京都の町の北方の北山連山(丹波山地)を主な源流域とする鴨川だが、主な川は雲ケ畑地区を流れる雲ケ畑川・貴船川・鞍馬川が合流した「賀茂川」、そして三角デルタで合流する「高野川」の二つの川だ。
鞍馬寺で有名な鞍馬地区を流れる鞍馬川は、花背峠付近の天ケ岳(788m)などの山々を源流域として、鴨川に流れていく。そして、この峠を越えた花背地区を流れる川は桂川(大堰川)の源流域となる。鞍馬には山椒の木が多く、地区にある林(ハヤシ)商店の山椒入りの木ノ芽煮(佃煮)は絶品だ。(8月10日、林商店で木ノ芽煮を買い、車をそこに駐車して、鞍馬川を撮影した。)
『源氏物語』(紫式部著)では、鞍馬寺が光源氏と紫の上の出会いの場所としても描かれている。(来年度のNHK大河ドラマは「源氏物語」なので、この鞍馬山も登場するだろう。)
貴船神社や京都の奥座敷として、貴船川の渓流にある川床料理店などで有名な貴船地区。貴船神社はまさに、鴨川の源流域で水に祈る神社であり、おみくじもまた、紙を水につけると吉などの文字が浮かび上がってくるというもの。この神社は平安時代から都人の信仰が篤く、「万物の命の源である水の神を祀る、全国二千社を数える水神社の総本宮」である。水に祈り、また、恋愛成就の神社として平安の時代から有名で、平安時代の歌人で『和泉式部』などの著書もある和泉式部の歌碑もある。また、『枕草子』の作者である清少納言や紫式部も参拝しているようだ。
貴船神社の奥の院付近の貴船川の河原には、私は娘と孫娘とともに2018年に川遊びにも来ている。この河原から山道が、貴船川の源流域沿いに、くねくねと急坂で続き、しかもとても狭い道が芹生峠(せりょうとうげ)へと続いて行く。とても怖い、危険な峠道だ。峠を越えると京北町となり、桂川の源流域となる。鴨川の源流域の一つである貴船川は、貴船山(698m)や鞍馬山(513m)に源を発している。(※貴船神社の境内付近には、「丑の刻参り/呪いの藁人形」をしている木々の場所がけっこうある。現代でもこの丑の刻参りをしている人がいるようだ。)
■この貴船川は鞍馬川に貴船口で合流し鞍馬川となる。そして十三石橋付近で、前号のブログで記した雲ケ畑川(賀茂川)と合流し、賀茂川となる。
賀茂川が鴨川と漢字が変わる高野川との合流地点の三角デルタ。ここから高野川の上流域に行くと八瀬がある。京福(叡山)電鉄の「八瀬駅」付近の清流と河原は、電車でも来れる遊泳場所として、たくさんの人が訪れる。バーベキューなどを楽しむ人たちも多い。そして、さらに上流域に行くと大原の里がある。高野川はこの里を流れ、さらに源流域にと川は続く。
京都から私の故郷・福井県南越前町との行き帰り。行きは琵琶湖西岸の湖西道路(国道161号線)を通り、帰りは安曇川沿いに朽木町などを経由する鯖街道(国道367号線)を利用し、京都の大原や八瀬地区を通って自宅に戻ることが多い。帰路、滋賀県と京都府の県境近くにある峠が花折峠(はなおれとうげ)だ。その峠下の花折トンネルの手前から山々を見上げる。山々の手前の滋賀県側に降る雨は、安曇川の源流域となり、琵琶湖に流れていく。
トンネルを抜けてから山々を見上げる。その山々に降る雨は、大原や八瀬を流れる高野川の源流域の山々となる。県境のなだらかな途中峠を越えてると大原地区の小出石の集落に至る。ここに「高野川」と書かれた小さな橋がある。ここは鴨川に流れる高野川の源流域に近い場所。
もう一つ、高野川の支流である小出石川がある。その川の幅はけっこうあり、清流が流れる。ここも鴨川の源流域となつている。ここをこの8月上旬に、福井県からの帰路に巡ってみた。
最後にもう一つの鴨川の源流となる川がある。白川だ。この川は川底の砂が白っぽい花崗岩なのでこの名がつくが、比叡山山中の山中町付近が源流となる川だ。この川は比叡山山麓の京都北白川地区や銀閣寺の近くを流れて、平安神宮の近くや祇園の町中を流れて、鴨川に架かる四条大橋の近くで鴨川に合流していく。(祇園の白川沿いに、歌人の吉井勇の「かにかくに碑」がある。歌碑には、「かにかくに 祇園はこひし 寝るときも 枕の下を 水のながるる」と和歌が書かれている。)
以上が鴨川の、いくつもの源流域を巡る、この夏の「水に祈る」記録でありました。