彦四郎の中国生活

中国滞在記

W杯女子サッカーと世界バレー(W杯・ネーションズリーグ)、それぞれの日本代表の躍進に思う―低迷期があり‥そして、‥。

2023-08-05 07:23:55 | 滞在記

 世界的なコロナパンデミックがようやく終わって3カ月間余りが経過した、2023年のこの夏(6月・7月・8月)には、バレーボールとサッカーの二つの世界大会が行われてきた。一つは世界三大バレーボール国際大会のネーションズリーグ(他は、オリンピック大会と世界バレー大会)。そしてもう一つは女子サッカーWカップ。

 6月6日から始まった、男女バレーボール・ネーションズリーグは、16ヵ国のチームが予選ラウンドを闘った。そして、予選ラウンドでの戦勝上位8チームが、ファイナルラウンド(7月19日から/会場はポーランド)でのトーナメント(準々決勝、準決勝、3位決定戦[23日]、決勝[23日])が行われた。私は6月25日に日本に夏休み帰国をしてから、このネーションズリーグの予選ラウンドやファイナルラウンドを見ることができた。

 2021年の7月・8月に開催された東京オリンピック(男女ともに12ヵ国チームが出場)では、日本代表女子は予選ラウンドを突破できず10位の成績に終わった。男子は予選リーグを突破したが、準々決勝でスウェーデンに負け、7位の成績に終わっていた。(※この東京オリンピックでは、世界の女子バレー強国・中国が予選リーグで敗退するという衝撃的なことがあった。)

 今年の「2023バレーボール・ネーションズリーグ」では、日本女子代表チームは、予選トーナメントを勝ち抜き、準々決勝まで進めたが、アメリカに敗れた。(女子優勝はトルコ、準優勝は中国、3位ポーランド、4位アメリカ)    一方、日本代表男子代表チームは、準決勝でポーランドに敗れたが、3位決定戦でイタリアに勝ち銅メダルを獲得した。1979年バーレーボールWカップでの2位(準優勝)以来46年ぶりの、世界大会でのメダル獲得となった。(男子優勝はポーランド、準優勝はアメリカ)

■この大会で、日本代表は、男女ともに2021年の東京オリンピックの時よりも強くなっていた。特に、男子は世界のベスト3に入るという快挙となった。中国女子代表は準優勝となり、「中国女子バレー強し」の復活。中国男子は予選リーグを突破できず、最下位の16位となった。さあ、来年2024年のパリ・オリンピック大会に向けての準備が始まった。(おそらく、日本の男子・女子代表、中国の女子代表はオリンピック出場国枠12には入るのではないかと思われる。)

 2023女子サッカーWカップは、オーストラリアとニュージーランドを会場として、32ヵ国の代表枠チームで、7月20日に開幕した。A組からH組までの8グループでのグループリーグ。日本の初戦は22日のザンビア戦。ここ6〜7年間、世界との闘いで低迷が続いていた日本女子サッカー代表。

 ■日本女子サッカー代表チーム―2007年に佐々木則夫監督が就任。2011年のw杯で優勝、2012年ロンドンオリンピック準優勝、2015年w杯準優勝。2016年に高倉浅子監督が就任。主力選手の多くが引退し、新しいメンバーでのチーム作りが始まったが、低迷期に入る。2019年フランス・w杯は決勝トーナメント1回戦敗退。2021年東京オリンピック(12ヵ国出場)、決勝トーナメントの1回戦で敗退。そして、2021年10月に池田太監督が就任。

 低迷の続く日本女子代表だったため、今回の2023Wカップへの日本国内での関心は低く、w杯での日本代表の試合を放送するテレビ局もない状況だったが、大会本番に向けて代表チームが日本から旅立つ前に、NHKでの放映(BS1)が決まったという知らせに、選手たちや監督は喜びにわいたとの報道があった。そして、22日のグループリーグ・ザンビア戦は5:0の白星発進となった。選手たちの躍動した試合ぶりが印象的だった。

 続く第2戦のコスタリカ戦も2:0の快勝。「なでしこ決勝T進出 連勝 積極策ピタリ」(朝日新聞)の見出し記事。この試合から、NHKはBSではなく、地上波での放映となった。(解説者は元日本代表の安藤梢氏)

 31日には第3戦のスペイン戦を迎えた。圧倒的にスペインにボールを支配される中(日本24%、スペイン65%の支配率)での試合展開。スペインも日本も、技術力がとても高い試合が展開された。

 そのような試合展開だったが、4:0の日本の勝利に、世界は驚いた。「日本強し」だった。大会前には、グループリーグ突破はできないとの前評判だったのだが‥。私もこの試合を見ていて、「日本、日本流の強さ」を感じた試合だった。8月1日付朝日新聞には、「逆襲速攻 なでしこ4発 日本4:0スペイン」の見出し記事。これが、2021年の秋に就任した池田監督のもとの日本女子サッカーがつけてきた力なのだろうと思った。

 だが、高倉監督時代に低迷期で悔しい思いをしてきた選手たちが、ようやく人間的にも技術的にも成長し、この大会での結果につながってきているとも思った。その意味では、高倉前監督にも、「ようやく花が開きましたね‥」と伝えたくもなった。

 「鉄のバラ」の愛称をもつ中国女子サッカーチーム代表。中国男子サッカー代表がなかなかW杯の出場ができないなか、女子代表チームは中国の希望の星の一つだった。だが、残念ながら、グループリーグ第3戦でイングランドに1:6の大敗を喫し、決勝トーナメントに進出ができなかった。(※中国史上初の女子W杯グループリーグステージ敗退となった。)

 中国国民の落胆も大きかったようだ。中国チームのエースは、中国サッカーの今の問題点について、「誰かのために学ぶのはやめるべきだ。詰め込み過ぎると非常に混乱してしまう」と指摘、対照的に、3連勝と好調のなでしこジャパンを引き合いに出して、こう述べている。「隣国の日本のプレーを見てほしい。なぜ彼女たちは次の世代が次々と出てくるのか。彼女らのDNAは常に同じであり、そのDNAはますますよくなっている。私たちは特に良いロールモデルではないので、将来の子どもたちがもっと面白いサッカーをしてくれることを願っている。国内の指導者には代表として恥ずかしくないサッカーができる子どもたちを育てて欲しい」と。

 指導者の顔色をうかがいながらプレーするのではなく、日本のようにコンセプト(チーム育成の基本的な概念)を打ち出して、個々人の創造性と自主性を重んじ、誰が出ても同じようなチーム力のサッカーができるようにすべき―中国のエースはそう訴えたかったようだ。(※日本にもかって、指導者の顔色をうかがうことがあたりまえの時代が長く続いた。)

■おそらくだが、あらゆるスポーツの中でサッカーほど、技術力だけでなく自主性に基づいた創造性が必要な競技はないように思う。そして、日本でも2016年頃からの低迷期があったように、中国もまたその低迷期に入っているのかもしれない。この大会では、ドイツや韓国も決勝トーナメントにすすめなかった。

■8月5日の今日、いよいよ、日本時間の午後5時過ぎから、決勝トーナメントの第1戦「日本×ノルウェー」がキックオフとなる。高身長のそろう難敵ノルウェーとの一戦はどうなるのだろうか…。世界が日本の戦い方に注目している。おそらくだが、スペイン戦のように圧倒的にボールを支配されると、高さが武器のノルウェーに得点を許してしまう可能性も大きい。今日付の朝日新聞には、「なでしこ 高き壁崩せるか―8強進出へ 相手は170センチ以上ずらり―今日ノルウェー戦」の見出し記事。(※11日準々決勝、15日準決勝、20日決勝という今後のw杯の日程。)