逝きし世の面影

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突然の御嶽山噴火、確実な富士山噴火とプレートテクトニクス理論

2014年10月01日 | 社会・歴史

『火山学の常識を変えた35年前の御嶽山の噴火』

『最近の1万年では4回も大噴火していたのに、長い間「死火山」だと思われていた御嶽山』
昔の地理の教科書では火山は活火山、休火山、死火山の3種類のタイプに分類していた。活火山とは現在活動中の火山で、休火山とか有史以来噴火が確認されているもの。「死火山」とは噴火の記録がまったく無い火山。
ところが35年前の1979年に、それまでは安全な死火山だと思われていた御嶽山が突如として噴火する。
御嶽山は1万年間では4回も大噴火していたのである。(地球の歴史では数千年に1度の短い割合で噴火を頻繁に繰り返していた火山『御嶽山』を、短い人類史で「死火山」分類したのが大間違いだった)
『死火山』の言葉は、35年前(1979年)の御嶽山の噴火により『科学的な間違い』が証明されて、それまでの火山学会の定義が書き換えられて、教科書から無くなっている。

『プレートテクトニクス理論 と御嶽山の噴火』

世界で一番深い日本海溝は東に向かって動いている太平洋プレートの末端が北米プレートとフィリッピン海プレートの下に潜り込むことで出来上がった。
世界一高いヒマラヤ山脈やチベット高原はインド亜大陸がユーラシア大陸と衝突したことで海底が持ち上げられて出来上がったが、日本で一番高い3000メートル級の山々がそびえる日本アルプスでもユーラシアプレートと北米プレートがぶつかる境界線に出来上がっている。
岐阜県と長野県の県境の御嶽山はフォッサマグナ(中央地溝帯)の東端の糸魚川静岡構造線 ISTLと言う大断層に位置しているが、もっと大きく地球規模で見れば御嶽山はユーラシアプレートと北米プレートの境目に位置している。

『思春期以前の若い富士山』

地上から400キロ上空の宇宙ステーションから世界最高峰のチョモランマ(エベレスト)は見つけることは困難だが、逆に日本の富士山は成層火山としては異例の大きさであり、その 円錐形で広い裾野の特徴的な形状から簡単に見つけることが出来る。
山として10万年前に成立した富士山ですが、1万年程前には頂上の火口から噴火していた。
今の形状が出来上がるのは最後の氷河期が終わるころで、山の年齢で言えば思春期前の子供状態だが、図体だけが超巨大に成長した。若い富士山には子供の顔に皺が無いように尾根も沢も無い。
他の山とは大違いで富士山の山体には『一本の川』も無く、山に降った雨水は全て地面に浸み込んでから遠く裾野部分から『湧き水』として流出している。
遠目には美しい富士山ですが、実体は炭鉱のボタ山の様な不安定で非常に危険な形状であり、今後の富士山の山体大崩壊は避けれないでしょう。(多分10万年以内には硬い溶岩部分を残して大崩壊する)
地質学的には成層火山の寿命は数十万年、容積は100立法キロだが、富士山の容積はなんと約400立方キロもある)

『フィリッピン海プレートとユーラシアプレートと北米プレートの3枚のプレートの「接合点」としての富士山』

富士山ですが、数十万年前から極狭い同じ場所から繰り返しマグマが噴出して現在の形が出来あがるが、プレートテクトニクス理論で、日本周辺の4枚のプレートのなかで太平洋プレート以外の、3枚のプレートが一箇所でぶつかり合う接点(特異なホットスポット)こそ富士山だったのである。

御嶽山の以前の大噴火は数千年前だったが、富士山の大噴火は10分の1の307年前の1707年の宝永の大噴火が最後である。
富士山は有史以来数百年の短い間隔で大噴火を繰り返していたのですが、富士山の場合には噴火の直前には前兆となる大地震が起きていた。

『富士山の宝永の大噴火の4年前の元禄大地震』

元禄大地震1703年(元禄16年)に起きた巨大地震(推定マグニチュード(M)は7.9-8.2 )、発生原因はプレートテクニクス理論の2,011年の東日本大震災や、1923年(大正12年)の関東大地震(マグニチュード7・9)と同じプレート境界型地震で、7メートルの津波とか大きな地殻変動を伴っていた。(関東大震災では1・5m隆起したが、元禄地震では5mも隆起している)
太平洋を北上するフィリピン海プレートが関東地方を乗せた北米プレートの下に沈みこみ、蓄積した歪エネルギーが一気に解放されることで起きるプレート境界型地震では房総半島とか三浦半島の先端が隆起する。
富士山は平安時代から1000年間で3回の大噴火を起こしているが、最後の大噴火が307年前の1707年(宝永4年)で山腹から噴火して宝永山が生まれている。
宝永大噴火以来一回も噴火していないが、『300年も安全だったから、これからも安全だ』と判断するべきでは無い。
逆に『300年間もの長い間噴火していない』事実からは、『大噴火のエネルギーが十分に蓄えられている』(危険が迫っている)と見るべきであろう。
富士山の宝永の大噴火の49日前には宝永地震(推定M8.6~8.7)が起きていた事実は有名だが、宝永地震よりも大きい(噴火の4年前に起きた)元禄地震の方は忘れられている。
2011年の東日本大震災から3年目に起きた今回の御嶽山の噴火ですが、日本列島全体が活動期に突入している可能性がある。
1995年の阪神大震災(800~900ガル震度7)以来、2007年の新潟県中越沖地震では最大2058ガル(gal)、2008年の岩手の宮城内陸地震では4022ガル の揺れを記録していた。3・11大震災では宮城県栗原市築館の2938ガルの、本来有り得ないとされていた重力加速度1G(980ガル)の何倍以上の地殻の揺れが頻発している。
比較的安定していた平穏な時期はすでに過ぎ去っていて、日本列島全体が乗っている地球の地殻全体の激動期に突入したのは間違いないでしょう。『天災は忘れた頃にやって来る』のは平穏な時期の格言であり、激動期では『忘れる暇もなく』連続してやって来る。

『プレートテクトニクス理論 』

ドイツの地球物理学者(気象学者)アルフレート・ウェーゲナーが1世紀前の1912年に大胆な仮説(大陸移動説)を唱えたが、大陸が動かないとする当時の学会では受け入れられなかった。
大陸移動説では古代の地球上には超巨大大陸(パンゲア大陸)が存在し、これが中生代末から分離・移動して現在の大陸分布になった。
『プレートテクトニクス理論 』は、一旦は『トンデモ学説』として否定されたウェーゲナーの大陸移動説を土台にして半世紀後の1968年に完成した新しい学説である。(科学技術の進歩により『大陸が動いている』ことが具体的に証明されたことが大きい)
地球表面が何枚かの硬い岩盤(プレート)で構成され、対流するマントルの上に乗ってお互いに動いていて、二枚のプレートの末端部分(境界面)では沈み込んだり乗りあがったりして、3年前の3・11東日本大震災の様な大地震を発生させている。
今回二枚のプレートのぶつかり合う
糸魚川静岡構造線( ISTL)に位置している御嶽山が噴火したが、富士山の様な3枚のプレートの接点(ホットスポット)は矢張り特異な存在であり、 今後間違いなく300年ぶりの富士山大噴火が約束されているのである。

偏西風と火山灰の関東ローム層、危険すぎる東京一極集中の愚』

日本列島のある地球の30度から60度の中緯度地域の上空には常に安定的に西よりの風が吹いている。
天気予報でよく判るように、中緯度の偏西風に乗って天気が西から東に動いていることは誰でもが知っている。九州が雨なら半日後には関西地方に雨が降り出す。1日後には関東や東北でも雨になるのです。偏西風の中でも上空10000メートル付近は特に強くジェット気流と呼ばれていて冬季には時速100キロにも達する強風が吹いている。
浅間山や富士山、箱根山などの噴火の火山灰は西よりの風に乗って関東平野一帯に降り積もり火山灰の厚い層
(関東ローム層) が出来上がった。
今の日本国の首都は1868年から東京一極集中になっているが、それ以前は幕府は江戸でも都は京都であり経済は大阪と首都機能が西日本に分散されていた。
関東平野ですが、平安時代には何度も富士山が大噴火しているし江戸時代にも浅間山や富士山が噴火して膨大な火山灰を関東平野など東日本に降り注いでいる。
火山だけでは無く、プレートの境界面に近い関東地方よりも、いくらかは関西地方の方が地震の危険性も低い。

『利便性より安全性重視の内陸盆地の日本の首府』

我が日本国は、典型的な島国であるにもかかわらず何故か長い間首府は飛鳥や奈良、京都など内陸部に造られていた。(海に面していない内陸の首府なら、日本列島では周期的に必ず起きている巨大地震発生時の津波被害を確実に避けることが出来る)
海に面した交通が便利で使い勝手が良い日本の首府は『例外的』であり、飛鳥時代に孝徳天皇が造った難波の宮と平清盛が造った神戸福原の宮、豊臣秀吉の大阪城くらいだが、何れも短時間で首都機能を失っている。
『便利である』ことと『安全である』ことは別々の概念であり
滅多に一致することがない。通常この二つは相反するのである。
沿岸では無くて日本が長年わざわざ不便な内陸部に首府を建設し続けたのは、利便性よりも安全性を重視した結果かもしれない。
(海に面した脆弱な火山灰の上に首府を建設するなど狂気の沙汰である
 
146年前の明治維新による江戸遷都から続く、いまの東京一極集中ですが火山や地震などの防災の観点から非常に危険な状態であることは間違いない。


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