情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

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時給に換算すると487円~刑事弁護の実態【中日新聞】…赤字事件も多数

2008-04-29 12:08:19 | 適正手続(裁判員・可視化など)
 国選刑事弁護に対する締め付けが厳しくなっている。旧聞に属するが、記録としても残しておく必要があるので、ご勘弁。中日新聞(※1)によると、【刑事裁判の被告に国選弁護人をあっせんする日本司法支援センター(法テラス)の愛知地方事務所の石井三一副所長(弁護士)が、弁護士過疎地域での弁護活動補助をめぐる本部の方針変更に抗議し、辞任していたことが分かった。被告の弁護に必要な証拠書類のコピー代について、法テラスが行っていた肩代わりを本部が廃止したためだ】という。

 ここでいう必要な証拠書類とは、刑事裁判の手続きが始まる前に、検察側が証拠として裁判所に提出したいと考える書類(現場検証の記録や、証人・被告人本人の供述を記録したものなど)として、弁護人に示すもののことだ。

 弁護人は、裁判が始まる前に被告人と打ち合わせて、示された書類のうち、どの書類については裁判所に提出することを認め、どの書類については裁判所に提出することに反対するか(反対した場合、その書類を作成した人や証人が裁判所に来て証言することとなる。弁護側は反対尋問をしてその証言を崩そうとする)、を決めなければならない。

 したがって、原則として、示された書類をコピーしてじっくり読み、場合によっては被告人本人に差し入れて読んでもらう必要がある(個人的には、被害者保護、証人保護の観点から住所などをマスキングしたうえで、被告人にもコピーを渡すのが原則だと考える)。

 そこで、弁護人は、示された書類のコピーをすることとなる。

 ところが、検察庁でのコピー代が高い。場所によって違うが、1枚40円くらい。

 ということは、1000頁くらいの書類をコピーすると、それだけで4万円、さらに被告人用に自分でコピーすると1枚10円として1万円、合計5万円かかる。

 他方弁護士の報酬は、200頁までは基本弁護料(公判1回の事件=7万円、2回の事件=7万7000円、3回の事件=8万4000円)に含まれており、それ以上の分について、1枚20円でカウントされる。つまり、800頁×20円=1万6000円となるため、5万円から1万6000円を引くと3万4000円は弁護士の自己負担になるわけだ。


 もう少しわかりやすく説明すると、たとえば、否認事件で公判を10回行ったとしよう。目撃者や警察官、鑑定人などを尋問したが、有罪となった。この場合の報酬は、公判3回までの事件分としての8万4000円に加え、その後1回平均3時間の公判を行ったとして、1回2万500円となるので、7回×2万500円=14万3500円で、合計22万7500円となる。

 1回の公判あたり、倍の時間を準備に費やしたとすると、10回×3時間(これは公判の時間)+10回×6時間(これは準備の時間)=90時間。22万7500円を90時間で割ると2527円となる。これが時給だ。

 ここから、上記のようにコピー自腹分を差し引くと、22万7500円-3万4000円=19万3500円。これを90時間で割ると時給は2150円となる。

 さらに、弁護士の活動している間も事務員さんの給料や事務所の賃貸料はかかっている。事務員さんの給料が時給平均2000円とし、事務所の賃料を時間あたり2000円とすると…。

 2150円-2000円-2000円=完全な赤字…。

 せめて、コピー代くらいの負担はしてくれよ、そうでないとコピー代をけちる弁護士が出てくるじゃないか…という叫びはよく分かる。

 個人的には、本格的に争う事件では完全な持ち出しというのが実感だ。


 中日新聞は次のように続けている。

【弁護士過疎地域での裁判では都市部から弁護士が出向く。距離の離れた地検の現地支部には頻繁に行けないため、証拠の十分な閲覧ができず、全部コピーせざるを得ない事情がある。膨大な量になることが多く、赤字になるケースも。

 こうした国選弁護人には、法テラスがコピー代を全額負担する特例処置を実施。愛知地方事務所管内では、名古屋地裁半田支部で行われる事件に名古屋などから国選弁護人が行く場合が対象だった。

 しかし昨年11月、法テラスの本部が特例措置廃止を通達。愛知地方事務所は、国選弁護人のなり手がいなくなると反対したが方針は変わらず、同月、石井副所長が抗議の辞任をした。

 本部は「報酬の規定改正で、出張手当が出るようになったのでコピー代はいらないと考えている」としている。

◆豊川・幼児連れ去り公判では時給487円
 法テラスによるコピー代金の肩代わりの維持を愛知地方事務所幹部が求めた背景には「国選弁護人への報酬があまりにも低い」との指摘が弁護士の中からあるからだ。

 報酬は、地裁の単独事件で、実質的な公判の開廷数が3回以上の場合は最大で8万4000円。200枚までのコピー代金も含んでいる。

 愛知県豊川市で2002年、幼児が連れ去られ海岸で水死体で発見された事件。殺人罪などに問われた被告の国選弁護を担当した名古屋市の弁護士の一審裁判の支出は、心理鑑定費用35万円やコピー代金16万円などで計約72万円。

 報酬は弁護士1人当たり40万円とコピー代金の実費支給で赤字ではなかったが、時給に換算すると、487円。裁判所から法テラスに国選弁護人のあっせん機関が代わるのと同時に報酬基準が改定されたが「前より2割ほど減った」との指摘もある。

 愛知県弁護士会のある弁護士は「来年から被疑者段階で国選弁護人が必要となる事件の枠が広がり、弁護人の負担はさらに増す」と指摘。「司法改革の一環で弁護士が増えて競争激化が予想される状況で、赤字になる可能性がある国選弁護を引き受ける弁護士が地域によってはいなくなってしまう恐れもある」と訴える。】



 弁護士を増やすだけでは充実した法的手続きを浸透させることはできない。法的手続きに必要な費用に対する公的な援助(リーガルエイド)を充実させなければならない。

 しかし、実際には、法を身近なものにするという触れ込みで法テラス(法務省管轄)ができた後、刑事弁護費用で明らかなとおり、リーガルエイドは縮小しているのが実態だ。



※1:http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2008033102099696.html









★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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刑務所での物品販売を独占している法務省職員・OB組織が販売利益を自らの利益のために使用!

2008-04-27 12:51:29 | 適正手続(裁判員・可視化など)
 日弁連は、今年2月、【現役の法務省職員やOBらで組織する財団法人「矯正協会」が、刑務所などの刑事施設での受刑者への物品販売をほぼ独占しているのは問題だと】(※1)する意見書を鳩山法務大臣宛に提出し、【法務省矯正局は「意見書の内容をよく検討した上で、適切に対応していきたい」】と述べていたが、適切な対応策は発表されたのでしょうか?ご存じだったら、教えていただきたい。

 この意見書(※2)は、資料を含め59頁にわたる大作。利益の使途について次のような指摘をしている。

【たとえば名古屋刑務所支部については、平成14年度の売上が5,500万円、粗利1,000万円のうち、500万円が矯正協会本部へ、500万円が支部に配分された。配分された500万円の支出については支部長(=当時は名古屋刑務所長)の裁量となっており、実際には、名古屋刑務所では220万円が被収容者の教化費、130万円が刑務職員の福利厚生費、150万円が売店運営の経費に利用された(国会における矯正局長回答)。その後2004年度(平成16年度)からは、売店のある支部のみならず、全国8カ所の矯正管区及び少年院、少年鑑別所等へも配分がなされるようになっている。】

この構図は、全国的なもので、

【物品販売事業による経常利益の約7割5分が公益事業会計に繰り入れられ】、

【支部の公益事業会計の使途は、平成17年度で①矯正処遇援助費に約4944万円(支部公益事業会計の約21.3%)、②矯正管理援助費に約1億5001万円(支部公益事業会計の約64.5%)、③管理費に約3300円(支部公益事業会計の約7.2%)となっている。
ここで、①矯正処遇援助費とは、被収容者処遇に係る援助経費であり、たとえば、被収容者用図書、被収容者運動会に要する賞品代、慰問演芸会等に要する費用である。
②矯正管理援助費とは、会員及び矯正職員等を対象とする各種行事等に関する必要な援助経費で、たとえば文化・スポーツ活動奨励費、武道奨励費、研修費等である。
③管理費とは、公益事業における矯正協会職員、物的設備及び付帯経費等に関する必要経費であり、給料手当、法定福利費、旅費交通費等である。
この①~③のうち、直接、被収容者の利益として用いられる支出は、矯正処遇援助費のみである。】

という有様らしい。

この実態を受け、日弁連は【(2)刑務官組織が被収容者から多大な収益をあげ、それが刑務官の福利厚生に利用されるという構造になっていること】が問題だと指摘し、次のように述べている。

【本件の根本的な問題は、被収容者に対する独占的な販売によって得られる通常に比して過大な利益が直接処遇にあたる刑務官組織の利益になっているということにある。
 そもそも、矯正協会の各刑事施設における支部は刑務官と1名ないし2名のパート職員で構成されており、支部長は総務部長である。被収容者に対する販売に限れば、被収容者から受け付ける購入の申込みも、個々の商品の被収容者への配布も、刑務官が公務員として行っているものであって、矯正協会が行う独自の作業はそれほど多くはない。それゆえ上述のとおり販売経費率が低いのである。にもかかわらず、矯正協会へ納入される卸値価格に約20%増し(矯正協会の原価率は83%であり、約2割の利益を上乗せして被収容者に転売している)の値段になり、そこから売上高の6%もの経常利益が生み出されるのである。正当な業務に対する報酬と言うよりも矯正協会が名目上関与していることによる利益という側面の大きい利益が生み出され、直接利益をあげた支部に配分されて、支部会員である刑務官らの利益となることについて、正当性を見いだすことは困難である。
 矯正協会が間に入ってとりまとめることで、矯正協会に大きな利益が入り、他方で被収容者がその分を負担しなければならなくなっているのである。
 そうした状況は、刑務官から処遇を受ける立場にある被収容者からみれば、明らかに不公正な取り扱いであり、人権を制限する立場にある刑務官と被収容者の間の信用関係を著しく阻害し、健全な収容関係の維持の弊害となるものである。このように被収容者が刑務官に対して不信を抱きつつ日々の処遇を受けるという状況は、刑の目的である被収容者の教化・矯正という面から見ても、好ましいものではないことは明らかである。】


そのうえで、日弁連は、

【法務大臣及び法務省矯正局長は、各刑事施設の長に対し、矯正協会が販売業者としての地位を独占する運用を改めて、できるかぎり多くの業者に参入させるよう直ちに指導をすべきである。
 また、新規業者が参入しやくするために、民間業者に適切に情報を提供するなどして広く業者を募集して、できるかぎり多くの業者に参入させるよう効果的な運用を行うよう指導すべきである。
 具体的には、全国の刑事施設において、どの施設で、いつ、どのような物品(品目)について販売業者を指定しようとしているのかを、法務省のホームページを利用するなどして、明確に告知するべきである。また、複数の業者が指定を受けることを希望した場合には、各刑事施設の長はどのような審査基準を用いて審査を行うのかを明確にするとともに、審査結果の概要、業者選定に至ったプロセスを可能な限り公表すべきである。その際、刑事施設の長が独断で決定を行うのではなく、視察委員会やその他の第三者機関により、合理的な選定がなされているかどうかを担保することも検討されるべきである。】
と極めてまっとうな指摘をした。

それから2か月が経過したわけだが、法務省は何らかの改善策を検討しているのだろうか…。



※1:http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/125885/

※2:http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/data/080215_4.pdf






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★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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反日、反中国、反権力…反聖火が反中国でないのと同様に映画「靖国」は「反日」ではない!

2008-04-27 05:12:34 | メディア(知るための手段のあり方)
 チベットでの事件について中国を批判するために聖火リレーの際に行動を起こした人について、「反中国」的行為を行ったと呼ぶべきでしょうか。個人的には、呼ぶべきではないと思う。聖火リレーで中国を批判している人は、現在の中国政府のあり方を正そうとしているのであり、そのような活動を通して中国政府が民主化されれば、中国市民の幸福につながるわけだから、「反中国」ではなく、むしろ、「親中国」といってもいいはずだ。

 では、映画「靖国」は「反日」映画だろうか?映画「靖国」が靖国神社を批判するものだとしか受け止めることができないとした場合であっても、批判の対象は勝てない戦争と分かっていながら市民の戦意を高揚するために政府が利用した靖国神社なのだから、直ちに「反日」映画であるとはいえないのではないだろうか。

 ドイツで、ナチズムを批判する映画に対して、「反ドイツ」映画というレッテルを貼ることができるだろうか?

 では、日本で、戦争を拡大した軍人や政治家を批判する映画に対して、「反日」映画というレッテルを貼ることができるだろうか?

 日本で、特攻攻撃を考案し実行した軍部を批判する映画に対して、「反日」映画というレッテルを貼ることができるだろうか?

 日本で、戦意高揚に大きな役割を果たした新聞社を批判する映画に対して、「反日」というレッテルを貼ることができるだろうか?

 日本で、戦意高揚に大きな役割を果たした天皇を批判する映画に対して、「反日」というレッテルを貼ることができるだろうか?


 そして、もう一度改めて、問います。反靖国神社映画は、反日映画ですか?

 ドイツでナチズムを批判する映画が上映中止に追い込まれたと聞いたら、どう思いますか?

 ドイツでナチズムを批判する映画に公的資金に基づく助成金が支払われたことを批判する勢力が拡大していると聞いたら、どう思いますか?国会議員がそのことを問題にしていると聞いたら、どう思いますか?

 「反日」というレッテルを貼る前に、何について反対しているのか、そこを見極める必要がある。戦争中に「反日」とレッテルを貼られる行動(反戦的行動)をとった人は実は最も「愛国」だったということができるように…。

 もちろん、映画「靖国」については様々な評価があり、反靖国神社映画かどうかかも1人ひとりが判断すればよいわけだが、仮に反靖国神社映画だとしか受け止めることできないとしても、それで直ちに「反日」映画だといえるかどうか、そこはじっくりと考えて欲しいところだ。

 JanJan(※1)によると、【弁護士として靖国神社を応援する立場から裁判をやってきたと語る稲田議員は、裁判で原告側が一貫して主張していたのは「靖国神社は国民が死ねば神になるとだまして、侵略戦争に赴かせ、天皇のために死ぬ国民をつくるための装置であった」というメッセージであったと述べ、南京虐殺にまつわる真偽不明の写真を数多く羅列し、その合間に靖国参拝をする昭和天皇や国民の姿を入れ、巧みに裁判の原告のメッセージを伝えている、と指摘しました】ということだが、そのようなメッセージを伝える映画だとしても、それに公的な助成金を出すことにいかなる問題があるというのだろうか?


 先進国の有力メディアは、テロという言葉を安易に使うべきではないと考えているところが多い。なぜ、そのように考えるのでしょうか?「反日」映画だと批判する前に、それらメディアがテロという言葉を使わない理由を考えてほしい。


※1:http://www.news.janjan.jp/government/0803/0803283785/1.php

◆冒頭の画像は、映画「靖国」公式サイトより。







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-9条を標的に戦う自衛隊になるつもり-橋本勝の政治漫画再生計画第119回

2008-04-26 20:57:55 | 有事法制関連
【橋本勝さんのコメント】
 4月17日、名古屋高裁はイラクへの自衛隊派遣をめぐる集団訴訟裁判で、イラク空自は憲法違反という判決を下した。航空自衛隊がバグダッドに米軍の兵員と物資を空輸していることは、「国際紛争の解決手段として武力行使を放棄した」憲法9条に違反しているというのである。この判決にたいして自衛隊空幕僚長が「そんなの関係ねえ」と言ってのけたのである。そして政府閣僚もこの違憲判決を無視する姿勢を見せている。憲法99条にもあるように公務員は憲法を尊重し擁護する義務を負うとされているのに、なんということであろう。
 解釈改憲でズルズルと米軍の「テロとの戦い」とやらに協力してきた政権への違憲判決は痛快である、しかし自衛隊や政府のおエライさんの態度にみられるように楽観はできない。福田首相は違憲判決とは関係なく空自による輸送活動は続けると言明している。
 自衛隊が、米軍と共に戦うその時にそなえて「9」を標的にして射撃訓練をしているというわがマンガ、冗談が本当になるかもしれません。

【ヤメ蚊】
 自衛隊空幕僚長の発言のイメージにぴったり!
 なお、橋本さんが5月3日、2カ所で紙芝居や講演をするそうです。



午後2時開会で三条市中央公民館大ホールで「9条マンガ」紙芝居、午後7時からは新通保育園で。いずれも入場500円。







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民主主義国家には、政府の公式発表とは別のチャンネルが必要~昭和49年東京高裁

2008-04-26 05:28:08 | メディア(知るための手段のあり方)
 沖縄密約事件(外務省秘密漏洩事件、西山記者事件)の判決を読み返す機会があり、当時の裁判所が表現の自由の概念について、評価できる判断を述べている部分に目がとまった。

 【民主主義国家においては、国民は、政府の公式発表とは別なチャンネルから、現に政府が何を行なっているのか、その遂行しようとしている政策はどのようなものであるかを知ることを通して、国政の運営の是非を判断し、これを代議制民主主義の機構を通じて、国政の運営に反映させる固有の憲法上の権利を有するのであって、民主主義社会における報道機関の主たる役割の1つは、国政の運営について、政府が公式に発表し、または非公式に開示する以外の情報、つまり、政府のコントロールをうけない情報をも、国民に提供することにあるのであり、憲法21条が、言論、出版その他一切の表現の自由を保障したうえ、その第2項に「検閲は、これをしてはならない。」と定めているのも、時の政府に不都合な報道の抑止を禁止し、政府のコントロールをうけない情報の自由な流通を保障しているものであると解せられる】

 政府のコントロールをうけない情報の重要性がよく分かる名文だと思う。

 実は、NHK番組改編事件の弁論でこのくだりをアドリブで紛れ込ませようかな…とも思ったが、最高裁の弁論に東京高裁の判決を引用するのもどうかと考え、また、NHKの弁論を聞いていると、「原判決の考え方は、公的事項に関する批判的番組の制作、放送が減少するという結果を招来する」などと突っ込んでくれといわんばかりの表現に改めて憤りを感じ、そこへのアドリブを優先させたため、弁論で述べなかった。

 このくだりのような表現を最高裁がばしばし出せるような雰囲気をつくっていきたいもんですね。


(※PR:えっ、そのためには、どうしたらいいか、ですって?迷ったあなたには「マスコミはなぜ『マスゴミ』と呼ばれるのか-権力に縛られたメディアのシステムを俯瞰する」がお奨め!)


◆冒頭の表は、総務省ウェブサイト(http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/japanese/group/housou/91126z01.html)より。










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NHK番組改編事件最高裁弁論の一部をご紹介~政治家の関与について避けては判断できない!

2008-04-25 11:15:35 | メディア(知るための手段のあり方)
【戦時下の性暴力に関するNHK番組の取材に協力した市民団体が「政治的圧力で番組を改変された」としてNHKなどに賠償を求めた訴訟の上告審弁論が24日、最高裁第1小法廷(横尾和子裁判長)で開かれ、結審した。NHK側は、200万円の支払いを命じた2審・東京高裁判決(07年1月)の破棄を求め、団体側は上告棄却などを主張した。判決は6月12日】(毎日新聞)という事件で、担当した弁論をご紹介します。この事件は、NHKらからの上告受理申立と市民団体であるバウネット側からの附帯上告受理申立と両方が審理されており、まったく予断を許さない状況だ。編集権のあり方、知る権利の保障を十分に考慮した判断が出ることを期待したい。

【第3 結語~最高裁判所に望むこと 
 ご存じのとおり,現代社会では,情報の流通は,マスメディアによるところが極めて大きいのが実態である。インターネットの普及などによって,個人による情報発信も増えてはきたが,集合住宅などの増加により,直接各戸を訪問したり,文書を配布することが困難になるなど個人による直接的な情報発信がより困難になっている局面もあり,情報流通におけるマスメディアの役割は決して小さくなってはいない。
 それゆえに,マスメディアの編集権は強く保障されなければならない。しかし,本件番組は,すでに飯田弁護士らが述べたとおり,一審被告NHKの上層部が,官房副長官と面談し,同副長官からいわゆる従軍慰安婦問題についての一般論を聞いた後,同副長官らがかねて主張していた一般論に従ったかのように改変された。そのような「改変」された編集権は保障される必要はない。そのような編集権を保障することはかえって情報の流通を阻害することになる。だからこそ,原審は,本件の番組について,「一審被告NHKの本件番組の制作・放送行為については,前記認定のような編集過程を経て本件番組を完成させ放送した行為であることに照らすと,前記のとおり憲法で尊重され保障された編集の権限を濫用し,又は逸脱したものと言わざるを得ず,取材対象者である一審原告らに対する関係においては,放送事業者に保障された放送番組編集の自由の範囲内のものであると主張することは到底できない」(62頁),「一審被告NHKは憲法で尊重され保障された編集の権限を濫用し,又は逸脱して変更を行ったものであって,自主性,独立性を内容とする編集権を自ら放棄したものに等しく,一審原告らに対する説明義務を認めても,一審被告らの報道の自由を侵害したことにはならない」(65頁)と認定した。

 そして,さらに,この番組が放送される当日の午後,伊東番組制作局長が海老沢会長と面談した後,放送用のオンラインテープを直接3分間もカットするという異例の編集がなされた。通常,編集は編集用のテープを使って行い,最後に劣化していないオンラインテープでの編集がなされる。このオンラインテープが直接編集されることはまさに異常で考えられない事態である。
 そして,この海老沢会長は,政治部出身で,本件を含む一連の不祥事で会長を辞職した後も,NHK会長であるがゆえに任命されたはずの横綱審議会の委員をいまも辞職しようとせず,逆に同審議会の委員長にまでなっている人物である。この人物と伊東番組制作局長との面談後,オンラインテープが3分間もカットされた。そのことは軽視されてはならない。

 同じ第2次大戦敗戦国のドイツでは,憲法裁判所が,公共放送の受信料制度について,放送行政を管轄する州政府の恣意的な意向が反映される可能性がある制度になっているとして違憲であるという判断を示した。この判決で,憲法裁判所は,州政府による受信料に関する影響力について,「たいてい発見することもできず,決定の結果においても読み取ることはできないので,その影響は事後的にも修正されえない。」(鈴木秀美「放送の自由」260頁)と述べ,当時の制度を違憲と判断した。ドイツでは,番組内容に間接的な影響をもたらす受信料の決定過程についてさえ,このような厳格な判断をなしている。ましてや,本件では,直接的な番組内容への政治家の影響力が事実認定された事案です。本件のような政治家の影響力のもとでの編集についてまでも憲法21条の保障下にあるとして一審原告らの法的利益をないがしろにすることは,憲法21条の意義をねじ曲げるものでしかない。最高裁判所が現代においてマスメディアに求められている役割を十分に考慮した判断をなされることを願い,弁論を終えたい。】

※写真は、http://www.courts.go.jp/saikosai/index.htmlより




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NHK受信料が特殊な負担金ではなく、放送の視聴の対価だという根拠~季節契約について

2008-04-24 07:44:26 | メディア(知るための手段のあり方)
 NHK受信料請求訴訟で、NHK側は受信料は特殊な負担金だから、見ようが見まいが払わなければならないという趣旨の主張をしている。しかし、受信契約に基づく請求だから、原則として、受信料はなにがしかの対価として支払うことになる。一方的に負担をする契約というのは例外的であり、そのような契約(贈与契約)というのは拘束力が弱いのが通常だ。つまり、契約を解約したいと考えれば、いつでも解約できる。ところが、このNHKの受信料というのは、テレビを廃棄しない限り、契約を解約することができない。

…どう考えても変だなぁと思っていたところ、ある方が、NHKの「季節契約の取り扱い」という文書を提供してくれた。この文書によると、毎年1か月以上の一定期間放送受信実態がないことが客観的に明らかでその期間が特定できる場合、放送実態のない期間は解約(廃止)扱いとして受信料の収納を停止するそうだ。たとえば、夏場は営業してないスキー客のためのホテルなどがその対象になるようだ。

 これって、見ていなければ、受信料を支払わなくてもいいっていうことでは?

 NHKは、自ら、受信料は放送の視聴の対価であることを認めているのではないだろうか…。

 NHKは内部的にこの矛盾をどのように説明しているのだろうか…。







★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
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光市母子殺人事件判決について~反省しているかどうかが死刑か否かの判断につながるのだろうか…

2008-04-23 07:38:16 | 適正手続(裁判員・可視化など)
 広島高裁は【死刑の選択を回避するに足りる特に酌量すべき事情の有無を検討するに当たり、被告人が本件各犯行をどのように受け止め、本件各犯行とどのように向き合い、自己のした行為についてどのように考えているのかということは、極めて重要である】という。

 極めて重要なのは、やはり犯罪に至った原因ではないだろうか。

【(ア)被告人には前科はもとより見るべき非行歴もない。幼少期に、実父から暴力を振るわれる実母をかばおうとしたり、祖母が寝たきりになり介護が必要な状態になると排泄(はいせつ)の始末を手伝うなど、心優しい面もある。

 (イ)被告人は幼少期より実父から暴力を受けたり、実父の実母に対する暴力を目の当たりにしてきたほか、中学時代に実母が自殺するなど、生育環境には同情すべきものがある。また、実父が年若い女性と再婚し、本件の約3カ月前には異母弟が生まれるなど、これら幼少期からの環境が被告人の人格形成や健全な精神の発達に影響を与えた面があることも否定できない。もっとも、経済的に問題のない家庭に育ち、高校教育も受けたのであるから、生育環境が特に劣悪であったとはいえない。

 (ウ)被告人は犯行当時18歳と30日の少年であった。少年法51条は犯行時18歳未満の少年の行為については死刑を科さないものとしており、被告人が犯行時18歳になって間もない少年であったことは量刑上十分に考慮すべきである。また、被告人は高校を卒業しており、知的能力には問題がないものの、精神的成熟度は低い。】


これが判決が認定した犯行に至る彼の経歴である。

【もっとも、経済的に問題のない家庭に育ち、高校教育も受けたのであるから、生育環境が特に劣悪であったとはいえない】で済むようなことだろうか…。

家庭内暴力、母親の自殺、父親の再婚、異母弟の出産…。

この経過が彼の犯行に与えた影響は小さくはない。

私は、そのような環境で育つことを想像したとき、絶望的な気持ちになる。

 繰り返していることだが、なぜ、犯罪を犯したのか、それに真剣に向き合い、その原因を少しでも改善することを追及するべきだと思う。






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ドイツ連邦裁判所が受信料決定に政治介入があったとして違憲判決~日本では…

2008-04-21 21:11:11 | メディア(知るための手段のあり方)
 NHK放送文化研究所が発行している「放送研究と調査」2007年11月号に、ドイツ連邦憲法裁判所が同年9月、2004年の受信料改定の際に各州首相が独立委員会「公共財源需要の審査会」(KEF)が答申した値上げ額(月額175円UP)を月額140円UPに抑える決定をしたことを違憲だとする判断を下した記事(※1)が掲載されている。日本ではNHK受信料の値下げ問題を巡って、菅義偉総務相がNHKに対し、受信料の2割値下げを堂々と要請してもあまり批判されなかった。表現の自由の保障のレベルにこれだけの違いがあることを目の当たりにすると日本の民主主義がはりぼてに過ぎないと思わざるを得ない。

 ドイツでは、憲法裁判所が、1994年に、受信料額決定のプロセスにおいて、政府が公共放送に影響力を及ぼすことのできるシステムについて、違憲だと判断し、そのような影響力の及ばないような仕組みにすることが求められた。

 このため、ドイツでは【まず,公共放送が4年間の経営・財政計画を立案し,16人の専門家からなるKEFに必要額を申告する。次に,KEFがこれを綿密に審査し,経費削減の余地を勘案し,必要があれば値上げ幅を圧縮し,改定額を州首相会議に答申する。最後に,各州首相と各州議会は,KEFの答申に基づいて額の決定を行う。その際,十分な理由がなければKEFの答申額を変更してはならない。
 答申額を変更する条件として,憲法裁は,受信料支払者の経済的な負担を考慮して行う場合は認められうる,としている。ただしその場合,州首相側は,検証可能なデータを提示しなければならない。】(上記冊子)というシステムを設けた。

 しかし、2005年1月から2008年末までの受信料を改定する際、上記のように、各州首相が値上げ幅を抑制したことから、公共放送のARD、ZDF、ドイチュラントラジオが、不当な政治介入であるとして憲法裁判所に提訴していた。

 州首相側は、①高い失業率などの当時の経済状況、②経費削減の余地があること、③チャンネル数などを見直し、公共放送が大きなシェアを占めるドイツの放送市場に民間放送の発展機会を保障する必要があること、などを値上げ幅圧縮の理由として主張したが、

 憲法裁判所は、

 ①については、詳細なデータを示さなかった、

 ②については、経費削減に関する判断はKEFの権限、

 ③については、【公共放送のサービスや規模についての放送政策を、政治が受信料額の決定のプロセスを通じて行うことは、自由なジャーナリズム活動への侵害であり、明確な憲法違反である】

 として、違憲判決を下したという。

 しかも、憲法裁判所は、値下げで収入減となった4億4000万ユーロについて、2009年からの受信料改定に上乗せしてもよいとまで述べたらしい。

 ヒトラーを再現させないために、ドイツでは、真剣にメディアのあり方を考えている。日本では…。

※1:http://www.nhk.or.jp/bunken/book/media/media07110101.html


★写真はドイツ連邦憲法裁判所。http://www.bundesverfassungsgericht.de/en/organization/building.htmlより。






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警察官が中国人に発砲した状況~こりゃ、子供のけんかに銃を持ち込んだようなもんだ

2008-04-20 01:41:32 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
 警察官が職務質問中に逃走した中国人(羅さん)に対し発砲し死に至らしめたため、羅さんの遺族が損害賠償を求めて宇都宮地裁に起こした民事訴訟で、警察側が拳銃を発砲するに至る経過を再現した写真を提出した。こりゃ、ひどい、ひどすぎる…。警察側は、抵抗を受けたためやむなく発砲したという主張だが、警察側の説明をそのまま信じたとしても、警棒で簡単に対処できる事案だったことは明白だ。こんな場面で拳銃を抜くこと自体が信じがたい。これで、警察官側に過失があったことははっきりした。

 冒頭の写真を見てほしい。警察側によると、これが警察官が拳銃を抜いた場面だ。右手に持っているのは、直径8ミリ、長さ90センチの園芸用篠竹、左手に持っているのは、石灯籠の一部で一番上に乗っている「宝珠」(直径19.5センチ、高さ5センチから10センチ=中央のみ出っ張っている、重さ2.85キロ)だ。

 これに対し、警官が持っていた警棒は長さ53センチだ。

 振り回している竹は武器としては無視してよい程度だ。しかも、宝珠だって、なんだかとても持ちにくそうにしている。これではすぐに投げたりすることはできない。そこで、左手で防ぎながら右手に持った警棒で羅さんの宝珠をたたき落とせば、簡単に羅さんを制圧することはできた。

 次の写真をみると、そのことがよく分かる。

 

 羅さんが篠竹(直径8ミリ)を振り下ろした瞬間に、宝珠を持った左手を警棒でたたけば、簡単に制圧できた。

 このような場面で、警棒を使用せず、拳銃を持ち出す必要は全くない。

 この後、警察によると、さらに接近されて発砲したというが…。

 こんな状況で拳銃を出さざるを得ないような鍛え方しかされてないのだろうか、日本の警察官は…。それってほかの警察官に対する冒涜ではないだろうか。

 素直に、今回は、対応にミスがあったことを認めて、今後はこのようなことがないように徹底したらどうだろうか。
 

 あ、そうそう、いまだに、羅さんたちがATM荒らしをしていたなどという嘘をまき散らしている人がいるそうなので、当時の新聞記事を掲載しておく。羅さんはATM荒らしなどしていない。それははっきりしている。あまり、でたらめなことは言わないほうがよいでしょう。遺族に対する冒涜になりますから。


 

★NPJの訟廷日誌にも掲載中
 http://www.news-pj.net/npj/2007/happou-20071015.html







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-小泉の負の遺産で老人放棄-橋本勝の政治漫画再生計画第118回

2008-04-19 20:31:28 | 橋本勝の政治漫画再生計画
【橋本さんのコメント】
 2006年に小泉政権が強行採決して成立させた「後期高齢者医療制度」がスタートした。そして、この制度のもつ冷酷、非情さが次第に明らかになっている。福田首相は説明不足だったかもしれないなんてことを言っているが、説明をちゃんとすればすむという問題ではない。
 小泉、安倍、福田へとリレーされて進む「改革」とやらの正体を語っているのがこの「後期高齢者医療制度」である。ズバリ国家にとって重荷になるような弱者はいなくなってほしいということ。政府はこの制度の名称がイメージ的によくないと「長寿医療制度」にかえるという姑息なことをやろうとしている。
 日本は80歳を超える世界でもトップクラスの長寿国家であったが、この調子だとアッという間に日本人の平均寿命は下がるだろう。まさに寿命さえも金で買わなくてはならない悲惨な社会、これぞ新自由主義の生み出した格差社会の成果というべきである。


【ヤメ蚊】
 政権が交代しないと格差社会は拡大する一方だ。そして、政権を交代させるためには、マスメディアをめぐる状況を変えなければならない!
 …ここで突然ですが、コマーシャル:マスメディアの状況を変えるために、ぜひ、この一冊!「マスコミはなぜ『マスゴミ』と呼ばれるのか」。
 ちょっとしつこいですが、明日の民主主義のために、この本をぜひ、広めてください。






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マスコミはなぜ「マスゴミ」と呼ばれるのか-権力に縛られたメディアのシステムを俯瞰する~25日発売

2008-04-18 20:32:45 | メディア(知るための手段のあり方)
【PR】「マスコミはなぜ『マスゴミ』と呼ばれるのか-権力に縛られたメディアのシステムを俯瞰する」の一般書店での発売が25日開始されます。とはいっても、お近くの書店にはないこともあるので、ぜひ、予約をしてください…といきなり、宣伝モード全開ですみません。Amazon(※1)にも掲載され、少し興奮気味です。

Amazonの画像は帯がなく寂しいので、帯付き画像を掲載しました。ダイレクトスキャンです。価格は1890円、出版社は現代人文社。

Amazonの内容紹介では、
【メディアが監視機能を果たせなくなって久しい。その原因となっている日本独自のメディア規制システムの全貌を明らかにし、さらなる危機とそれへの対処・克服方法を検討する】
となっております。


少なくとも、熱さだけは、斎藤貴男さんの帯の熱い言葉に負けないものがあることを分かっていただけるはずですので、ぜひ!


目次は次のとおりです。


目次
序章 マスゴミになってしまったマスメディア

第1章 政府・企業によってがんじがらめの日本のマスメディア状況〜三大規制システムを中心に〜
1 マスメディアを取り巻く現実
2 日本独自の三大規制システム① 独立行政委員会の不存在
3 日本独自の三大規制システム② 系列化
4 日本独自の三大規制システム③ 広告一業種一社制の不採用
5 補完しあう三大規制システム
6 市民メディアの不存在がもたらす弊害
7 編集権の経営陣による独占の弊害
8 記者クラブ制度の弊害
9 記者の権利の議論の不存在
10 異常な司法システム

第2章 さらなる強化が懸念される表現の自由への制約
1 名誉毀損事件の慰謝料高額化
2 メディア規制立法3点セット
3 3点セットに続くメディア規制立法

第3章 放送・通信の内容規制が行われる通信・放送の融合法制
1 インターネット規制の流れ
2 「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」中間取りまとめ
3 中間取りまとめに対するパブリックコメント
4 「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」最終報告書

第4章 システムの改善への展望
1 系列の解体や広告業界の一業種一社制度の採用は直ちには困難
2 早期に独立行政委員会の実現を
3 読者の日々のバックアップや批判の重要性
4 業界全体での対応

あとがき
 マスゴミと呼ばせないメディアにしよう!




※1: ※1をクリックするか、もしくは、
    Amazon なぜマスコミはマスゴミと呼ばれるのか で検索してください。
    URLを記載すると長くなりすぎてファイヤーフォックスだと超横長になるようですので中止しました。


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自衛隊イラク派遣違憲判決を書いた裁判長の決意~裁判官の独立について一言

2008-04-18 09:15:30 | 有事法制関連
 画期的違憲判決を書いた青山邦夫名古屋高等裁判所裁判長が3月31日付けで「依願」退官していることは軽視してはいけないと思う。確か、住基ネット違憲判決については、まもなく、裁判長が自殺したはずだ。それだけの重みがある判決であり、他方で、それだけのプレッシャーが本来独立して判断すべき裁判官にかけられているわけだ。また、このニュースについて重みをもって伝えられなかったメディアがあったことも忘れてはならない。青山裁判長の勇気に敬意を表するとともに、この点をメモしておきたい。

【追記】
 読売新聞の一面解説記事で、「憲法判断回避の原則」などと戯言を書いているのを目にした。もちろん、本来、違憲というのであれば、傍論ではなく、一円でも損害賠償を認めるべきだった、そうしなかったから読売新聞のような批判を受けることになった、という意見もあろう。しかし、この判決からは、依願退官をしてこの判決を書いた裁判長のぎりぎりの判断を伺うことができる。裁判長としては、自分のことだけを考えればすむわけではないのだ。
 重大な決意に基づく判決であり、結果として違憲判断は傍論となってはいるが、それがこの判決の重要性をいささかも損ねるものではないことを追記したい。
 読売新聞のような批判をする人に対しては、あなたは職を捨ててまで、将来の安定(公証人など)を捨ててまで信念に従うことができるか、と問いたい。







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立川反戦ビラまき訴訟最高裁判決に泣く~なぜ、こんなに短いのか…

2008-04-17 06:41:43 | メディア(知るための手段のあり方)
 最高裁判所が4月11日に下した立川反戦ビラまき訴訟の判決(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080411183714.pdf)を読んだ。そして、そのあまりの短さに泣けてきた。刑法で罰するほどの違法性がないという被告人(ビラまき側)の反論に対して、【なお,本件被告人らの立入りの態様,程度は前記1の事実関係のとおりであって,管理者からその都度被害届が提出されていることなどに照らすと,所論のように法益侵害の程度が極めて軽微なものであったなどということもできない。】としか書かれていない。無罪とした一審判決(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/BB8423C06C410F5249256FAC00223E36.pdf)が何頁にもわたって論じていることがこのわずか数行で切られている。

 全体で、わずか、9頁に過ぎないこの判決を、一度読んでほしい。

 ビラまきは表現活動として最も簡単な方法の一つであり、それが禁じられることの意味がどういうものか、最高裁はまったく検討してない。

 最高裁は言う。

 【本件で被告人らが立ち入った場所は,防衛庁の職員及びその家族が私的生活を営む場所である集合住宅の共用部分及びその敷地であり,自衛隊・防衛庁当局がそのような場所として管理していたもので,一般に人が自由に出入りすることのできる場所ではない。たとえ表現の自由の行使のためとはいっても,このような場所に管理権者の意思に反して立ち入ることは,管理権者の管理権を侵害するのみならず,そこで私的生活を営む者の私生活の平穏を侵害するものといわざるを得ない。したがって,本件被告人らの行為をもって刑法130条前段の罪に問うことは,憲法21条1項に違反するものではない。】

 憲法21条違反だとの主張に対する判断は、実質的にはこれが全てだ。

 この宿舎には集合ポストが設けられている。したがって、集合ポストに入れれば足りるのではないかとかそういう議論はありうるだろう。しかし、最高裁はそういうことにすら触れずに、上記のように言う。

【一般に人が自由に出入りすることのできる場所ではない】というが、商業ビラはまかれていたと地裁判決は認定している。そのあたりのことはどう考えるのか?

【管理権者の意思に反して立ち入る】とはどの程度の意思にどの程度反することになるのか?

【私的生活を営む者の私生活の平穏を侵害する】とは、どの程度侵害するのか?

そして、ビラまきの重要性はどう考えるのか?

これでは、最高裁は、思考停止に陥っていると批判されてもやむを得ないのではないだろうか?

これって、もうどこかで英訳されていますか?これを世界の人が読んだら、どう思うだろうか…。




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受刑者TOの悲劇~こんな証拠を出されても、あなたは無実の者を刑務所に送らない自信があるのか!

2008-04-16 01:04:28 | 適正手続(裁判員・可視化など)
 ある強盗事件で、現場近くに車を止めて待っていて「実行」犯らとともに逃走したという疑いをかけられて有罪となった外国人T.Oは、前の弁護人が病気になったため、新しく選任された弁護人と出会ったとき、悲しい目をしていた。いま、思えば、それは、日本の司法システムに対する絶望のまなざしだった。

 T.Oは、強盗の現場に行ったとはされていないため、被害者の目撃証言はなく、ただ共犯者の証言のみが証拠だった。それ以外に証拠は全くなかった。しかも、共犯者の証言はその証言に至る経過から必ずしも信用できなかった。むしろ、もっと疑わしい人物がその共犯者の身近にいた。T.Oは、警察がT.Oの無実を知りつつ、何らかの理由で自分を捕まえたと考えていた。

 そもそも、T.Oは、日本の永住権を取得したばかりで、ほかの共犯者とは違い危ない橋をわたる必要はなかったし、捜査段階(起訴前)で中古車を母国に輸出するという仕事もしていると主張しており、強盗の動機は必ずしも明確ではなかった。

 そこで、作成されたのが、T.Oが説明しているような輸出業の実態はない、という警察の捜査報告書だった。そのうちの3つについて、検察官が裁判が始まってから提出した証拠等関係カードには次のように書かれていた。

甲74 被疑者の供述裏付け捜査報告書
(立証趣旨)被告人が供述した自動車販売部品取引先と称する業者には、被告人が来店した事実はないことなど
(作成日)平成●年4月8日

甲78 輸出入の実態捜査報告書
(立証趣旨)被告人の主張する仕事内容の輸出には該当する取引や輸出の事実がないことなど
(作成日)平成●年4月16日

甲79 輸出入の実態捜査報告書
(立証趣旨)被告人の主張する仕事内容の輸出に関し、輸出の際に使ったと称する通関代理店には該当する会社が無かった事実など
(作成日)平成●年4月16日

甲78は、「T.Oが車や部品を買ったと称する会社を探してみたが存在していなかった」という内容のものだが、実際にはT.Oを会社付近に連れて行って探したのではなく、口頭である程度の場所を聞いたうえで、警察のみが捜しにいったものだった。T.Oは、海外で半年近く過ごして帰国したところを逮捕されたばかりで記憶があいまいになっているうえ、そもそも日本人ではないため、地図の感覚がなく、うまく説明ができなかった。なぜ、警察はいわゆる引き当たり捜査(被疑者をつれて調べに行くこと)をしなかったのか?

その答えはあなたに委ねます。しかし、弁護人がT.Oから、輸出をするつもりで用意していた車の保管場所の説明を受け、そこに行ったところ、彼が言うとおりの車があったというのが実態です。

警察は、輸出の実態調査などと言いながら、彼が説明した車については一切捜査報告書を作成していなかった。つまり、現にある車を無視したわけだ。T.Oは警察にも車の存在について話したと述べており、警察は故意に車の存在を隠したと言われても仕方がない。この車には宛先の書かれた荷物が満載され、輸出の準備がほぼ整っていた。その車の存在は、T.Oが輸出業を行っていたことを明確に示していた。

甲78は、T.Oが輸出をする際に使った業者名(A、B、C、D)について、税関に電話で照会し、税関が検索したところ、ヒットしなかったというものだ。しかし、税関は、全ての業者を検索できるシステムはもっておらず、これだけで輸出入の実態がないとは言いきれない。

甲79は、T.Oが輸出する際に取引した荷物検査会社に関する調査報告書だった。この報告書には、税関から聞き取りをした結果として、T.Oが説明した業者名と類似の会社が2つあるが、いずれも業種が違うという記載がされていた。
 しかし、実際には、2つのうちの1つはまさにT.Oが説明したとおりの業者だった。
 しかも、なぜか、その業者(「X」とする)の住所は、●●▲町15-◆であるにもかかわらず、非常に類似した●●□町15-◆とされていたうえ、電話番号の記載はなかった。したがっって、これを受け取った検察官は、自らこの捜査報告書が正しいかどうかの裏付け調査をすることができなかった。そして、検察官は、甲79をT.Oには収入がないことを立証するものとして証拠にしたのだった。
 しかし、弁護人が後ほど調べたところ、実際には、T.Oが言うとおりの業者「X」が存在し、しかも、T.Oが言うとおり、Dという会社(彼は、Xとの関係では、Dを使ったと明言していた)での取引がその業者「X」との間であったのだった。
 それにもかかわらず、甲79は、裁判で、「被告人の主張する仕事内容の輸出に関し、輸出の際に使ったと称する通関代理店には該当する会社が無かった事実など」という立証趣旨で提出されたのだった。
 本来、T.Oが説明したとおりの業者が、●●▲町15-◆に存在したにもかかわらず、●●□町15-◆に類似の会社があるがT.Oの説明とは違うという報告書が作成されたのであり、この報告書は故意に内容を変えて作成された可能性が高といわざるを得ない。
 


 T.Oは、甲78と甲79が作成された日である平成●年4月16日に起訴され、結果的に有罪が確定した。


 T.Oは、甲74,甲78や甲79のような一方的な調書を作成するなどした警察に対し怒りをあらわにした。そして、その嘘を見抜けない検察、裁判所に対しても不満を述べた。


 弁護人は、T.Oが二度と不当な捜査報告書が提出されないようにしてほしいと頼むので、最も不当性が明確な甲79について、虚偽内容の捜査報告書を提出されたことを理由に警察(正確には、都)に対し慰謝料請求を求める訴訟を提起した。

 この訴訟は一審は敗訴した。T.Oは控訴した。そして、一審、二審を通した審理の結果、警察は、甲79については、T.Oの説明が違うという内容のものではなく、捜査の途中の報告書であり、平成●年4月16日の後も捜査を続け、まもなく、「X」の存在を確認したということを明らかにした。しかも、「X」についてT.Oが主張する業者名(A、B)での取引はないことを確認していたというのだ。

 これまた仰天するような言い分だ。この言い分は二つの点で、非常におかしい。

 一つは、「X」の存在を確認し、追加捜査をしているのであれば、その捜査結果を検察官に報告しなければならないはずなのにしていないことだ。すなわち、甲79の内容と異なり、実際にT.Oが説明するとおりの会社「X」が存在した以上、甲79が間違っていた旨検察に報告するのが当たり前だ。ところが、警察は新たな報告書はつくらなかったというのだ。その結果、検察官は、甲79について、「被告人の主張する仕事内容の輸出に関し、輸出の際に使ったと称する通関代理店には該当する会社が無かった事実など」という(虚偽の)立証趣旨で提出することになったのだ。

 もう一つは、警察は、甲78では、T.Oが利用した業者名である主張するA,B,C,Dの4つについて調査したが、「X」に対する追加調査の際には、A,Bでしか調べなかったというのだ。T.Oは、「X」との関係では、Dで取引したと明言しており、もし、警察がDの名前で調べたら、T.Oが主張するとおり、「X」との間で取引があることが判明したはずなのだ。

 以上の経過は、少しややこしいので、何度か読み返してほしい。

 この慰謝料請求訴訟は、警察官の証人尋問をしないまま結審し、まもなく判決を迎える。もし、裁判所がこのような警察の捜査手法を指弾しなかったら、警察はこれからも、自分に不利な証拠は隠し、報告内容をごまかしつづける恐れがある。そう思いませんか?


 警察は、拳銃を持ち歩いています。私たち普通の市民はキャンプで使ったスイスアーミーナイフをバッグから出し忘れて持ち歩いていただけで検挙されるというのに…。

 なぜ、警察にはそのような特権があるのでしょうか。それは、そのような強大な力がないと犯罪を犯した者を逮捕できないからです。

 しかし、一歩間違えば、その力は濫用されてしまいます。少し行き過ぎたかなっていう程度の捜査と違法な捜査の境はきわめて曖昧です。
 
 だからこそ、警察官は厳格なルールのもとでその強大な力を発揮するべきなのです。適正な手続きを踏まなければならないのです。

 

 ところが、実は、今回のような捜査報告書は、裁判員になっても出てくる可能性は大きいのです。

 なぜなら、警察は自分が調べた結果を全て検察官に送る必要はないし、検察も手持ちの全ての資料を弁護人に見せる必要がないからです。

 今後も警察は自分に不利な証拠は隠し、ごまかすでしょう。

 だからこそ、そういう問題が表沙汰になったときには、それだけで「無罪とする」くらいのペナルティが必要でしょう。そのようなペナルティがあって初めて、署長などの上司から「どうしてもこの犯罪の犯人を検挙しろ」と言われたような場合に、少し怪しそうな人物をどうにかして犯人にしてしまおう、という誘惑から逃れることができるのだと思う。

 裁判員制度はそういうペナルティがないまま、スタートしようとしています。

 あなたは、そのような制度のもとで、無実の人を刑務所に送らない、あるいは、絞首台に上らせない自信がありますか?

 …私にはありません。幸か不幸か、弁護士は裁判員にはなれませんが…。

 最後に、お願いです。T.Oに励ましの言葉を送ってやってください。日本の市民はあなたを見捨てないと…。判決は今月24日です。





 

 
★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
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