ウィーンで研究留学!

以前はウィーンでの留学生活を綴っておりました。今後はクラッシック音楽を中心に細く長く続けていけたらと思っています。

夜食中

2005年12月31日 03時52分38秒 | 研究
そろそろ朝の4時になろうかというところですが、今は細胞の精製を終わって、移植に向けておにぎりを食べています。これもこちらで仕事を始めてから学んだことですが、徹夜実験のときは夜食を食べるといいのです。大概は、いつも寝る4時を過ぎたくらいから頭が働かなくなり、眠気との戦いになるのですが、私の場合、どうやらこれはエネルギー切れもあるようで、食べることでだいぶ回避されます。それから今日のような最後に静脈注射という大仕事(時間をかけてとった細胞をいれるというプレッシャーによる)が控えている場合はなおさらで、低血糖では緊張しなくても手が震えます。お腹がすいたとあまり自覚がなくても食べるのがポイントで、これをするようになってデータが安定するようになりました。

このブログのスタンス

2005年12月31日 03時02分13秒 | Weblog
私がブログに興味を持ったのは将棋の渡辺明竜王のブログがはじめですが、彼の場合は、棋士というファンに注目され、仕事の内容も知られれば知られるほど良い職業で、さらに若くして地位を確立しているので非常に率直な内容で書けるのだと思います。私のような不安定な身の上で、仕事の内容も機密性が必要とされる職業の場合はそれは難しいことです。ということで、特定の個人に絞れてしまいそうな情報までは載せないようにしようと思います。私がもっと自分に自信が持ててさらに責任がもてる、たとえば留学先で独立できるようなことになれば、もっといろいろなことが書けるようになるのかもしれません。

こんなことは継続的に読んでくれるひとが出来てから考えるべきかもしれないですが、少なくとも日本人は誰でも見る可能性があるわけですからね。

徹夜実験

2005年12月30日 20時43分54秒 | 研究
毎日更新を目指しているのですが、なかなか難しいですね。ラボで夕食をとりつつ書いています。

年末は追い込み、ということで帰省もせずに実験・実験です。実験の性質上、どうしても時間が長くかかり、始めるのが午後になってしまったりすると翌朝まで掛かってしまいます。一昨日から昨朝がそうでした。夜通しやって精製した細胞を外が明るくなってからマウスに移植し、片づけしてラボを出たのが8時半。平日ならそれでもお風呂にでも入ってまたラボに戻らなければいけないのですが、まあ年末なので、無理しても頭も体も機能しませんからゆっくり風呂に入って、4時間ほど寝て、軽く食事をとってラボに戻り、夜の11時過ぎに帰宅。こんどはお腹一杯食べて洗濯などして、早めに就寝(といっても3時前)。そして今日また同じ実験です。

どうしてそんなに時間が掛かるのかと言われると困ってしまうのですが、私も大学院生時代は基本的に培養細胞を使ったcell biologyばかりでしたのでこんなことはありませんでした。

(cell lineというのは主にヒトの癌組織由来の細胞で試験管内で増殖します。対してマウス個体から培養するような場合、初代培養primary cultureなどといいます。初代培養は本来の性質に近い状態で試験管内で培養するので有効な方法ですが、まず個体からの調製に手間が掛かること、扱いが難しいこと(すぐに死んでしまうなど)が弱点です。長期の培養も多くの場合望めません)

こちらに移ってマウスの仕事をするようになってから初めてこんな実験をするようになりました。特に免疫は辛いですね。私は免疫はどちらかというと本業でないので専門家たちが同じようなことをしているのか良くわからないところはあるのですが、たぶん大差ないはずです。確かに環境的な問題はあって、私が長時間掛けて行っているソートは、レベルの高い機関では専門に依頼を受けてやってくれる職員がいるそうです。

ノックアウトマウスを使って、マウス個体で実験するということは飼育だけでも費用が掛かり、遺伝子型を決めるのにも手間が掛かり、実験以前の準備がとても大変ですが、研究としても面白さを知ってしまうとやめられないものがあります。留学先ではマウス一本はなかなか大変なのでここでの経験と、大学院時代の基礎とを上手く生かしてやっていきたいと思っています。

大雪

2005年12月28日 17時10分30秒 | ウィーンの生活
今年の雪は本当にすごいです。

私の近辺でも今年はもうみんな参ってしまっています。地方局のニュースでアナウンサーが第一声で「もう雪はこりごりです!」とはじめたのには驚きました。私の車は大きめな四駆なのですが、今年こそは能力を最大限発揮しているというか、本当に助かっています。車高の低めな車に乗っている同僚はすでに今年の冬は車を諦め、大学に車を置いたままです。

雪が好きな人と嫌いな人とかなり個人差がありますが、私はこんなでもやはり雪が好きです。逆に冬は雪が降るまでが辛い。風が寒く感じます。雪が降ってからは湿度が安定するし、雪なら傘もいらないし、スキーもできるし(なかなか行けないですが)。

確かに今年くらいに降ってしまうと日常生活に支障が出ています。除雪が間に合わないようで、小道に入ればがたがた、よけた雪の山が崩れて道が狭くなり、すれ違うのもやっとなのでみんな大通りにでるためか大渋滞。通常10分でいけるところに30分以上掛かるようになってしまっています。今年は確かに辛いですね。

それもおそらくまだ気温の下がらない12月だからだと思います。逆にちゃんと積もって溶けないくらいになれば道も平坦だし、アイスバーンにもなりにくいしよほど安全です。私は車のタイヤが容易にすべる状況が楽しくて、冬の運転はわくわくするのですが、一度滑って電柱にぶつけてからはブレーキを踏むたびにひやひやしていますから、やはりストレスにはなっているんでしょうね。まあでも雪国にいる以上これも楽しみたいと思います。

また留学から遠い話題でしたが。また。

地方での研究生活

2005年12月27日 00時29分19秒 | ウィーンの生活
日曜日は久しぶりに温泉に行ってきました。いい温泉は本当に体を癒してくれるもんですね。私にとっては特に雪が積もってからは格別です。

こちらで仕事を始めたのは3年前で、それまでは生まれてからずっと東京だったのですが、その視点からちょっと書いて見ます。留学の話からは遠ざかってしまいますが。

東京と比べて本当にいいところは生活していてストレスがとても少ないことです。東京では独身のうちは大学のすぐ近くに下宿していましたが、結婚してからは電車で30分以上は通勤に掛かりました。時間的にはたいしたことがないものの、満員電車や、気を抜けばすれ違いの人とぶつかりそうな駅の通路をかき分けて歩くことなど中学生時代からの慣れっこだったはずが、こちらに来てから車ですぐになってみるとなんと楽なことか。一日のスタートでまず疲れることがないのはとてもいいことです。同様に疲れ切った体で終電に滑り込んで帰るのと、終電がなく時間に終われずに実験ができるのも利点と言えます(ラボによっては帰宅時間の保障がないとも言えます。これについてはそのうちまた。)。ストレスが少ない、という意味では東京育ちの私にはびっくりすることもたくさんありました。エンジンを掛けっぱなしで扉もロックせずにコンビニの駐車場に車を停めて買い物するのが当たり前なんですよね。悪い人がいないんですねえ。

それに素晴らしいのは自然にあふれていることです。車で30分も走れば大自然の真っ只中で、秘湯と呼ばれるような温泉にも気軽に行けます。冬は雪質のいいスキー場も手近にあります。市街地であっても空気は東京とはまったく違います。東京から帰って来て駅で降りて、まず空気の新鮮さを感じます。逆に久しぶりに東京の研究室を訪ねに行ったときには地下鉄の駅から地上に上がって空気の汚さに息を止めたくなりました。こんなところに何年も住んでいたかと思うと恐ろしくなりました。東京では季節ごとに軽い喘息を起こしていましたが、それもこちらではなくなりました。体には優しいです、間違いなく。

逆に短所ももちろんたくさんありますが、待ち時間が終わりそうなので、また今度続きを。


ご挨拶

2005年12月24日 20時43分42秒 | Weblog
はじめまして。sandroです。
タイトルのとおり、生命科学研究者です(ちょっと重い表現ですが、一般的にいうとこうなるのかな?)。
現在雪国にいますので雪景色のテンプレにしてみました。

来年4月から留学が決まりましたが、こちらでの仕事がまだ論文になっていないので3月いっぱいまでがんばらなければいけません。準備をしつつ全力投球!が今の状況です。

留学したい、と思っていてもそれを現実化するのにはたくさんのハードルがあるように思います。やりかたもいろいろです。私は思えばもう8年くらい前から留学するつもりでここまで来てしまいました。人生いろいろそれはそれでよかったのですが、これから留学の準備を始める人に参考になるようなブログにできればと思います。本当は一年くらい前から始められたら良かったのですが、追い追い過去の話を書いていこうと思います。それから研究者ではない人にとっても面白いように書いていけたらいいなあと思っています。

どれくらいの人に読んでもらえるか、しばらくは自己満足だとは思いますが、自分のための日記のつもりでなるべく頻繁に書いていきたいと思います。研究生活はなかなか時間の余裕がなく、その場その場のことに追われてどんどん時間が過ぎていってしまいがちですが、日々の自分を振り返りつつ遠い先を見据えるのも大事なことと思っています。
それでは、宜しくお願いします。