彦四郎の中国生活

中国滞在記

日本人がまず食べない動物❹―学生の故郷で―蛇・犬・蛙・ロバ・鼠など―その地方最高のもてなし料理

2020-02-02 10:01:12 | 滞在記

 福建省福州市内では、いたるところで早朝の6時頃から9時ころまでの3時間、路上での朝市のが開かれ野菜・果物や肉・魚などの食材が売られている。まあ、庶民にとって なくてはならない朝市市場は都市の風物誌ともなっている。

 市内の大型チェーンスーパーでは、鮮魚・肉コーナーに、まず日本では食べないものも売っている。豚足、豚耳、蛙・爪のついた鳥の足、ザリガニなどなど。ザリガニは「小龍」と呼ばれ、中国では多く食べられる。

 2016年の秋ごろ、大学の4回生の女子学生2人から「先生、今晩一緒に福州市内で食事をしませんか。美味しい蛙料理を出す店に案内しますから」とメールが入った。「ええっ、蛙料理か」と思いながら、せっかくの勧めを断りにくく行くことに。乾杯し、さっそく食べてみたが、言われてみれば蛙だと分かるのは足の骨ぐらいで、何の生き物なのか 食べてみたところ見当もつきにくかった。味は淡白で、イカを食べているような味だったことを記憶している。

 福建省三明市尤渓鎮の学生の家に何度か訪れて宿泊させてもらっている。学生のおじいちゃんの家に行くと、毎回、とても頑張って料理を作ってくれて、自家製の酒も いつも飲ませてくれる。ある時、おじいちゃんが自ら捕まえたらしい蛇の料理を作ってくれた。今まで蛇は食べたことはなかった。恐る恐る、薄い味のスープに入れられた蛇を食べてみた。

 味はとても淡白だった。肉は弾力性があり、柔らかいゴムを食べているような食感があった。蛇の背骨を食べないように骨を取り分けた。この時は、おじいちゃんと親しい家族や親せきの人たちもきて一緒に度数50度をこえる白酒(バイジュオー)で何度も乾杯しながら、いろいろな料理も食べた。

 上記の写真は、このおじいちゃんの家で食べた料理ではないが。蛇料理をインターネットで検索すれば掲載されている写真である。今問題になっている新型コロナウイルスの宿主の可能性も指摘されている「アマガサヘビ」(毒性はマムシと同じく強い)の料理の画像だ。蛇は皮を剥かずに、そのままぶつ切りにされ、鍋に入れられていることが分かる。毒性の強い蛇ほど滋養強荘によいともされてもいるようだ。

 おじいちゃんの家では、皮を剥いであるものを料理として出してくれたので食べることに強い抵抗感はなかったが、上記の料理の食べ方だと 日本人の我々には 食べるのは「清水の舞台から飛び降りる」ような覚悟がいるように思う。

 同じく尤渓で驢馬(ロバ)の肉を食べたことがある。「天上龍肉 地上驢馬肉」と書かれた店。ここの名物は驢馬肉料理のようだ。学生の両親の家族や親しい義兄弟の関係を結んでいる朋友(ポンヨウ)たちも集めてくれての小宴会となる。もちろん酒宴はビールも飲むが、酒の主役は白酒。乾杯(年上や目上の人は 小さいグラスをやや上に、年下や目下はやや下にして乾杯する)したら、できるだけすぐに飲み干すのが正しい礼儀。だから何杯も乾杯して飲み合うこととなる。酒とたばこは 男の付き合いとしては とくに田舎では必要不可欠となる。

 福建省龍岩市のほとんど広東省との省境の農村地帯の鎮郷の学生の家に行った時は、犬料理を出された。家族や親族たちも来ての夕食となった。たくさんの種類(10種くらい)が作られていたが、この地方では、遠方からの大事な客をもてなすための最も重要なメイン料理は犬料理だった。最高のもてなし料理なのである。

 親族たちの一人が私に、「一番美味しいところは歯が付いたあたりの肉ですから」と取り分けてくれた。臼歯などの歯が肉にきれいに残っている。ぎょっとするが、食べてみた。味にそんなに違和感はないが、イメージがイメージだけに、味覚を感じるどころではなく、「まあまあいけますわ」などと言いながら食べたことを記憶している。

 この龍岩市の山間地の山間では、鼠もよく食べられているようだった。中国のインターネット記事などで調べてみると、鼠は蛇を食べることもよくあるようだった。鼠が蛇を追いかけている動画もあった。山間地に生息する鼠は、都会のドブネズミと違って清潔なのだという。実った稲などもよく食べるようだし、もちろん木の実も食べるし、小動物も食べる雑食だ。これを捕えるのは主に「ネズミ捕り」の籠。これを捕えて売っている人は、1か月間に7000元〜8000元(10万円~12万円)にもなると話していた。すごい収入だ。

 今回の新型コロナウイルスの「宿主」に疑われてもいる「竹鼠・タケネズミ」。けっこう大型の鼠でペットに飼う人もいるようだが、主には食用として食べられる。姿焼きのような料理の食べ方もあるようだ。

 1年ほど前に、「先生、これ故郷のお土産です」と、冬休みあけに故里から帰った女子学生に3袋を渡された。「ありがとう、でも、これなあに」と聞くと、「鼠の乾物(干物)です。美味しいので食べてみてください」と言われた。「確か 君の故郷は龍岩だったよね」と聞くと、「そうです」と答えていた。袋には「閩西 客家 八大干」(福建豊農食品有限公司)と書かれている。

 どうやら福建省(閩国)の西部(閩西)には客家が多く住み土楼群なども多く、「八大干物(乾物)」の一つらしい。山間地で捕まえた清潔な鼠を加工食品かしたもので、恐る恐る食べてみたら、まあまあ食べられた。内臓を取りだし、開いて、干した鼠を酒につけ、さらに干す。そして、少し甘く味付けした珍味だった。夏に日本に帰った時に残りの2袋を土産として持ち帰り、そのうち1袋は以前勤めていた学校に持って行き、教頭先生に「みなさんで食べてみて下さい」と福建名産のジャスミン茶とともに渡したが、すぐに捨てられてしまった可能性は高い。もう1袋は京都の自宅に保管したままだが、こんなウイルス騒ぎになっているので、土産として持って行ったら追っばらわれそうだ。

 福建省龍岩市の長汀という街の食堂。一人で「紅色★根拠地 大食堂」(中国共産党軍―紅軍―根拠地という意味)に入って行った。店の前には3~4匹の野良犬がうろついていた。真夏の季節で夜になっても気温は35度ちかくで湿気も高い。白酒も入ったので暑くて上半身裸になり郷土料理(客家料理)を食べたこともあった。上記の写真はその時のもの。

 2018年9月上旬、泉州市の海岸沿いの漁村にある学生の家に行った。学生は9月中旬から京都の立命館大学大学院に進学することが決まっていた。彼女の壮行会や客としての私をもてなすという2つの主旨で、家から近い食堂のフロアーを借り切って宴席がもようされた。集まった家族・親族は全部で50名ちかい。

 福建省の他の都市の田舎(寧徳市霞浦漁港)にある、大学の中国人教員の故郷の家にもおじゃまして、郷土の海鮮料理をたべさせてもらったこともある。いろいろな学生の家におじやましたりもしてきたが、特に中国の地方・田舎では 珍しい客が来た場合、家族だけでなく近くに住む親族や、親しい仲間にも呼び掛けて、食事をして乾杯も繰り返すという文化がある。このため、付き合い上、日本の煙草を土産に配ることも多い。だから「日本の煙草」でも特に「ピース」銘柄をたくさん中国に持って帰ることにしている。

 このような食事・宴席文化は何度も恐竜発掘調査で訪れたモンゴル・ゴビ砂漠のパオ(遊牧民テント)で暮らす人々の間でも濃厚にのこっていた。20kmも離れた隣のパオから馬に乗って駆けつけてくる人たちもいた。馬乳酒や白酒の一種の度数の高い高粱酒を飲み、金属製の大きなたらいで、山羊(ヤギ)の肉や臓物を塩で茹でただけのシンプルな料理だが、これがまた、とびきり旨かった。

 

 

 

 

 

 


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