情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

NHK番組改編事件判決書全文、NPJにPDFで掲載!

2007-01-31 23:48:45 | NHK番組改編事件
NHK番組改編事件判決については、【半面、この判決が判例として確定し、取材される側の期待権が広く認められれば、重大な副作用を持つ恐れもある。報道機関は、取材活動で権力や権限を伴う立場の人と対立する場合がある。取材される側が望まないことも必要なときに記事にできないようでは、報道機関の名に値しない。仮に、取材される側の期待権を常に念頭に置いて取材活動をしなくてはならなくなれば、自己規制の心理が働き、委縮する恐れがある。この懸念が判決の両刃の、もう一方である】などという指摘もされている(西日本)。

しかし、本件の本質は、上記西日本が、別の部分で指摘するとおり、【NHKが「自主性、独立性を内容とする編集権を自ら放棄したものに等しい」とまで言及されたこと自体である。「憲法で尊重、保障された編集の権限を乱用、逸脱して変更を行った」ことがその理由だ。報道機関としてこれほど屈辱的な指摘はない。】ということだ。

NHKは、これほど屈辱的な判決を受けたにもかかわらず、まだ、「政治家の圧力はなかったと認定された」などと、政治家の肩を持つのだから、付ける薬はない。

「News for the People in Japan」に判決全文が掲載された。

安倍の政治家としての資質を考えるとてもよい材料だと思う。








★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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「安倍の圧力あったと認定」NHKOBが解説~日刊ゲンダイ

2007-01-31 08:02:40 | NHK番組改編事件
安倍がとんでもないコメントをしたNHK番組改編事件判決について、NHK政治部OB川崎泰資・椙山女学園大学教授が「判決を読めば、介入を認めていることが分かります」と日刊ゲンダイにコメントした。

コメントは、「判決では政治家の介入があったという言い方はしていないが、判決を読めば、介入を認めていることが分かります。裁判長は、『具体的な話や示唆をしたと認めるに足りない』と述べているだけ。政治家からの発言があったことは認定しているし、それで改変が行われたとしている。裁判長は相手が時の首相だから少し遠慮した、とみるのが妥当です。安倍首相は判決文の読み方も分からないのでしょうか。お粗末極まりないですね」としている。


なお、原告・弁護団の会見が日本ビデオニュースで無料放送中です。

http://www.videonews.com/press-club/0701/000970.php






★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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一億総密告社会にしてよいのか!パート12~海渡弁護士の解説、日本ビデオニュースにて

2007-01-31 06:51:26 | ゲートキーパー(一億総密告社会)制度
一億総密告法案(犯罪収益移転防止法案)について、海渡弁護士がロングインタビューに答えて、その危険性を訴えています。掲載されているのは、日本ビデオニュースのサイトです。有料ですが、できればご覧下さい。

死に体ブッシュとほとんど死に体安倍の接点
ゲスト(PART1):霍見芳浩氏(ニューヨーク市立大学教授)
ゲスト(PART2):海渡雄一氏(弁護士)

URLは:http://www.videonews.com/on-demand/301310/000964.php


■■以下、上記サイトから引用■■

ゲートキーパー法はマネーロンダリング(犯罪収益の移転)の疑いがある時に、それを警察に報告する義務を金融機関や税理士など50の職種に課すもので、安倍政権は今国会での成立を目指している。しかし、50の職種の中に弁護士が含まれているため、日弁連を中心に反対運動が広がっている。弁護士が依頼者の違法行為を警察に報告する義務を課されてしまっては、守秘義務も何もあったものではない。しかも弁護士は疑いがあるだけで報告が義務づけられ、報告を怠れば弁護士資格を失う可能性もある上、警察に報告した事実を依頼者に漏らしてもいけないという条件までつく。
 この法案が報告を義務づけているのは、マネーロンダリングの疑いがある場合に限定されているかのような表記があるが、実際には対象は犯罪収益全般に及ぶ。つまり、違法な事業を行っているテナント(例えば著作権違反など)に部屋を貸しているアパートの大家や、極論すれば暴力団から出前の注文を受けた寿司屋まで、この法案では報告義務の対象となる。そして警察は報告があれば、その口座を凍結できるのだという。つまり大家や寿司屋の銀行口座をである。
 弁護士の海渡氏は、「この法案が通れば、市民は弁護士に何でも相談ができなくなってしまう。また一方で、この法案が密告を義務づけているために、密告社会化を生めてしまう天下の悪法だ」と斬って捨てる。実際、この法律ができれば、市民社会はもはや弁護士を全面的に味方と考えることができなくなる一方で、法案の提出者である警察庁は、全ての業界を自らの監督下に置くことが可能となる。弁護士が警察の監督下に置かれることになる法律。それがゲートキーパー法の実態だと海渡氏は怒りを露わにする。
 海外ではイギリスを除いて、同様の法案が一度は可決したものの、差し戻されたり、違憲訴訟に敗れて廃止になったりしているというが、遅ればせながら日本は今になってそんな法律を通そうとしているのだ。
 「警察が本気で通したがっている法律に、面と向かって反論することで生じるリスクを負いたい政治家がいない」ことが、このような悪法が国会を通過してしまう最大の理由との海渡氏は言うが、実際にこの法律は政治家自身にも累を及ぼす危険性のある極めて危険な法律にも見える。
 今国会では悪名高き共謀罪も依然としてまだ継続審議となっているが、これは日本がすでに警察の恐怖政治がまかり通る時代に突入しているということなのか。もしそうでないのなら、与党はなぜこのような法律を作ろうとするのか。もともとこの法案はOECDのマネーロンダリング防止のための勧告に基づいたものだが、このような監視社会化を推進する世界の趨勢は一体どこからくるものなのか。海渡氏とともに考えた。

■■引用終了■■






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NHK番組改編事件画期的判決~安倍は血迷い発言、日本語が読めないのか?!

2007-01-30 07:29:19 | NHK番組改編事件
ときおり、お伝えしてきた事件で、画期的な判決が出された。【従軍慰安婦問題を巡る民間法廷を取り上げたNHKの特集番組に取材協力した市民団体が、無断で番組内容を改編されたとして、損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が29日、東京高裁であった。南敏文裁判長は「NHK幹部らは国会議員の発言を必要以上に重く受け止め、その意図を忖度(そんたく)して当たり障りのない内容にした」と認定。制作会社1社だけに賠償を命じた一審判決を変更し、NHKと2社に計200万円の支払いを命じた】(日経)のだ。

この判決については、近く、詳細を述べたいが、怒りを禁じ得ないのが、安倍の対応。時事通信によると、【安倍晋三首相は29日夜、NHK番組内容改変訴訟の控訴審判決で、政治家が改変に直接介入したとの原告側主張が退けられたことについて「この判決で、政治家が介入していないということが極めて明確になったと思う」と述べた】というが、笑止。

判決は、「安部官房副長官は、松尾(放送総局長・当時)らに対し、いわゆる従軍慰安婦問題について持論を展開した後、一審被告NHKがとりわけ求められている公正中立の立場で報道すべきではないかと指摘した」と事実認定したうえ、「松尾は、朝日新聞の記者に対して、「先生はなかなか頭がいい。抽象的な言い方で人を攻めてきて、・・・『勘ぐれ、お前』みたいな言い方をした部分がある」「力によるサジェスチョン。それを一方的に与える」等と発言したことまでも認定している。

これって、安倍による圧力を認めているでしょう。

確かに、判決には「上記面談の際、政治家が一般論として述べた以上に本件番組に関して具体的な話や示唆をしたことまでは(中略)認めるに足りず」と述べている部分があるが、それは、あくまでも、番組の内容についてここを削除しろ、あるいはこのコメントをこのように修正しろなどという直接的な指示・示唆をしなかったというだけであって、一般論を話すことによる圧力がなかったことまでも認定しているわけではない。

 判決は、上述した安倍とのやりとりも踏まえた上、「番組改編の経緯からすれば、一審被告NHKは憲法で尊重され保障された編集の権限を濫用し、又は逸脱して変更を行なったものであって、自主性、独立性を内容とする編集権を自ら放棄したものに等し」いとまで認定している。

…NHKに編集権を放棄させた力、それは、普通、圧力と呼ばれるのではないだろうか。

この点、毎日は、【番組改変:NHKに2百万円賠償命令 「政治家発言」認定】と見出しを立てて正しく伝えている。ほかのメディアはどうでしょうか?




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靖国Q11.小泉首相が8月15日に靖国神社参拝したことに対し、中国や韓国などが激しく非難したのは何故

2007-01-28 16:50:04 | 靖国問題Q&A
Q.小泉首相が8月15日に靖国神社参拝したことに対し、中国や韓国などが従来にも増して激しく非難しましたが何故でしょうか。

A.日本の侵略戦争や植民地支配に苦しめられた国々の人々にとっては8月15日は日本の支配から解放されたとして記念すべき日なのです。中国では毎年この日、日本軍国主義を打倒した日として記念式典が行われ、韓国でも同じように光復節として祝われています。

     このような解放記念日に日本の首相が、日本の近・現代における戦争はすべて自存自衛のための聖戦であったとする61年前の8月15日以前と全く変らない歴史観を持ち、かつ侵略戦争の責任者らであったA級戦犯をも祀った靖国神社に参拝したならば、日本は61年前と何ら変ってないのかと怒るのは当たり前ではないでしょうか。
     例えば、日本では8月6日広島、9日長崎での原爆投下に対する抗議とその被害者に対する慰霊を行っていますが、この同じ日に、米国で原爆を讃える集会が行われたとしたら私達は怒るのではないでしょうか。このように8月15日が私達日本人にとっての敗戦記念日ということだけではなく、アジアの人々にとってどういう日であるかを考えなくてはならないと思います。ですから日本の首相が靖国神社に参拝することに反対している中国や韓国にしてみれば、自分達にとっても特別な日である8月15日の靖国参拝は、或る意味では挑戦ではないかと把えるのです。



■■以上、内田雅敏弁護士執筆(小泉政権当時)■■


他国の市民の痛みが分からない人は、自国の市民の痛みも分からないんじゃないでしょうか…

写真:光復節、大学路で開かれた大集会(JCJ←クリック)





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愛国心、評価するが67%?!~データを公開しないままでよいのか?

2007-01-28 08:16:38 | メディア(知るための手段のあり方)
【読売新聞社が20、21の両日に実施した全国世論調査(面接方式)で、昨年12月に施行された改正教育基本法に、教育の目標として「愛国心」が盛り込まれたことについて、「評価する」と答えた人が「大いに」「多少は」を合わせて67%に上った。評価しない」は計29%だった。】(読売)という。

また、【改正法は、「愛国心」以外にも、子供の教育について保護者の責任を明記し、教育の理念として公共の精神を尊ぶことなどを定めた。こうした点を含めて、改正教育基本法全体を評価するかについては、「評価する」が計75%、「評価しない」は計19%だった】ほか、

【「愛国心」に関連し、日本人は、国を愛する気持ちが強いと思うか――を聞いたところ、「弱い」が「どちらかといえば」を合わせて計58%と、「強い」の計39%を上回った。年代別では、70歳以上(「弱い」46%、「強い」52%)を除くすべての年代で「弱い」が多数を占めた。中でも、20歳代では「弱い」が計72%に達し、最も多かった】という。

う~ん、どういう調査をしたら、そういう結果が出るのか?不思議に思って、読売ウェブサイトを見たところ、調査項目がまだ掲載されていない(1月28日午前8時現在)。一つ前の防衛省昇格問題までだ。

これでは、読者が一番関心があるときには、調査方法をチェックできないまま、愛国心賛成派が多いという印象だけが残ってしまうことになる。

しかも、例えば防衛省昇格問題の調査項目をみても質問の全てが開示されているわけではないので、回答者がどのような心理状況に誘導されたかを推測することすらできない。これでは、十分な開示とは言えない。

新聞社の世論調査は、それ自体が世論形成に大きく影響する要因だから、透明性は高めてもらわないと、調査すること自体が百害あって一利なしと見られても仕方ないのでは?業界団体である新聞協会としてもちょっと検討する必要があるのではないでしょうか?



一億総密告社会にしてよいのか!パート11~密告と内部告発との違い

2007-01-28 06:17:25 | ゲートキーパー(一億総密告社会)制度
犯罪収益移転防止法(ゲートキーパー法)が成立すると一億総密告社会になるって批判しているが、犯罪を防ぐための密告は必要ではないか…こういう反論がありそうだ。現にある自民党議員はそう言い放った。

確かに、行政や企業などの違法行為を告発する者を保護する必要はある…。ところが、犯罪収益移転防止法は「個人」の違法行為について通報を義務づけるものだからレベルが違うように思う。

そもそも、密告と内部告発の違いは何か?それは、密告は市民が市民の(違法)行為を通報することであるのに対し、内部告発は市民が大きな組織の違法行為を通報することであるという点だ。(ここでいう密告は犯罪収益移転防止法を前提にし、内部告発は公益通報者保護法を前提にしています)

つまり、密告はどちらかというと密告をしたからといって密告者に不利益が生じることはないのに対し、内部告発はそれを行うことで解雇されたり、いじめられたりするなどの不利益を被ることがある。
そのうえ、告発の必要性は、個人の違法行為を対象とする密告よりも組織の違法行為を対象とする内部告発の方が大きいはず…。

ということは、法律上、内部告発に対する保護は、密告に対する保護よりも充実していないといけないことになる。


ところが、公益通報者保護法による保護を受けるためには、通報先に応じて保護要件が設定されており、

① 事業者内部への通報は:1)不正の目的でないこと
に過ぎないのに、

② 行政機関への通報は:1)のほか、2)真実相当性を有すること
というように要件が加わり

③ 事業者外部への通報は:1)及び2)のほか、3)一定の要件(内部通報では証
拠隠滅のおそれがあること、書面による内部通報後20日以内に調査を行う旨の通知がないこと、人の生命・身体への危害が発生する急迫した危険があることな
ど)を満たすこと
というような厳しい要件が付されている。(ここ←参照)。

つまり、人の生命・身体への危害が発生する急迫した危険がない限りは、原則として行政機関以外の外部への通報は保護されないのだ。

だとしたら、犯罪収益移転防止法においても、密告の前に「あなたがしている行為は犯罪収益の収受に当たりうるから、きちんと対応をするべきだ」という助言をする機会を設けるべきだと思うが、そのような制度設計にはなっていない。

明らかに、内部告発については、告発をさせない方向で制度設計されており、密告については密告しないとペナルティを受ける規定を設け、密告を奨励させる方向で制度設計されている。

行政・大企業の違法行為はできるだけ隠蔽し、市民の違法行為はそのおそれがあるだけでどしどし密告させる…こんな社会にしてよいのでしょうか?!

イラストはこちら(←クリック)よりお借りしました。赤字部分はヤメ蚊。






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一億総密告社会にしてよいのか!パート10~自民党からも反対の声

2007-01-27 17:59:09 | ゲートキーパー(一億総密告社会)制度
 朝日新聞によると、【犯罪組織の資金洗浄などを防ぐ社会の門番役として、弁護士らに疑わしい取引の届け出を義務づける「ゲートキーパー(門番)法案」を巡り、自民党の内閣・法務・司法制度調査会の合同部会は26日、「議論が尽くされておらず拙速だ」として、予定されていた同日の部会承認を見送った。政府は「特急」で処理される「日切れ扱い法案」として年度内のスピード成立を目指すが、当初予定の2月2日の閣議決定は困難な情勢になった】という。

 同紙によると、【部会では、実質上初めての議論の場で承認を取ろうとする警察庁の姿勢に対し、慎重論が集中。「国民に全く知られていない法案を『日切れありき』で議論するのはおかしい」との意見も出た】らしい。

 聞いたところによると、賛成したのはわずか2名で、反対したのは8名。圧倒的に拙速な成立を危惧する声が大きかったようだ。

 もちろん、共謀罪にしても、【自民党法務部会(吉野正芳部会長)は25日午前の会合で、共謀罪を創設する組織犯罪処罰法改正案に関するプロジェクトチームを設置し、同法案の修正を検討する方針を決めた。通常国会の会期中に一定の結論を出す考え。吉野氏は「(同法案を)白紙に戻して部会で了承事項にするか、勉強会という形で議論して提言するかはこれから詰めたい」と語った】(時事通信)と伝えられるように、世論の反対を押してでも成立をさせようという姿勢を見せている自民党だけに、安心はできない。

 当面の目標は2月2日の閣議決定阻止だ!

 安倍内閣の閣僚(ここ参照←クリック)にあらゆる手段で抗議の意思を伝えよう!
Stand and Unite!

 




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靖国Q10.A級戦犯を分祀すれば、外国からも批判されることもなく、また天皇の参拝も可能になる

2007-01-27 16:53:30 | 靖国問題Q&A
Q.A級戦犯を分祀すれば、外国からも批判されることもなく、また天皇の参拝も可能になる。

A.A級戦犯を合祀するということは、先の大戦が日本の侵略戦争であったことを否定するメッセージを対外的に発信することになり、重要な問題ではありますが、しかしこのことが、靖国問題の本質というわけではありません。

    確かに中国などはA級戦犯が合祀されている靖国神社に日本の首相が参拝することを問題にしており、A級戦犯を分祀すれば批判はなくなるかもしれません。しかし、靖国問題の本質は、前述したように日本の近・現代史における戦争をすべて聖戦であったとする靖国神社の持つ特異な歴史認識にこそあるのです。
    このような歴史認識からすれば、A級戦犯の合祀は当然(そもそもA級戦犯という観念がないのであり、その意味ではむしろA級戦犯こそを祀るにふさわしいと云えましょう)であり、これを分祀したとたんに靖国神社は靖国神社でなくなってしまうのです。ですからA級戦犯の分祀なんてできるはずがありません。それは神道の教義上というよりむしろ前述した靖国神社の成立の経緯、特異な歴史認識が故にです。


■■以上、内田雅敏弁護士執筆■■


A級戦犯を分祀したとたんに靖国神社は靖国神社でなくなってしまう…確かに、戦意高揚装置としての靖国が戦争を推進した指導者を分祀するわけにはいかんですよね…。

マンガは、橋本さんの連載30回で掲載したものを再掲させいていただきました。


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一億総密告社会にしてよいのか!パート9~悪くないのに口座凍結…とんだ巻き添えも:東京新聞

2007-01-26 09:07:37 | ゲートキーパー(一億総密告社会)制度
「知らぬ間に警察の手先」~東京新聞が「収益の移転防止に関する法律案」の本質をつく記事を特報面に掲載した(下記)。密告社会が現実化されるこの法案に、共謀罪法案とともに全力で反対しましょう!(まずは、今日の東京新聞を買いましょう)

■■引用開始■■

 「マネーロンダリング(資金洗浄)の疑いがある行為を見かけたら、当局に通報すること」-弁護士など約五十の職種に、こんな義務を課す「ゲートキーパー(門番)法案」が国会に提出されそうだ。「国民を警察の手先にする“依頼者密告法案”だ」「共謀罪とともに、監視社会化を進める法案」と反対の声が上がっている。いったい、どんな法案なの?

 政府・与党からはゲートキーパー法案、反対派からは密告法案と呼ばれる「収益の移転防止に関する法律案」(仮称)は、「マネーロンダリング対策とテロ資金対策が目的」という。

 今でも、金融機関で顧客の本人確認などのマネロン防止策が取られているが、新法が成立すると、金融機関だけでなく、約五十の職種が▽本人確認▽疑わしい取引を見つけた場合の当局への届け出-などを求められるようになるという。

 対象職種は金融機関、ファイナンス・リース業者、クレジットカード会社、宅地建物取引業者(不動産業)、貴金属取引業者(宝石店、貴金属店)、郵便物受取業者(私書箱を運営する会社)、電話受付サービス業者(電話秘書サービス会社など)、弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士などなど。ユーザーの個人情報を知りうる職種なのが特徴だ。

 各職種の人は「犯罪がらみの取引かもしれない」と感じたら、それぞれの監督官庁に届けなければならない。例えば、金融機関ならば金融庁に、となる。

 その情報は監督官庁から国家公安委員会に流され、捜査に使われる。政府の「国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部」(本部長・塩崎恭久官房長官)は、この制度の効用を「安心・安全な社会」「健全な経済システムの維持」とうたっている。

 「もしかしたら、犯罪がらみかも」と感じた業者が、次々と顧客情報を政府に流す。膨大な事件情報、厳密には「事件かもしれないと思える事案情報」が政府に蓄積されるのだから、犯罪組織も壊滅するに違いない-と思えてくる。

 しかし、弁護士や識者からは「国民同士が監視しあう暗黒社会になる。そればかりか善良な国民が巻き添え被害に遭う危険が高い」と反対論が出ている。例えば、次のようなケースが想定されるという。

■悪くないのに口座凍結…とんだ巻き添えも

 【ケース1】 長女の結婚式を控えたAさんは「おたくの土地を買いたい」と言う男に高値で売却したが、不安なので弁護士を立ち会わせた。後日、結婚資金に使おうと、売却で得た金を銀行から下ろそうとしたが、口座は凍結されていた。売却相手がヤミ金融業者だったため、弁護士が「Aさんは何も悪くないんだが」と思いつつも、当局に通報したからだ。

 結婚式はキャンセルするはめとなり、Aさんは弁護士に「ひどいじゃないか。訴えてやる」と抗議したが、弁護士は「私には通報義務があるので仕方ないんです」と弁解した。

 【ケース2】 借地にビルを建てたBさんが死亡した。遺産分割協議がまとまるまでの間、Bさんの銀行口座を管理していた弁護士は、違法営業のようにもみえるテナントからの賃料収入に気付いた。適法かもしれないとは思ったが、通報義務に従い当局に通報した。通報したことを当事者に教えることは禁じられているため、Bさんの遺族たちは何も知らない。

 間もなく、口座は凍結されて賃料収入が引き出せなくなり、遺族は借地料を支払えなくなって立ち退きを余儀なくされた。後日、テナントは適法営業と判明したが、後の祭りだった。

 監視カメラや住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)による「国民監視社会」化に警鐘を鳴らしているジャーナリストの斎藤貴男氏は「電話秘書サービスの業者まで依頼主のことを通報するというのでは、人と人との信頼関係は、どうなってしまうのだろう。社会全体のためなら(善良な市民の受ける)多少の被害は仕方がないでしょ、ということなのか」と危惧(きぐ)した上で、「私のようなことを言うと、『性善説でテロや犯罪に対処できるか』という反論が来そうだが、そういう人々には、なぜ、捜査機関性善説を取るのかと聞きたい」と話す。

 確かに、富山県警と富山地検の捜査ミスで、無実の男性が強姦(ごうかん)罪に問われ、二年九カ月も拘置、服役させられた問題が発覚したり、ファイル交換ソフト「ウィニー」により警察官のパソコンから大量の捜査情報がインターネット上に流出した。警察官による性犯罪、強姦罪、捜査報告でっち上げも後を絶たない。

■国民は蚊帳の外早期成立に懸念

 弁護士たちからは「最近の警察は不祥事のデパート。そこに個人情報を蓄積する新制度は危険すぎる」との声も上がっている。

 通常国会で審議されるという法案の内容は十分、国民に伝わっていない。三月にも成立させてしまえば、七月の参院選までに、国民は忘れてしまう-そんな読みも出ているというのだが。

■捜査不信安心できない   ジャーナリスト大谷昭宏氏に聞く

 この法案を「密告制度」と批判する一人で、事件記者歴が長いジャーナリスト・大谷昭宏氏に聞いた。

 まず、密告制度の導入で捜査実績が上がるのか、疑問だ。この制度では、弁護士に相談する行為じたい、警察に密告されるリスクを伴うため、犯罪組織は弁護士を使わなくなるはず。弁護士会から懲戒された人物を使うなど、(弁護士ではない人の法律事務の取り扱いを禁じた)非弁活動を助長するだけだと思う。

 一方で、まじめな多数の国民が警察の手足にされる。従来も、犯罪を見つけた国民が警察や検察に通報し、刑事事件摘発のきっかけになってはきたが、新制度は似て非なるものだ。今までの内部告発は、不正行為を見つけて自主的に通報するのに対し、新制度は怪しいと感じたら密告しろというもの。通報と密告は、まったく違う。不正行為をとがめたり、やめさせるのでなく、一足飛びにお上に密告しろという制度は、社会の犯罪防止機能を弱めてしまう。

 経験者なら分かるだろうが、一般市民が事件情報を持ち込むと、捜査機関は「相手をずっとウオッチして、おかしな点を情報提供してくれ」と求めるのが常だ。すべての持ち込み情報を捜査機関自身でフォローし切れないから必然的にそうなる。その時点から、情報提供者は警察の手足となる。顧客が、宝石店や弁護士、電話秘書などから監視され密告される暗い社会は、いかがなものか。

 「怪しい取引」と思われ密告された人がシロだった場合のみならず、クロの場合でも、密告者は恨みを買う。密告者が誰だったかを犯罪者に知られたら、どうするのか。警察は「通報者が誰なのか、絶対にバレないようにする」と言うだろうが安心できない。現に、警察官のパソコンから大量の情報が世間に流出している。流出データはプリントしたら人の背丈に達する分量だったと言われている。警察がボディーガードしてくれるわけじゃなし、密告者の安全は誰が守ってくれるのか。警察官は銃を所持しているからいいが、国民は丸腰だということを肝に銘じるべきだ。 (談)

◆予想される法案骨子

 【目的】犯罪収益の移転とテロ資金供与の防止。市民生活の平穏確保と経済活動の発展に寄与する。

 【国家公安委員会の責務】疑わしい取引の情報が刑事事件捜査などに活用されるよう、迅速、的確に集約、整理、分析する。

 【特定事業者(対象職種)の義務】▽顧客の本人確認▽取引記録の七年間保存▽犯罪収益の疑いある取引は監督官庁に届け出る。

 【その他】特定事業者への罰則などを整備する。

<メモ>国家公安委員会 内閣府の外局で、警察を民間人が監視する目的で戦後、つくられた。委員長は国務大臣で、ほかに学者など5人が委員。委員は特別職国家公務員で守秘義務がある。各都道府県にも県警を監視する公安委員会がある。しかし、「公安委の実務は警察官任せの部分が多く、機能を果たしていない」と指摘されて久しい。

<メモ>ウィニー事件 愛媛県警で2006年3月、ファイル交換ソフト「ウィニー」を入れてある捜査一課警部補=当時(42)=の私物パソコンから殺人、性犯罪などの捜査資料や個人情報が、インターネット上に大量に流出したことが発覚。京都府警や北海道警も同様の事件を起こした。06年7月に政府が公表した各省庁の情報管理対策評価で、警察庁は最低のDランク。

<デスクメモ> 五年ほど前、小一の男児誘拐事件を取材したが、犯人が身代金の受取先として指定したのは都内の私設私書箱だった。「振り込め詐欺」などの犯罪の温床となっているのも事実だが、ネット取引で、個人情報を守るために「第二の住所」を利用している人は多い。密告を奨励する社会って、やっぱり暗い。 (吉)

■■引用終了■■






★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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靖国Q9.「罪を憎んで人を憎まず」は中国の孔子の言葉だ。日本では死ねば皆同じように祀られる

2007-01-26 01:07:40 | 靖国問題Q&A
Q.A級戦犯の話がたびたび論じられるが「罪を憎んで人を憎まず」は中国の孔子の言葉だ。日本では死ねば皆同じように祀られる。


A.「罪を憎んで人を憎まず」と孔子が言ったかどうかは知りません。しかし、この言葉は加害者が被害者に向って言う言葉でないことくらいは最低限知っておくべきです。

靖国神社が戦死者を祭神として祀るに当っては明確な基準があります。
それは「朝敵」か否かです。
幕末期から明治初期にかけての戊辰戦争で朝敵となった会津藩など奥羽列藩同盟の戦死者達が靖国神社に祀られていないことはよく知られています。しかし、同じ会津藩でも会津藩と薩摩藩が組んで朝敵長州藩と戦った「蛤御門の変」のときの会津藩の戦死者は靖国神社に祀られており、このときの長州藩の戦死者は祀られておりません。
西郷隆盛ら西南戦争における薩摩藩の戦死者が祀られていないのも同じ理由によるのです。
朝敵か否かというこの選別は、それは見事なほど合理的になされているのです。


■■以上、内田雅敏弁護士執筆■■


都合のいいときはAといい、違う場面ではBという。こういう手口に乗らないようにしないといけないですね。




★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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弱いもの叩きしかできないのか~不二家「蛾食べても害はない」発言報道

2007-01-25 06:47:36 | メディア(知るための手段のあり方)
読売新聞は「チョコ菓子にガ混入、不二家工場は『害はない』と説明」との見出しのもと、次のような記事を掲載した。

■■引用開始■■
 大手菓子メーカー「不二家」(本社・東京)は24日、2003年に平塚工場(神奈川県平塚市)で製造したチョコレート菓子にガが混入し、これを購入した主婦に工場幹部が「(食べても)害はない」と説明していたことを明らかにした。

 同社によると、03年11月、茨城県の主婦が、チョコレートやキャンデーが詰まった菓子「アンパンマンハウス」を購入した際、チョコレートの一つに、ガが付着しているのに気が付いた。主婦から連絡を受け、同社で調査したところ、同10月9日に平塚工場で製造された商品で、製造工程の途中で混入した可能性が高いことが判明した。

 同12月に、同工場長ら3人が主婦に謝罪したが、その際、主婦が「誤ってガを食べてしまったら健康に害はないのか」と問いただしたのに対し、工場長らは「害はない」と説明したという。」

■■引用終了■■

この不二家の対応に何か問題があるのだろうか?

不二家は、混入自体は、工場長ら3人が謝罪している。その際に、誤って食べたとしたら害があるのかと聞かれ、「害はない」と答えただけだ。

もちろん、苦情があったにもかかわらず、「食べても平気だから、気にしないでください」と放置したのであれば、問題だろうが、そういうシチュエーションではない。謝罪の席で、害があるかと聞かれたから、害はないと答えた。このとき、不二家側にほかにいかなる対応を期待するのか?

また、混入していた蛾に害があったとか、調べもしないで害がないといい加減なことを言ったというなら、それは問題だが、そのようなことは記事には書かれていない。昆虫を食べることに抵抗がある人はいるだろうが、それとこれとは話が違う。

少なくとも記事を読む限り、不二家には落ち度はない。

水に落ちた犬を打つのもいい加減にせい!

ところで、この問題を考えているうちに、内部告発と密告の違いについてつらつら考えた。すると、一億総密告法案(犯罪収益移転防止法案=弁護士依頼者密告法案)の問題性がより明確になった。それは…(時間切れ。次回に)


写真はこちら(←クリック)から。虫嫌い(昆虫差別者?)はけっして拡大しないようにご注意下さい。







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靖国Q8.小泉首相は私的参拝だから政教分離原則に抵触しない。自分にも内心の自由はあると言っている

2007-01-25 04:12:55 | 靖国問題Q&A
Q.小泉首相は公的参拝でなくて私的参拝であるから政教分離原則に抵触しない。自分にも内心の自由はあると言っていますが、そうでしょうか。


A.公的参拝と私的参拝を都合よく分けることは許されません。

    小泉首相は、自民党総裁選の公約として8月15日の靖国参拝を掲げました。そして、中国・韓国らからの批判に対しては内政干渉だとも反発しました。また、靖国参拝をやめるべきだという経済同友会の提言について、「政治と商売は別だ」と小泉首相自らが靖国が政治問題であることを認めています。最近では「(靖国参拝の)公約は生きている。」「公約は守られなければならない。」などと或る種居直り発言すらしています。小泉首相の靖国参拝を違憲だと断じた大阪高裁判決(2005年9月30日)も「靖国神社に到着後、約1時間もテレビ取材陣が到着するのを待って参拝している」と認定しています。このように公約に基づき、しかも公表した上であえて公共の関心事である靖国神社へ参拝することは、例え一私人の立場をとったとしても内閣総理大臣の地位にある者と同一人物であり、密接不可分であることから実質的には政治的効果を狙った公的参拝であることは否定できません。

■■以上、内田雅敏弁護士執筆(小泉政権当時)■■

私的というなら、神社の外からでもこっそり祈ることはできるはず…

写真はこちら(←クリック)より



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-美しい国の国民投票法かくありき-橋本勝の政治漫画再生計画第55回

2007-01-24 19:28:53 | 橋本勝の政治漫画再生計画
【橋本勝さんのコメント】
美しい国の、美しい国民のみなさま
60年もたってしまった
今の使い古した憲法を変えて
新しく美しい憲法をつくりませんか
しっかりした軍事力こそが国を守ります
美しい戦争を可能とする憲法
国民に美しい愛国心を強制する憲法
そのためにも
国民のみなさまに
憲法を変えるための選択をしてもらう
国民投票のルールを決めた国民投票法が必要です
美しい国の、美しい国民のみなさま
美しい戦争のできる憲法をもつことで
日本は大きく変わるのです


【ヤメ蚊】
「民主党が憲法改正国民投票法案に賛成票を投じたら、参院選で民主党には投票しない」と脅しましょう。





★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
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【転送歓迎】一億総密告社会を招く共謀罪と犯罪収益移転防止法案:海渡雄一弁護士

2007-01-24 02:57:10 | ゲートキーパー(一億総密告社会)制度
一億総密告社会を招く共謀罪と犯罪収益移転防止法案

-国際社会は本当に共謀罪と依頼者密告制度を求めているのか-

2007年1月23日
                            海渡 雄一(弁護士)

PART1

│ 共謀罪と依頼者密告制度 │


1 共謀罪と依頼者密告制度をつなぐ点と線
 共謀罪と依頼者密告制度は実は密接に関連している。
その共通点は簡単に数え上げても次の5点に及ぶ。
1)政府が国際機関(国連、FATF)からの要請を第一義的な立法理由にしていること、
2)どちらもイギリスがその制度の祖国であること
3)密告という人倫に反する行為が奨励されていること、
4)「犯罪遂行の合意」であるとか、「疑わしい取引」といった非常にあいまいな行為が規制の対象とされること、
5)規制の前提・対象犯罪がどちらも619もの広範な犯罪にひろがっていること
などである。
共謀罪は2000年に起草された国連の越境組織犯罪防止条約の国内法化のためと説明されている。共謀罪は、犯罪はその実行の着手される前には処罰されない刑法理論の根幹を変え、犯罪の合意が成立しただけで、その実行の着手はおろか、準備にすら取りかかっていない段階で処罰しようとする制度だ。
 日弁連は、この条約が世界の刑事司法にもたらすインパクトに注目し、その審議の冒頭から代表団を派遣して審議の内容の把握に努めた。このような努力が、後の国会審議で政府側と互角の論議を展開する上で大きく役立ったと確信する。
 これに対して、依頼者密告制度はFATF(OECDの加盟国等で構成されている政府間機関)がテロ資金・マネーロンダリング対策として2003年6月の「40の勧告」の改訂の中で提唱した制度である。
 依頼者が行う取引に犯罪収益が関連している疑いのあるときに、弁護士にそのことを警察に密告することを義務づけ、報告をしなかったことを理由に懲戒などの措置を可能にしようとする依頼者密告制度を含む犯罪収益移転防止法案が2007年2月初旬にも法律案として提案され、政府与党は3月末までの成立を目指している。

2 共謀罪についての世界の状況
 この二つの制度が世界各国でどのように実施され、もしくはされていないのかを最初に見てみたい。まず国連条約の批准のためには共謀罪の制定が不可欠という説明には重大な疑問が生じている。
 新たな共謀罪立法を行ったことが確認された国は,ノルウェーなどごくわずかであり、他に立法を行った国は確認されていない。アメリカ合衆国は,州法では極めて限定された共謀罪しか定めていない場合があることを国務省の大統領宛批准提案書の中で指摘した上で、国連越境組織犯罪防止条約について州での立法の必要がないようにするため,留保を行った上で条約を批准した。アラスカ、オハイオ、バーモントなどの州レベルでは広範な共謀罪処罰は実現していないことを外務省も認めた。
 すでに判明しているだけで,組織犯罪の関与する重大犯罪の全てについて共謀罪の対象としていないことを認めている国が5ヶ国(ブラジル,モロッコ,エルサルバドル,アンゴラ,メキシコ)存在する。セントクリストファー・ネーヴィスは,越境性を要件とした共謀罪を制定して,留保なしで国連越境組織犯罪防止条約を批准している。これらの諸事実は、政府のこれまでの国会答弁と明らかに矛盾している。

3 依頼者密告制度に関する世界の状況
 この制度は、2003年6月のFATF(金融活動作業部会 OECD諸国の政府間会合で犯罪収益の流通やテロ資金規制のための活動をしている)勧告がもととなっているが、日弁連はこのような計画を知った2000年以降、アメリカやヨーロッパの弁護士会と密接な連携を取りながら、この制度の反対運動を国際的に繰り広げてきた。日弁連は4度にわたって、FATF事務局にこの制度に反対することを直接申し入れている。
 この制度はOECD加盟国の中でもアメリカ、イギリスなど主要国で実現していない。
 アメリカでは、アメリカ法曹協会(ABA)がゲートキーパー規制について反対の姿勢を崩しておらず、政府からも制度創設の具体的提案がなく、依頼者密告制度は実現されていない。2005年秋からFATFによるアメリカ政府に対する相互審査が始まり、2006年に報告書が公表されたが、この点は勧告を満たしていないとされる多くのポイントの一つとして指摘されたにとどまり、大きな問題にはなっていない。
 カナダでは、FATF勧告の改訂前にイギリス型の極めて広範な通報義務を刑罰によって義務づける法制が作られたが、弁護士会による法律の執行の差止めを求める仮処分が各州で提訴され、全ての州でその執行が停止されている状況で、政府は、この法律の弁護士への適用を撤回している。カナダでは、弁護士による本人確認と記録保存は義務づけられたが、疑わしい取引の報告制度は設けないことで、政府と弁護士会の間で合意がなされている。
 イギリスでは、既に1993年からマネーロンダリング規則が存在し、この規則は1994年からソリシターをも規制対象とするようになった。疑わしい活動についての政府金融監督機関への報告義務の懈怠などが5年以下の懲役刑の対象とされため、ソリシターが後のトラブルを恐れて依頼者の活動について些細な事実についても報告を行うようになっており、2004年のソリシターの報告は1万数千件に及んでいる。
 その他のヨーロッパ諸国では、2001年のEU指令により、ほとんどのEU諸国で報告制度の国内法化が実施された。多くの国々では、弁護士が弁護士会に届け出る制度が取られており、また届出件数も少ないことが特徴である。ヨーロッパ諸国においても弁護士会の抵抗は続いており、ベルギーやポーランドでは、弁護士会がこの制度の違憲性を指摘して行政・憲法裁判所に提訴しており、現在係属中である。
 2006年11月に開催されたFATF会合において、日弁連はABA(アメリカ),CCBE(EU諸国),カナダ弁護士会、スイス弁護士会などともに依頼者密告制度の撤廃を求める共同声明を作成し、FATFに提出している。この制度を阻止し、廃止させていくことは世界の弁護士会の共通の悲願となっているのである。
 
4 根本的に疑問のある国際刑事立法手続の透明性
 国連にしてもFATFにしても、その実体を見ると、これら国際機関で議論を主導しているのは、先進諸国の外務、法務、警察、金融財政などを担当する官僚ばかりである。いってみると官僚だけで国会をやって、政府の作りたい法律を作っているようなものであり、そこには国際人権NGOも野党議員もいないのである。
 日弁連は国連組織犯罪防止条約の起草の場に代表団を送り続けたが、発言の機会はなかった。FATFの勧告制定時にも、日弁連は世界各国の弁護士会と共同して、依頼者密告制度の新設に反対する意見を書面でも提出したし、会合の中でも述べた。しかし、これらの意見に対してFATF事務局はいったんは受け入れるとしながら、結局勧告には反映されなかった。このように国際刑事立法手続きの透明性とその正当性について根本的な疑問があるのである。

PART2
│ 共謀罪なしで越境組織犯罪条約は批准できる │


1 崩れている国連条約批准のためという説明
 政府・外務省・法務省が共謀罪の制定を必要とする理由として上げてきた理由、根拠はことごとく崩れている。
・国連越境組織犯罪防止条約第34条第1項は、国内法の基本原則に基づく国内法化を行えばよいことを定めている。
・国連が条約の批准の適否を審査するわけではなく、したがって、国連から新たな立法がないとして批准の有効性に疑問が提起されるわけではない。

2 新たな共謀罪立法なしで国連越境組織犯罪防止条約を批准することはできる
・我が国においては、組織犯罪集団の関与する犯罪行為については、 未遂前の段階で取り締まることができる各種予備・共謀罪が合計で58あり、凶器準備集合罪など独立罪として重大犯罪の予備的段階を処罰しているものを含めれば重大犯罪についての、未遂以前の処罰がかなり行われている。
・刑法の共犯規定が存在し、また、その当否はともかくとして、共謀共同正犯を認める判例もあるので、犯罪行為に参加する行為については、実際には相当な範囲の共犯処罰が可能となっている。
・銃砲刀剣の厳重な所持制限など、アメリカよりも規制が強化されている領域もある。
・日弁連は政府が提案している法案や与党の修正試案で提案されている共謀罪の新設をすることなく、国連越境組織犯罪防止条約の批准をすることが可能であり、共謀罪の新設はすべきではないと考える。
(http://www.nichibenren.or.jp/ja/special_theme/complicity.html)。

PART3

│ 犯罪収益移転防止法案と依頼者密告制度 │

1 政府の提案する犯罪収益移転防止法案の中味
 政府の国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部は、2005年11月17日、このFATF勧告を受けて、その実施のための措置として、現在金融庁に置かれている金融情報機関(FIU)を警察庁に移管すること、法律案の作成は警察庁が行い、弁護士に対してテロ資金・犯罪収益の移転防止資金に関連するなど何らかの違法性があるとの疑いのある取引・活動について警察庁に報告することを義務づける制度を盛り込んだ法案を2007年の通常国会に提出することなどを決定した。
 その内容は、法律・会計専門家は、FATF勧告の趣旨に従って本人確認、取引記録の保存及び疑わしい取引の届出の措置を講ずる責務を有することを前提に、①弁護士が講ずべき措置の内容については、他の法律・会計専門家の例に準じて当連合会の会則により定めることとする、②弁護士による疑わしい取引の届出は、当連合会に対し行うこととする、③政府と当連合会とは、犯罪収益等の流通に関し相互に協力しなければならないこととするなどである。
 この警察庁案は、弁護士についても、他の法律・会計専門家と同様に、疑わしい取引の届出義務を課すが、その具体的内容については日弁連が会則で定めるという仕組みを採用している点に特徴がある。

2 依頼者密告制度ができれば安心して弁護士に相談できなくなる
 日弁連がこの制度に反対する理由は単純である。この制度ができれば、普通の市民が弁護士に何でも打ち明けて相談できなくなるからである。この制度は、弁護士が依頼者から聞いた相談内容を警察に通報するものである。これまで、依頼者が弁護士に話した内容については固く秘密が守られ、弁護士は依頼者の秘密をあくまで守り抜く存在であると信じられてきた。ところが、この制度ができれば、依頼者が弁護士に話したことや依頼者の行動の一部が依頼者の知らないうちに警察に通報され、そのことがきっかけとなってその依頼者の銀行口座が凍結されて預金を下ろせなくなってしまったり、事業が倒産に追い込まれたり、刑事事件とされるなどという事態が生ずるようになる。
 たとえば、ある依頼者から不動産売買契約に売り主側で立会を依頼された弁護士が、買い主の支払う売買代金に脱税によって得られた資金が含まれているという疑いを持った場合、このことを警察に通報する義務を負う。通報がなされると、売買代金を預金してある口座が封鎖され、その依頼者は犯罪収益収受の罪で逮捕される可能性があるのだ。
 マネーロンダリングであるとか、犯罪収益の移転というと、麻薬や人身売買取引など非常に極端な犯罪を思い浮かべる方も多いだろう。しかし、実態はそうではない。現在政府が国会に提案している共謀罪と一体の組織犯罪処罰法の改正案では、マネーロンダリングの前提となる犯罪は共謀罪と同様619にも及び、税法や著作権法違反、政治資金規正法等まで含まれている。
 この場合、違法性のはっきりしない「疑い」のレベルで通報が義務づけられるので、真実は依頼者の違法でない活動についても誤って通報がなされる可能性がある。弁護士は秘密を守ってくれるものと考えて、包み隠さず何でも話したら、誤って疑いを持たれて警察に通報され、その依頼者の事業が破綻し、えん罪に巻き込まれるような事例が一つでも発生すれば、市民全体の弁護士・弁護士会に対する信頼は根本から失われるだろう。また、弁護士は依頼者から十分な情報を得ることができず、依頼者が法律を遵守して行動するように適切に援助することもできなくなり、結果的に依頼者による違法行為を招くことにもなるだろう。
 この制度の導入によって、違法な金融活動が摘発される例がごく少数あるかも知れないが、依頼者が適法に行動するために適切な法的アドバイスを受けることができなくなることは、まさに市民の司法サービスに対するアクセスの否定である。規制によるわずかな利益に比べて不利益があまりにも大きすぎる。
 また、弁護士と警察は刑事事件の弁護活動を巡っては鋭く対抗する関係にある。警察庁への密告義務が制度化されれば、市民は弁護士を警察の手先と見るようになり、弁護士が警察と対抗して刑事弁護活動を行う上での制度的独立を危うくし、弁護士・弁護士会の警察権力からの独立を傷つけてしまう。

3 守秘義務が守られれば問題は克服できるか 
 FATF勧告も守秘義務の範囲内の情報の通報は求めていない。しかし守秘義務の範囲に属するかどうかが一義的に決まらないこともあるし、当局の解釈と弁護士会の解釈が異なることは十分想定しうる。警察庁が守秘義務の範囲についてこれを狭めるような解釈を押しつけてくる可能性もある。
 日弁連の反対理由の主眼は、そもそも弁護士に警察庁への報告義務を課す制度を設けること自体が弁護士制度への国民の信頼の根幹を揺るがすものだと言う点にある。守秘義務の問題以前に、報告制度の創設自体によって依頼者に何でも話せるという環境が失われることが問題なのである。また、依頼者である市民にとっては、守秘義務の範囲内かどうかを判断することは極めて困難である。
 守秘義務の範囲外であっても、弁護士が依頼者から得た秘密情報を捜査機関に通報することを認めることによって、弁護士制度の存在意義を危うくし、ひいては民主的な司法制度の根幹を破壊することになる。

4 弁護士会経由を定める警察庁案について何故反対するのか
 日弁連が警察庁案に反対する姿勢を明確にした。その理由は単純である。警察庁案においても、単に疑わしいというレベルで弁護士が当連合会に対して届け出た依頼者に関する秘密情報が、最終的に、国家公安委員会に通知されるという枠組みには何の変更もないからである。警察庁案でも、弁護士が届け出た依頼者に関する秘密情報について守秘義務の範囲外であると判断した場合には、その情報を国家公安委員会に提供しないことは許されない。法律で通報義務を規定する場合と何ら異ならないのである。 

5 重大犯罪に適用対象を限定できるのではないか
 警察庁は、警察庁案は、弁護士が講ずべき措置の内容については、届出ルールを含めて当連合会の会則で定めることを認めているとして、これを「世界に類を見ない弁護士自治スキーム」と呼んで、弁護士自治を尊重していることを強調している。
 しかしながら、警察庁案によれば、弁護士を含めて全ての事業者について、法文上、本人確認、取引記録の保存及び疑わしい取引の届出の措置を講ずる責務を有することを明記した上で、他の法律・会計専門家の例に準じて当連合会の会則により定めることとするというものである。会則により定めなければならない事項及びその内容は一義的に定められており、疑わしい取引の届出の措置を除外したり、その範囲を限定することは一切許されていない。
 届け出を要する犯罪収益の前提とする犯罪(いわゆる前提犯罪)は、現行法上は組織的犯罪処罰法の別表に掲げられた合計200以上の犯罪が選択されている。もし、共謀罪新設法案が成立すれば、公職選挙法違反や政治資金規正法違反や税法違反などを含む619以上の罪に拡大されようとしており、弁護士会が会則で、その範囲を、テロなど重大な犯罪だけに限定することは認められていない。

6 日弁連と警察との関係は今後どのように展開するか
 制度がひとたび運用され始めると、実際に刑事事件となったケースについて事前に届け出がなかったことを警察が批判し、日弁連の審査体制の改善を求め、会内の審査機関に警察庁関係者等の外部委員を参加させることを求めたり、さらには弁護士から国家公安委員会への直接の届出義務を課す法改正を提案されるおそれがある。
 年間1万件以上の情報を弁護士が通報する事態になっているイギリスのローソサエティのマネロンチーム議長のブース氏は、FATFの場でこの制度の導入に反対の演説を行った川端和治対策本部長代行に対して「英国の例にならうな。自由というのは少しずつ削られていくんだ。最初に妥協したのが失敗だった」と自らの後悔を込めて励まされた。
 弁護士・弁護士会が、一旦、弁護士による疑わしい取引の届出義務を許容してしまうと、どんどんエスカレートして後戻りすることができない事態を招くことになることが十分予想することができるのである。

7 日弁連は犯罪収益の移転に荷担しない
 日弁連は、犯罪収益の移転防止にはまったく協力しないのではない。日弁連はテロ資金やマネーロンダリングの対策が必要であることは否定していない。
 日弁連は弁護士に密告を義務づけることには反対であるが、犯罪収益の移転には荷担しない。日弁連は会規を自主的に制定し、一定の取引について依頼者の身元を確認し、取引の記録を保存すること、依頼者の活動に犯罪収益にかかわる疑いがあるときには警察に密告するのではなく、依頼者にはっきりと指摘して取引をやめるよう説得し、その説得が聞き入れられないときは弁護活動から辞任することなどを会員に義務づけ、また会員向けに犯罪収益の流通に荷担しないよう研修を強化するなどの措置を執ることを1月理事会において本年3月の臨時総会に提案することを決定した。
 仮に違法行為に弁護士が荷担するような事態となった場合、刑事事件として責任を負うほかに、弁護士会としても懲戒をもって臨むことは当然だ。
 弁護士職務基本規程の解説によると、依頼者の犯罪行為の企図が明確で、その実行行為が差し迫っており、犯行の結果が極めて重大な場合で秘密の開示が不可欠な場合には、この「正当な理由」に当たると考えられ、守秘義務が解除されるのであるから、このような場合には、弁護士等が警察等に直接通報することは許される。
 つまり、人の生命や安全に関わる明らかな緊急事態の場合には、守秘義務の例外として警察に通報することができるのである。また、守秘義務の例外はこのような限定された場合にのみ許されるのである。
 これに反して、広範な違法行為について、依頼者の活動に単なる疑いがあるという段階で、弁護士に通報の義務を課すということは、このような生命侵害の切迫した危険が生じているような極限的な事例とは全く次元がちがう問題である。

PART4 

│ 日切れ扱いは国会の審議権無視の暴挙だ! │

1 日切れ扱いを求める警察庁
 政府与党は今国会に犯罪収益移転防止法案を提案するための準備を進めている。警察庁は、政府与党に対して同法案について、政府が年度内の成立を目指す「日切れ扱い法案」扱いとして2月上旬に提出し、3月中に成立を図ることを求めているという。
 このような、重大な争点をはらんでいる重要法案を予算関連の日切れ扱い法案として提案することには国会の審議権を蔑ろにするものだ。

2 日切れ扱いとは?
 「日切れ扱い法案」とは、予算措置を伴い、年度初めから予算執行しなければ国民の生活に支障が出る緊急性がある法案が主な対象であり、ほかの法案に優先して審議に入り、年度内に処理されるのが通例である。与野党の対立法案が「日切れ扱い」になるようなことは極めて稀である。
 警察庁の説明は今回の法案では、現在の実施されている金融機関の報告制度に関連する経費が07年度の警察庁予算に計上されているためと説明されている。これまでは疑わしい取引に関する情報を集約・分析・提供する業務を行う資金情報機関(FIU)は金融庁に置かれていたが、次年度から国家公安委員会(=警察庁)に移行するとされている。そのため、この法案が成立しないと既に金融庁には予算がついていないため、金融機関に関する報告制度の運用が滞るというのである。

3 法案を二つに分離さえすれば日切れ扱いではなくなる
 しかし、金融機関に関する報告制度の所管を国家公安委員会に移す部分だけを別法として分離しさえすれば、弁護士などに対して新たな報告義務を課す新制度部分は「日切れ扱い法案」とはしなくてすむのである。二つの異なる事項をむりやり一つの法案に合体させたために、新たな制度の創設に関する重要法案が「日切れ扱い」になるという異常事態が生じているのである。
 市民の司法へのアクセスに重大な支障をもたらす弁護士から警察への依頼者密告制度を含む犯罪収益移転防止法案について自民党と公明党は根本的にその内容を再検討するとともに、国会運営上も手続的に疑問がある「日切れ扱い」をやめるよう、強く求めるものである。

4 密告社会の到来を許さない共謀罪・依頼者密告制度阻止の闘いを 
 この通常国会では継続審議となっている共謀罪に加えてあらたに提案される犯罪収益移転防止法案がともに対決法案として浮上するだろう。与党絶対多数の状況下でこのような法案が政府提案された場合、これを阻止することは非常に難しい。しかし、共謀罪は密告監視社会を作るものという反対の世論を築き上げ、足かけ4年間成立を阻止してきた。犯罪収益移転防止法案の本質は市民が安心して何でも秘密を弁護士に打ち明けて相談できるという司法の根本を壊し、やはり密告社会を作り出すところに共通の根っこがある。
 この闘いは負けられない闘いである。
 共謀罪の行方に関心を持つ1人でも多くの皆さんに、依頼者密告制度を含む犯罪収益移転防止法案にも関心を持ち、その反対に立ち上がっていただくよう、心からお願いする。