計画を知った2000年以降、アメリカやヨーロッパの弁護士会と密接な連携を取りながら、この制度の反対運動を国際的に繰り広げてきた。日弁連は4度にわたって、FATF事務局にこの制度に反対することを直接申し入れている。
 この制度はOECD加盟国の中でもアメリカ、イギリスなど主要国で実現していない。
 アメリカでは、アメリカ法曹協会(ABA)がゲートキーパー規制について反対の姿勢を崩しておらず、政府からも制度創設の具体的提案がなく、依頼者密告制度は実現されていない。2005年秋からFATFによるアメリカ政府に対する相互審査が始まり、2006年に報告書が公表されたが、この点は勧告を満たしていないとされる多くのポイントの一つとして指摘されたにとどまり、大きな問題にはなっていない。
 カナダでは、FATF勧告の改訂前にイギリス型の極めて広範な通報義務を刑罰によって義務づける法制が作られたが、弁護士会による法律の執行の差止めを求める仮処分が各州で提訴され、全ての州でその執行が停止されている状況で、政府は、この法律の弁護士への適用を撤回している。カナダでは、弁護士による本人確認と記録保存は義務づけられたが、疑わしい取引の報告制度は設けないことで、政府と弁護士会の間で合意がなされている。
 イギリスでは、既に1993年からマネーロンダリング規則が存在し、この規則は1994年からソリシターをも規制対象とするようになった。疑わしい活動についての政府金融監督機関への報告義務の懈怠などが5年以下の懲役刑の対象とされため、ソリシターが後のトラブルを恐れて依頼者の活動について些細な事実についても報告を行うようになっており、2004年のソリシターの報告は1万数千件に及んでいる。
 その他のヨーロッパ諸国では、2001年のEU指令により、ほとんどのEU諸国で報告制度の国内法化が実施された。多くの国々では、弁護士が弁護士会に届け出る制度が取られており、また届出件数も少ないことが特徴である。ヨーロッパ諸国においても弁護士会の抵抗は続いており、ベルギーやポーランドでは、弁護士会がこの制度の違憲性を指摘して行政・憲法裁判所に提訴しており、現在係属中である。
 2006年11月に開催されたFATF会合において、日弁連はABA(アメリカ),CCBE(EU諸国),カナダ弁護士会、スイス弁護士会などともに依頼者密告制度の撤廃を求める共同声明を作成し、FATFに提出している。この制度を阻止し、廃止させていくことは世界の弁護士会の共通の悲願となっているのである。
 
4 根本的に疑問のある国際刑事立法手続の透明性
 国連にしてもFATFにしても、その実体を見ると、これら国際機関で議論を主導しているのは、先進諸国の外務、法務、警察、金融財政などを担当する官僚ばかりである。いってみると官僚だけで国会をやって、政府の作りたい法律を作っているようなものであり、そこには国際人権NGOも野党議員もいないのである。
 日弁連は国連組織犯罪防止条約の起草の場に代表団を送り続けたが、発言の機会はなかった。FATFの勧告制定時にも、日弁連は世界各国の弁護士会と共同して、依頼者密告制度の新設に反対する意見を書面でも提出したし、会合の中でも述べた。しかし、これらの意見に対してFATF事務局はいったんは受け入れるとしながら、結局勧告には反映されなかった。このように国際刑事立法手続きの透明性とその正当性について根本的な疑問があるのである。

PART2
│ 共謀罪なしで越境組織犯罪条約は批准できる │


1 崩れている国連条約批准のためという説明
 政府・外務省・法務省が共謀罪の制定を必要とする理由として上げてきた理由、根拠はことごとく崩れている。
・国連越境組織犯罪防止条約第34条第1項は、国内法の基本原則に基づく国内法化を行えばよいことを定めている。
・国連が条約の批准の適否を審査するわけではなく、したがって、国連から新たな立法がないとして批准の有効性に疑問が提起されるわけではない。

2 新たな共謀罪立法なしで国連越境組織犯罪防止条約を批准することはできる
・我が国においては、組織犯罪集団の関与する犯罪行為については、 未遂前の段階で取り締まることができる各種予備・共謀罪が合計で58あり、凶器準備集合罪など独立罪として重大犯罪の予備的段階を処罰しているものを含めれば重大犯罪についての、未遂以前の処罰がかなり行われている。
・刑法の共犯規定が存在し、また、その当否はともかくとして、共謀共同正犯を認める判例もあるので、犯罪行為に参加する行為については、実際には相当な範囲の共犯処罰が可能となっている。
・銃砲刀剣の厳重な所持制限など、アメリカよりも規制が強化されている領域もある。
・日弁連は政府が提案している法案や与党の修正試案で提案されている共謀罪の新設をすることなく、国連越境組織犯罪防止条約の批准をすることが可能であり、共謀罪の新設はすべきではないと考える。
(http://www.nichibenren.or.jp/ja/special_theme/complicity.html)。

PART3

│ 犯罪収益移転防止法案と依頼者密告制度 │

1 政府の提案する犯罪収益移転防止法案の中味
 政府の国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部は、2005年11月17日、このFATF勧告を受けて、その実施のための措置として、現在金融庁に置かれている金融情報機関(FIU)を警察庁に移管すること、法律案の作成は警察庁が行い、弁護士に対してテロ資金・犯罪収益の移転防止資金に関連するなど何らかの違法性があるとの疑いのある取引・活動について警察庁に報告することを義務づける制度を盛り込んだ法案を2007年の通常国会に提出することなどを決定した。
 その内容は、法律・会計専門家は、FATF勧告の趣旨に従って本人確認、取引記録の保存及び疑わしい取引の届出の措置を講ずる責務を有することを前提に、①弁護士が講ずべき措置の内容については、他の法律・会計専門家の例に準じて当連合会の会則により定めることとする、②弁護士による疑わしい取引の届出は、当連合会に対し行うこととする、③政府と当連合会とは、犯罪収益等の流通に関し相互に協力しなければならないこととするなどである。
 この警察庁案は、弁護士についても、他の法律・会計専門家と同様に、疑わしい取引の届出義務を課すが、その具体的内容については日弁連が会則で定めるという仕組みを採用している点に特徴がある。

2 依頼者密告制度ができれば安心して弁護士に相談できなくなる
 日弁連がこの制度に反対する理由は単純である。この制度ができれば、普通の市民が弁護士に何でも打ち明けて相談できなくなるからである。この制度は、弁護士が依頼者から聞いた相談内容を警察に通報するものである。これまで、依頼者が弁護士に話した内容については固く秘密が守られ、弁護士は依頼者の秘密をあくまで守り抜く存在であると信じられてきた。ところが、この制度ができれば、依頼者が弁護士に話したことや依頼者の行動の一部が依頼者の知らないうちに警察に通報され、そのことがきっかけとなってその依頼者の銀行口座が凍結されて預金を下ろせなくなってしまったり、事業が倒産に追い込まれたり、刑事事件とされるなどという事態が生ずるようになる。
 たとえば、ある依頼者から不動産売買契約に売り主側で立会を依頼された弁護士が、買い主の支払う売買代金に脱税によって得られた資金が含まれているという疑いを持った場合、このことを警察に通報する義務を負う。通報がなされると、売買代金を預金してある口座が封鎖され、その依頼者は犯罪収益収受の罪で逮捕される可能性があるのだ。
 マネーロンダリングであるとか、犯罪収益の移転というと、麻薬や人身売買取引など非常に極端な犯罪を思い浮かべる方も多いだろう。しかし、実態はそうではない。現在政府が国会に提案している共謀罪と一体の組織犯罪処罰法の改正案では、マネーロンダリングの前提となる犯罪は共謀罪と同様619にも及び、税法や著作権法違反、政治資金規正法等まで含まれている。
 この場合、違法性のはっきりしない「疑い」のレベルで通報が義務づけられるので、真実は依頼者の違法でない活動についても誤って通報がなされる可能性がある。弁護士は秘密を守ってくれるものと考えて、包み隠さず何でも話したら、誤って疑いを持たれて警察に通報され、その依頼者の事業が破綻し、えん罪に巻き込まれるような事例が一つでも発生すれば、市民全体の弁護士・弁護士会に対する信頼は根本から失われるだろう。また、弁護士は依頼者から十分な情報を得ることができず、依頼者が法律を遵守して行動するように適切に援助することもできなくなり、結果的に依頼者による違法行為を招くことにもなるだろう。
 この制度の導入によって、違法な金融活動が摘発される例がごく少数あるかも知れないが、依頼者が適法に行動するために適切な法的アドバイスを受けることができなくなることは、まさに市民の司法サービスに対するアクセスの否定である。規制によるわずかな利益に比べて不利益があまりにも大きすぎる。
 また、弁護士と警察は刑事事件の弁護活動を巡っては鋭く対抗する関係にある。警察庁への密告義務が制度化されれば、市民は弁護士を警察の手先と見るようになり、弁護士が警察と対抗して刑事弁護活動を行う上での制度的独立を危うくし、弁護士・弁護士会の警察権力からの独立を傷つけてしまう。

3 守秘義務が守られれば問題は克服できるか 
 FATF勧告も守秘義務の範囲内の情報の通報は求めていない。しかし守秘義務の範囲に属するかどうかが一義的に決まらないこともあるし、当局の解釈と弁護士会の解釈が異なることは十分想定しうる。警察庁が守秘義務の範囲についてこれを狭めるような解釈を押しつけてくる可能性もある。
 日弁連の反対理由の主眼は、そもそも弁護士に警察庁への報告義務を課す制度を設けること自体が弁護士制度への国民の信頼の根幹を揺るがすものだと言う点にある。守秘義務の問題以前に、報告制度の創設自体によって依頼者に何でも話せるという環境が失われることが問題なのである。また、依頼者である市民にとっては、守秘義務の範囲内かどうかを判断することは極めて困難である。
 守秘義務の範囲外であっても、弁護士が依頼者から得た秘密情報を捜査機関に通報することを認めることによって、弁護士制度の存在意義を危うくし、ひいては民主的な司法制度の根幹を破壊することになる。

4 弁護士会経由を定める警察庁案について何故反対するのか
 日弁連が警察庁案に反対する姿勢を明確にした。その理由は単純である。警察庁案においても、単に疑わしいというレベルで弁護士が当連合会に対して届け出た依頼者に関する秘密情報が、最終的に、国家公安委員会に通知されるという枠組みには何の変更もないからである。警察庁案でも、弁護士が届け出た依頼者に関する秘密情報について守秘義務の範囲外であると判断した場合には、その情報を国家公安委員会に提供しないことは許されない。法律で通報義務を規定する場合と何ら異ならないのである。 

5 重大犯罪に適用対象を限定できるのではないか
 警察庁は、警察庁案は、弁護士が講ずべき措置の内容については、届出ルールを含めて当連合会の会則で定めることを認めているとして、これを「世界に類を見ない弁護士自治スキーム」と呼んで、弁護士自治を尊重していることを強調している。
 しかしながら、警察庁案によれば、弁護士を含めて全ての事業者について、法文上、本人確認、取引記録の保存及び疑わしい取引の届出の措置を講ずる責務を有することを明記した上で、他の法律・会計専門家の例に準じて当連合会の会則により定めることとするというものである。会則により定めなければならない事項及びその内容は一義的に定められており、疑わしい取引の届出の措置を除外したり、その範囲を限定することは一切許されていない。
 届け出を要する犯罪収益の前提とする犯罪(いわゆる前提犯罪)は、現行法上は組織的犯罪処罰法の別表に掲げられた合計200以上の犯罪が選択されている。もし、共謀罪新設法案が成立すれば、公職選挙法違反や政治資金規正法違反や税法違反などを含む619以上の罪に拡大されようとしており、弁護士会が会則で、その範囲を、テロなど重大な犯罪だけに限定することは認められていない。

6 日弁連と警察との関係は今後どのように展開するか
 制度がひとたび運用され始めると、実際に刑事事件となったケースについて事前に届け出がなかったことを警察が批判し、日弁連の審査体制の改善を求め、会内の審査機関に警察庁関係者等の外部委員を参加させることを求めたり、さらには弁護士から国家公安委員会への直接の届出義務を課す法改正を提案されるおそれがある。
 年間1万件以上の情報を弁護士が通報する事態になっているイギリスのローソサエティのマネロンチーム議長のブース氏は、FATFの場でこの制度の導入に反対の演説を行った川端和治対策本部長代行に対して「英国の例にならうな。自由というのは少しずつ削られていくんだ。最初に妥協したのが失敗だった」と自らの後悔を込めて励まされた。
 弁護士・弁護士会が、一旦、弁護士による疑わしい取引の届出義務を許容してしまうと、どんどんエスカレートして後戻りすることができない事態を招くことになることが十分予想することができるのである。

7 日弁連は犯罪収益の移転に荷担しない
 日弁連は、犯罪収益の移転防止にはまったく協力しないのではない。日弁連はテロ資金やマネーロンダリングの対策が必要であることは否定していない。
 日弁連は弁護士に密告を義務づけることには反対であるが、犯罪収益の移転には荷担しない。日弁連は会規を自主的に制定し、一定の取引について依頼者の身元を確認し、取引の記録を保存すること、依頼者の活動に犯罪収益にかかわる疑いがあるときには警察に密告するのではなく、依頼者にはっきりと指摘して取引をやめるよう説得し、その説得が聞き入れられないときは弁護活動から辞任することなどを会員に義務づけ、また会員向けに犯罪収益の流通に荷担しないよう研修を強化するなどの措置を執ることを1月理事会において本年3月の臨時総会に提案することを決定した。
 仮に違法行為に弁護士が荷担するような事態となった場合、刑事事件として責任を負うほかに、弁護士会としても懲戒をもって臨むことは当然だ。
 弁護士職務基本規程の解説によると、依頼者の犯罪行為の企図が明確で、その実行行為が差し迫っており、犯行の結果が極めて重大な場合で秘密の開示が不可欠な場合には、この「正当な理由」に当たると考えられ、守秘義務が解除されるのであるから、このような場合には、弁護士等が警察等に直接通報することは許される。
 つまり、人の生命や安全に関わる明らかな緊急事態の場合には、守秘義務の例外として警察に通報することができるのである。また、守秘義務の例外はこのような限定された場合にのみ許されるのである。
 これに反して、広範な違法行為について、依頼者の活動に単なる疑いがあるという段階で、弁護士に通報の義務を課すということは、このような生命侵害の切迫した危険が生じているような極限的な事例とは全く次元がちがう問題である。

PART4 

│ 日切れ扱いは国会の審議権無視の暴挙だ! │

1 日切れ扱いを求める警察庁
 政府与党は今国会に犯罪収益移転防止法案を提案するための準備を進めている。警察庁は、政府与党に対して同法案について、政府が年度内の成立を目指す「日切れ扱い法案」扱いとして2月上旬に提出し、3月中に成立を図ることを求めているという。
 このような、重大な争点をはらんでいる重要法案を予算関連の日切れ扱い法案として提案することには国会の審議権を蔑ろにするものだ。

2 日切れ扱いとは?
 「日切れ扱い法案」とは、予算措置を伴い、年度初めから予算執行しなければ国民の生活に支障が出る緊急性がある法案が主な対象であり、ほかの法案に優先して審議に入り、年度内に処理されるのが通例である。与野党の対立法案が「日切れ扱い」になるようなことは極めて稀である。
 警察庁の説明は今回の法案では、現在の実施されている金融機関の報告制度に関連する経費が07年度の警察庁予算に計上されているためと説明されている。これまでは疑わしい取引に関する情報を集約・分析・提供する業務を行う資金情報機関(FIU)は金融庁に置かれていたが、次年度から国家公安委員会(=警察庁)に移行するとされている。そのため、この法案が成立しないと既に金融庁には予算がついていないため、金融機関に関する報告制度の運用が滞るというのである。

3 法案を二つに分離さえすれば日切れ扱いではなくなる
 しかし、金融機関に関する報告制度の所管を国家公安委員会に移す部分だけを別法として分離しさえすれば、弁護士などに対して新たな報告義務を課す新制度部分は「日切れ扱い法案」とはしなくてすむのである。二つの異なる事項をむりやり一つの法案に合体させたために、新たな制度の創設に関する重要法案が「日切れ扱い」になるという異常事態が生じているのである。
 市民の司法へのアクセスに重大な支障をもたらす弁護士から警察への依頼者密告制度を含む犯罪収益移転防止法案について自民党と公明党は根本的にその内容を再検討するとともに、国会運営上も手続的に疑問がある「日切れ扱い」をやめるよう、強く求めるものである。

4 密告社会の到来を許さない共謀罪・依頼者密告制度阻止の闘いを 
 この通常国会では継続審議となっている共謀罪に加えてあらたに提案される犯罪収益移転防止法案がともに対決法案として浮上するだろう。与党絶対多数の状況下でこのような法案が政府提案された場合、これを阻止することは非常に難しい。しかし、共謀罪は密告監視社会を作るものという反対の世論を築き上げ、足かけ4年間成立を阻止してきた。犯罪収益移転防止法案の本質は市民が安心して何でも秘密を弁護士に打ち明けて相談できるという司法の根本を壊し、やはり密告社会を作り出すところに共通の根っこがある。
 この闘いは負けられない闘いである。
 共謀罪の行方に関心を持つ1人でも多くの皆さんに、依頼者密告制度を含む犯罪収益移転防止法案にも関心を持ち、その反対に立ち上がっていただくよう、心からお願いする。





弁護士に岡っ引きになれというのか!【改題】一億総密告社会にしてよいのか!パート8

2007-01-23 01:51:14 | ゲートキーパー(一億総密告社会)制度
 当初、犯罪収益移転防止法案(ゲートキーパー法案)について、弁護士に密告を義務化させるという点に焦点を絞ってきたが、お分かりのように、主たる問題は、弁護士のみならず、クレジットカード会社、不動産業者など多くの取引の場面で密告が義務づけられることだ。そこで、タイトルを「一億総密告社会にしてよいのか!」に変え、続けて書いていきたい。

 今回は、犯罪収益移転防止法案が行きつく先を紹介したい。それはイギリスの法制度だ。

 イギリスには、不報告罪というものがあり、薬物犯罪やテロ行為に関して、何人も、その業務、取引、雇用の過程でマネー・ロンダリングであると知り、またはその疑いをもった場合は、すぐにその知ったこと、またはその疑いを当局に報告しないと犯罪となるというのだ。違反すると最高5年の懲役刑が科せられる。

 例えば、これまで不信心だったアラビア人が急に熱心な信者となったことを知った大家、何となく黒人の少年の目つきが鋭くなったことに気づいた雑貨店主などは、そのことをぽつりと誰かに漏らしていたら、後でアラビア人がテロ行為で、黒人が薬物事犯で捕まったりしたら、5年の懲役をくらうかもしれないのだ。それだったら、少しでも不安に思ったら、とりあえず、通報するに越したことはない…ということになる。そうすると、本来、善良な市民が次々と逮捕されていくことになりかねない。特に、政権を批判する者などはたちまちターゲットにされるだろう。

 犯罪収益移転防止法案は、すでに、弁護士や司法書士、行政書士、宅地建物取引業者、クレジットカード業者などのほかに、「郵便物受取業者」「電話受け付けサービス業者」など50以上の職種を対象としている。共謀罪とセットで濫用され、その結果、日本が一億総密告社会になる日は、そう遠くないかもしれない。


写真はこちら(←クリック)より。「強制収容所からの解放,右の女性は自分を密告したゲシュタポの密告者を覚えていた,デッサウ,ドイツ,1945年」




★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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弁護士に岡っ引きになれというのか! パート7:日切れ扱い法案として密告義務化法案を強引に採決へ

2007-01-21 03:00:01 | ゲートキーパー(一億総密告社会)制度
 朝日新聞(←クリック)によると、【犯罪組織のマネーロンダリング(資金洗浄)などを防ぐ社会の「門番役」として、弁護士らに「疑わしい取引」の届け出を義務づける「ゲートキーパー(門番)法案」(犯罪収益移転防止法案)について、政府が年度内の成立を目指す「日切れ扱い法案」として2月上旬に提出し、3月中のスピード成立を図る構えでいることがわかった】という。

 聞き慣れない言葉だが、【「日切れ法案」や「日切れ扱い法案」は、予算措置を伴い、年度初めから予算執行しなければ国民の生活に支障が出る緊急性がある法案が主な対象。ほかの法案に優先して審議に入り、長く審議をしないまま「特急」で処理されるのが通例だ。】という。

 したがって、【「刑事弁護などで鋭い緊張関係に立つ警察への密告を強制される」などとして弁護士会が反対を強める中で、与野党の意見が割れる「対立法案」が対象になるのは珍しい。】らしいのだ。

 確かに【今回の法案では、関連経費が07年度の警察庁予算に計上されている】ため、それを理由に「日切れ扱い法案」とすることは可能かもしれない。すなわち、これまでは疑わしい取引に関する情報を集約・分析・提供する業務を行う資金情報機関(FIU)は金融庁に置いていたが、次年度から国家公安委員会(=警察庁)に移行するため、法案が成立しないと金融庁に予算がついていないため、業務が滞るという問題があるのは事実だから、それを避けるために、仕方なく日切れ扱い法案とするということもありうるわけだ。

 しかし、FIUを警察庁に移すというだけでも重大な問題があるわけで、それが国会で採決されてないのに、それを前提に予算を組むということ自体が問題なわけだ。順番が違うだろう。政府がしていることは、北朝鮮などの独裁国家と何ら変わらない。

 本来であれば、来年度の予算に警察庁への移行は組み込まず、法案が成立してから、再来年度予算に移行を組み込めば足りるのだ。

 あえて、予算措置を先行させた上で、日切れ扱いにしたことについて【「おざなりな審議で通してしまおうという意図を感じる」とする声が出ている】のは当然だろう。【野党側は「これほど露骨な日切れ扱い法案が出るのは最近例がない」として、議院運営委員会で法案の扱いを問題視する構えを見せている。】らしいので、頑張ってほしい。

 さらに朝日新聞は、密告が義務づけられる業種について【弁護士や司法書士、行政書士、宅地建物取引業者、クレジットカード業者など当初案で対象だった事業者のほかに、「郵便物受取業者」「電話受け付けサービス業者」が新たに加わった】ため、50業種以上となったと報じている。

 密告を義務づける制度を強引に通す政府…これって許していいの?完全に選挙民を馬鹿にしていない?


※写真はこちら(←クリック)より









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★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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弁護士に岡っ引きになれというのか! パート6:「頭の大きなロボット」の皮肉も理解できない読売新聞

2007-01-19 06:46:14 | ゲートキーパー(一億総密告社会)制度
25日開会される国会に上程されるゲートキーパー法案(犯罪収益流通防止法案)について、読売新聞が次のような書き出しの記事を掲載している。

■■引用開始■■

 「本人確認」や「生体認証」などの言葉で、思い出す物語がある。作家、星新一の短編集「頭の大きなロボット」(理論社)に収められている、本と同名のSF短編小説だ。

 物忘れがひどく、他人を信用しない会社経営者のエヌ氏は、仕事の秘密やアイデアを覚えさせるロボットを作った。大事な情報が他人に漏れないよう、エヌ氏の右の人さし指でロボットの鼻を押さないと、ロボットが動かないように改良した。

 装置をつけて頭でっかちになったロボットはバランスを崩して倒れ、エヌ氏の右の人さし指をつぶしてしまった。指紋の「鍵」がなくなり、ロボットは何をやっても動かない。全財産の入った金庫の開け方も、貴重な仕事のアイデアも、エヌ氏はすべての情報を失った。

■■引用終了■■


さて、皆さんは、この後にゲートキーパー問題についてどのような趣旨の記事が続くと思いますか?

…私は、星新一の上記ストーリーを本人確認を求める場面が異常に拡大することに対する皮肉だととらえ、ゲートキーパーへの反論が続くと思いました。

しかし、実際には、

■■引用開始■■

自分が自分であることを、きちんと証明できないと、さまざまな支障が出てくるのは、現実の社会でも同じだ。

 例えば今月4日から、金融機関で現金振り込みのルールが変わった。10万円を超える現金を振り込む時は、運転免許証や健康保険証などを窓口に提示して、間違いなく本人であると証明することが義務づけられた。これからの季節、学校の入学金などを指定の振り込み用紙を使い、現金で納める人も少なくないだろう。銀行に行く時は、免許証など証明できるものを忘れないよう、くれぐれも気をつけてほしい。

 警察庁は、今月召集される通常国会に犯罪収益流通防止法案(仮称)の提出を予定している。成立すれば、宝石や貴金属、不動産などの取引でも、本人確認できる証明書類を事業者に提示するよう義務づけられる。

 こうした本人確認の強化は、送金者の記録を残し、犯罪組織によるマネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金を封じ込めるためだ。不正な資金が悪事に使われることを防ぐためと思えば、多少の面倒や不便は我慢できる。だからこそ、封じ込めを徹底するため、逃げ道をできる限りふさいでほしい。

 ところが、実際は「穴」もある。現金振り込みはコンビニなどでも代行している。コンビニのレジで、振り込み用紙を使って10万円以上の現金を納めても、金融機関と違って本人確認のために免許証などを見せる必要はない。販売代金の支払いなどを装って、違法資金をコンビニから送金することも、あり得ない話ではなさそうだ。

 金融庁によると、規制強化のもとになった国際的な取り決めの「テロ資金供与に関する特別勧告」が、規制対象を金融機関と定めているため、コンビニは除外されたそうだ。違法資金の根絶を信じ、本人確認に応じている国民にとっては、ちょっと納得しにくい話だ。(経済部次長 林田 晃雄)

■■引用終了■■

納得いかないのは読者でないかい?星新一が生きていたら、断固抗議するのではないか?

しかし、読売は自分が犯罪に関わっていなくても、とんでもない事態が起きることを理解しているのだろうか?
ここ(←クリック)などご参照下さい。

「欲しがりません。勝つまでは」っていうスローガンを報道していた戦前のメディアを想起させる記事だなんや。








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★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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弁護士に岡っ引きになれというのか! パート5:電話秘書業者らにも通報義務…

2007-01-13 00:54:46 | ゲートキーパー(一億総密告社会)制度
25日開会される国会に上程されるゲートキーパー法案(犯罪収益流通防止法案)の義務対象事業として「郵便受取代行業」と「電話受付(電話秘書)代行業」が追加されそうな勢いだ(こちら←参照)。つまり、電話受付代行業利用している小企業にかかってきた電話の中に例えば、ヤクザを名乗るものがいたり、巨額の取引に関する伝言などがあった場合、電話受付代行業者は、違法な取引であるかもしれないと警察に通報する義務を負うのだ。あるいは、郵便受取代行業を利用している小企業に、海外の銀行から手紙がたくさん来た場合にも…。

それって本当に変じゃない。政府側が税金の使い道とか、公文書とかきちんと公開もしないでおいて、市民の動きは徹底的に環視しようとする…。本当にそんなことを許してよいのか?

金融機関、不動産業者、貴金属業者・宝石商、弁護士・公認会計士・税理士、信託受託者などなど、お金が動くあらゆる場面で監視されてしまう…。自分は悪いことをしていないからかまわない…。本当にそうでしょうか?全て環視されるということは、実際は悪くはないけれども誤解される動きも監視されうるということです。その場合、捜査側が本当は悪くないことを知っていても、政府に刃向かう「勇士」をはめてしまうこともできるわけです…。







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