逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

自壊しはじめたグローバル資本主義(新自由主義)

2009年01月02日 | 経済

『奢れるものは久しからず』

個々人の『自己責任』に基づいて競争する社会、国境を越えて自由に経済資源が移動できるような世界がベストだというグローバル資本主義の基本哲学の正当性はいま再検討されるべきであろう。
今回の世界的な金融危機は、正にその本質的な欠陥や問題点を露呈したものに他ならないからである。

新自由主義者はここ十数年、マーケットを思うがままに操ってきていたし、対立していたソ連や東欧の非資本主義経済の崩壊を目撃して、彼ら自身まさに『自分たちには敵はいない』と思っていたらしい。
現にネオコンの論客フランシス・フクヤマは社会主義の消滅と自分たちの提唱していた新資本主義の全面勝利を「必然的な事柄」と確信して『歴史の終わり』と豪語するまでに至っていた。
しかし今では自らが作り出した怪物に殺されるフランケンシュタイン博士のように、彼らが生み出した『肥大に肥大を重ねたグローバル・マーケット』という怪物に彼ら自身が滅ぼされようとしている。




『中流階級の縮小と共に消えた安心安全』

今何が起こっているのか。?
04年の雇用改革(派遣労働の自由化)によって、かっての一億総中流社会は夢幻と消え果、アメリカで起こった中流階級の崩壊現象が日本でも起こっている。
雇用改革と同時に行われた医療改革によって国民皆保険は形を成さずアメリカと同じような無保険者が生まれ、後期高齢者医療制度ともあいまって日本の『安心・安全神話』はいとも簡単に崩壊する。
さらに地方経済の目を覆うばかりの疲弊は、物事の後先を考えず『国の財政再建』という目的を優先した為に、国からの財源委譲なしで『地方交付金』や『公共事業』の削減が強行された結果であり、起こるべくして起こったあまりにも当然の事柄(惨状)である。

これ等は、『自己責任』などの公の意味をまったく理解しない無責任極まりないスローガンや『とにかく小さな政府で規制緩和すればよい』といった非論理的な風潮がまかり通ったからに他ならないが、全てはグロ-バル資本主義の問題と考えて間違いないであろう。
何故ならこれ等の問題は、系列や終身雇用、株の持ち合い、護送船団方式、政官財の鉄のトライアングル等の既得権益(日本型資本主義)から生じたものではなく、その破壊(構造改革)から生まれた必然的結果で『新自由主義構造改革の成果』でも有るからです。




『新自由主義の倫理観』

『より多く儲けたものが勝ち』という新自由主義の価値観は『目的の為には手段を選ばない』や『稼げない人間は負け組みであり、それで飢えたとしても自業自得である』との考えに繋がり、こうした自己中心的な発想が蔓延した結果、今の日本社会から『人々の信頼関係や絆』『安心・安全』が失われていった。

手段は如何あれ、自由競争の中で上手に稼ぐ事が『資本主義の正義』であり、その競争に敗れて職や財産を失うのはあくまで自己責任なのだとする新自由主義思想には、格差の拡大を正当化こそすれ、それを是正してみんなが幸福な社会、みんなが心豊かにくらせる社会を作ろうという意図はもともと、最初から無い。
其処に有るのは、あくまでも『個々人の幸福追求』であって、『社会全体の幸福実現』は目的としていないのである。
これでは社会が二極化するのは当然で、グローバル資本主義(新自由主義)には本質的に個人と個人のつながりを破壊し、社会的価値の破壊をもたらす『悪魔のシステム』としての欠陥や問題点が潜んでいたのである。

世界や日本の恐慌状態の原因は新自由主義だった。
今の日本の危機は、竹中平蔵がいうように20年間進めて来た新自由主義的な改革が不十分だから経済危機が発生したのではなく、その逆でアメリカや世界で『構造改革』が成功してしまった結果が、現在の金融崩壊の真の原因なのです。





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あけましておめでとうございます (愚樵)
2009-01-03 06:11:33
今年もよろしくお願いします。

紛い物の平和だった「パックス・アメリカ―ナ」がついに崩壊を始めた2008年。その影響でなんの咎もない庶民が、今年からしばらくの間は酷い目に遭わされてしまうでしょう。もっとも弱い人たちは、もうすでにさらに酷い目に遭わされてしまっています。しかし、おそらくこれは序の口...。

世界に目を向けると視野に入るのが、イスラエルの所業。自壊しつつある帝国・アメリカが、唯一残ったパワーである軍事力を、断末魔の悲鳴とともに行使しなければよいが...。オバマの役割は、アメリカ帝国を静かに自死に導いて、本当の「合衆国」をアメリカに誕生させることですが、帝国に巣食う亡者たちがそれを許すかどうか。楽観は出来ません。

おそらく、これからが正念場です。グローバリズムが崩壊した後、カネとチカラが秩序となる世界になるか、人々の信頼が秩序となる世界となるか。もし前者なら、それが表向きいかに平穏であろうとも、「平和」などと呼べる代物ではないでしょう。
正月は冥土の旅の一里塚 (ブログ主)
2009-01-03 15:04:23
めでたくも有り めでたくもなし

街でふと見ると、向こうから中高年の男が歩いてくる。しかし良く見ると鏡に写った自分自身だった。
今では昔の話になりますが、この体験は大変ショックでした。自分では若者の心算だったんですよ。
論語の『若者が老いやすい』と言う話は、説話というよりも多分朱子の実体験だったんでしょう。
しかし、なぜ世の中はこれ程ゆっくりとしか動かないのでしょうか。?
新自由主義の崩壊は20年も前から主張していたのにやっと今始まったばかり。
派遣社員の首切りなんかは派遣解禁すれば当たり前じゃないですか。中学生でも事前に判る話ですよ。

イスラエルも、なんで未だにあんな事を続ける事が出来るのでしょうか。?
テロで作られたユダヤ教宗教原理主義国家が半世紀前と同じ事をしている。
アメリカもイスラエルもどちらも同じように暴力でもともとの住民を殺したり追い出したりして宗教原理で造られた人造国家で、普遍的正義を掲げるが、その正義は自分たちだけの極狭い宗教的な正義で、誰にでも通用するものではない。
だから遠からず必ず崩壊します。
しかしもう少し早く歴史が動いてくれないと此方の寿命が持たない。
スタンレー・キューブリックや手塚治虫の考えた世界では鉄腕アトムや人類の火星旅行はとうの昔に実現しているはずです。世の中の動きがゆっくりすぎる。

オバマは多分無理でしょう。
彼の役回りは良くて、改革の方向性を決めたルーズベルト(FDR)止まりですが、しかしルーズベルトは結局未曾有の世界大戦争を招きよせる。
本当に変革を考えているならリンカーンやケネディと同じ運命が待っている筈です。
ケネディの資料が公開されるのは2039年、30年も先の話で、その時にはアメリカ自体がソ連のように崩壊して無くなっている可能性すらある。

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