さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

言いたくないけど、言葉の安売り 佐々木尽、復帰戦でノイナイをKO

2024-05-16 22:15:09 | 関東ボクシング




ということで今日はLeminoの方のフェニックスバトル。
強打の佐々木尽、左肩の怪我が癒えて復帰初戦で、日本人とは4戦して2勝1敗1分のサウスポー、ジョー・ノイナイを5回に猛攻、一気に詰めて最後は右でKOしました。

豊嶋亮太、そして小原佳太を立て続けにKOし、一気にウェルター級の「日本代表」に駆け上がったところでの負傷ブランクは、佐々木にとって辛いものでしたが、無事復帰して、左のパンチもぶんぶん振っていたし、結果も勝ちだし、まずは一安心。
そういう試合でした。そして、それ以外には、特に語るべきものがある、というところには届いていない、という試合でもありました。


正直言って、試合以外の部分で、見ていて収まりが悪いなあと思うことがたくさんありました。
ブランクの間に、つまり試合をしていない間に世界ランクが上がったり、4団体全部にランクインしていたり。
そして相手は日本で好戦績を残すフィリピン人ですが、あくまでフェザー、スーパーフェザーでのこと。
闘った相手は小原でも豊嶋でも坂井でもなく、阿部麗也、坂晃典、清水聡、尾川堅一なわけですから。

言えば、つつがなく復帰戦を勝利で飾ってほしい、というマッチメイクです。
ところがそれが、空位のOPBF王座決定戦を兼ねて、ダブルタイトルマッチになってしまっている。


そして、肝心の試合内容が、他に狙いをもって、というでもない、単に強打を「当て」にした強振で迫り、動きを止めて打ってこい、とやって、相手のパンチをインサイドから安易に打たれ、それを受けても攻め口変えず、また振り回して迫る...悪いですけど、攻防共に巧い拙い以前の問題。
やることなすこと、子供じみている、という印象。

ウェルター級だからどうという以前に、階級問わず、これで世界だ何だ、安易に言わないでほしい。世界という言葉も軽くなったものだ、と。
日々汗水垂らして己を鍛えて、ボクシングに打ち込んでいるはずの本人や周囲が、自らそれを軽くしてしまっている。自分でやってて、何とも思わないのか。
世界世界と、言葉の安売りが過ぎる。きついようですが、そんな印象でした。


昨今、ボクシング界にたびたび暗雲もたらす計量失格問題、その当事者のひとりであり、その挫折をきっかけに、キャリアを終えてしまっていたとて不思議の無い状況から、本人及び周辺の努力でここまで這い上がり、再び脚光を浴びている佐々木尽には、今後、世界への本格的な進出、挑戦があってほしいし、その過程をつぶさに見られるとしたら、それにまさる喜びはありません。

しかし今日の試合内容に、そのような、前向きな要素はほぼ無かったと思います。
良かったのは、パワーの差どおりに倒して勝った、という結果のみ。
深刻な怪我からの復帰初戦ですから、まずはそれで充分だ、とは言えるにせよ、世界どうというには中身に不足あり、というのが、率直な感想でした。




アンダーカードはKOが多く、21時前にはメインが終わりました。
セミは関西対決で、井上尚弥のスパーリングパートナーも経験しているというミツキジムの津川龍也が、森岡ジムの森田翔大を2回TKO。
ジャブで叩いて右で追撃、ボディブローで早々に倒すという、圧倒的な強さで、中学生の頃の雪辱を期したという森田を寄せ付けませんでした。

試合後は大橋会長に、タイトルマッチをお願いします、みたいなことを言っていましたが、だとするとOPBF王者中嶋一輝との試合が組まれたりするんでしょうかね?
これもまあ、厳密に言うと関西対決なんですが。
WBOアジアパシフィックの方はTJドヘニーで、こちらは井上尚弥戦も取り沙汰されているらしく、ちょっと無理そうですけど。
日本は下町俊貴ですが、関西同士で...まあ、組みやすいのかもしれませんが。

個人的には関西ナショナリズム全開で(笑)是非、東の上位陣とやってほしいですね。
石井渡士也、池側純など、強い選手がいますしね。村田昴もいますが...いますが...。



中垣龍汰朗は判定勝ちで連敗脱出。
相手はタイ人だったので、遂にコロッとと行くようなのと組んだか、いっぺんくらいそういうのがあってもええんやで、と思っていましたが、ラドチャードという選手が全然そういうのと違い、フォームもしっかり、パンチもけっこう切れ、闘志もあって、中垣のパンチでは倒れてくれなさそう。
判定はクリアに中垣でしたが、変にというとなんですが、きちっと引き締まった試合内容でした。

その前の試合は、えらく体格差のあるタイ人が出ていましたが。
中島海二、スケールの大きな中量級の逸材だと思いますが、今日の試合は、あまり実のあるものではなかったですね。



で、井上尚弥御大の幼馴染み、元Jリーガー(でしたよね)という山口聖矢は、空手の経験アリという鈴木将斗に、初回左フックから追撃され、ダウンするも、2回以降右クロスで反撃、2-1の判定勝ち。
リングサイドで見守る御大も安堵の様子でありました。

判定については、初回10-8鈴木、2回山口、3回が微妙で4回山口、という感じか。山口の挽回、という見方はある、と思います。
しかしそれ以前に問題あり、ではないかと。この試合、初回にストップすべきじゃないんですかと。

山口がダウンし、再開したあと、鈴木の右が頭部にクリーンヒットした場面。さらにその後、鈴木が連打で打ち込んだ場面。
いずれも山口の身体が大きくのけぞり、よろめき、なおも打たれているけど止めなかった。
いつもの、普通の4回戦なら、止めているでしょう。でもそうしなかった。何故?

結局、こういうところがなぁ...と、まあいつもどおりの、苦い思いが心中に広がりました。
試合自体は4回戦としてはかなりの好ファイト、といえる試合だったのに、こういうのは嫌なものです。ホンマにもう...。

コメント (6)
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