邦画ブラボー

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「香華」

2006年01月14日 | ★人生色々な映画
自堕落でわがままな母親に振り回され続けた女の一生。

と、一言で片付けられないのが母と子の間柄。

原作は舞台にドラマにと
何度も演じられてきた有吉佐和子の名作。

郁代(乙羽信子)は器量自慢だったが
実の母親(田中絹代)にも
愛想尽かしをされるほどの薄情な娘だった。

最初の亭主と死に別れるや
幼い子供(のちの岡田茉莉子)を実家に預けたまま
さっさと男と(北村和夫)再婚する。

数年後、男に捨てられて売り飛ばされた遊郭には
祖母が死んで、同じく
芸者見習いとして売られた朋子がいた。

母親に薄情な言葉を投げつけられても
尽くさずにいられない少女が哀れでいじらしい。

成長した娘(岡田)は母親(乙羽)にバシバシと意見する気丈な女に変身!
逆境は娘を強く育てたのだった。

岡田茉莉子の芸者姿美しいです。

大震災、戦争と時代の波を生き抜く母子だったが
年を取っても色香が失せるどころか、
派手で男出入りが絶えない母親に比べ、
花のように美しかった娘が、
堅気の軍人(加藤剛)にふられるあたりから
どんどんどんどん老けていってしまうのがなんとも残酷。

女を描かせれば天下一品の有吉佐和子の筆と、
これまた女の気持ちがどうしてこんなにわかるのか
不思議な木下恵介監督のベストマッチ。

三木のり平、北村和夫、加藤剛、田中絹代 
岡田英次 柳永二郎 など脇も豪華。
菅原文太がちょい役で出ていた。

血は水よりも濃いとは
よくいったものだけど、肉親であるがゆえに腹立たしい、
愛しいということもある。
親子といえど、女同士の感情も複雑なのである。

乙羽信子も良かったけど、
以前見た山田五十鈴の郁代(たぶんTVドラマ)が絶品だったなあ。

1964年 監督・製作・脚本: 木下恵介
原作: 有吉佐和子 撮影: 楠田浩之
美術: 伊藤憙朔/ 梅田千代夫 音楽: 木下忠司

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