逝きし世の面影

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北朝鮮問題でのトランプの「究極的解決」の意味

2018年02月23日 | 東アジア共同体
『日本(安倍晋三)を憫笑する(あわれんで笑う)アメリカ(トランプ政権)』

『これまでの政府の主張やマスコミの報道が全部間違っていた』(今までのマスコミの全員が間違っていた)との、とんでもなくオルタナティブな主張を日本を代表する大手メディア(毎日新聞専門編集委員が毎週金曜日に連載されているコラム『布施広の地球儀』)が語っているのですから驚きだ。
2月9日のピョンチャン冬季五輪開会式の歓迎レセプションでは米朝代表が同じテーブルになるよう事前に手配した韓国政府(ムン・ジョイン大統領)に対して日本の安倍総理と二人揃って10分間遅刻した挙句、5分で早退して韓国側のせっかくのお膳立て(米朝両国首脳の顔合わせ)をぶち壊しにしたペンス副大統領は、オリンピック開会式でも歓迎レセプションと同じくすぐ後ろに座る北朝鮮代表を完全に無視してアメリカの強硬姿勢を世界に向かってアピールしていた。ところが2週間後に実は開会式翌日の10日に米朝首脳会談がセットされていたが土壇場で北がキャンセルして実現しなかったと発表。(まさに『水鳥の足』で、外から見えない水面下で米朝間で外交戦略が激しく展開していたのである)
板垣英憲が、アメリカ(ペンス副大統領)が北朝鮮(キム・ジョンウンの特使の金与正)と秘密会談を試みたが安倍晋三首相のクリンチ作戦(ストーカー行為)で阻んだとの爆笑記事を書いているが、間違いなく半分は事実であろう。北朝鮮バッシングだけで首相になった安倍晋三としては必死で米朝対話を妨害したい。今の自民党政府にとって米朝会談は死活問題なのである。
(在特会のヘイトスピーチに近い『北朝鮮に乗っ取られた五輪 文在寅とバッハはアスリートに謝れ! 』フジテレビ平井文夫上席解説委員【動画】を見れば明らかがだ、平和ボケの極みで『戦争は朝鮮半島限定で日本は無関係』と信じてひたすら米朝全面戦争を煽っている。北朝鮮叩きに特化して奇形化した日本の安倍晋三とか右翼マスコミは自己否定につながる『米朝対話』とか『朝鮮戦争の平和解決』を死ぬほど恐れているのですから何とも無気味である。世界の鼻つまみである低能ネットウヨ相手のリップサービスとはいえ、平和構築に努力する隣国の大統領やIOC会長に向かって『謝れ』とは無茶苦茶にしても程がある)

布施広の地球議 『遠来の友と北朝鮮2018年2月23日. 毎日新聞.

友が遠方から来るのはうれしいが、一夜の懇談がいつも楽しいとは限らない。
客人のA氏は米国の北朝鮮研究者で元政府職員。北朝鮮との交渉経験が豊富で、時々CNNテレビなどに登場している。
彼は言う。
北朝鮮核問題の短期的な解決は難しい。いずれ米朝の対話で段階的に解決を図ることになろう。北朝鮮攻撃? それは絶対にない。
私は口をはさんだ。
米国は無謀なイラク戦争にも打って出た。しかもトランプ政権だ。今後の推移は常識では測り切れないよ。

A氏は憫笑(びんしょう)した。
「イラク戦争とは違う。北朝鮮には核兵器があり、近隣の韓国、中国、日本は人口が多い。朝鮮半島での戦争はイラク戦争より10倍以上危険だ」
それは分かっている。例えば昨年11月、米議会の知恵袋と言うべき米議会調査局(CRS)が報告書をまとめ、北朝鮮に対する米国の七つの軍事オプションを提示した。
韓国への戦術核兵器の再配備を含む「抑止力強化」、米本土に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)の施設を狙う「限定空爆」、他の核関連施設も含める「大規模攻撃」に加え、北朝鮮の「政権転覆」や韓国からの「米軍撤退」も選択肢に挙げた。
また、米軍の攻撃に対して北朝鮮が核兵器で反撃すれば犠牲者は数千万人に上り、放射能汚染は日韓や中国にも及ぶとの見方を紹介。日韓の米軍基地が核ミサイルで攻撃される可能性にも言及している。

物騒な話だが、要するに軍事行動のハードルは高いのである。
A氏と会って5日後には、ペンス米副大統領が冬季五輪期間中に北朝鮮代表団と会談する予定だったのに北朝鮮側がドタキャンしたと米政府が発表した。対話の気配はA氏の話と符節が合うように感じた。
だが、私見を述べれば「段階的解決」も大いにうさんくさいのだ。米国が「究極的」とか「段階的」と言い出すと、だいたい現状を追認することになるからだ。
インドがいい例だ。
1990年代に同国とパキスタンが核実験を繰り返した際、米クリントン政権は両国に核実験停止を懇願する一方、核放棄を「究極の目標」とすることでインドの核保有を事実上黙認した。
米国の変わり身は早い。
私はA氏に問うた。「段階的解決」によって北朝鮮の非核化を実現できるか、日本は安全になるのだろうか--。古い友人から歯切れのいい答えは聞けなかったように思う。(専門編集委員)
2月23日毎日新聞



『東北などの水産物輸入禁止 WTOが韓国に是正求める』2月23日 NHKニュース

東京電力・福島第一原子力発電所の汚染を理由に、韓国政府が東北などの水産物の輸入を禁じていることについて、日本政府の提訴を受けたWTO=世界貿易機関の1審にあたる小委員会は、日本の訴えを認めて、韓国側に是正を求める判断を示しました。
韓国政府が原発事故の汚染を理由に、福島県など8つの県の水産物の輸入をすべて禁止していることなどに対し、日本政府は国際的な貿易ルールに違反しているとして、WTOに提訴。審議していたWTOで1審にあたる小委員会は23日、『恣意的、または不当な差別に当たる』との日本の訴えを認めて、韓国側に是正を求める判断を示しました。
WTOの判断について、日本政府は「主要な論点でわれわれの主張がすべて認められたものであり、歓迎したい」。
韓国政府がこれを不服として2審にあたるWTOの上級委員会に上訴すると、最終的な判断が示されるまでは現在の輸入規制が続けられるため、今後は韓国側の対応が焦点となります。
(抜粋)

『恣意的、または不当な差別に当たる、摩訶不思議で不可解な日本政府のWTOへの提訴』

日本の提訴で韓国が負けたことは韓国メディア大きく取り上げているが、今回のNHKニュースですが、まさに権威や信用力が高い大手メディアによるフェイクニュースの見本のような話で、『明確な間違い』ではないが真実でもないのである。
先ず、WTO(世界貿易機関)小委員会の韓国側敗訴の判断自体は去年10月に出されていた。今回はその報告書が明らかにされただけなので、今更ニュースにするだけの値打ちが無い。
ようは発表された時期(日付)が一番問題だったのである。
傑作なのは毎日新聞(大阪本社版)紙面の編集で、23日の第二面に『韓国側の負け』を小さく報じているのですが、記事の横が島根県が条例により定めた記念日である2月22日の『竹島の日』の集まりに、6年連続で日本政府の政務官が出席して『韓国が不法占拠する竹島云々』との日韓両政府が正面衝突との困った記事である。日本によるWTOへの提訴ですが、これは竹島と連動していたのである。(放射能汚染を理由に輸入禁止処置を行っているのは中国やロシア、台湾など周辺国だけではなくEUなどほぼ全ての貿易相手だが、日本が提訴したのは竹島問題がある韓国だけ。何とも不自然であり日本政府によるの恣意的で不当な差別的な代物だった)

『日本の唯一の同盟国アメリカが、フクシマの放射能を理由に輸入禁止にしているのに、・・・』

毎日新聞社説『水産物禁輸でWTO勧告 日本は安心広げる努力を』(2018年2月24日)では、『東京電力福島第1原発事故を理由に日本産水産物の輸入を禁じている韓国に対し、世界貿易機関(WTO)が是正を勧告した。「科学的根拠がない」との日本の主張を認めた』云々と、ほぼNHKと(注意していないと)同じ主張をしている風に読める。
毎日新聞の社説ですが、・・・大手マスコミによる悪趣味なフェイク・ニュースと言うかオルタナ・ファクト(もう一つの真実)そのもの。ほぼ詐欺の手口である。
あるいは腹立たしい手品の類。(真実は伝えたい、ところが基本的にヘタレなので死ぬほど叩かれるのが怖いので誰にも分からないように気を付けて書いてある)
毎日は『風評被害を防げ』と言いながら、実は現在も27カ国や地域が輸入禁止にしていて、その中に日本の唯一の同盟国であり、ヒロシマナガサキやビキニの核実験を通じて、たぶん放射能被害の研究が一番進んでいるアメリカが、フクシマの放射能を理由にして『輸入禁止』を7年前から継続している事実をさりげなく報じていた。
(★注、日本政府が一切抗議しないのでアメリカの禁止処置を誰も知らない。もちろん安倍アンダーコントロールで報じるマスコミも誰も居ないが、今回の毎日社説は密かに掟破りを行った模様)
アメリカやEU、日本周辺の中国やロシア、韓国、台湾など世界中の人口で圧倒多数の国々がフクシマの放射能被害を深刻に心配しているのに2011年の3・11から『放射能は危険』から、コペルニクス的に『安全・安心、何の心配もない』に変えたのは日本だけの特殊な話だったのである。

『You can take a horse to the water, but you can't make him drink. 馬を川に連れて行くことは出来るが、水を飲ませることは出来ない』

WTO(世界貿易機関)の裁定による韓国側の輸入解禁で日本側の水産物輸出が増えるとでも思ってるのだろうか。実に不思議だ。
福島県周辺からの輸入を禁止している今の韓国ですが、実は7年前のレベル7の核事故『3:11』から放射能汚染を心配する消費者の水産物離れ深刻である。(水産関連では営業不振で倒産まで起きて、深刻な社会問題になっている)
それでも、日本はあえて一番深刻な被害がある韓国だけを標的にしてWTOに提訴した。
今後もしも日本から福島県産の水産物が少しでも入ったら韓国では放射能パニックで自国産を含めすべての水産物を消費者がボイコットするでしょう。
今の韓国の水産関係者はレベル7の核事故フクシマが影響した消費減で青息吐息なのに、全面解禁なら完全に息の根を止められることは明らか。(1手先しか読まない日本政府ですが、基本的に無茶苦茶である)



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4 コメント

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不思議 (農婦)
2018-02-23 14:09:34
今朝のTVで聞いたとき、おかしいと私も思いました。何故韓国だけ?を提訴?あの事故から多くの国が輸入規制している筈、こんな報道に気がつかないのかな?日本人は。
心配です!しかし。。。 (Saito)
2018-02-23 16:31:35
あるブログにオリンピック後の朝鮮戦争必至、とあってひどく心配になりました。しかし、そのブログでは朝鮮戦争時に上がりそうな株の購入を勧めていました。
唖然としました。もう絶対にあのブログにはアクセスしないと心に誓いました。

理由はあらためて言う必要もありません。
いやはや驚き入った次第です。


Unknown (昔からのtheBEATLESfun)
2018-02-24 00:24:06
"Horse To The Water" a song written by George Harrisonを思い出してしまった。YouTubeにもいろいろアップされています。彼の最晩年のレコーディングです。
難しい (ちくわ)
2018-02-24 16:25:58
結局核武装こそが、現在の大国による支配に風穴を開けることになるのか。
それを虚しく感じるのはセンチメンタルでしかないのだろうか。

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