邦画ブラボー

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「侍」

2005年02月23日 | ★ぐっとくる時代劇
岡本喜八レトロスペクティブ/
勝手にひとりでやっています。

見るぞお!勝手にはりきっている。

雪の桜田門外で
井伊直弼(松本幸四郎)を待ち伏せする水戸天狗党。
美しい構図に目をみはる。大胆なカット割りにも。
画面に大きく「侍」の字、その横には三船敏郎の顔が。

う~んとうなるカッコ良さ!

岡本喜八監督プラス橋本忍脚本。

時の大老井伊直弼を狙う冷酷非情の親玉
星野監物に、怪優伊藤雄之助!
やはりすごい面構えだなあ。
あなたは伊藤雄之助が刀を持って
裏切り者にユラ~リ、ユラ~リと近づく場面を
果たして正視できるだろうか?

私は目をそらしました。

物凄い殺気、不気味さはへたなお化けより断然怖い!

新納(にいろ)鶴千代(三船敏郎)
狼のような浪人。ある事件をきっかけに真っ当な道からはずれてしまった、
動物のような男である。
幼少からの鶴千代を知る木曽屋政五郎(東野英次郎)は宿の女主人
お菊(新珠三千代)に鶴千代の身の上話をする。
数奇な運命にあやつられる男。

物語のはじめに
「二月も二十日となれば、春のよう・・ですな」という台詞がある・・
ちょうど今時分の出来事。

これは、「愛も無いのにゆきずりの女と戯れに関係し子供を作ると身を滅ぼす」
という戒めの話である。
というのは冗談として・・・

事情が事情とはいえ
鶴千代の行動は情けなく、哀しい。

いよいよ三月三日の決行の日。
激しい吹雪の中の死闘は・・・凄まじい。そして美しい。
息を呑む迫力である。
この場面は一度見たら一生忘れないだろう。

「わしが死ねば徳川はつぶれるだろう」と言っていた直弼。
激しい斬り合いの最中
籠の中で「馬鹿め!」「馬鹿!これで侍はいなくなるぞ!」
と、振り絞るように呻く。

手柄を取って、ひとかどの侍になりたいと願った鶴千代だったが
自分が手を染めたその事により、
侍の時代を終わらせることになってしまうとはなんたる皮肉!

もうひとつの皮肉とは・・

ラストに直弼の首を狂ったようにかかげる三船が傷ましい。
大きな力に利用されただけの鶴千代。
こんな怪物みたいな男を演じられるのは
今は・・・いないのではないか。

他に、大辻伺郎、中丸忠雄、志村喬、杉村春子、
小林桂樹、八千草薫、江原達怡 、黒沢年男、平田昭彦など

これもまた「独立愚連隊西へ」と共に、
あなたの街のビデオ屋さんの片隅にあったらラッキー!
借りてみて。
そしてぜひ感想をお聞かせ下さい。

1965年 岡本喜八監督作品 橋本忍脚本
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