ウィーンで研究留学!

以前はウィーンでの留学生活を綴っておりました。今後はクラッシック音楽を中心に細く長く続けていけたらと思っています。

恐ろしい世界

2006年09月09日 04時59分29秒 | 研究
偏見を含んでいるかもしれない状況で公の目に触れるところにものを書くべきではないですが、今回の阪大での事件は一人の研究者として恐ろしいものを感じます。どういうわけかこの件に関しては実名が挙げられていませんが、報道されているretractionの日付を見ればこの論文にたどり着くのは容易です。昨年の阪大の捏造の事件で、取り下げられた論文でもウェブ上から消えることがないことは知っていました。無くなって欲しい立場からすれば取り下げたのにPubMed(世界中で使われている科学論文の検索サイト)で引っかかってくるのは辛いものがあると思われますが、当然消し去るべきではありません。

私はウェブでニュースや貴重なブログの書き込み を見る以外に情報を持っていないのですが、これだけの事実だけでも健全な常識では考えられない恐ろしいことが起きていることは誰でも感じるところです。しかし正義感に基づいて行動した者が自殺に追い込まれるとはどういう状況なのか、想像がつきません。正義に基づいている精神は邪悪なものには強いと思われるからです。逆に捏造が起きてしまう構造が簡単なものではないことを示していると考えるべきかもしれません。

このような事件は科学の世界に暗い影を落とします。すくなくとも研究者を夢見る中学生や高校生にとっては、科学の世界は純粋なようでそうでない、という現実を突きつけられることになるでしょう。

こちらではポスドクというのはそれほどしがらみの無い立場ですし、来たばかりで気楽なのは間違いないですがしかし、日本では若い研究者の立ち振る舞いが一筋縄ではいかない状況がとても多いように思われます。ボスと対等にディスカッションできないのはありふれた状況です。もちろんそうでない健全な環境も存在しますし、すべてが悪い方向にあるとも思わないのですが、何故このような状況が生じるのか、どうしたら科学の純粋な面を思い出せるのか、考えさせらせます。

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