ウィーンで研究留学!

以前はウィーンでの留学生活を綴っておりました。今後はクラッシック音楽を中心に細く長く続けていけたらと思っています。

ワールドカップ終わる

2010年07月11日 23時43分22秒 | サッカー
毎月投稿が現状の目標なのですが、まあなかなか余裕がないもんです。でも振りかえってみるとやっぱり投稿出来ていない時っていうのは大体仕事に集中出来てる時なんですよね。それかなにか理由があってものすごく追い込まれてるか。そういう意味ではいまはとても追い込まれてるんですが、まあサッカーは見てます。

結婚する前はわざわざそのためにWOWOWに加入してセリエAを欠かさず見ていたし、フランスワールドカップは多分、生でないしてもすべて見たくらいですが、昔に比べると今は全然見なくなってしまいました。それでもやっぱりワールドカップは別格です。ケンブリッジに移ってからはほとんどテレビというものが機能していなかったのですが、ここに来てついに動き始めてしまいました。研究所ではのどかなことに大型スクリーンがセミナー室に導入されたりして、昼間から仕事そっちのけでPIからしてワールドカップを見ていました。公にも認められていて、もっと大きいTheaterでも毎試合スクリーンで中継しているらしく、見るときにはフォームにサインすること、学生はSupervisorの許可を得ること、とかいうバカげたメールが回ってきました。いろいろ細かいことにはすごくうるさいお国柄なんですが、これは寛容というのか、それともわざわざこんなことまで取り決めしているところがらしいというのか。

昼間から見ていると仕事にならないのでなるべく見ないようにしていましたが、さすがに日本戦は生で見てしまいました。初戦カメルーン戦はこっちの15時半からでした。前半に先制して、パターン的に前回のドイツワールドカップのオーストラリア戦が思い出されてしまいましたが、しかし松井から本田のゴールは余りにも美しく、そして、普通に全く力むことなくゴールを決めた本田を見てジェネレーションが違うなあと思いました。僕にとっては98年、初出場の時の城のような、簡単なシュートでもとにかく力んで外してしまうのがワールドカップの日本、というイメージが強すぎるのですが、本田のゴールはそれを完全に払しょくしてくれるものでした。そして日本はすべての試合を通じて信じられないほどの労働力を伴う積極的なディフェンスをやり通して、それがほとんど感動的でした。BBCの解説者もとんでもないハードワークのすごいディフェンスと評してくれていましたが、これはいわゆるプレッシングサッカーの一つの理想形なんではないかと思いました。普通あそこまでフォワードがディフェンスしてしまったらボールを取って攻撃に転じた時に走れないんじゃないかと思うんですが、それが全くそんなことはなく前回で敵陣に走りこむ訳で、あんなことはヨーロッパ人の監督には思いつかないのではないかと思います。まさに日本人の監督による日本代表だからできたことなんではないかと。もちろん攻撃については、走っているとは言えその分切れはなくなるわけで、それがあんなに足が止まっていたパラグアイ相手に最後まで点を取れなかったことにつながるのかもしれないんですが、それでもこんなサッカーができることを示したのはそれだけで、世界を驚かしたんではないかと思います。

デンマーク戦は代表の試合を見ていてこんなに幸せになれることはもう一生でこれっきりじゃないかと思ってしまうほど、日本人にとって素晴らしい試合で、これだけで日本人みんなの活力が3倍とは言わないまでも2倍になったんじゃないかと思います。これこそ夢を与えてくれるスポーツならではの素晴らしさでしょう。この試合で本田はものすごく株を上げたんじゃないかと思いますが、BBCの解説者もべた褒めで、最後の3点目、自分でシュートすればゴールのランキングに載ったのにそれをせずにパスした、というのもヨーロッパ人にとってはかなり印象的だったようです。パラグアイ戦ではアナウンサーが本田にボールが入るたびにホンダ!ホンダ!(ホ、にアクセント)と叫んでいました。

日本がPKで散ってからは試合は面白いものの、やっぱり全然気合いの入り方が違うので、いつもここに日本がいたらなあと思ってしまったのですが、印象的だったのはブラジルとアルゼンチンのもろさ、彼らには南半球とはいえ南アフリカは寒かったんでしょうか?ブラジルはドゥンガ監督のチームなのに最後はすっかり冷静さを失って自滅してしまったのがちょっと残念でした。アルゼンチンはまあ巧妙なドイツを相手に戦略のなさが露呈したという感じではありました。

そして決勝戦、なかなか点が入らなかったもののこれぞサッカーという、緊張感の高い試合で存分に楽しみました。やはり三位決定戦なんかとは全然違います。準決勝ではあれだけ強いと思えたドイツがスペイン相手になすすべがなかったのはびっくりしましたが、これだけスピーディーなボールまわして支配されて攻め続けられるとカウンターも働かなくなるということが良くわかりました。オランダは開始直後こそドイツのように攻められっぱなしでしたが、ちょっとすると修正して、それ以降はかなりの時間中盤でのプレッシャーの掛けあい、ボールの奪い合いでした。この試合は後半の最後の方になっても運動量が落ちてスペースが間延びすることがなく、クオリティーの高いプレイが続いていました。最後延長になって先にオランダの運動量が落ちてチャンスを作られたまらずファールをして退場者が出てしまったわけですが、そこで当然オランダはディフェンシブになってPKに持ち込むんだろうなあとおもったら全くそんなことはなく攻め続け、そしてちょっとチャンスになった後に綺麗にカウンターでボールを回されて決勝点を奪われてしまったわけですが、その展開が意外で、感動的でした。最後は審判に文句を言っている暇があったら早く攻めろと思ってしまいましたが、それでも最後まで正々堂々と戦い続けたからこそ素晴らしい決勝戦になったと思います。

98年のフランス大会の時は結婚もしてなくて大学院生だったわけですが、それから2002年は博士をとって助手になった一年目、2006年は留学一年目のウィーンで、そして2010年はケンブリッジで迎えました。そう思ってみると4年おきに人生の節目が来ているわけですが、次のワールドカップまでの4年間は単なる節目でなくそろそろ人生の飛躍の時期にしたいものです。

ワールドカップが終わって世間的にはもうちょっとすると小学校が休みになってホリデーシーズンというわけですが、私自身は引き続き正念場なので全力で頑張っていこうと思います。