さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

忘れた頃に下を打つ ロマチェンコ健在、豪州で王座復帰

2024-05-12 18:35:01 | 海外ボクシング




そういうことで今日はWOWOWオンデマンド観賞。
心なしかいつもより画質が落ちたような印象でしたが、月曜のTV放送はいかに、というのはおいといて。
一時は統一世界ライト級王者だった豪州のヒーロー、ジョージ・カンボソスの地元に乗り込んだワシル・ロマチェンコが11回TKO勝ち、IBFライト級王座を獲得しました。


祖国ウクライナが戦禍に見舞われはや二年を超え、その苦衷たるや察してあまりあるロマチェンコ、一時トレーニングを離れていたとか聞きますし、年齢のことも考えて、そろそろ目に見えての衰えがあるのやも...と思っていましたが、余計な心配だったようです。

ちゃんと打った後も足が動いているし、解説のジョー小泉、西岡利晃両氏(西岡が少年時代からの昔馴染みですね、お二方)が言うとおり、強く打ち込まぬ代わりに丁寧に外す、以前から変わらぬ型で、着実にポイントをリードしていく。
逐一速いし、敏捷で、少しでも隙を見せるとパンチを差し込み、また外す。
対戦相手が、疲れやダメージやという前に、気疲れしていくようなボクシングですが、カンボソスは集中を切らさず食い下がっていて、さすがと思わせる。

しかし8回くらいから徐々に立ち後れが目につき始め、右瞼のカットもあってやはり苦しい。
ポイントは6回に取ったかと思ったが、後続の回をしっかり抑えられ、判定では勝ち目無し。

ロマチェンコは終盤に向けて、バックステップ前提の打ち方から、より近くから打ち込む打ち方へと、徐々にシフトしていく。
11回、左ストレートがクリーンヒット、もつれてカンボソス倒れる。これはスリップ判定だったが、ダメージありそう。

と、直後にロマチェンコの左ボディアッパー。
誰もが一瞬、それを忘れている時に、ロマチェンコだけが下への攻撃を狙っていた。
これまた以前よく見たパターン、そのまんま。カンボソス、ダメージ受けて座り込むようにダウン。
立ったがまたボディへ追撃、容赦なし。レフェリーストップ、僅かに遅れてタオルが飛び、ロマチェンコのTKO勝ちとなりました。


ロマチェンコ、最近のいくつかの試合では、以前よりも苦しむ印象がありましたが、今回は以前の姿に戻ったというか、こちらが思い描くロマチェンコの姿をほぼ再現するような試合ぶりでした。

それにしても、フィニッシュの上下の打ち分けは、やっぱりこの人、思想が違うというか。
普通は下打って止めて弱らせて、上打って効かせて仕留める、というものでしょうに、この人は上へのヒットを(軽打中心ながら)前段に使い、それが効いたら、下で仕留める。
普通は上(顔、頭)には簡単に当てられないから、下から攻めようとなるのですが、この人は上へのヒットが軽いながらも取れるから、こういう順番でも成り立つわけです。
しかもそれを、みんなが忘れた頃、試合終盤になって突然やるんですから...以前から、やはり並外れているなあ、怖いお人やなあ、と何度思ったかしれませんが、久々にそんな姿をしっかりと見られた試合でした。

今後については、引き続きトップランクのリングで闘うのでしょうから、話としても限られては来るんでしょうが...しかし昨今は、そういう話を力づくで吹き飛ばすような話もいろいろあったりしますんで、ひょっとしたら会社の違いを乗り越えてのジャーボンテイ・デービス戦、なんてことも...あったりしませんかね。
出来れば、その技巧健在のうちに、と。そう願わずにはいられません。




アンダーでは、セミファイナルの女子のタイトルマッチで、試合後の判定コールが間違いだったとして、勝敗が逆転するという、滅多にないトラブルが起こる。
あまりにもと言えばあまりにも。酷い話です。エキサイトマッチでは以前、アイク・クォーティーか誰かの試合で一度、ややこしいことが起こったような記憶あり、ですが。
しかし、昨日の韓国の試合もそうだったんじゃなかろうか、といまだに思ってしまいます。まあ、それはそれとして...。


アンドリュー・マロニーとペドロ・ゲバラの試合は、僅差で割れてゲバラの勝利。
試合が進むに連れてゲバラの手数、ヒットがなだらかに増えていき、小差ながらゲバラがラウンドを取っていくという印象どおりの判定でした。

ゲバラ、WBC暫定王座獲得ですが、日本勢との絡みも今後あるのでしょうか。
或いはジェシー・ロドリゲスが、ファン・エストラーダを下したら、その先に新旧対決があるのか。
何しろ息の長い選手です。爆発力や切れには欠けるが、自分の型を持っていて、技術レベルは安定して高いが故、でしょうね。



コメント (2)
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