ウィーンで研究留学!

以前はウィーンでの留学生活を綴っておりました。今後はクラッシック音楽を中心に細く長く続けていけたらと思っています。

ライナー・キュッヒル、ダニエル・ゲーテの元ウィーンフィルコンサートマスターのリサイタル二連発!

2022年08月04日 21時31分26秒 | 音楽(クラシック)
しばらく投稿していなかったところ3年間何もしないと編集機能を失うとGoo blogから警告が来てしまいました。
以前からの読者が読んでくれるかどうかわかりませんが、そういうことで3年に一度は投稿したいと思います(笑)。いえいえもっと書きます。

ということで今回は軽井沢の大賀ホールでのコンサートをレビューします。
・2022年7月23日 音楽の都ウィーンの至宝 ライナー・キュッヒル ヴァイオリンリサイタル
・2022年7月29日 ダニエルゲーテ&横山幸雄デュオコンサート

大賀ホールは軽井沢にあるだけあって普段からそれほど演奏会が行われているわけではありませんが、ゴールデンウィークや夏休み期間など軽井沢に人が集まる時期になると途端に賑わいます。
キュッヒルさんは有名人なのでクラシックファンの方はまずご存じだと思いますが、ゲーテさんについて知っている人はあまりいないかもしれません。1966年ハンブルグ生まれ、1994-2000年ウィーンフィルのコンサートマスターを勤めていらっしゃいますが、2013-2016年は読響でもコンマスをされていたということです。読響、あんまり聴く機会がなかったんですよね。毎年軽井沢で開かれている「若い芽のアンサンブルアカデミーin軽井沢」ですでに10年、指導、出演してくださっているそうですが、私は今回初めて演奏を拝聴しました。

同じようなコンサートになるかと思いきや、きわめて対照的でした。ゲーテさんのコンサートは本当に良かった!ウィーンにしばらく住んでいた身としてはこれぞウィーンの音楽!と思わされるきわめて居心地がよくかつ刺激的な音楽で、何よりゲーテさんの演奏姿がかっこいい!次の音楽はこうだよ、というのがすべて体から発散されている感じでした。ピアノの横山さんはショパン奏者の印象が強く室内楽をやられているイメージはないんですが、やはりそれはそんな感じで、あれ?そこヴァイオリンを置いて先に行っちゃうの?というような箇所がたくさんありましたが、そこはゲーテさんはアンサンブルの達人なので素晴らしくフォローされていました。惜しかったのは客席がかなり空いていたことで、こちらのチケットは3000円の全席指定席でしたが、本当にもったいない!値段的にもリーズナブルだしもっともっと多くの方に聴いて欲しいと思いました。毎年来てくださるのでチャンスがある方は来年是非!ちなみに曲目はブラームスのヴァイオリンソナタの2番、シューマンの1番、そして後半はフォーレの1番でした。事前に見ていたポスターでは後半はR.シュトラウスだったはずですが変更になったんですかね?

順番が前後しましたが、キュッヒルさんの方、こちらは軽井沢響きの会の主催、5000円全席自由でした。チケットは残っていましたが、さすがにキュッヒルさんですし、6-7割の入りというところ。調べたところキュッヒルさんは前日は札響でコンマスをされていたとか。ここ数年N響でも客演コンマスをされていて何度か拝聴しましたが、特にモーツァルトなどは音色が全然違ってくるので本当にありがたいことだなあと思いますが、一方でコンマスのソロパートではちょっと音程が怪しいのが常でした。オーケストラならそれはそんなに気にならないですが、リサイタルになるとどうなのか?というところが危惧されて、実はこのコンサートはチケットを買ったのは前日でした。

前置きが長くなりましたが、曲目はモーツアルトのロンドハ長調K.373,ベートーヴェンのソナタ4番、五番が前半。後半はリストの競争的大二重奏曲R.462、サンサーンスのロマンス、ハバネラ、それに6つの練習曲作品52大6番でした。前半はウィーンプログラムですが後半はリストにサンサーンス。ちょっと不思議だなあと思っていました。始まってみるとモーツァルトは予想を上回ってさらえてない感じ。素人の私ですら音程が不安定すぎて辛かった。ベートーヴェンになって少し改善されましたが、前半は楽しめたとは言えません。後半は自分があまり親しみのない曲だったりする部分と、たぶんしっかり準備されていたようで、だいぶ良かったですがトータルとして満足だったかと言えばそうではなく、軽井沢の聴衆を馬鹿にしないでほしいと思いました。といってもウィーンフィルで何度もコンマスとしての演奏は聴いているキュッヒルさんのソロを聴けるというのはそれはそれで面白い体験でした。キュッヒルさんは日本のオケでコンマスをされるときもなかなか規律に厳しいらしく、自分が入場するまでオケのメンバーは立たせたままで、自分が挨拶して着席してから全員座るとか、やっているそうですし、ウィーンフィルの時も特にヘッツェルさんがなくなってしまって第一コンマスになられた頃などはTVで映像を見ていてもいつも額に青筋が立っていて神経質な印象を受けていました。今回のリサイタルでもなんというかウィーンフィルに対して抱いている繊細な感じというよりはやや憤然とした態度で音楽もひたすらびしっと突き進む感じでした。(それで音程がちゃんとしてればいいのですが)一方でこの日のピアニストの加藤洋之さんはプロフィール的にも室内楽のスペシャリストとのことですが、本当に絶妙にキュッヒルさんに合わせていて、自分がリードするときは素晴らしく体でリズムを表現しされていました。当然ながら後で思ったのはこの加藤さんとゲーテさんだったらどうなっただろうか?ということですが、これはまあ主催者も違うし考えても仕方ありません…

ということでこのようなコンサートが一週間のうちに二度も聴けるという得難い経験をさせていただきました。第七波の中でなかなか混雑しているところに行くのもはばかられれますが、少し余裕がある客席で音響の素晴らしいホールで聴けたのは大変ありがたいことでした。