情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

人権法のメディア規制削除して6月提出へ?自民反対派

2005-05-31 05:35:55 | 人権擁護法案(原則必要派)
共同によると、http://news.goo.ne.jp/news/kyodo/seiji/20050530/20050530a1650.html?C=S
【政府の人権擁護法案に反対する自民党議員の「真の人権擁護を考える懇談会」(平沼赳夫会長)がまとめた修正案が30日明らかになった。(1)人権侵害の調査をする「人権擁護委員」の選任基準について「市町村議会選の選挙権を有する住民」とし、日本国籍に限定(2)「メディア規制条項」は削除--などが最大の特徴だ。】という。

他方、読売によると、http://news.goo.ne.jp/news/yomiuri/seiji/20050530/20050530ia23-yol.html?C=S
【自民、公明両党で作る与党人権問題等懇話会(座長=古賀誠・自民党元幹事長)は30日、国会内で会合を開き、今国会での人権擁護法案提出、成立を目指すことを改めて確認した。
 この中で、公明党の冬柴幹事長は、政府原案の反対派から指摘のある人権擁護委員の国籍条項盛り込みについて、「国会審議の中で十分に議論を交わし、必要があれば修正すればいい」と述べ、扱いを国会審議に委ねるべきだとの考えを示した。】 らしい。

総合すると、法案成立へ向けて本格的に動きそうだ。ただし、独立性の問題は修正されないままで、かつ、国籍条項が入ることになりそうだ。
かなり危険な状態…。メディア規制がはずされても、メディアがきちんと、批判できるかどうかが鍵になりそうだ。



5月30日

2005-05-31 02:39:49 | 日記(事件など中心に)
今日は、憲法学者の奥平康弘教授とお話しする機会があった。ある弁護団での打合せでのこと。表現の自由の保障の現代的あり方についての持論を元に、弁護団が悩んでいる点について、非常に示唆的なアドバイスをしていただいた。

従来、表現行為は、個人が単独でなすものであった。しかし、現代社会においては表現行為は集団でなすものとなっている。その表現行為に至るプロセスをいかに保障するかが、現代的課題であり、外部からの干渉は、あってはならない…。

先約があったため、本来は途中で抜けるつもりだったが、話の鋭さに席を立つことができず、先約はキャンセルしてしまった。

話題は決して楽しいものではなく、雑談で出た現在の社会認識についても悲観的なものではあったが、不謹慎な言い方をすると、幸せなひとときでした。役得、役得…。しかし、76歳とは思えぬ鋭さ…

もんじゅ設置訴訟最高裁判決:住民側の逆転敗訴が確定

2005-05-31 02:20:59 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
朝日新聞http://news.goo.ne.jp/news/asahi/shakai/20050530/K2005053002010.htmlによると、
【研究開発段階の高速増殖原型炉「もんじゅ」の設置を国が許可する際、災害防止上の安全審査がきちんと行われたかどうかが争われた行政訴訟の上告審判決が30日、最高裁第一小法廷(泉徳治裁判長)であった。同小法廷は全員一致で「見過ごすことのできないミスや欠落はなく、許可は違法でない」と判断。許可の無効確認を求めた住民側の敗訴が確定した。安全審査を違法・無効と認めて住民側勝訴とした二審・名古屋高裁金沢支部判決を破棄し、自ら判断した。】

この判決は、
【原子炉の構造や設備が高度な専門技術に基づいて決められることを重視し、行政の判断領域を広く認めた。そのうえで、設置許可段階で安全審査の対象になるのは、最初に設計の大枠を定めた「基本設計」の安全性にかかわる事項だけだとし、「何が『基本設計』なのかも国の合理的な判断にゆだねられる」と述べた。】
という。国の行為に問題があるといって司法判断を仰いでいるのに、国のおっしゃることには逆らいません、っていうのは、あまりに…

さらに、
【こうした立場から、二審判決が問題とした論点を検討。ナトリウム漏れによる床の鉄板の腐食対策について、二審は「実際のナトリウム漏れ事故前は腐食に関する知見がなく、対策が設計に盛り込まれていないことは明らかで、安全審査に欠落があった」としていた。しかし、第一小法廷は「設置許可の後で対処することが不可能ではなく、安全審査の対象に含めなくても不合理とは言えない」と述べ、他の論点も踏まえて「安全審査に不合理な点はない」と結論づけた。】
という。

英国セラフィールドの再処理工場でも先日、放射性物質が漏れて停止されたばかり。安全面だけではなく、経済効率性の点からも、再開するべきではないという声が上がっている。http://www.jca.apc.org/mihama/uk_france/observer050515.htm

高裁の判断を覆してまで、裁判官が全員一致で、操業を認めるべき施設だろうか。



地方公務員政治活動に罰則 自民部会が法案了承…

2005-05-30 22:34:04 | 適正手続(裁判員・可視化など)
共同通信によるとhttp://news.goo.ne.jp/news/kyodo/seiji/20050524/20050524a1760.html?C=S、
【自民党は24日午前、総務、文部科学などの合同部会を党本部で開き、地方公務員の選挙運動など政治的行為に罰則を設ける地方公務員法など関連法の改正案を了承した。公明党と最終調整した上で、議員立法で今国会に提出、成立を目指す。
法案は、制限する地方公務員の政治的行為について(1)政治目的での寄付金集め(2)政党や政治団体の機関紙の発行・編集・配布の援助-など、国家公務員法、人事院規則と同様の内容とした。罰則は3年以下の懲役または10万円以下の罰金と規定。また地方公務員の政治的行為の制限を、勤務する自治体内だけでなく全国に広げ罰則対象とすることや、教育公務員特例法を改正し、教職員の政治的行為にも罰則を科すことを盛り込んだ。】という。

なぜ、いまこの時期に、地方公務員の政治活動に対する制約を強化しなければならないのか?
強化すべき合理的理由はおよそ考えられない。

産経によるとhttp://news.goo.ne.jp/news/sankei/seiji/20050514/m20050514006.html?C=S、
【 山教組問題では、現職教員らによる学校内などでの資金カンパや選挙活動は「明らかに教育公務員特例法違反」(文部科学省)とされる。だが、同法には罰則を適用しないことを定めた「特例規定」があり、事実上、教員の政治活動は野放しになってきた。
 また、大阪市の職員厚遇問題の背景について、自民党は「大阪市労連が組織を挙げて選挙運動を行い、(歴代の)市長誕生に貢献している。市長らは労組に過度に配慮し、健全な労使関係とはいえない状況がつくられてきた」(党プロジェクトチームの答申)と指摘。ところが、地方公務員や地方公営企業職員は、国家公務員には禁じられている政治団体への勧誘活動や、集会などでの政治的発言がほぼ認められている。】ということを理由としているようだ。

 しかし、国民にとって重大な損害が具体的に発生しているのだろうか?自民党がさまざまな企業や業界団体の票をもらい、それら企業・団体に政治的配慮をすることと比較すると、現に行われている地方公務員の政治活動はよほど害がないのが分かるのではないだろうか。
 まずは、企業献金を廃止してはどうか!


 そもそも、公務員の政治的活動が制約されるのはなぜなのか。特定の宗教を信仰していること、特定の性的嗜好があること、などと比較して、政治的活動のみが制約されなければならない理由はあるのだろうか、政治的活動、すなわち表現の自由という優越的な権利を制約する理由が…。

 ここは、政府が国民から意見を述べる機会を奪おうとしている、という見方が正しいのではないでしょうか。憲法改正国民投票法案における非民主的な姿勢とこの地方公務員の政治活動の禁止を、無関係と考えるべきではない。

 ちなみに憲法学者の諸見解は、http://www5a.biglobe.ne.jp/~kaisunao/ronbun/publicservant/ps-frame.htm をご参照下さい。脚注で詳しく説明されています。

非暴力平和隊をご存じですか?

2005-05-30 06:50:22 | 有事法制関連
私は、ニュースレターを見ているだけの会員ですが、非暴力を旗印に紛争解決を目指すグループがあります。

【非暴力平和隊 Nonviolent Peaceforce(NP) は世界各地の紛争地に、非暴力的な手法に関するトレーニングを受けた市民を派遣し、暴力・軍事力によらない紛争の解決を促進することを目指します。ダライ・ラマを含む、7人のノーベル平和賞受賞者からも賛同を得ています。また日本では、大石芳野さん(写真家)、落合恵子さん(作家)、神田香織さん(講談師)、信楽峻麿さん(元竜谷大学学長)、広河隆一さん(写真家)が非暴力平和隊・日本の賛同人になって下さっています。 】http://www5f.biglobe.ne.jp/~npj/index.html

一度、HPをご覧になって下さい。

5月29日

2005-05-30 06:38:30 | 日記(事件など中心に)
もう今年の折り返し地点だぁ~。人権擁護法案、憲法改正法案、もちろん、多くの事件などあっという間の前半だったけど、後半はいいことあるかなぁ?

事務所が妙に暑いなって感じていたら、その原因はお茶マシーンやパソコンであることが判明した。対策として、換気扇を回すことも…。いきなり、冷房入れるのには抵抗があったんだけど、これで夏本番まではしのげるか?!

5月28日

2005-05-29 15:08:30 | 日記(事件など中心に)
憲法改正国民投票法案のブックレット編集会議。かなり、原稿が集まりました。イラストレーターも決まり、いよいよ、仕上げへ。

祭りで事務所の周りが人だかり。移転してきて、何度目の祭りだろう。あんなに広く思えた事務所はいまはもう、人と書類であふれかえっている…。

JR西日本脱線事故と被害者匿名報道

2005-05-28 21:39:54 | メディア(知るための手段のあり方)
先日のJR西日本事故で、被害者の一部の方について匿名で報道されたということを依頼者から聞き、報道機関のプライバシーについての配慮の結果かなぁ、と漠然と思っていた。
しかし、5月24日付新聞協会報によると、メディアが匿名にした4名については、そもそも、兵庫県警が発表しなかったらしい。そうか…。

県警記者クラブは、「大事故であり、被害に遭った人を特定することは必要不可欠であるとして実名を公表するよう要請したが、現在まで実現していない」という。

他方で、「初報で掲載・放送した氏名や写真について、遺族から出さないでほしいとの要望が寄せられ、各社とも対応に苦慮している」らしい。

個人的には、記者発表は実名、しかし、遺族が匿名を希望する場合、報道は匿名で行うとするべきだと考える。
警察の発表した情報の正確性を担保するためには、情報開示は欠かせないが、他方、人の死というある意味究極のプライバシーも保護されなければならないから。

5月27日

2005-05-28 18:39:22 | 日記(事件など中心に)
事務所滞在時間が長かった。おかげで、ちょこちょこしたデスクワークをまとめて片づけることができ、すっきり(まだまだ、机は片づいてない、そんなんですっきりしてもらっては困る、という声が聞こえてきそうだけど)…。毎週一日、こんな日をつくればいいんだけど…

と思っていたら、相続財産の法律相談…。いつもながらこの手の事件は、深刻だぁ。

BBCが隠し撮りをするとき~プロデューサーズガイドライン

2005-05-28 03:03:34 | メディア(知るための手段のあり方)
BBCのプロデューサーズガイドラインは、全40数章のうち第5章を丸々使って、隠し撮りをすることが許される場合を明記している。

その許される場合として一番最初に挙げられているのが、
“as an investigative tool to explore matters which raise issues of serious anti-social or criminal behavior, where there is reasonable prior evidence of such behaviour(重大な反社会的行為あるいは犯罪行為を世に問うために必要な事実を調査するための道具として使われる場合。ただし、録音に先立ち、そのような行為を裏付ける十分な証拠があること)”
である。

当然と言えば、当然である。それなのに、NHKが朝日を責める(http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/be194c01583fb5a0f4335e0e558cedc9参照)っていうのは、報道機関として信じがたい行為である。
こんなことからも、日本は建前の国なんだなって思う。

人権委の権限縮小検討 自民反対派、党内調整:共同:

2005-05-28 01:11:08 | 人権擁護法案(原則必要派)
共同通信 http://news.goo.ne.jp/news/kyodo/seiji/20050527/20050527a1320.html によると、
【政府の人権擁護法案に反対する自民党議員でつくる「真の人権擁護を考える懇談会」(会長・平沼赳夫前経産相)は27日午後、党本部で開いた会合で同法案の対案づくりについて詰めの協議をした。】という。

【対案では、人権救済機関として設置される「人権委員会」は出頭要請や立ち入り検査などが可能で、権限が強大すぎるとして(1)法案通り、公正取引委員会などと同じく国家行政組織法3条を根拠に設置するが、権限を縮小する(2)同8条に基づいた審議機関とし独立性を弱めた組織にする--の2案を検討。】(最初は、権限のないところから始めるのは一つの方法であろう。しかし、刑務所や入管などの類の公権力を行使する機関に対しては、立ち入り検査は当然必要ではないでしょうか)

さらに、【また、人権侵害を調査する「人権擁護委員」の選任基準については、日本国籍を持つ者に限定する国籍条項を設ける方向。ただ公明党は国籍条項に否定的なことから、自民党内の推進派の一部では、北朝鮮による拉致問題解決に支障が出ることを懸念する反対派に配慮し、「国交のある国」とする案も浮上している。】というが、もし、このような国籍条項を入れたら、日本は世界の笑いものになるでしょう。差別をなくすための法律が差別をしていると…。

NHKは報道機関たることを放棄したのか!

2005-05-27 15:21:02 | NHK番組改編事件
日記に記載した事情で、怒りがふつふつ沸いてきた。NHKと朝日の件。いろいろな問題をはらんでいるが、NHKが政治家の介入はないと言い張るのも、NHKの立場に立てば理解できるし、朝日がテープを出し渋っているのも、朝日の立場に立てば分からなくもない。

しか~し、まったく、理解しがたかったのが、NHKの公開質問状 http://www3.nhk.or.jp/pr/keiei/news/007.html の16項目と17項目。

引用すると、
【(16) 去年8月に明らかになった、御社記者が起こした「無断録音テープ流出問題」についての御社見解によれば、「取材内容の録音は相手の了解を得るのが原則であり、取材相手との信頼関係を損なうことがあってはならない」としています。
御社記者は、松尾元放送総局長に取材した際に録音する許可を得ていませんでしたので、仮に録音テープがあるのであれば、御社見解に照らした場合、取材倫理に反する行為にあたると考えますがいかがでしょうか。
  (17) また、録音テープの有無に関わらず、記者会見前日に松尾元放送総局長が電話で質問した際に、録音テープの存在の有無をはっきり答えなかった御社記者の行為は、「取材相手との信頼関係を損なうことがあってはならない」としている御社の取材倫理に、やはり反するものと考えますがいかがですか。 】。

録音をしたことをNHKが批判するってこと(明示してはいないが、少なくともメディアとして場合によっては必要な行為だと考えているとは思えない)は、NHKが、自社は無断録音をしない、と世間に宣言しているようなものである。
無断録音をしないと堂々と公言するということは、もはや、NHKが録音しなければやばいような事案(政治家を追及したり、官僚の汚職を暴いたり…)を取り扱わないと宣言してるようなものである。

そんな団体はもはや「報道」の名に値しない。ただちに、各記者クラブからも退出して、広報課にでも席を置かせてもらったらどうか…という悪態をつきたくなる…。

…もちろん、記者1人ひとりは報道機関としての使命を果たそうとしているだろう。
 
それゆえにこそ、NHKの質問は、自らの記者を貶めるものというほかない。新体制になったのだから、あの質問状から(16)、(17)を削除してはどうでしょうか?




5月26日

2005-05-27 15:17:42 | 日記(事件など中心に)
TBSの元ワシントン支局長で現社会部長の杉尾氏のレクチャー。訪米調査の勉強会の一環。そのなかで、米国のテレビ局のガイドラインが取材のあり方などについて、非常に細かく規定がしてあり、隠し撮りが許されるケースまで書かれているという話があった。

事務所に帰った後、BBCのガイドラインを確認したら、BBCでも隠し撮りの許されるケースが明確に記載されていた。隠し撮りがテーマの一つとなったNHK:朝日騒動って何だったんだろう。改めて、NHKの公開質問状に対して抱いた怒りが蘇ってきた…。

銀行の融資の際の過失がテーマとなる件で、銀行マンと交渉…。銀行マンが抱く契約者像って…レベル高すぎ!そういう人を想定して契約しているから、契約者が十分に理解しないケースが出てくるんだなっと、納得。まぁ、誤解に乗じてっていう「悪質なケース」もあるわけですが…。

民主、人権擁護で対案作成 委員会は内閣府外局:共同

2005-05-26 20:27:28 | 人権擁護法案(原則必要派)
少し古いですが、共同通信 http://news.goo.ne.jp/news/kyodo/seiji/20050524/20050524a1780.html によると、

【民主党の「人権侵害救済プロジェクトチーム」(座長・江田五月参院議員会長)は24日午前、自民党内で調整が難航している政府の「人権擁護法案」の対案となる「人権侵害被害救済・予防法案」をまとめた】そうです。

【人権委員会を法務省の外局として設ける政府案に対し「中央人権委員会」を内閣府の外局として設置】(ここは独立性確保という点では評価できる)

【各都道府県にも「地方人権委員会」を設けるほか】(ここは、実効性という点、地方で事務局主導となることを防ぐ点で評価できる)

【委員には人権擁護を目的とした団体や人権侵害の被害経験者も加える努力義務を盛りこんだ】(ここは、実際に人権侵害を受けた立場の人が入ることが大切。長野県の公安委員に、松本サリン事件の河野義行さんが選ばれたように…)

【報道機関の「過剰取材」に関しては、「表現の自由」も考慮し、報道機関などが「人権侵害について自主的な解決に向けた取り組みを行うよう努めなければならない」とした】(この点は、表現の自由の観点から、当然評価できる)

民主党も、頑張ったね。

5月25日

2005-05-26 03:48:35 | 日記(事件など中心に)
21日土曜日のETV特集http://www.nhk.or.jp/etv21c/backnum/index.htmlで放送された件の第2回口頭弁論(民事事件の裁判期日のこと)。本日も、タクシー乗務員の皆さんで法廷は一杯だった。怒りが裁判官にも伝わったと思う。

風邪から復活。やはり調子悪いときは無理せず、早め早めに休養することが必要ですね。