邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

「五瓣の椿 」

2005年11月24日 | ★ぐっとくる時代劇
これ、幼少時に見て強烈な印象を受けて以来
トラウマになってしまった、
私にとって記念すべき作品。

淫蕩な母親に苦しめられ死んだ父親の仇を討つために
母の情事の相手を次々と殺め、
現場には父が好きだった真紅の椿の花を置いていくおしの。

恐ろしくも哀しく、大人っぽい物語。

なんで子供がこんな映画を見たのか。
そして深い感銘を受けたかは未だにナゾ。

私の脳裏に長年焼きついていたのは
燃え盛る火の中で苦しむ愛人と母親(左幸子)の姿と、
それを見つめるおしの(岩下志麻)の凄惨な美しさだった。

恐ろしさと美しさがごちゃまぜになった映像は
子供心に忘れられないものになって
繰り返し繰り返し頭をよぎった。

だが今回確認したところ、火の中に母親の姿はなく
家の中から耳をおおうばかりの
すさまじい叫び声が聞こえただけだった。

記憶とは面白い。
いつの間にか頭の中で映像を製作してしまっていたのだった。

左幸子の妖艶さにはあらためてため息が出た。
そして真っ赤な椿のように美しい岩下志麻にも。

市原悦子が出ているが、
昔からあんまり変わらないのでそれにも驚く。

山本周五郎原作。
サスペンスタッチでおしのの心理状態を追う。

父親思いだった優しい娘の心はいつ
ガラガラと壊れてしまったのだろう。
最後に正気に返った娘が哀れだ。

野村芳太郎監督の映画は
「砂の器」にしろ「八つ墓村」にしろ
強烈な映像がフラッシュバックする
トラウマ度(?)が高いのかもしれないと今、思った。

1964年  野村芳太郎監督作品  原作: 山本周五郎  脚色:井手雅人 
撮影 : 川又昂 音楽:芥川也寸志 美術:松山崇/ 梅田千代夫

■人気ブログランキングへ
よろしかったらお願いいたします




最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (栃麺坊)
2005-11-26 23:48:10
こんばんは。

志麻さんはこの映画で女優開眼されたそうですが左幸子さんの女優としての姿勢が大きかったように思います。

もちろん野村監督の徹底的な指導もあると思いますが・・・。

それにしても志麻さんの23歳にしてこの落ち着きと演技力。脱帽です。



次の日記にも関係あると思いますが野村監督&芥川也寸志コンビの『鬼畜』。

映像も音楽もインパクト大過ぎてそして志麻さん怖すぎてファンなのにDVD買えません(;O;)

返信する
すごいですね (spok23)
2005-11-27 09:33:29
23歳にして大女優のカンロク充分ですね。



そして左幸子さんの風情、着物の着方、鉄漿。

江戸の女はこうだったのか?と

思わせるような素晴らしさでしたね。



「鬼畜」は私も恐れおののきました!(笑)

返信する
お~、左幸子さんスゴそうですね~ (akaboshi07)
2005-12-06 17:51:21
お久しぶりです。教えてくださりありがとうございます。

今、左幸子さんを追及中の僕としては、嬉しい情報です。

いずれ観ると思いますので、その時は感想書きますね。

今のところ僕は「たくましい」左さんの演技しか見ていないので

「妖艶」な演技が楽しみです。
返信する
すごいんです (spok23)
2005-12-06 22:35:11
お久しぶりです。

この映画でも

出番はほんのちょっとなのですが

強烈な印象でした。



まるで・・なんというか・・・

浮世絵から抜け出してきたようでした。



おはぐろがあんなにサマになって見える

女優さんもなかなかいないと思いました。



ごらんになったらぜひ感想を聞かせてくださいね。





返信する
左幸子は最後の偉大な女優だった (さすらい日乗)
2006-01-13 16:39:19
左幸子の死の直前に大森キネカで中川信夫監督特集があり、彼女が来て映画『ある女教師の記録』を語り、新東宝で生意気だと苛められたことも話した。



日活での鈴木清順の小林旭と共演の『踏み外した春』のように、題名どおりの体当たりの女優生活だったと言っていたが、本当にバイタリティのある女優だった。『にっぽん昆虫記』など全くすごい。
返信する
大好きな女優さん (spok23)
2006-01-14 07:58:42
ほんとにすごい女優さんでした。

「飢餓海峡」も

左さんでなければならない役でしたね。



左幸子さんは鉄漿もサマになりますね。

返信する

コメントを投稿