ウィーンで研究留学!

以前はウィーンでの留学生活を綴っておりました。今後はクラッシック音楽を中心に細く長く続けていけたらと思っています。

渡辺竜王へのエール

2008年11月21日 06時30分16秒 | 将棋
忙しさにかまけてすっかりご無沙汰しておりますが、これは書くなら今しかありません。
現在将棋の竜王戦七番勝負が進行中です。本当に素晴らしいことに最近ではタイトル戦はほとんどすべてネットで中継されているのでウィーンからでもリアルタイムで観戦しています。もちろん時間の関係でこちらが寝る頃に日本では対局が始まっていて、朝起きると日本ではおやつ時で、二日制のタイトル戦だと普通は6時とか7時とかには終わるのでお昼の頃にはクライマックスという感じです。

私が応援している将棋界の未来を背負う若き竜王がピンチを迎えています。約十年前に7冠王を達成した羽生とその同世代から唯一タイトルを奪い、この将棋界最高位タイトルを3度にわたって防衛してきた渡辺明竜王が今年はついにその羽生を挑戦者に迎えました。30代後半にして再度7冠を実現しそうなほどの勢いの羽生を相手にして、やや調子の悪そうな竜王がどう立ち回るのか、渡辺竜王は毎年七番勝負では桁違いの強さを見せてくれているだけに、ファンとしては見事に羽生の挑戦をはねのけてくれることを期待していたのですが、あれよあれよという間に3連敗、窮地に立たされています。将棋界では七番勝負で三連敗した後に四連勝して逆転という例はいまだかつてないそうで、そう考えるともう可能性がないという論理もあるようですが、これは確率の勉強がちゃんとできてない人の言うこと。不可能ならば七番勝負の意味がありません。今までの三番がどうにもかみ合わない、手ごたえののないものだった印象も強くこのまま終わってしまうとは思えません。私にはこれは史上初の大逆転劇を最強の挑戦者相手に成し遂げる舞台がそろったとしか思えないのです。

番勝負というのはものすごくいろんな駆け引きがあるそうで、あの大山十五世名人は一局目はわざと負けていたという話もあります。これは意気込んで挑んでくる一局目には拍子抜けな程に簡単に勝たせておいてそのあとの二番を勝てばはじめにいきなり二局勝つよりも相手に与える精神的動揺が大きい、というようなことらしいです。羽生が初めて名人を獲得した対米長当時名人の七番勝負では羽生はいきなり3連勝したもののそのあと2連敗。羽生はそれ以前に、米長がタイトル戦でどうしても勝ちたかったら初めに連敗してそれから挽回することで相手を追い詰める、というような発言をしていたことをしっていたそうですが、第五局から第六局の間はこれは完全に相手の思うどおりに進んでいるだけではないか。術中にはめられているのか。と気が狂いそうな思いだったと語っていたと思います。もちろんこれははるか昔94年のことで今の羽生がそれほど動揺するとは思えないし、実際3年前の王将戦では佐藤康光を相手に3連勝後三連敗のあと最終局を制して防衛しています。しかし相手は毎度のように対戦している佐藤なのと、自分を倒す相手と世間が期待している渡辺なのでは全く違うはずです。渡辺竜王はどうやら長期的な不調状態に入っているものの、例年のことを考えると気温が下がり冬を迎えるにあたって急速に復調してくるはず。鈍感な羽生相手に番外戦術が通用するとも思えないけど作戦でもなんでも一回り以上上のおじさんをからかうかのようなことをして次の第四局からがらっと流れを変えてください。そして史上初の三連敗後四連勝の大逆転劇を見せてくれるものと信じてウィーンから応援から応援しています。