さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

「魔法は消えた」のか、その仮定の意味 ゴロフキン強烈KO、20度目防衛

2018-05-07 05:58:53 | 海外ボクシング



昨日ははボクシング生中継連発の日曜日でした。
簡単に感想を。


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試合までにあれこれあれこれあって、ひとまず決まった試合、という感じでしたが、
ゲンナディ・ゴロフキン、久しぶりのKO勝ちでありました。

バネス・マーティロスヤンは、一階級下なれど、実力は確かなものがあり、
決して楽な相手でもないと思っていましたが、勝負は早かったです。

初回、挑戦者が積極的に攻めて、ワンツーから左も追加してポイントは取りましたが、
攻めるのはいいけど、防御の決めごとというか、打ったあとの「始末」について、
特に考えなく「素」の勝負をしている、という感じに見えました。

これはゴロフキンが出て、ヒットを取り始めたら早いだろう。
もしそれが出来ないようなら、ゴロフキンの衰え、村田諒太の言う「魔法」が
本当に消え始めていることの証なのやろうな...と思っていたら、
2回早々、右アッパーで止めて、右当てて追撃。最後は「強連打」による見事なKOでした。


短い試合でしたが、色々思うところのある試合ぶりではありました。

村田の言う「魔法」については、初回を見ると、マーティロスヤンの積極性、切れ味により、
打たれたこと自体は普通なら仕方ないのですが、やはり往時の姿よりは...と見えました。

そして2回は、マーティロスヤンが積極性と引き替えに、特別な防御への意識を持たなかったが故に、
往時と変わらぬ攻撃力、詰めの鋭さが見られたように思います。

で、これが村田諒太相手だったら、どうなるのかな、と思いました。
防御はマーティロスヤンより堅牢ではあるが、これほど攻め手があるかというと、疑問です。

しかし、ジャブと右ストレート、クロス、左ボディのみで攻め、
防御はブロック中心、それ以外の選択を切り捨て、余計なことはしない、という戦法で、
耐えつつ押し、じわじわと城攻めをするようなやり方に徹して闘えたら、
往時ならともかく、今なら、勝機ありとは言わずとも、試合にはなるのかもしれない。

ゴロフキンの試合を見て、村田と関連づけて、そんな風に感じたのは初めてでした。

「魔法」が消えても、充分強い。しかし初回、打たれて一歩引いたゴロフキンの姿は、
確かに以前のそれとは、少しだが確実に違ってきてもいる...のかもしれません。
もちろん、村田の防御がゴロフキンの攻め手を引き出してしまい、打ち込まれたらあっという間、という、
2回のKOシーンが再現される可能性も高いのだろう、とは思いますが。


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さて、早朝というか、土曜深夜というか、午前2時からはDAZNが、
英国ロンドン、おなじみO2アリーナから生中継をしてくれました。

IBFバンタム級タイトルマッチは、噂の新鋭エマヌエル・ロドリゲスが、
体重超過のポール・バトラーを12回大差の判定で下しました。

バンタムの試合で3ポンドオーバーとは、先のルイス・ネリーには負けますが、
なかなかの狼藉と言わざるを得ません。しかしロドリゲスは、ぱっと見比べて、
大幅にとはいかずとも、なるほど確実に一階級弱の違いはあるな、と見えるバトラーを、
初回早々左ダブルで倒し、連打で二度目。評判通りの実力を見せました。

普通のバンタム級なら、試合はKOで終わっていたかもしれませんが、
そこは実質Sバンタムのバトラーが耐えました。
しかしロドリゲスの強くて正確なジャブ、右の後に来る「返し」の左フック、アッパーが
試合を支配し続け、バトラー3回には鼻血を出し、6回には後退して打たれる場面もあり。

終盤は倒せないと割り切ったか、誘いもあったか、手を少し下げ加減にしつつ、
リベットのようなジャブを当て続け、大差での勝利となりました。
採点は14点差がふたり。さうぽん採点も同じでした。

体重のハンデがあり、倒れない相手にもっと苦しんで不思議ではないのに、
ほとんど質を落とさず勝つあたり、単なる勢いだけの強打者とは違うレベルの選手でした。
パンチが驚くほど伸びるわけではないかわりに、ジャブひとつ取っても硬質で、正確に打てる選手です。
ボクサータイプだけど、パンチは同胞の先達、ウィルフレド・バスケス級の威力を感じました。
足捌きが少し遅めというか、細心さがないなと見える部分もありましたが、
総じて筋が良く、正攻法でまともにやりあったら、相当強そうです。
今回は特殊な条件下での試合でしたから、余計にそう思います。

将来、井上尚弥との対戦があるのでしょうかね。大いに楽しみです。


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ということで、昨日は朝から、というか早朝から、生中継連発で、TVの前にほぼ釘付けでした。

DAZNで午前2時より、英国の試合を生中継。
午前10時半からWOWOW。
午後5時45分から、MotoGP欧州ラウンド開幕、アンダルシアはヘレスより。これはG+。
そいで、夜中の3時半からは、年に二度だけサッカーの試合をフルに見る機会、通称「エル・クラシコ」。

...まあ、物事何でも優先順位というものがありますで、
ホントにこれを全部、リアルタイムで見ていたら、体調がガタガタになってしまいます。
DAZNは午前4時くらいに起きて見ました。これでも早いだろうと思っていたら、
上記のロドリゲス戦がそのくらいから始まったので、危ないところでしたけど。

しかしWOWOWは、長々とやっていましたが、メインは2ラウンドですから、
正直言ってそれまでは飛び飛びでした。アンダーがいくつか飛んだので、仕方ないところですが。
来週の生中継は、他にあれこれ重なりはしないので、一点集中して臨むとします。

しかしGP、酷い多重クラッシュ連発でした。見ていて肝が冷えました。
大怪我などはなかったようで、不幸中の幸いでしたが...。


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7 コメント

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Unknown (R35ファン)
2018-05-07 09:14:48
おはようございます。確かに初回の打たれた時の反応、あれって思いました。左ジャブに右被されのらしくない被弾はらしくない、と言うより反応や集中力が落ちた、と見るべきかなと。ただそれをあっという間に飲み込んだKOラウンドの攻撃力は流石としか言えないです。往時のあの巨岩が迫る様な迫力はともかくあのゲンコツパンチ乱打は健在だなと。私はカネロよりむしろチャーロとやって欲しいです。

最近の体重超過は嘆かわしい。このスポーツの根幹を何と思っているのか。これは日本だけ、比嘉君を見せしめに罰して済む話ではないです。
それはそうと不届きものバトラーを寄せ付けない強さでしたね。尚弥様やテテとの絡みも楽しみです。
Unknown (海の猫)
2018-05-07 15:10:57
ゴロフキンは、以前に比べ体が「ぐらぐら」して見えます。年齢からくる反応の遅れに加え、身体面、特に下半身にこれまでの負荷の蓄積が出て来たのかなと。今回は一連のゴタゴタによる調整不足もあるかもしれませんが、それでも、という感じです。この「衰え」がどの程度のものか自分には分かりませんが、こうなると、いつ「勢い」のある対戦者に飲み込まれてもおかしくない気がします。短い準備期間でのデレビ戦を避けたことからも、自覚があるのでは。今後のマッチメイクは、本人と陣営がどのような「終わり方」を望むかによるのかもしれません。おそらく多くはない残り数試合を有意義に使い、可能な限りの栄誉を手にして欲しいです。
ロドリゲスは正統派ですね。総合力ならテテより上に見えます。テテは総合力でどうとかいう選手ではないかもしれませんが。バンタムはビッグネームはいませんが、タレントが揃ってきましたね。あとはWBSSが無事に開催され、そこに井上がいてくれさえすれば。リゴンドーにもオファーがいったという話を見ましたが、本当ならぜひ参戦して欲しいです。リゴンドーにとって最後のチャンスになると思うので。また井上にとっても、本当の意味での「挑戦」になると思います。
コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2018-05-09 09:20:43
>R35ファンさん

あれは「追撃来るから、外そう」じゃなくて、打たれたことで軸が後ろにずれた下がり方、だったように見えましたね。ダメージは軽かったんでしょうが。受けに回ること自体が少なかった全盛時と比べると、違ってきていますね。まあ、試合への経緯や、対戦相手により、多少集中が欠けたのも仕方ないかも、ですが。
挑戦者選びについては、あっちで指名、こっちで名乗り、とやっているコンテンダーたちに、実質ベルト独占の、唯一無二の王者に挑むのなら、団体の垣根を越えての挑戦者決定戦をやってからにせえ、と思いますね。全ての事情をかなぐり捨てて言いますが。今日やって、来週やって、というスポーツじゃないんですからね。
バトラーは体格差がなければ倒されていたでしょうね。「どういうつもり」だったのかまでは断定できませんが。


>海の猫さん

据わりが悪くなってきている、というよりは、受け身になること自体があまりなかったのになぁ、とも思いますね。マーティロスヤンは悪い選手じゃないですが、一階級下の話でもあり、試合決定も遅く、とてもじゃないが「水漏れなし」の状態とは言えず、にも関わらず...という。今後に関しては、そのとき最強の相手を、という形を外す可能性もありましょうね。彼のような「王朝」を築いた王者の晩年には、ままある話でしょうが。
WBSS、バンタムでリゴンドーにオファー出したんですか。なんとまあ...という感じですね。井上はとりあえず25日勝たないといかんですが、その後については、それこそリング上で発表なり表明なりがある、というくらいの勢いがほしいですね。そうじゃなきゃいかん、と思います。交渉してうにゃむにゃ、みたいな話だと、悪い想像をしてしまいますね。

Unknown (NB)
2018-05-10 03:29:22
ゴロフキン戦見直してみましたが、あまりもの攻撃力で覆い隠された感が拭えないと感想を持ちました。ゴロフキン動き悪かったと思います。
中盤以降まで行っていたら、もっとあかるみになっていたんじゃないかと思いますが。
しかし、しっかり勝ってくれた事に感謝します今回。
こんなバリバリの全盛期とは言えない状況で、強者や猛者が名乗りを挙げてきた、ゴロフキン大変ですね。
是非とももう一踏ん張り、応援したいと思います。こんな正真正銘の世界チャンピオンは最近ではいないですから。
ゴロフキンへの挑戦を掛けた戦い、やらないといけないですよね。
チャンピオンだからじゃ、納得しないです。
村田にも、ゴロフキンとやりたい、なら誰もがゴロフキン戦が見たいと思えるサバイバルな戦いを期待します。
自分がゴロフキン戦東京ドームへの期待は、村田対ゴロフキンではなく、セミでの井上尚哉のWBSS一回戦への期待です。そんな流れにならんかなぁと。
正直、村田のボクシングはまだ応援したいと心引き寄せられるものはありません。勿論ゴロフキンを応援します、三回までに倒してくれと。
とにかくまともにパンチがある選手相手にパンチを打ち込む姿を見ないとですね。
喋りは文句なし、です(笑)。
ミドル級という世界的に厚い階級にいるのに、村田不利、圧倒的不利と言われる試合、1試合としてないで世界チャンピオンですから、しょうがないですが。
しかし、、頑張れ村田です(笑)。
コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2018-05-10 10:00:31
>NBさん

上記コメントにも書きましたが、挑戦者たちも各々勝手なこと言わんと、挑戦者決定トーナメントでもやれと言いたいですね。チャーロ、デレビ、ジェイコブスにサンダースあたり。誰とやりたいやりたない、会社がとうTVがどう、そういうのを超えて。それこそ邪魔になるほどの数のベルトかけてる王者に挑むなら、そのくらいやるのが筋やろうと。
で、村田に関しては、そういうのは望むべくもない、というのが現状でしょうね。本人の気持ちは知りませんが。エンダムとの二試合がそうだ、と言われてもちょっと弱いですしね。次、ベガスで誰とやるかですが、実際はトップランクの枠組み内で、適当なところ、という感じにしかなりようがないでしょうから、まだまだ遠いなあという感じです。仰るとおり、頑張ってほしいところではありますが。

Unknown (Neo)
2018-05-12 15:43:17
やっと見れました。
リング上で一見して、ゴロ老けたなぁと感じました。試合が始まっても全体的に重い印象で、もちろん瞬間瞬間はそれなりにキレがあるのですが。もともとメリハリをつける選手ですが、加齢に伴うスタミナの不安があるのかも知れません。しかしながら、プレスが掛かってあの距離で捉えると、遅かれ早かれ、誰であれ飲み込んでしまいますね。
今回、加齢で動きが少し落ちた事で、自分はゴロフキンの一番の武器が見えたと思います。それはありふれてますが、あの最後のロングの左フックに凝縮されていると思っています。実に自然な力みの全くない動きで、全く相手に見えない様にして下半身からパワーを伝えて強打し終わらせました。あの独特で多彩なパンチも伸びるジャブもプレス自体ももちろん脅威ですが、あのテクニカルな強打は年齢を重ねても衰えにくいだろうな、と思いました。
翻って我が村田選手ですが、やはりちと分が悪いですね。ゴロの加齢による衰えを最大限に想定しても、相当対策を立ててうまくハマらないと難しいと思います。その根拠は彼の防御にあって、彼はパンチの軌道を見る事を大事にしていますが、ゴロフキンの豊富なパンチの中には必ず見えないものがあると思うからです。試合が組まれたとして、プレスの掛け合いの中でもなるべく足を使い、試合を長引かせればチャンスはあるかもですね。
コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2018-05-12 23:53:57
>Neoさん

ベテランが無駄を省いて、質の向上につなげることは、けして悪いことじゃないですが、初回の受け身と被弾はどうしても気になるところですね。左のフックは、明らかに視界の外から狙うときがありますね。注意を右に寄せておいて、敢えて遠くから、という具合に。村田が読みを外され、防御に穴を開けて打たれてしまったら、それが致命傷となる可能性は充分あることでしょう。ガードで受けられれば、腕の力、構えの堅さは相当あるでしょうが、それをゴロフキンが見て取ったら、違う手管で打ち崩しにくるでしょうね。問題はそうなったときに、村田の乏しい攻め手で、その攻撃の頻度を落とせるのかどうか、なんですが...。

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