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【「アメリカン・ドリーム」は死語に・・・】ピケティ・ブーム~格差是正の契機に~④

2015-02-15 00:04:24 | アメリカ

(前回からの続き)

 フランスの経済学者トマ・ピケティ氏が述べるところの「世襲制資本主義」(経済の大部分を相続による富が占める状態)がアメリカにおいて顕著に形成されていることを象徴的に示すように思える方がわたしたちの身近なところにもいます。それは、キャロライン・ケネディ駐日大使。

 同氏は言わずと知れた故ケネディ大統領の長女。「偉大な米大統領ランキング」上位常連のJ.F.K.のお嬢さまという超セレブです。で、セレブなのは生まれ育ちばかりではありません。この方の資産規模がまたスゴい・・・。

 ブルームバーグ報道によると、2013年の駐日大使着任前に規定によって公開されたケネディ氏の個人資産額は6700万~2.78億ドル(1ドル117円換算で約78~325億円!)におよぶそうです(日本の比較的リッチな政治家の資産額よりもゼロが2つ以上多い額!)。N.Y.やワシントンの不動産、各種の金融資産に加え、米課税当局の手が及ばないタックス・ヘイヴンとして有名なケイマン諸島にも資産を所有していることが明らかになっています。

 もちろんこれらのなかには同氏が長年の労働の結果として手にした分も少なくないのでしょう。ですが・・・この資産のスケールは、一般人なら100回くらい生まれ変わって汗水流して働かないと積み上げられないくらいの超ハイレベル。ということは、やはりケネディ家の・・・と憶測せざるを得ないわけです、(ひがみっぽい)日本の一庶民としては・・・。

 この「ケネディ」氏、そして前回述べた「クリントン」氏や「ブッシュ」氏に象徴されるように、現在のアメリカには、大統領輩出一族のような一握りの人々だけに世襲を通じて巨万の富や権力が集中する傾向があるといえそうです。彼ら彼女らの桁違いの資産額からすると、アメリカにはそれを結果的に許容するような仕組みがあるのでしょう。つまり、相続財産とか株・債券・不動産等が生み出す利益=キャピタルゲインに対する課税がユルいということです。

 さらにいえば、大統領や国会議員などのトップ政治家になる層が限定されていることがアメリカの既得権益者(大企業経営者とか株主など)にとっては都合が良い、という面も米エリート支配の風土醸成に寄与しているものと思われます。なぜなら、自分たちの利益の維持拡大を働きかける相手(政治家等)が少ないほうが、その手段としての企業献金とかロビー活動を効率的に行えるため。

 こうして互いのニーズが一致した政財界(ついでに学会)は結託し、特権階級の仲間内で利益を極大化することで、この地位を脅かしかねない他者(≒大多数の国民)の取り分(労働分配率等)の増加や勢力伸長を抑制します・・・。かくしてもたらされたのが1%層と99%層のあいだの絶望的なまでの格差―――これが自由と正義の国を自称するアメリカの現実。誰でも努力すれば夢は叶えられる「アメリカン・ドリーム」はもはや死語に等しい―――そう思っています。

 今月はじめ、米オバマ政権は、富裕層増税や中間層向けの支援策を織り込んだ来年度予算教書を米議会に提出しました。長年の「r>g」(資本収益率>経済成長率)がもたらした財産や所得の格差を少しでも是正しようという思いが多少は(?)感じられる内容です。

 しかし・・・それが実現される可能性は限りなく小さいでしょう。議会の多数派を占める共和党がこれを否決するであろうことはもちろんですが、それ以上に、現在のアメリカの上記のシステム―――トップ1%が富を独占するシステムは、いまやそんな小手先の政策程度で揺らぐはずがないくらい堅牢だからです。で、もし将来、アメリカで経済的格差が大きく修正される出来事が起こるとしたら、そのきっかけは、選挙等の民主的なプロセスを経たものではなく、多くの犠牲がともなう何らかの「力」によるものになるのかもしれない・・・そんな予感がしています。

(続く)

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