《創られた賢治から愛すべき真実の賢治に》
『東京大学の式辞 ネットで話題』(withnews 4月6日(月)19時13分配信)によれば、この3月に行われた東京大学教養学部の卒業式における石井洋二郎学部長のあいさつがネットで激賞されているという。具体的には石井学部長は卒業生に対して、例えば 「あらゆる情報の真偽を自分の目で確認してみること、必ず一次情報に立ち返って自分の頭と足で検証してみること、この健全な批判精神こそが、文系・理系を問わず、『教養学部』という同じ一つの名前の学部を卒業する皆さんに共通して求められる『教養』というものの本質なのだと、私は思います」
と呼びかけたという。私はこのことを知ってこれでいいのだと改めて納得すると共に確信したし、快哉を叫んだ。私の宮澤賢治の伝記研究に対する「宮澤賢治に関するあらゆる真偽を自分の目で確認し、必ず一次情報の出典に立ち返って自分の手と足で検証してみる」という姿勢とこの「呼びかけ」はほぼ同じことだから私は自信を持っていいのだ、と安堵もした。
そしてのような検証であればそれは「揚げ足取りをすること」でも「人を貶めること」でもなくて〝健全な批判精神〟そのものであり、この批判精神を持つことこそが〝『教養』というものの本質〟であり、おそらくこれを〝真実あるいは真理にたどり着く最大にして唯一の方法〟であると言い換えてもほぼ同じことが成り立つのだと、私は改めて確信した。
そしてやはり私は自然科学者の端くれであり、学問は疑うことから始まるという「性」から抜け出せないがそれは何も恥ずべきことではないし、人文科学の一分野とはいえども少なくとも「伝記研究」においてそれは必要条件なのだということを改めて確認できた。
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