tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

年金問題の現実が見えて来るでしょうか

2019年08月30日 17時10分07秒 | 政治
年金問題の現実が見えて来るでしょうか
 2019年の年金財政検証結果が27日厚労省から発表になりました。
 野党は3年に一度の年金財政検証の発表をいつもより3か月遅らせたのは、参院選の前に国民の喜ばないデータが発表になるのを避けた、と追及するようです。
 
 ついこの間の7月には大騒ぎになった公的年金では、老後生活に2000万円不足という年金審議会の答申があって、安倍さんが激怒し、麻生財務相は、自分が諮問した答申を受け取らないという珍事に発展しました。

今回の答申も元々は年金審議会のもので、同じ審議会が、2か月後に、全く違った内容のものを出すことはないでしょうから、政府としては今度の検証結果と、例の2000万円不足という答申とが、どう違っているのかを国民に「解りやすく丁寧に」説明する必要があるようです。

今回の検証結果は、令和40年度までの長期の検証という事ですが、ケースがいろいろ分かれていて、どれが現実に近いのか解りません。しかし現実というのは、今からのアベノミクスの成功・不成功の行方如何で変わるものですから、その辺りの政府の見解も、しっかり説明してほしいものです。

例えば、ケースI ですと、経済成長率0.9%、物価上昇率2.0%、実質賃金上昇率1.6%、実質運用利回り3.0%、となっていますが、どうでしょうか。
経済成長率と実賃金上昇率は長期的にはほぼ平行するのが常識でしょうし、ゼロ金利で実質運用利回りが3.0%なんてことがどう可能になるのか(まさかマネーゲームで?)、国民にもノーハウを教えてもらいたいものです。
物価上昇率2%で実質賃金1.6%上昇ということは、毎年ベースアップが3.6%ということで、定昇込みだと5%を超えなくてはなりません。

ケースⅢは、本命のようにも感じられますが、経済成長率0.4%、物価上昇率1.2%、実質賃金上昇率1.1%、実質運用利回り2.8%、となっていますが、ケースⅠより穏当ですが、政府日銀のインフレ目標2%は一体どうなるのでしょうか。2%を目指しても結局は上がらないと思っているのでしょうか。実質運用利回り2.8%も低成長の中でさらに難しくなるでしょう。 実質経済成長率と実質賃金上昇率のアンバランスも、現実的ではないことも明らかでしょう。

ケースⅤになると実質経済成長0%ですから、令和40年度まで、日本経済がゼロ成長などという状態は政府自身も認めるはずはありませんからもう論外でしょう。
勿論、勤勉な日本人が真面目に働いているのですから 、多分政府の政策の失敗の結果でしょう。そんなのは、国民が許さないでしょう。

以上が2009年「年金財政検証結果」の前提条件を見ての、率直な感想です。国民が安心する政府の説明が、出来るなら聞きたいものです。